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悪戯カフェへ……ヨウコソ⑨

9:お仕置き 「さて、それじゃあ最初は“おさわり”をしたお仕置きの方を……通常通りに行ってあげましょうね♪」  顔は無邪気に笑っているように見えるが、店長のその笑顔には深い影が差し込んでいる。 「わ、私に何をする気ですかっ!!」  震える唇をようやく動かし発した第一声は僅かに裏返ってしまい自分がいかに怯えているかを物語る声を発してしまった私……店長はそんな私の内情を理解しているかのように優しい声で耳元に囁きを返してくれる。 「大丈夫……大切なお客様の身体に傷をつけるような酷い行為は致しませから♥」  裸にひん剥いておいて酷い行為はしないと言われても納得はいかないが、今はその優し気な店長の口調と言葉を信じたい。  何せこちらは手足を拘束され何の抵抗も出来ない哀れな捕虜のような立場に立たされているのだから。 「でも、このお仕置きを受ければ普通の人でしたら二度とあんな突発的な行為を行わなくなってくれます。それほどに効き目は抜群なんですよ? フフフ……」  店長の顔がコクリと一度だけ頷く。するとそれを合図にしたかのように2人の従業員の女性が同時に「はい」と返事をして近くのテーブルの上に置かれていた仮面を手に取りそれぞれ被り始める。  1つは福の神が笑っているかのようなにこやかな仮面……もう1つは鬼が怒り叫んでいるかのような恐ろしい仮面……2つの対照的な仮面をそれぞれが装着し顔を隠し私の方を同時に見る。  鬼の怒り顔と空気を読まず笑い続けているような福の神の面……それらを同時に見てしまうと何やら現実感が薄れ始めてしまう。何かの儀式をされているかのような……その儀式の人柱にでもさせられているかのような……そんな錯覚さえ頭を過る。 「おさわりをしたお客様は次にこのお面を見れば必ず意識する事となります……。約束を破ればどんな目に合うか、その身をもって刻み付けられているのですから……。あぁ、ちなみにうちの店の受付にも同じ面を飾っていましたが……お気付きになられましたか?」  私はコクリと頷いてそのお面の存在を認知していたことを店長に知らせた。来店した時……確かにその面は2つ並びで壁に掛けられてあったのを思い出す。  決して主張しないが店のファンシーな雰囲気とはその部分だけが異質だったためよく覚えている。  確かにあった……あの2つの面は……店のカウンターの奥壁に……目立たずひっそりと……。 「しかし、最近のお客様はむしろこのお仕置きを“望まれる”お客様もいらっしゃいます。なぜでしょうね? かなり苦しい思いをして帰って頂いているとは思うのですが……そういう方は決まってまた同じことを繰り返していかれます……」  2人の仮面をかぶった女性は店長の言葉を気にしない様子でテーブルの上に置いてあった道具を黙々と手に装着していく。  その道具とは、つけ爪と呼ぶにはあまりにも長く……鉤爪(かぎづめ)としては少し長さが足りないくらい……つけ爪と鉤爪のちょうど中間くらいの長さだが……爪の先には薄赤いマニュキュアが塗られていたりとつけ爪のような遊びを施しているにもかかわらず、先端部分は“何かを引っ掻く”ために作られているかのような鉤爪のような形を取っている。  まさに両方のいいトコ取り(?)をしたかのような見た目のデザインだが、普通にお洒落の観点で見れば異様極まりない。  熊手の様な爪の形をした鉤爪にマニュキュアが塗っているのだ……女子がお洒落をする時に行う装着物では決してない。 「だから、そういう困ったお客様には……もっと上級なお仕置きを味合わせてあげようと思い……この“つけ爪”を開発してみたのです」  店長はそれを“つけ爪”と呼んだ。であれば、それはつけ爪なのだろう……かなり異様な形はしてはいるが…… 「このつけ爪は樹脂で出来ていて、普通の爪よりもしなやかで跳ねっ返りが強いのが特徴です。そしてこの形状……熊手のように先端が内側に曲がっているのが見えるでしょう? この曲がった先端が普通の爪では再現できない強烈な“引っ掻き効果”を生んでくれるんです♥」  そこまで店長が説明すると、2人の仮面を被った女性はわざわざそれを私に見せるように構え、指をランダムに動かして気色悪く動かして見せる。  その動きを見た瞬間、私の腕には鳥肌が立ち……本能的な嫌悪感を背筋の中枢に意も言わ走らせてしまう。  ……あの爪に触られたくない! 見せつけられたつけ爪に私が最初に抱いた印象はそれだった。 