(試し読み)オペレーションブルーアルカディア♯3-4
Added 2020-12-02 11:54:56 +0000 UTC4:タイムリミット 美波 「くはぁ~っっはははははははははははははははははははははははははは、やだぁ♥ すっごいぃぃひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ、堪らないわぁっっははははははははははははははははははははははは……」 美波を取り囲んでいた数百ものくすぐりハンド達は開始の合図を受けるや否や彼女の淫猥な身体を埋め尽くすかのように群がり、それぞれが独立した動きで指を動かして彼女を責め立て始める。 特殊な形状を取ってある椅子に腕は限界まで天に向けて伸ばし切った万歳の格好で……足は足底部が床に付かないよう椅子脚の途中で足首を拘束され足指の1本さえも動かせないよう完全に拘束した状態……そんな無防備極まりない格好を強いられた美波の身体に機械仕掛けの手は一切の慈悲や許しを与えることなく淡々とくすぐり回していく。 美波 「あっはっっははははっははははははははははははははははは、わ、わ、笑いが止められないっっひひひひひひひひひひ! 体中がこそばくて笑いが止められないわぁぁはははははははははははははははははははは、んひぃぃっっひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ!!」 鎖骨から伸びた筋と胸の付け根から伸びる筋……そして肩の側部の張りの良い筋が相まって大人の色香を醸し出す美波のワキの窪み……そんな堀の深い腋窩の中心のみならず片側に近い腋側部の筋も鎖骨側に近い胸筋から伸びた筋も、腋窩の下側も上側も……ワキと呼ばれる部位全てに手が這うように人の手より少し小さなマジックハンドが群がり彼女の笑いが途切れないよう執拗にこそばゆい刺激を与え続けて責め立てる。 千沙 「どうだ? 自分が作った変態マシンに責められる今の気持ちは……」 美波 「あはっっははははははははははははははははは、ゲホッ、ゲホッ! す、すごく……良いわっっはははははははははははっははははははははははは、想像以上の出来栄えじゃないぃひひひひひひひひひひひひひひひひひひ! 信者を沢山実験材料にして開発しただけの事はあるわぁっっはははははははははははははははは、うひぃ~っひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひ、んあぁっぁっははははははははっは、く、苦ひぃ♥」 千沙 「おいおい……責められながら悦ぶ奴があるか! 涎が垂れまくっているぞ? この変態っ!」 美波 「あは~っははははははははははははははははははははははは!! 言わなかったけ? 私ってばこう見えてもドMちゃんなのよっっほほほほほほほほほほほほほほほほ! 自分が開発した機械に責められるなんて背徳的なシチュエーション、燃えないわけがないじゃないっっひひひひひひひひひひひひひひ、ヒギャアァァッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ、足やめでっっ! 足ヤバイっっひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ!!」 美波を責め立てるマジックハンドは弱点であるワキだけを責めている訳ではない。細く華奢な首のラインや豊満な美乳……スタイルの良さを象徴するかのように深くくびれた腰や脇腹……腹は勿論、臍の周りからその中に至るまで、触られればくすぐったいと少しでも感じる箇所ならばすべてを網羅するかのように機械の手が配置されている。 そんな中でも、足裏を責めているマジックハンドは執拗さを極めていた。 足指ごとに掛けられたワイヤーが足指の関節を引っ張り足指のみならず足裏全体を反らさせるよう拘束している。ただでさえ触られればこそばゆさを敏感に感じる足裏であるのに、まるで機械の軍団に無防備を差し出すかのように拘束された足裏をくすぐられればどんなに刺激に鈍感な人間であってもたちまちにそのこそばゆさに屈服を強いられる。 手1つ……いや指1本に撫でられただけでも飛び跳ねて笑い悶えてしまう刺激なのだが、美波をくすぐっている機械の手は指1本などという甘い責めを彼女に強いてはいない。 足裏を責める機械の手は他の部位を責めている手よりも更に一回り小さい。手は生まれたての赤子のように小さく指の形状も子供の小指程度の細さしかないかなり華奢なデザインを施されている。しかしその小さな手は足裏を責めるのに極めて合理的にデザインされていて、細かい箇所を複数の手が小さな動きで責めるのには都合が良い。