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アイドルって大変②

私たち「フライディング」は、『とある女子高の人気アイドル部』という設定がある。だからパフォーマンスなどの客前に立つ際には、現役の女子高生が着る用の制服を衣装として着る。たとえ、ほとんどのメンバーの年齢が二十代の中盤に差し掛かっていてもだ。だから、一部の高年齢メンバーの女子高生制服姿には、正直言って見てられないぐらい悲惨な人もいる。 私はまだ二十一歳で、グループの中では年齢は中層ぐらいに位置している。そんな自分でさえ女子高生の制服姿は客観的に見て微妙と言わざるを得ないのに、私よりも年齢が三つも上の、畑中葵(はたなかあおい)の制服姿は、どう見ても似合ってないし痛々しい。 それでも、私は畑中が選抜メンバーにほぼ確実に入っていると、確信している。 それは、畑中のセフレが運営の中に潜んでいるからだ。 あくまでもそれはグループで流れるよくある噂でしかないけど、私は実際に、畑中が運営側のスタッフとラブホテルへと入っていく姿を見たことがある。 真剣に交際しているのかもしれないけど、私の予想では、ただのセフレの関係だと思っている。グループ内で権力を持つためのコネづくりのための関係だ。少し大きな胸と愛嬌のある顔を武器にして、そうやって今までも手堅く生きてきたのだろう。馬鹿な男たちなら、騙されてしまっても仕方がない。 だが、私は違う。畑中がその笑顔の裏にドス黒い本性を隠し持っていることを知っている。あいつの顔には騙されない。 化けの皮を剥がし、失脚させる。おばさんはグループには必要ないってことを、教えてやる。 「グループの子に呼び出されるなんて初めてなんだけど、何か用?」 セミロングの黒髪の毛先を指でクルクルといじりながら、畑中は私に言った。 グループでの練習終わりの夜十時頃、私はさっさと帰宅しようとした畑中を、ひと気のない公園へと呼び出したのだ。 「実は、見ちゃったんですよ、畑中さんが運営の人とラブホに入っていくの」 一応は年齢のことを考えて、年上の人には敬語で話すことにしている。しかし「フライディング」のメンバーは全員が仲が悪いので、敬語でもそこに尊敬などの感情が含まれていないということは、話す側も話される側も承知の上だ。 私の言葉を聞いても、畑中は顔色一つ変えない。 「ふーん。だから何?まさか、アイドルはラブホに入っちゃいけないって決まりでもあるの?」 「いえ、そんなことはありません。でも運営の人が相手ってなるとどうなんですかね。それって、運営に不正なコネを作るってことじゃないですか?」 「そうだとして、何?歩花(あゆか)ちゃんに関係ある?」 「いえ。ただ、私もそのコネ欲しいなって」 私の言葉に、畑中は少し笑った。 「なに?まさか、私を竿姉妹になりたいってこと?」 「まあ、結果的にはそうなっちゃいますかね。でももう畑中さんには関係なくなりますよ」 「・・・・は?」 「その人は、私だけのセフレになるんですから」 「・・・・なるほどね。そういうこと。私から、運営とのコネを奪いたいわけだ」 「そういうことですね」 「そんなこと、許すと思う?」 「ならここで決めますか?私と畑中さん、テクの上手い方が運営とのコネを得られる。つまり、先に相手を逝かせた方の勝ちってことで」 「いいよ。そのつもりで呼び出したんでしょ?受けてあげるよ」 「じゃあ行きましょうか」 そして私の先導の元、私たちはラブホへと向かった。 濃い夜が幕を開ける。


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