「この爪……まだ試作段階でして、お仕置きとして正しく機能するかは実証できていませんけど……少なくとも生身の“指”でやられるよりは効くと思ってます」  生理的に受け付けないその爪の怪しい動きを見るのに我慢が出来なくなった私は、ついつい彼女が喜びそうな質問を口から零してしまう。 「そ、その爪で……何処を触ろうっていうんですか!」  もう……考えなくても分かっている。  彼女がやろうとしている事……この拘束の意味……苦しい罰とは何なのか……それらはすでに分かっている。でもそれを認めたくない。  今のこの状態でヤられるには……あまりに無抵抗が過ぎるのだから……。 「フフフ♥ とぼけなくても良いのよ? これから何をされるのか……本当は分かっているんでしょう? ここまで“弱点”を晒すような格好に仕立てたんだし……」 「弱点……を……晒すような……格好?」 「痛い事はしないと約束したわ……。でもその代わり、貴女の事……とっても愉快な気分にさせて笑わせてあげようと思ってるの♥」 「愉快な気分に……させて……笑わせる……」 「とっても楽しくて愉快すぎて笑わずにはいられなくなるお仕置きよ♥」 「べ、別に……愉快になんて……なりたくなんかありません! それよりこの拘束を解いてください! 触ったことは謝りますから……私を解放してっ!!」 「貴女は別に無理に愉快な気持ちにならなくても良いの♥ このお仕置きは私達が貴女の事を無理やり愉快な気分にさせるお仕置きなんだから」 「む、む、無理やり!?」 「そう……無理やりよ♥ 何処も可笑しくないのに……別に楽しい気分でもないのに、面白い事なんて一つもないのに無理やり“笑わせる”……それがこのお仕置きの大事な部分ですもの♥」 「わ、わ、笑わせるって……や、やっぱり! その爪で……私の事……」 「ご想像の通りよ♥ これからその爪で……貴女が笑いそうな箇所を狙い撃つようにカキカキしてあげるわ♥」 「ひっ!? や、やめて!! こんな爪に引っ掻かれたら……絶対くすぐったいに決まってるっ!!」 「でしょうね。裸にひん剥いて拘束された貴女なら今はどこを引っ掻かれてもくすぐったく感じるだろうけど……この爪が最も効果を発揮する二か所をこれから彼女達に引っ掻いてもらうのよ♥」 「に、二か所??」 「普通の人だったら触られただけで飛び上がって嫌がるであろうその二か所……果たして貴女に耐えることは出来るかしら?」  店長の話が途切れると、私の顔の近くまで長爪の動きを見せつけていた2人が次の命令を遂行すべくゆっくりとその動きを止め手を引かせていく。  直接的な命令は店長から発せられてはいないが、彼女たちは見えないマニュアルに従うかのように私の肩幅に開き伸ばし切る様に拘束された脚をたどって足の末端部分まで移動し、私の足裏を眺めながらそれぞれの足底部付近に腰を下ろし再びつけ爪をしている右手をこれから責めるであろう箇所へ構えて見せた。  福の神の面を被った女性は礼儀正しく石床に正座して座り、鬼の面を被った女性は豪快に胡坐を組んで座っている。面の違いによってそういう性格付けを行っているのか……ただ中身の女性の性格が違うだけで座り方も違うだけなのかは不明だが、2人が狙っている箇所は座り方とは違い同じだった。  脚をナナメ前に投げ出すような格好で座らされ……足首の部分を床に押し付けるよう枷で拘束しているがために地を踏みしめられず触ってくださいと言わんばかりに晒されている私の足の裏……  指一本で少しなぞられただけで、なぞった本人を蹴り飛ばして逃げようとしてしまいかねないほど刺激に弱い私のそれを彼女たちは例の長い鉤爪の様な爪で引っ掻こうとしている。  果たしてどれほどの刺激が私を襲うのか……想像も出来ない。  出来ればそのような刺激から足裏を守ってあげたいと思うけど……足首に着けられた枷が私のカカトを地面に押し付けており、足先を曲げても左右に捻っても足裏を隠すという動作にまで辿り着けない。  逃げたいのに……防御したいのに……触られたくないのにっ!  拘束された足は私の思い通りには動いてくれない。 そうこうしている間に……何の合図もされていないのに福の神の面を被った女性の右手がゆっくり私の右の足裏に向かって近づいてくる。 触られればどんな声を出すか自分ですらも分からない。そんな刺激に未知数な足裏を触られたくはない。だから足先をジタバタさせて触られるのがどんなに嫌かを伝えるための動きをして見せる。