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The.UnderCover~潜入捜査官:神崎琉姫~1

1:魔女髪の女  仄暗い……  そこは、どんな場所よりも仄暗く……肌寒い……。  衣服を剥ぎ取られ、身動き一つとれなくされた少女はそう感じるだろう。 「はひっっ!! あひっっひひ!! も、も、もう十分ですっっ!! や、やめて……やめでぐだざいぃぃぃ!!」 「あら、どうして? 貴方が欲しいって言ったんじゃない……誰にも負けない、完璧なボディが欲しいって……」 「い、言いましたけどっっ!! こんな事するなんて……聞いていませんっっ!!」 「言っていなかったんですもの……当然じゃない。それよりほら……もっと楽しんで頂戴♥ 楽しく笑って楽しくカラダを引き締めましょ♥」 「んひゃあぁぁぁぁあぁっっっははははははははははははは!! やめでぇぇへへへへへへへへへ、ぐるじぃぃひひひひひひひひひひひひひ!! ぐるじいいぃぃぃひひひひひひひひひひひひひひひ!!」  しかしその肌寒さも、仄暗く映った地下の一室も……  この拷問まがいなイジメに……微細な感覚は一瞬で消し飛ばされてしまう。 「ンフフ♥ もっと笑いなさい。笑えば笑っただけ貴女の身体は細く引き締まるの♥ そしたらその可愛い身体にまた自信が持てるようになるわ♥」 「いぎゃあぁあぁぁははははははははははははははは、も、もう嫌っっはははははははははははははは!! 触らないれくらさいぃぃぃひひひひひひひひひひ!! わだじの身体に触らないでぇぇぇへへへへへへへへへへへへへへへへへ!!」  一人の少女に群がる多数の指先……。  少女はその指達に笑わされる。  身動き一つとれない拘束された身体をまさぐる……その指達に……。 「さぁ、皆さん? 皆さんもこの子のように完璧なボディを手に入れたいと思っているでしょう?」  その言葉に少女の身体をまさぐっていた指先が同時にピタリと止まる。そして魔女のように髪を振り乱したリーダー格の女性にそれぞれが視線を移し、ニヤリと笑って頭をそれぞれ縦に振っていく。 「だったらこのおクスリを注射なさい! 皆で笑いながら完璧なボディを目指しましょう!!」  演説を行うかのような強い語尾に女性達は思い思いに返事を返し、小さな注射器を手に取っていく。  そして黄色く粘りのある薬液の入ったその注射器の針を、それぞれの腕に刺していくと何の躊躇いもなく薬液を自分の体内に摂取し始めた。 「っは……はは……ひひひ……ぃひひひひひ……ひひひひひひひひひ」 「んひっ! はひっ!! うひひひひひ……いひひひひひひひひ!!」  クスリを摂取した女性達は生気を失ったかのような虚ろな目になり、そして静かに笑い始めた。  力なく……感情もこもっていない笑いがそれぞれの女性から零れ始め、やがてその笑い声は大合唱のように部屋中に響き渡る。 「アヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!! いひひひひひひひひひひひひひひひひ、えひひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!! んひぃぃぃひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ!!」  何も可笑しいものなど無いその小さな空間で、クスリを打った女性が次々に気でも触れたかのように笑い始めたその光景はあまりに不気味で……あまりに理解し難い……。  少女はその光景に恐怖すら覚え始めていた。   「ひぃぃぃっっ!! み、皆さん?? なんで……笑い始めて……??」 「ウフフ♥ 貴方にも特別にこのお薬を打ってあげる♥ 楽しくて……堪らなくなるこのお薬を……ね♥」 「ひっっ!! い、いいですっ!! 私は……別に……薬なんか…………」 「遠慮しなくて良いのよぉ♥ このお薬を打てばたちまちに笑うのが楽しくなって……苦しいのはどこかへ吹き飛んじゃうの♥ とっても気持ちが良くなるのよぉ? ムフフフ♥」 「い、嫌ですっっ!! そんな……怪しい薬……入れたくありません!!」 「嫌だと言っても入れてあげるわ♥ 私達の仲間になったのですから……」  それぞれ別の方向を向きながら不気味な笑いを零している女性たちの間を縫って魔女髪の女性は注射器を構え、寝かされて拘束されいる少女の横に立つ。 「こ、こんなの……犯罪です! 警察に……言いますよ!! やめないと……警察に……」 「フフ……大丈夫。すぐにそんな気を起こせないようになっちゃうから♥ きっと虜になっちゃうわ……笑う事が苦痛になんて思えなくなるくらいに……ね♥」 「っひ!! や、やめ……やめ……て……お願いっっっ!! いやっ! ダメっっッ!!!」  プスッ! っと僅かな音を立て皮膚の薄皮を貫通した細い針が少女のか細い血管へとすぐに到達する。一瞬チクリと鋭い痛みを発したが針が入り込んだ後はその痛みもすぐに収まった。しかし次の瞬間……体内に何かが入れ込まれているというのが分かってしまうくらいにヒヤリといた流動物が血管の中に流し込まれるのを感じた。  このドロッとした薬液の感触に少女は寒気を背筋に走らせて恐怖の感情をより色濃くしていく。   「ほ~ら♥ すぐに楽しくなるから……すぐに……ね♥ ンフフフフフ♥」  魔女のような女性の声が徐々にぼやけて聞こえ始める。気が付けば周りで笑っている女性たちの声も円を描く様にグルグルと少女の脳内に響き始める。 「あ……へ?? か、かりゃだが……なんか……変??」  身体の感覚が徐々に鋭敏になっていくのを感じる。意識が朦朧となり始めたのと同時に身体の触覚神経は反比例して鋭くなっていく。  意識はぼやけていくのに感覚は鋭くなっていく。