体躯が小さいお陰で他の手と干渉しにくく、他の部位と比べて“数”で責め立てることが出来る。 脇腹や脇の下を責めるのとは違い足裏を責めるのに力は必要ない……優しく撫でる力と時々引っ掻く刺激を与えられれば十分なのである。 そのような足裏用に作られた小さなマジックハンド達は晒すように拘束された美波の足裏に数で圧倒遷都するように多量に群がっている。 足裏の中でも最も刺激に弱い土踏まずの皮膚にはその中心から円を描くように手が綺麗に配置され、中心以外の円周をモジョモジョとこそぐって耐え難い刺激を美波に送っている。かといって中心部分を触らないかと言えばそうではなく、土踏まずの中心の上空に待機した1本の手が、周りをくすぐられ敏感になったタイミングを見計らって接地しガリガリと強烈に引っ掻く刺激を加える瞬間がある。その刺激たるや雷が直撃したかのように体中へ痺れに似たむず痒さを走らせ、背筋が凍り尽くすかのような寒気とこそばゆさの拒否反応を示してしまう程。 このような責めを受ければ誰でも足を逃がしたくて仕方が無くなるのは至極当然の事だが、美波が足を動かしてその攻撃から逃げるというようなことは決してできず、身体が拒否するほどのこそばゆい刺激に晒されているにもかかわらずその足を逃がすどころか指の1本すらも動かせない状態を強いられている。 だから彼女は笑う事しかできない。例え笑い過ぎて腹が捩れて痛んでいたとしても胸の奥から込み上げてきてしまう生理的な本能には逆らえず嫌でも笑ってしまう。本人が笑いを望もうと望まないとも…… 美波 「がはっっはははははははははははははははは、いひゃああぁぁぁぁっっはははははははははははははははははははははははははは、ちょ、ちょっと待ってぇっへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ、や、や、やっぱり苦しすぎるぅふふふふふふふふふふふふふふ、一旦止めてっっへへへへへへへへへへへへへへ、少し止めてぇぇへへへへへへへへへへへへへへへへへ、んははははははははははははははははははははははははは!!」 足裏の急所である土踏まずを徹底的に責めている印象を与えるこのくすぐり椅子のマシンだが、足裏の中でこそばゆさを感じる部位はそこだけではない。例えば足の指の付け根だったりその下の母指球や小指球の膨らんだ部分……足の甲やカカト、足指の股部分など敏感な箇所は多い。 そういった“土踏まずには及ばなくてもこそばさを少しでも感じる”という箇所もマシンは抜かりなく複数のマジックハンドを向かわせ責め立てている。 カカトには爪を立てた手が片足につき4本……カカトと土踏まずの境目に1本とカカトの中心から見て左右両端に1本ずつ……そしてカカトの中心に1本とカカトというマイナーな部位だけでも4本の手を使うという徹底ぶり。 責め方も肌の固さを鑑みて刺激をどこよりも強く与えようと、指の爪にあたる箇所でガリガリと強く引っ掻いて耐え難いこそばゆさを彼女に送り込んでいる。 足指に至ってはそれぞれの指に専属で1本の手が担当して責めを行い、磔にされた指の横サイドや指の頭や内関節の敏感な箇所などを順々にくすぐって刺激に慣れさせないようこそばして回っている。 千沙 「止めて欲しいか? だったらまずはあのPCに仕組まれた仕掛けを教えてもらおうか……時間内にログインできなければどうなるんだ?」 美波 「かはっっはははははははははははははははははは、ぎひぃっっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひ、うへひぃひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ、だ、だれが教えるかっっはははははははははははははははははははははは、それは私の切り札みたいなものよ! 絶対に教えてあげないっっひひひひひひひひひひひひひひひひひ!!」 千沙 「切り札? 成程……この状況を打開できる仕掛けが施されているって事だな? だったらなおの事IDとパスワードを教えてもらわないと困るな……」 美波 「きひっっひひひひひひひひひひ、っはぁーーっははははははははははははははははははははははははははは、私から聞き出せなければ貴女達はお仕舞よっ! 今から震えて時間が経つのを待っていると良いわ! くはっぅははははははははははははははははははは、うはははははははは、ひひゃああぁっっはははははははははははははははははははははは!!」 千沙 「そうか……もっと苦しませて欲しいという事だな? 