SSS 地獄先生ぬ~べ~ 中島法子 水着
「のろちゃんの癖に一番エロくてヤバい……この中島法子って子に関してだけは、美樹が何を言っているのかサッパリ分からない……」
マチュは細川家の美樹の自室、現在の自分の住居で椅子に座って端末を開きながらため息を吐き出してみせた。美樹の報告とマチュの認識は全く一致
しないのが原因だった。
マチュことアマテ・ユズリハは地球で小学生として生活を送るに当たり、入れ替わる本人である細川美樹から様々な情報を得ていた。その大半は地球での生活の仕方、ルールに関してだったが、人間関係やキャラクターに関するものもあった。
友人、知人紹介はごく簡素な文章で扱われていたが、担任のぬ~べ~、一番の友人である稲葉響子、そのボーイフレンド(当人たち非公認)立野広らに関しては概ね報告通りだった。
他のクラスメイトたちに関しては説明が更に簡素だったが、特に大きな問題はなかった。美樹が元々変なキャラクター扱いされているので、マチュがズレたことを言ってしまっても正体がバレる様なことはない。マチュなりに人間観察して適当に付き合っておけばそれで十分何とかなっていた。
ただ、中島法子という少女に関してだけはマチュは疑問符を拭い捨てることができないでいた。
中島法子
通称のろちゃん
のろちゃんの癖に一番エロくてヤバい
マチュを混乱させるごく短文の紹介だった。
「漫画でよく出る大人しい子まんまじゃない。どこがエロくてヤバいんだか?」
マチュの見たところ、法子は友達の菊池静と並んでクラス内で最も大人しい生徒だった。動物の世話は熱心に行うが、自分から積極的にクラスメイトに働きかけたりはしない。露出を好むどころか響子たちが平気でノースリーブ姿を晒しているのと比べれば肌を隠している。
美樹の指摘が当たっている部分がどこにもなかった。
「大人しくて良い子をディスってるってことは……美樹はのろちゃんと何らかのトラブルを起こして仲が良くないとか。そんなところかな」
美樹は法子と何らかの理由で仲が良くない。マチュは、辻褄が合わない人物紹介を美樹の不服に答えを求めた。
「さて、風呂でも入って昼寝でもしようかな。小学生の夏休みは予備校とかないし、進路で悩まなくて良いから暇な時間でいっぱいだ♪」
マチュは端末を閉じるとバスルームへと向かった。
何だかんだ言いながら、マチュは小学生生活を満喫していた。
***
マチュは知らなかった。
中島法子には本人もあまり認識できていないもう一つの裏の顔があることを。
「明日は私の誕生日。クラスのみんなで海に遊びに行ってお祝いしてくれるって……嬉しいなあ」
誕生日を翌日に控えた中島法子は自室で浮かれていた。
響子や広が中心になって、クラスメイトに声を掛けて海水浴場で法子の誕生日を祝ってくれる手筈になっていた。
法子は響子とさほど親しいわけではない。けれど、クラスメイトの誕生日をみんなで祝ってくれる。それがぬ~べ~クラスの特徴であり、ぬ~べ~の人徳であり理念でもあった。
「あっ、そうだ。明日着ていく水着を試しておかなきゃ」
法子は明日の持ち物をチェックすることにした。
中でも水着は大事なものだった。学校のプールではないので指定のスクール水着というわけにもいかない。
「ええと水着は……夏休み前に美樹ちゃんと一緒に買ったのがあったよね」
法子は洋服箪笥から水着を2着引っ張り出した。
「1着目はワンピース。美樹ちゃんが過激なのを勧めてくるから私の方で大人しいのを買ったんだよね」
法子は買った時のことを思い出しながらピンク色のワンピース型水着に着替えてみせた。
鏡の前に水着になった自分の姿を晒してみせる。
「去年まで海に行くときはこんな水着を着てたよね」
家族で海水浴に行った去年のことを思い出した。色違いだが、今着ているのと似たようなワンピース型の水着だった。
無難であることは法子の心を安心させた。けれど、胸の奥底から湧き上がる何かもなかった。
「でも、もう5年生だし。家族と行くわけじゃないし。もうちょっと大胆でも良いのかも」
法子は自分の水着姿を見て燃え上がることができなかった。
それでも法子は何とか自分を納得させようとした。
「あっ、でも。去年の水着、海にたっぷりたっぷり浸かってると少し透けちゃって。えっちな突起が、浮かんで見えちゃったんだよね……」
法子は去年の海で目いっぱい遊んだ後のことを思い出した。
海から上がるや否や母親は法子にパッとバスタオルを掛けてみせた。母のその行動の意味を知ったのは更衣室に戻ってからのことだった。水着が肌に張り付いて、生地がうっすらと透けて突起が尖って薄桜色で見えていた。
「今年も海に入っていたら……透けちゃったりするのかな?」
法子は海水で透けてしまった今の水着姿の自分を想像してみた。
「私の透けた胸をクラスメイト男子に見られちゃうとか……ハァハァハァ」
法子は鼻息が急激に荒くなっていく自分に気が付いていた。だが、止まらない。止められない。
ワンピース水着を着た当初には感じなかった心の昂りを、海に入って透けてしまうことを考えたことで確かに感じていた。
「…………っ、駄目駄目っ! 駄目だよぉおおおおぉっ!」
法子は大きく首を左右に振って興奮と妄想を打ち消しに掛かった。
「透け水着姿なんて男子に見られたら。恥ずかしくてもうお嫁に行けなくなっちゃう。このワンピースは明日着ていくのはなし」
法子は決断を下してワンピース水着を脱いでみせた。
「残るは美樹ちゃんが選んでくれた過激な水着だけだけど……もう、これしかないよね」
法子は自分に言い聞かせながら、美樹チョイスの水着を着てみせた。
それは、水着というよりも紐と表現した方が良い一品だった。紐と紐を組み合わせてかろうじて水着の体裁をなしている。先ほどのワンピースと比べれば、布面積があまりにも少ない一品だった。
「小学生が……こんなえっちな水着を着るのは間違ってるよね。ハァハァハァ」
鏡に映る過激な水着姿の自分を見て。法子は間違っていると語りながら笑っていた。真っ赤になって笑っていた。
ワンピースを着た当初には全く感じなかった胸のドキドキ、キュンキュンが奥底から込み上げて止まらない。
乳首や秘所がかろうじて隠れているぐらいで、怪しい動画撮影でもなければ日の目を見ることはまずないでろう過激水着。その超紐水着にクラスで一番大人しい少女は魂を惹かれていた。
「この水着なら海に入っても透けちゃうことはないよね♪」
海に入れば、透ける以前に水着がズレてポロリどころか全てが丸見えになってしまいかねない。心昂っている少女にはそんな簡単な事さえも分からなくなっていた。否、分かろうとしないでいた。
「うん、この水着にしよっ♪ 決めたっ♡」
法子は自分の身体を抱き締めて決断を喜んでみせた。
翌日、過激すぎる水着姿で法子はクラスメイトたちの前に姿を現せた。
「ちっ、違うっ! 私がのろちゃんに着るように勧めたわけじゃないんだってばぁあああああああああぁっ!」
男子生徒たちが跳び上がって歓喜する中、マチュは多くの女子生徒から謂れのない非難を受けることになったのだった。