その反比例した身体の変化に少女は…… 「はひぇ? あひぇひぇ……へへ……いひっ? はひひひ……ひひ……」  先程のように身体を触られている訳でも楽しい気分になっている訳でもないのに笑いが込み上げてきてしまう。どちらかと言えば身体中が痒い。異常な痒みに全身が犯されている……その痒みがこそばゆさを生み……そして少しずつ少女の口から笑いを絞り出し始めた。自分の意思とは無関係に……。 「はへへへへへへへへへへへ? あへ? あれぇへへへへへへへへへ? にゃに、これ? んははははははははははははははははははは、身体がムジュムジュして……笑いが……勝手にぃぃひひひひひひひひひひひ……」  徐々に薬効が効き始めているのか、身体中の神経がゾワゾワと勝手に湧き立ち始め……そのどうしようもないむず痒い感覚に少女は笑わせられる。 「ほ~ら。楽しくなってきたでしょ? このお薬はね……身体中の神経を中から痒くさせてくすぐったくなるように優しく刺激するの♥ しかも笑う事が気持ち良くなる様に色んな媚薬も調合してあるのよ? 凄いでしょ♥」  少女の笑いは段階を踏むかのように少しずつ大きく……少しずつ艶を帯びるような声へ変貌を遂げていた。  周りで笑い狂う女性たちと同じように…… 「アヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ♥ いひひひひひひひひひ……んへひひひひひひひひひひひひひひひ!! にゃにこれぇぇぇへへへへへへへへへへへへへへへへへ、頭がクニャクニャになっちゃへ訳が分かんにゃくなるぅぅぅぅふふふふふふふふふふふふふ、いへぇぇへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ!!」  見上げていた石壁の天井は歪む様に見え、身体の感覚は風が吹いても敏感に感じ取れてしまう程に鋭くなっていく。火照りのような熱さを感じたかと思えば背筋が凍える様な寒さを感じたり……耳の奥に流れてくる女性たちの笑い声すらも耳奥を優しくくすぐっているかのようでこそばゆさを感じてしまう。  何もされていないのに身体中がくすぐったい。くすぐったいから笑いが止められない……。でも、不思議と先程までの苦痛感は感じられない。笑うのが苦しくて仕方がなかった先程までとは違う。気持ちが良いとさえ思ってしまっている。 「笑う事は健康にも美にも大事なのよ♥ でもさっきみたいに無理やり笑わされ続けるのは苦しいでしょ? だからこの薬を作ったの♥ 笑ったら笑った分だけ気持ち良くなっちゃう……このお薬を……ね♥」 「あへっっへへへへへへへへへへへへへへへへ……いひっっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひ、ンハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ! や、やだぁぁぁはははははははははははははは、笑いが止まらにゃいぃぃぃひひひひひひひひひひひひひひひひ! うへぇぇへへへへへへへっへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ!!」  くすぐったさと気持ち良さ……2つの相反する感覚が少女の脳を犯していく。  笑いが止められなくて息苦しさを感じている筈なのに、頭はボンヤリした気持ち良さに包まれ苦痛を感じられない。逆に酸欠気味な状態を強いられている今の方が気持ち良さを感じてしまっている。  苦しいのに気持ちが良い……この不思議な感覚に少女の声はさらに艶を増し始める。 「はひっ♥ ンヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ~ん♥ んはっっひひひひひひひひひひひひひぃ♥ んくはぁぁぁはははははははははははははははははははははは、へひぃぃぃひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひぅん♥」 「ウフフ、良い声で鳴く様になってきたじゃない♥ そろそろ出来上がってきたかしら? それじゃあ仕上げをしてあげるわね?」 「んへへへへへへへへへへへ、にゃ、にゃに? にゃんでみんな……笑いながら手を構えているにょ? う、うそ…でひょ??」 「これから貴女はこのお薬の虜になるの♥ みんなと同じように……ね」 「はひっっっ!!? や、や、やら! 近づかないれっっ!! さ、さ、触らにゃいで!! こんな状態で触られたら……私……可笑しく……なっちゃう!! んくくくく……くく……」 「さぁみんな? 笑わせて貰う事がどんなに苦しくて……どんなに気持ちの良い事なのか、彼女にしっかり教え込んであげなさい♥」 「「「はぁ~~い♥」」」 「待って! 待っっっっ! い、嫌っっっっ、嫌ぁぁぁあっぁぁあぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁ!!!」  悲痛な悲鳴と共に部屋中に響き渡ったのは苦悶の叫び声と、それと正反対な大爆笑だった。  若い少女は普段の彼女の顔からは想像すらつかない程に顔を歪ませ、本能のままのに笑い狂い始める。    何の抵抗も出来ない無垢な少女の身体を、4人の女は寄ってたかって触り回して笑わせ嬲る。少女の笑いが絶えないように……様々な刺激をとっかえひっかえしながら。  そんな様子を一人腕を組んでニヤリと笑みを浮かべながら眺める魔女髪の女性。  彼女もまた笑っていた。  クスリなど使っていないが、確かに笑っていた。  余裕のない少女の笑いとは違い、高らかに勝利を確信したかのような笑いを……。


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