しかし、その動きは彼女にとって誘いのダンスのように映ってしまったようで…… 彼女は一切の慈悲も示さず、笑った顔を見せ続けながら私の足裏の母指球から小指球の膨らみに合わせて曲がった先端を押し当て始める。 ――チョン、チョン……チョン……  母指球の膨らみ、小指球との間にある溝、小指球の膨らみ、足の側面付近に至るまで次々に赤いマニュキュアを塗った爪が降り立っていき、皮膚に沈みこまない程度僅かに触れるような感じで肌の上に乗せ準備を整えていく。 「ぎっ!? うひぃいぃぃっっ!!?」  私はその僅かに触れた爪の先の感触だけでも情けない悲鳴を上げ暴れても無駄だと分かった足を今度は硬直させるようにピンと伸ばし切って刺激に備えた。  皮膚に少し触られているだけなのに、胸の奥がゾワゾワと沸き立つようなムズ痒さを感じてジッとしていられない。  私はそのムズ痒さを払拭しようと頭を左右に振って感覚を鈍らせようと試みるが、足裏にあてられた爪の感触は思いのほか強く意識に上り、否応なしに足裏への刺激へ意識が向いてしまう。 「2か所あるうちの1か所目は……足の裏♥ 足の神経は他のどの場所よりも繊細な刺激に弱いと聞くから、この爪の引っ掻きもさぞかし効いてくれるでしょうね……」  動かずジッと機を伺うように待機している樹脂製の爪たちだけど、時間の経過とともに少しずつ膨らみの皮膚に押し付ける力が強まるのを肌で感じる。  皮膚の表皮を僅かに凹ませるくらいの小さな力でしかないが、足裏に全ての意識が集中してしまっている今の私には例え僅かな力の込め具合でも敏感に察知できてしまう。 この皮膚に沈んだ爪達が……一斉に引っ掻き始めたらと考えると、背中の震えが止まらない。どんな刺激になるのか想像すらできないためただただ動き始めるのが怖くて堪らない。 「だ、だ、だ、だめっ! 動かしちゃ……だめっ!! こんな状態でそれを動かされたら……私――」  恐怖から必死に慈悲を乞う言葉を口から出そうとするが、そんな私の些細な言葉など無視するように福の神の面を付けた女性は物は試しにと言わんばかりに準備していた爪をゆっくり土踏まずの方へ進むように動かし始めた。 ――ズズズズズズ…… 「っッ!!? ぶひゃっっっ!!?」  樹脂製の爪の先端が私の母指球と小指球の膨らみをなぞるように引っ掻き始めた瞬間、ジッとしてなどいられない強烈なむず痒さに襲われ私は思わず顔を天に向けて吹き出してしまう。  女性は私の反応など気にも留めない様子で爪を装着した右手を土踏まずの窪みの手前部分まで滑らせその部位で一旦動きを止めて見せる。 「はひ、はひっっ! や、やめて! お願いっ! それ以上は本当に……」  樹脂製の爪の引っ掻きがいかにこそばゆいかを一瞬のうちに悟らされた私は、それ以上の刺激を拒むように声を上げて必死に慈悲を乞う。  しかしやはり面をつけて表情を見せない女性は私の哀願など聞く耳を持たないといった態度で止めていた爪の動きをすぐさま再開し、いよいよこういう刺激にめっぽう弱い土踏まずへのくすぐりを開始した。 「ハギャアアァァァァァァッッッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!? いぎゃああぁあぁぁぁぁぁぁっっっっ!! そこはやめでぇぇぇへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ!!」  私の弱点はココであろうと当たりを付けたのか、女性の爪は私の土踏まずをとにかく意地悪に責め立てる動きを始める。  人差し指の爪と中指の爪をカリカリッと素早く引っ掻かせて強い刺激を与えてみたり、小指の爪で土踏まずの端をチョイチョイと悪戯するように撫で回してみたり、最も力のこもり易い親指の爪で逆サイドの端をガリガリと強く掻いてみたり、力が入っているのか入っていないのか分からない薬指の爪で土踏まずの窪みの中心で円を描くような動きをさせてくすぐってみたり……  女性の手は土踏まずの部位にとどまり続けこれらのくすぐりを手を変え品を変えランダムに与えてくる。  その刺激がもう……くすぐったくて、くすぐったくて……  私の口からは止めどなく笑いが吐き出され、もう子供だと言われる年齢でもないというのに子供のように口を大きく開いて目には涙まで浮かべながら無様な笑いを垂れ流し続けていった。 「だぁ~~っっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは、ぅわっはははははははははははははははははははは、いひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひ、くすぐったいっひひひひひひひひひひひ、くすぐったいっっひひひひひひひひひひひひひ、いっひひひひひひひひひひひひひひひひひ!!」  