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闘い始める女たち 【桜花学園】

〈プロローグ〉 花は散るからこそ美しい。 どれだけ綺麗な花でも、そこにずっと咲いていてはやがて鬱陶しくなる。いずれ散り、無くなってしまう美しさだからこそ、人はそれを美しいと感じる。ずっと咲いている花なんて、邪魔でしかないんだ。 だけど、世の中にはそんなこともわからずに、図々しくずっと咲き誇っている花も存在する。まるで自分こそが永遠の美だとでも言わんばかりに、咲き続けることに執着する、醜い花が。 そんな花は、摘み取るしかない。 だから私は、桜花学園に入学した。この学園に咲く、羽島花奈(はしまかな)という雑草を摘み取るために。 お前の時代はもう終わったんだと、言ってやるために。 〈1〉 1 私立女子高等学校である桜花学園は、全体的に白を基調として統一されている。制服や校舎はもちろん、通学鞄や靴まで、何から何まで真っ白だ。唯一別の色があるとすれば、制服の胸辺りに刺繍された桜色のエンブレムぐらい。 そんな真っ白な制服に袖を通すのは、決して楽なことではない。激しい倍率を勝ち抜いた、鮮明な頭脳と非凡な能力を持つ、選ばれた女子でしかこの制服を着ることは出来ない。加えて、私立校とあってここの学費は決して安くはない。それなりに裕福な家庭じゃなければ、ここに通い続けるのは難しいだろう。 しかし、それぐらいのお嬢様学校なら、他にもいくらでも存在する。その中でも、この桜花学園が日本で最高の女子高と言われる由縁は、その教育方針にある。 それこそが、『格付け』だ。 この学園では何から何まで生徒同士を競わせる。学業も運動も、そしてその他も。そうすることによって、未来の世界で活躍できる屈強な女性へと育てることを目標としているのだ。勝者には誉を、敗者には罵倒を。そんな強気の教育姿勢だからこそ、桜花学園の出身者には世界で活躍する著名人が多く存在し、それが桜花学園の評価を高めている。 この学園では、『闘うこと』が正当化されるのだ。それがどんな形であれ、闘い、そして勝利することが絶対的に正しいと教えられる。 この学園内で闘いの無い日はない。いつだって、どこでだって、女子生徒たちが、女としての闘いを繰り広げている。 そしてその日、私もまた、ひとりの闘う女だった。 桜花学園に入学して一か月が経ったその日、私が自席に座ったタイミングで、スマホに着信が入った。 スマホを開き、『桜花学園裏掲示板』のアプリを立ち上げる。個人メッセージ欄に、私宛のメッセージが送られていた。送ってきたのは同じ一年三組の生徒で、田村臨(たむらりん)。すぐさま田村の席を見ると、田村はスマホを片手に私を方をじっと見ていた。 少しの間睨み合いを繰り広げた後、私はようやくメッセージ欄をタップした。田村からのメッセージは簡潔だった。 「二時間目、第二体育館倉庫」 私はすぐに「いいよ」と送信し、アプリを閉じた。 〈1〉 2 その日の二時間目の授業は音楽だった。私は楽器の扱いも上手くなければ歌唱力もイマイチなので、サボるにはちょうどよかった。 音楽の教師に腹痛を訴えて教室を出た後、私は保健室ではなく第二体育館を目指す。田村はまだ授業を受けていたけど、あいつも適当に仮病して授業を抜けてくるだろう。 その日の二時間目には、第二体育館では授業は行われていなかった。そもそも、体育の授業は第一体育館やグラウンドで行われることが多いので、この第二体育館は何かの式典とかじゃなければ滅多に使用されない。つまり、こっそりと利用するにはピッタリの場所ということだ。 普通の学校なら、使用されていない体育館には生徒たちが無断で入れない様に鍵がかかっているだろう。しかし桜花学園は違う。『格付け』を推奨するこの学園では、いつでも闘いが行えるようにと全ての施設の錠が開けられているのだ。だから私は難なく体育館の扉を開き、中へと入った。 誤算だったのは、体育館ではすでに闘いが行われていたことだ。体育館のステージ上で、女子生徒二人が殴り合いを繰り広げていた。真っ白な制服はお互いの血で赤く染まり、顔中が痛々しく腫れている。 1人は知らない生徒だが、もう1人の生徒には見覚えがあった。同じクラスの青木世羅(あおきせら)だ。話したことは無いけど、大人しそうな見た目の割に気の強そうな性格の子だと前から少し気になっていた。まさか、こんなところで彼女の闘う姿を見れるとは。 二人はボロボロになりながらもまだ止めるつもりはないらしく、フラフラしながら相手の方へと近づいていく。そんな様子を遠くで見つめる私に、背後から声が掛かった。 「おい」 振り返ると、田村が立っていた。 「何してんの?さっさとやるよ」 そう言って田村が倉庫室へと向かっていく。青木の喧嘩を見届けたい気持ちもあったけど、私は渋々田村に付いていった。 田村に続いて倉庫室に入り、扉を閉めてついでに鍵もかける。少し距離を開けて田村と相対し、私は言った。 「それで、何する?」 田村は何も答えず、ただトントンと自分の股を人差し指で叩いた。 「いいよ。録画は?」 「もちろん」 会話はそこで途切れ、私たちは無言のまま制服を脱いでいく。ブレザーもスカートも脱ぎ、パンティーとブラも靴下も。そして一糸纏わぬ姿になった私たちは、ゆっくりと近づき合った。 私は聞いた。 「どっちのスマホで撮る?」 「じゃあ、私が」 「わかった」 田村が自分のスマホを手に倉庫内を見渡し、手ごろな場所を見つけてそこにスマホを立て掛けた。こちらからでは確認できないが、いまあのスマホはビデオ撮影のモードに入っているはずだ。こうしている今も、私と田村の全裸姿を録画し続けている。これから行われるレズバトルを録画することで、私たちが私的な格付けを行ったことの証明になる。つまり、負けても言い逃れは出来なくなるということだ。 「それじゃあ、始めよっか」 田村が敷かれたマットの上に座り込む。私も同じように座り、股を広げた。脚を交錯させ、秘部を近づけ合う。田村の秘部が濡れているのがわかる。なめらかに濡れたこの割れ目を見ていると、自分の秘部も段々と湿っていくのがわかった。 視線を合わせ、息を吸い込む。そして私たちは、同時に腰を振った。


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