SSS デレマス アナスタシア セクハラ疑惑
きっかけはテレビのインタビューだった。
『ミナミと一緒にお風呂に入ると、おっぱいばかり見てくるので少し、恥ずかしいです』
とあるバラエティー番組でアナスタシアは最近起きた恥ずかしいことを語ってみせた。
思春期少女であるアナスタシアは、ラブライカのユニット仲間である新田美波と一緒に入浴すると恥ずかしい気持ちでいっぱいになってしまうのだった。
『アーニャちゃん♪ こっちいらっしゃ~い♡』
ラブライカの地方ミニライブを終えた2人はご褒美に温泉休憩をもらっていた。美波は慣れない温泉に戸惑うアナスタシアを手を振って招き入れた。
『分かりました。今、行きます』
アナスタシアは請われるままに美波の隣に移動する。露天温泉には他の客はおらず2人きりの空間だった。
アナスタシアははじめは温泉を堪能していた。だが、すぐに胸に絡み付くような視線が気になり始めた。視線の気配はいつまでもなくならない。
目を瞑って気付かないふりを続けるのも限界を迎え、アナスタシアは目を開けて視線の正体を確かめることにした。
酷く単純な回答が待っていた。アナスタシアの乳房をガン見していたのは他でもない、美波自身だった。
『アーニャちゃんのおっぱい、いつまでも見ていられる。むしろ、アーニャちゃんのおっぱいをおかずにしてご飯を何杯でも食べられる♪』
美波は少しも悪びれることなく嬉々とした表情でアナスタシアの胸を見つめていた。
『……ミナミ、あんまり見られると、恥ずかしいです……』
アナスタシアは乙女の恥じらいを語ってみせた。けれど、美波は視線を外さない。
『こんなに綺麗なモノを見ないなんて私にはできない♪』
美波はキラキラした瞳でアナスタシアの肌を眺め続ける。
『はっ、恥ずかしい、です……』
『アーニャちゃんは世界で一番綺麗なんだから。自信持って♡』
結局、美波はアナスタシアが温泉から出るまで胸の凝視を止めなかったのだった。
アーニャの受け答えは採用され、全国ネットでゴールデンタイムに放送された。
人々は恥ずかしがるアナスタシアを愛でると共に、美波にセクハラ疑惑を抱いた。
疑惑を抱いたのは世間だけではなかった。
「美波ちゃん、アーニャちゃんにセクハラは良くないと思うんですっ」
「学校では真面目な前原さんはセクハラを絶対に許さないのにゃ~っ!」
シンデレラプロジェクトの身内からもお叱りの声が上がっていた。
「せっ、セクハラじゃないのっ。漫画における女子大生キャラってのはエロの権化で……」
「美波がセクハラじゃないって訴えても世間は納得しないよ。どう決着を図る気?」
渋谷凛に問い詰められて美波は壁際に追い詰められていた。
「ミナミ……」
アナスタシアは困った表情で美波を見つめている。
美波にとっては四面楚歌な状況。だが、彼女はまだ奥の手を有していた。いずれ発動させるつもりだった秘奥義を時計の針を進めて始動させることにした。
「分かったわ。責任を取るっ!」
美波は宣言すると凛を退かしてアナスタシアの前に立った。
「アーニャちゃんっ!」
「はっ、はい」
名前を呼ばれてアナスタシアは気おされながらも背筋を伸ばして返事をしてみせた。
そして美波は、彼女なりの責任を取ってみせたのだった。
「アーニャちゃん…………私と結婚してっ!」
百合プロポーズ。それが美波の出した答えだった。
「…………はい」
アナスタシアはしばしの沈黙の後、首を縦に振って求婚を受け入れてみせたのだった。
少女の顔は真っ赤に染まっていたが、とても幸せそうだった。
「アーニャちゃんは美波ちゃんのお嫁さん。ということは……夫婦の間柄ということでセクハラではないのですね」
「はい、解散。各自、自分の仕事に戻ること」
セクハラ疑惑で詰め寄っていたシンデレラプロジェクトの面々はプロポーズが成功したことで元の場所に戻っていったのだった。
美波とアナスタシアの百合結婚は大々的に報じられ、美波のセクハラ疑惑は自然消滅していったのだった。
『…………ミナミと結婚して、ラブライカは百合夫婦ユニットになりました。これからも、応援よろしくお願いします』
後日、幸せそうに新婚生活について語るアナスタシアの様子がお茶の間に流れて再び話題となったのだった。
了