まるで足裏の神経を直で触られているかのような鋭いこそばゆさ! 爪の硬い先端でカリカリと土踏まずの皮膚を撫でられると電気刺激を受けているかのような鋭い痛痒さを足裏に覚え、身体は条件反射的に暴れ出したくて仕方が無くなる。  でも、足首をしっかりと拘束されている私は暴れ回ったり抵抗したりといった類の行動が一切取らせてもらえない。  その不自由さを自覚させられると大きなストレスを自分の意識に芽生えさせてしまうのだが、次々に襲い来るこそばゆい刺激の数々に脳が対処しきれず……結局笑う事を余儀なくされてしまうのだ。 「どう? 抵抗できない様に拘束された状態で相手に好き勝手くすぐられる感覚は……馬鹿みたいに笑わされるのはとっても悔しいけど、その笑い……止めたくても止めらんないでしょ?」  私の笑い苦しむ姿を見てニンマリと笑みを浮かべながら店長は何かしら言葉を紡いだように見えるが、私の馬鹿笑いの声があまりにも大きすぎたため彼女の声は私には届かない。 「ぅわっはははっははっんははははははっぇははははははははは、ひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!! ひぃ、ひぃ! 苦しいっ! 笑うの苦しいっっひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ!」  笑いによる吹き出しで肺の中の酸素は無いに等しい程絞り出され、その酸素を補うため息を吸おうと試みるが足裏をくすぐる爪の刺激が私を無理やり笑わせ続け呼気を吸い込む暇すら与えない。  笑いのすぐ後に次の笑いやその次の笑いが押し寄せ、まるで順番待ちをしているかのよう……一つの笑いを吐き出したら間髪入れずに次の笑いが込み上げてくるものだから呼吸をまともにさせてなどもらえない。それが苦しくて苦しくて……  笑いによって引き起こされる腹筋の疲労や横隔膜の過運動も相まって肉体的痛みと呼吸器不全の窒息感を同時に味わうまさに地獄のような体験を味わっている。 「今からそんなに笑っていて大丈夫かしら? これからもっと笑わずにはいられない刺激を与えていくというのに……ねぇ、鬼さん?」  店長がそのように言葉を漏らすと、何かの命令を受け取ったかのように鬼の面を被った女性がコクリと頷き私の左足に向かって樹脂製の爪を構え始める。  ある程度爪を私の足先に近づけると、今度は爪を付けていない左手で私の足の先端を軽い力で押さえつけ私の足指を足の甲側に折り曲げ更なる行動抑制を行う。  こうする事によって私の足指は勿論足裏全体も突き出すように反った状態にさせられ、緊張するように逆エビの格好に反らされた皮膚は僅かな刺激にもくすぐったさを感じてしまう敏感な肌へと変貌を遂げてしまう。 「はひ、あひ、ま、待って! これ以上はムリっ!! 絶対無理ぃぃひひひひひひひひひひひ!! やめさせてっ! お願いだからやめさせてっっ!!」  くすぐったい刺激を出来る限り我慢しながら一所懸命に絞り出した懇願だったのだが、鬼の面を被った女性は私の懇願など聞こえなかったかのように右手の長い爪を私の突き出すように晒された母指球と小指球の皮膚の上に先端を置いていく。  福の神の面の女性も最初はそこに爪を置いてそのまま下へ移動し土踏まずを責めているが……まさか彼女も同じように?  と、窪みの部分を真っ平になるまで反らされた土踏まずに与えられると想像した私は、土踏まずへの刺激の警戒を最大限高めるために気を張ろうとするのだが…… ――コソコソコソ♥  鬼の面を付けた女性のくすぐりは私の想像に反し土踏まずの箇所まで降りてはこなかった。 「ぐひっっっ、ぅひぃぃいぃぃいぃいぃぃぃっっっ!!?」  女性の爪は想像に反して移動を一切行わずその場にとどまって爪先をコチョコチョと動かし始めた。  足の親指の付け根から丘を形成するように膨らんでいる母指球という部位……そして中指から小指の端まで広がる小指球の膨らみ……土踏まずの窪みを形作るために逆に膨らんでいると言っても過言ではない2つの部位を、樹脂製のしなやかである程度硬い爪の先端が小さな動きでカリカリと引っ掻く刺激は土踏まずの引っ掻きに負けず劣らずにむず痒くて……私に悲鳴を上げさせるのに十分の刺激を送り込む。 ――カリカリ……コソコソ……カリカリ……コソコソコソ♥  普段は靴の底に密着して身体全体の体重を頑張って支えてくれている足裏の膨らみ……土踏まずとは違い常に体重を支えるながら地を踏みしめているという箇所であるため、いざこのようなむず痒い刺激が送り込まれれば普段との刺激の違いが顕著に感じられ一層際立ってこそばゆく感じてしまう。  特にこのように爪の先で痒い箇所を引っ掻くように刺激されたら……もう……我慢など出来るはずもなく…… 「ぶぎゃっっっ!! ふぎゃああぁぁっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは、イヒィッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒ、やめで、やめで、やめでぇぇへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ!! そこはダメェェッッへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ!!」  先程よりも強烈に押しあがってきた笑いを一瞬の間を置くことなく吐き出し始め、私は再び大笑いの大渦に溺れさせられることとなった。 「あはっっはははははははははははははははははははは、ひぎゃっっははははははははははははははははははははははははははは、いひぃ、はひっ、かはっっははっははははははははははははははははははははははは!! 足がっっはははははははははははははは、ヤバいっっひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ、あじがくすぐったくでヤバいぃィひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ、うひぃ~~っひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひ!!」  私の尋常ではない笑い悶えを遠目に見つめながらも、面を被った2人の女性は言葉を発さず淡々と私の足裏を引っ掻いて私を笑わす事だけに集中している。  私の苦しみを見て眉の一つでも動かしてくれれば、情に訴えられたという思いが私にも少しでも私に湧いてくるものだが……仮面の下の素顔を見て取れないため、彼女たちが何を思って私をくすぐっているのか想像すらできない。無機質な機械かなにかがくすぐっているかのよう……そう思ってしまうと急に胸の奥が恐ろしさで凍り付いてしまうような錯覚を覚える。  責め側の素顔が見えないというだけで……その恐怖は万倍にも高まる。そして、怖いと思っていても私は笑いを止めることが出来ない。2人のくすぐりが……一切容赦などしてくれないのだから……。 「ブハッッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ、ぐひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ、やはははははははははは!! 足裏ダメっっへへへへへへへへへへへへへへへへ、ホントにダメっっへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ、ヒギャあァハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」  土踏まずも、指の付け根付近のくすぐりも触られ方によっては我慢できなくもない刺激の時もある……しかし、その一見我慢できそうと思わせる刺激は厄介で……その後には必ず決まって私が絶対に笑ってしまう箇所を引っ掻いて私を笑わせにかかる。  我慢できるかも……と思った瞬間の油断を狙い撃つかのような弱点責めは、油断をした分私の笑いを大きく加速させてやまない。笑い疲れて息も絶え絶えになっている私に悲鳴のような笑いを強要し、疲れた体に無理やり鞭を打たせる。それが何度も繰り返される……何度も何度も……  やがて……その責め苦が何十回行われたのか分からないほどに繰り返されると、ようやく店長からストップの指示が下る。  その指示を受けた2人はすぐさま足裏から爪を離し、永遠かとも思われた笑い地獄にようやく一つの区切りが設けられる。 「はぁ、はぁはぁ、はぁ、はぁ、っは、はひ、はひぃ、はひぃ……」  目の前が真っ白になるかのような窒息感……呼吸は乱れに乱れ、涎は垂れ放題、涙は溢れ放題になり咳き込みながら必死に失われた酸素を取り戻すよう荒い呼吸を繰り返す。 