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枡久野恭(ますくのきょー)
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SSS キミとアイドルプリキュア 蒼風なな、紫雨こころ 印刷費


キミとアイドルプリキュア 蒼風なな、紫雨こころ 印刷費


「夏コミで出す自作のうたななボテ腹成人本を一万部印刷できたのは僥倖」




「だけど、キュアアイドルグッズを買い過ぎて手元に500円しかない……」




 キュアアイドル、そしてその正体である咲良うたを愛する少女蒼風ななは夏コミを直前にして悩んでいた。夏コミ開始前までに支払わなければならない印刷費がなかった。

 アイドルプリキュアがファンクラブを結成して、グッズ展開を本格化させた。ファンクラブ運営自体、ななも参加するプリキュアチームが行っているものだが、グッズの購入は自費となる。うたへの愛情を示す為にななはキュアアイドルのグッズを買い漁り金欠状態に陥っていた。


「代金未納で本がコミケ会場に届かないのは困る……何とかして印刷費を支払期限までに稼がなくちゃ」


 ななは早速金策を講じることにした。

 とはいえ中学生であるななはアルバイトもできず、普通ではどこにも雇ってもらえない。

 故に商売で稼ぐ道を選んだ。


 ななは早速プリキュア仲間である紫雨こころの元へと足を運び、交渉に出た。


「というわけで、こころちゃん。撮影するから今すぐ脱いで」


 ななの切り出し方は斬新だった。斬新過ぎた。


「写真集……イラスト加工してイラスト集にして田中さんのアカウントのBOOTHで売りに出すから」


 こころの18禁写真集。販売するサイトの制約上、リアル少女の写真集のまま出すわけにはいかないので、お絵かきソフト処理、或いはAIの力を借りてイラスト集の体裁に変えて売りに出す。それがななの思い描いた商売だった。

 だが、その実現にはあまりにも多くの困難が伴っていた。


「いっ、嫌に決まってるじゃないですかぁっ!?」




 モデル本人が拒否した。


「ヌード撮影なんてしたら……おっ、おっ、お嫁に行けなくなっちゃうじゃないですかっ!」

「こころちゃん、お嫁に行きたい相手がいるの?」

「いっ、いませんけど……将来の為です」


 こころは赤くなった。拒否しているのに、何だか精神的にマウントを取られてしまった。


「ヌードモデルが欲しいなら、私じゃなくても良いじゃないですか。なな先輩でも、うた先輩でも」


 ツインテ後輩の必死の反撃。だが、ななは意に介しない。


「うたちゃんの玉の肌を不特定多数の有象無象に晒すとかあり得ない」

「うた先輩のえっちな薄い本を夏コミで売るんですよね?」


 ななはスルーした。


「うたちゃんの妻である私も貞淑を求められている。故にヌード撮影なんてご法度」

「だから、なな先輩のえっちな薄い本を夏コミで売る為の印刷費確保なんですよね?」


 ななはまたスルーしてみせた。


「ズキューンなら喜んで協力してくれるんじゃないですか? 乙女の恥じらいとかあまりなさそうですし。ズキューンがやるならキッスも協力してくれますよ」

「私にはケモナーの趣味はないからキッスとズキューンのセクシーショットで稼ぐとか考えられない」


 ななは首を大きく左右に振ってみせた。彼女の脳裏に思い浮かんでいるのは妖精態のままのズキューンとキッス、というかメロロンとプリルンだった。


「人間形態で撮れば良いじゃないですかっ!」





 こころのツッコミ。ななは三度スルーしてみせた。


「大体、私は年齢的に色々と引っ掛かりますよ。はっ、犯罪になっちゃうんですからっ!」


 13歳少女は顔を真っ赤にしながら違法性を訴えた。

 けれど、ななとしては対策済みだった。


「リアル少女のヌード写真集ではなく、デジタルの手を借りたイラスト集だから」


 運営側にとっては頭の痛い言い訳が飛び出た。しかも、それだけではなかった。


「イラスト集のこころちゃんは13歳の中学生ではないの」

「じゃあ、何なんですか?」

「『ぐらんぶる』の登場人物で、お酒も飲める20歳以上の大学生ってことにしておくから」

「人を勝手に大学生にしないでくださ~いっ!」


 ツッコミながらこころはニュータイプ的な勘で気が付いた。ななが今思い描いている自分のイメージに。


「って、説明とイメージ映像が全然合ってないじゃないですか~っ!? 大学生のお姉さんどころか、ランドセルを背負った小学生じゃないですか~っ!」




「まあ、どんなロリキャラでも登場人物は全員成人済みですと銘打っておけば良いのはエロゲ黎明期からのお約束だから」


 ななは涼しい顔でこころをモデルとしたイラスト集に問題がないことを語ってみせた。


「写真をイラスト加工するんだったら、別に私がモデルじゃなくても良いじゃないですか。とにかくお断りします」


 ぷいっと横を向くこころ。ななは振られてしまった。


「仕方ない。もっと手軽にオーケーしてもらえるモデルに頼みましょう」


 ななは気持ちを切り替えて次の交渉へと向かった。

 

「筋肉を、躍動させれば良いのですね?」

「ええ。筋肉の魅力を伝えるイラスト集にしますから」


 ななは人間態の田中をモデルにして、ブーメランパンツ1枚きりでの筋肉ポーズ写真集を作った。それを更にイラスト集に加工して販売したところ、ななの想定を上回る販売、収益を得たのだった。

 こころをモデルとした際の予測客層とは全く違うユーザーたちに大受けした。何はともあれななは印刷費の支払いを無事に済ませて、夏コミに向かったのだった。










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