獣人ガオレオンのペット1
Added 2023-04-26 14:04:17 +0000 UTC俺達人間は巨大な獣によって絶滅した。 子供の頃にそうやって皆に聞かされた。 俺の世界は、埃っぽい屋根裏の軒下と、巨大な台所だった。 生き残るためにはそうするしかない。 巨大な獣・・・獣人に見つからない様に隠れて怯えながら生活をしている。 俺達人間の生き残りは獣人の家に集落を作り、ひっそりと暮らしていくしかない。 生まれてからずっとそう言われ続け生き残るためには当たり前の様に感じていた。 でも、たまに思うことがある。 他にどれくらいの生き残りがいるのだろうか。 空・・・大地・・・星・・・この世界ってどんなのだろうか・・・ 見てみたいと思うが、俺が単独で動けば皆を危険にさらしてしまうことになる。 この平穏な生活を送るためには、隠れて暮らすしかない。 俺の様な若い男の仕事は主に食料集めだった。獣人達の目をかいくぐり食料を集めていく。 必ず3人1グループになって行動し危険がないかを位置確認しながら、今日1日分の食料を手に入れる。 獣人達の食べ物は、どれもヘルシーというか・・・栄養を食べているに近い。 その日の栄養が固体状のゼリーになっているといった感じだ。 俺達人間はそれをほんの一部をばれない程度に拝借をしていた。 深追いはせず決まったルートで少しずつ少しずつ、袋に詰めて運ぶ。 1人が見張り役となり獣人達の動きを確認し、安全を確保しながら荷物を運んでいく。 ここに住んでいる獣人は、ハリネズミのおばあさんの獣人で動きも鈍く、気づかれることはまずない。 今までにここで100年以上集落を作ってきたが見つかったことはただの一度もないらしい。 住みやすさでいうとかなりいい場所だ。 俺達は食料を自分達ノルマ分は確保した。そして次のグループと入れ替わりのタイミングに野太い声が聞こえてきた。 「若い獣人が来たぞ!退散だ!」 見張り役の声が聞こえて、すぐに屋根裏へと隠れた。 「でも、本当にいるんですかねぇ…長年住んでいるけど、人間なんて見たことないですよ」 ハリネズミの女性の声が聞こえてくる。 「たまにいるらしいんですよ。特に一匹住まいのご年配の方の家に人間が…」 と野太い男の声が聞こえてきた。 俺達人間がいることがばれてしまう。 次のグループをすぐに引き返させ、俺達3人は状況を把握するために残ることにした。 隙間から見ると、がたいの良い猫の獣人が見えた。がっちりちした肉体がピチピチのシャツからみてすぐ分かる。 猫獣人はキッチンをくまなく物色している猫獣人。 「恐らく、住んでそうですね…」 猫獣人はにやりと屋根裏の方を見た。俺らの事に気づいたかのように 「ここはもう安全じゃない…皆にすぐに知らせないと!」 俺達は、知らせるために一目散に走った。 やつは俺達を捕まえるつもりだ! 駆除されたら最後どうなるのか分からない。 逃げなきゃ…逃げなきゃ… 俺達は一心不乱に走った。 いつものルートを走っていると、がたんと音がして最後尾の俺の目の前に巨大な樹人の顔があらわれた。 「みーつけた」 とにやりと笑う獣人の顔。俺は向きを変えた。 もしもの時の緊急ルート。こちらから皆に合流して逃げよう。 心拍数が早くなった。 先にいった二人が状況をきっと知らせてくれる。 俺は合流することだけを考えよう。 必死に走っていると急に足元が地面にべたりとくっついて体が床へとへばり付いた。 「なんだこれ!なんなんだ!」 体が地面にくっついて動かないっ… くそぉ!早く皆に追い付かないと… 体を必死に動かしても粘着力があるこの地面が体から離れなかった。 「どうして…動け・・・俺・・・」 今までこのルートにこんな場所は無かった。どうして… 次の瞬間、薄暗い屋根裏から光が差し込むと、巨大な掌が現れるとその手が床ごと外へと出していく。 始めてみる巨大な獣人の顔は、想像していたよりはるかに大きかった。 俺は、巨大な掌の上に床ごと乗せられている。 「これが獣人・・・」 鋭い牙とぎょろりとした目がこちらを覗いて巨大な口がペロリと舌を出して唇を舐め始めた。 「人間なんて初めてみたわ…」 巨大なハリネズミのおばあさんの顔がこちらをのぞき込んでいる。 「汚いですよ。人間は汚れてますからね。心も体も・・・あまり近づかない方が良いです」 その言葉にハリネズミは汚い物を見る顔をしてその場から離れた。 「先に人間ホイホイを設置しといて良かったです。他にも何カ所か設置してたんですけどここが正解でしたね」 そう言いながら、巨大な掌が俺を摘まんだ。柔らかい肉球が俺の脇にわき腹に触れた。 と次の瞬間、体は思いっきり上へと上げられくっついていた床から体が離れた。 着ていた洋服は床にくっついてはがれず、引きちぎられ俺は丸裸の状態で巨大な肉球に摘ままれた。 恐怖で言葉が出ない。 獣人に捕まってしまった。どうしたら… 捕まった時のことなんて教えてもらってない。 理由はただ一つ。捕まった者は皆死んでしまったから。 「それじゃあこれから他の人間を捕まえるのに、私はこの人間から色々と聞かなきゃいけないので、一部屋お借り出来ますか?」 巨大な猫獣人の言葉に俺はすぐに我に返った。 皆を守らないと… 「お前なんかに話すことはない!食べるなら俺だけ食べろ!」 「これを食べるんですか?」 俺の言葉に、ハリネズミは驚いたような顔をした。 獣人は人間を食べていたはず…違うのか? 「まさか…こんな汚い人間なんて食べないですよ。何百年前の話をしてるんですか?」 「そうですよね。汚いんで早く人間を処分して下さい。こんな汚い生き物がうちにいたなんてぞっとするわ。この部屋自由に使っていいので、」 ハリネズミのおばあさんは言うと、部屋から出ていった。 ハリネズミが部屋を離れた瞬間、猫獣人の顔は豹変した。 にんやりと笑った獣人の顔は、獲物を捕まえた獣そのものだった。 ―続―