笑い続けることがこんなに苦しいとは思いもよらなかった……でも、その苦しみから解放された今は、妙に清々しく……脳への酸素供給が薄かったせいか呼吸でそれを補うと背中が震えるほどの快感さえ味わうことが出来た。 「変な気分でしょ? 笑ってるときは滅茶苦茶苦しいのに……いざその責めが止まると良く分からない快感に包まれていく……このお仕置きを受けたお客様はみんな満足しながら帰っていくんですよ? そしてまた来店してくれる……このお仕置きを受けるために……」  私は頭の奥がゾッと寒気を帯びた。  確かに……彼女の言う“良く分からない快感”とやらを感じたのは確かだ……でも、それを再び味わうためにあの苦しい拷問を受けようとは……思えない。呼吸を著しく制限して窒息感を与えるあの笑わせ責め……あの苦しさは地獄そのものであったのは確かなことだ。  私は至って健全な女子高生……。くすぐられて気持ち良くなる体質でも、苦しさを味わいたいと思うドM体質でもない。  出来れば二度と味わいたくはない……  もう二度と…… 「それじゃあ……お仕置きのフィナーレは私が直接行ってあげましょうね♥」  あの責めはもう受けたくない……そう思っていた私に、店長は非情な言葉を投げかける。 「フィ、フィナーレって……まさかまだ責めるつもりですか! 私の事を……」  仕置きはまだ終わってなどいない……店長はそれを含ませるような返事を頷きで私に返す。 「い、い、い、嫌です! もう嫌ですっっ!! 触ったことは本当に謝りますから、もうこれ以上はやめてください!! これ以上されたら……私おかしくなっちゃいますっ!!」  声を上擦らせ半ば絶叫するかのように拒否の返答を返す私だけど、店長は私の言葉に耳を貸そうとしない。 「フフフ……ダメよ♥ だって……この爪が効果を発揮する2か所のうち……まだ1か所手つかずで残っているんですから……」 「りょ、両足で……2か所って意味じゃなかったの? 左と右で……2か所だったんじゃ……」 「足は左右合わせて1か所扱いに決まってるじゃない♥ そんなの……考えなくても分かるでしょ?」 「わ、分かるわけがないでしょ!! そんな良く分からない勝手なルール……」 「フフ……貴女の拘束をもう一度見てみたらすぐに理解できるでしょう? こんな格好をさせられて……まだ触られていない大事な箇所が残っているのだから……」 「まだ……触られていない……箇所??」 「そう。そこは足の裏なんかより何倍もこそばく感じるはずよ~♪ だって……こういう刺激にめっぽう弱いんですもの……」 「足の裏よりもって……まさか!」  そこまで言われ嫌な予感が走った私はふと自分の上半身に視線を向ける。  巻かれたベルトによって壁に押し付けられるように拘束された腹部……。  太っている訳でもなく痩せすぎている訳でもない私の腰は窪むようにくびれ、肋骨も骨が浮き出るように皮膚の表皮にその形を滲ませている……  裸にされた私はコンプレックスでもあるその小ぶりな胸を隠すことなく衆人の目に晒していて、恥ずかしげもなくその丘と呼ぶに等しい胸の頂上には薄っすらピンク掛かった乳頭が2粒備わっている。  17歳の女子がそのような恥ずかしい恰好を強いられたなら反射的にでもその控えめな物を隠そうと手を伸ばすであろうが、今はそれが出来ない。  そう……拘束されているから……。  手を……頭の上……いっぱいに万歳の格好を強いられ…… その手が下せない様に……その手で抵抗できない様に……しっかりと。  万歳の格好を強いられている自分の姿を改めて見た時、彼女の言わんとすることが痛い程に伝わった。  あんな爪にソコを引っ掻かれれば、笑い狂わされることは間違いない。  ただでさえ触られれば暴れたくなるほどくすぐったさを感じる箇所……  考えるだけでおぞましい……抵抗できず好き勝手くすぐられると考えただけでなお一層おぞましく感じるその場所……  弱点を晒すように拘束された足裏と対となるその場所は…… 「まさか、ワキ? 私のワキをくすぐるつもりですか? その爪で!!」  店長はテーブルの上に置かれたくすぐり用の爪を静かに装着しニヤリと笑って見せた。  2人の従業員とは違い、左右に1つずつ……両手にその爪を装着し私の脚を跨いで目の前に立つ……  洋画のホラーに出てくる化け物みたいに……爪をカチャカチャと蠢かせて見せながら……。


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