流石は真性のマゾといったところか……良いだろう、それじゃあこの“時短モード”というのを開始してやろうか……」 時短モード……その言葉を聞いて美波の顔が一瞬にして青ざめる。 美波 「ま、ま、待ちなさいっっ! そ、そのモードは……本当にヤバいやつだから押さないでっっ!!」 笑う事を忘れたかのように慌てた口調で千沙の煽りに真剣な視線を向けて制止の言葉を放つ美波。しかし千沙はその生死の言葉に耳を貸そうとはせず試しにと言わんばかりにその“時短モード”とやらに指を乗せて準備開始の指示をマシンに与えた。 その瞬間、まるで時が止まったかのように全てのマシンが止まり一瞬の静寂を作り出す。 美波 「はぁはぁはぁ、そ、そのモードは処刑をより早めるための最強のモードよ! それを開始されたら……もう喋る事はおろか呼吸だって一切させて貰えない……」 そう美波が言いかけた時、機械の椅子はゴゴゴゴゴという地の底から怪物が這い出るかのような轟音を放ち始め、それに合わせて一旦皮膚の表皮から僅かに離れて待機モードになっていたマジックハンド達が眠りから覚まさせるが如く指を動かし始める。 その動きは先程までの比ではないスピード……まるで早送りをしているかのような素早い動きで指をくねらせるマジックハンド達に美波の顔は凍り付いたかのように固まり冷や汗だけを頬に垂れさせ始める。 千沙 「なるほど……例え処刑を行うにしてもゆっくり時間をかけて苦しむ様子を見るのがお前は好きだもんな。この椅子の元々の設定も苦しみが長引くよう調整して最初は作ったんだろうな……ドSなお前らしい……」 美波 「そ、そうよ! 私は拷問であれ処刑であれ笑い苦しんでいる姿を長く見ていたいと思っているからこそ、あえて緩やかに果てるように設計をしていたの! でも実際の現場に導入されれば時間も楽しむ余裕すらもないタイミングは必ずあるから……その時の為に用意したのがその時短モードで、普段はそのモードは隠しコマンドにしてあるはずよ! それをなんで見つけちゃうのよっ!」 千沙 「あぁ……それはお前が目を覚ます前に岬がこの端末を弄ってて見つけてくれたんだ……」 美波 「み、岬ちゃんがっ!?」 千沙 「うちには機械に強いハッカーが2人もいるんでね……罠が張ってないか調べるついでに見つけてもらったんだ」 美波 「ぅくっっ!! くぅぅぅ!!」 千沙 「さぁ、後は開始のボタンを押せばその時短とやらが始まるようだが……どうだ? IDとパスワードを言う気になったか?」 美波 「……くっ……」 千沙 「言う気がないんだったら———」 美波 「……もし……」 千沙 「うん?」 美波 「もし、岬ちゃんが1文字でも違う文字を打ち込んでログインを試みようとしたら……」 千沙 「……したら?」 美波 「この船は沈むことになるわ……」 千沙 「なんだと?」 美波 「このブルーアルカディア号の船底にはこの船を沈めるのに造作もない程の爆薬を仕込んである」 千沙 「爆薬……?」 美波 「その爆薬の起爆装置とそのPCは繋がっているわ。だから1文字でも違う文字を入力してログインすれば……ドカン! よ……」 千沙 「……この船を沈めるだけの爆薬が存在すると? 船底に?」 美波 「そう。私を今すぐ解放して正しいログインを行わなければ……この船もろとも私も貴女達も海の藻屑よ」 千沙 「それは……嘘だな。お前のような自分勝手な犯罪者が自分を犠牲にしてまで研究のデータを守るとは思えん……それほどの価値がこの玩具にあるとも思えんしな……」 美波 「フフ……。私達が航海しながらプロモーションを続けてきたこの“痛みを伴わない拷問器具”は今や世界規模で注目されている一大プロジェクトなのよ」 千沙 「世界……規模?」 美波 「拷問が違法だと騒がれている今の情勢で、証拠を残さずかつ効果的に口を割らせる手段として“くすぐり”が見直されている……」 千沙 「ばかな……そんな馬鹿な話があるわけが……」 美波 「現に……千沙ちゃんだって屈服したじゃない♥ さっき……」 千沙 「い、いや……それは……」 美波 「そういう実証実験を様々な国で行って成果を上げ続けてきた私が作り上げたマシンだから、そういう分野を生業にする裏の組織やら富豪さんやら政府の要人に至るまで関心を持ってくれて今日の船内パーティにも来てくれた……」 千沙 「………………」 美波 「このパーティを開かなくても、請け負ったオーダーは2000を超えているわ。この数字だけでも……私には数百億という拷問マネーが転がり込んでくる……」 千沙 「数百億……だと?」 美波 「このパーティで貴女達をおびき出し、捕まえ……マシンに興味を持っている要人たちにリアル拷問ショーを見せてあげてさらに幅広く購買意欲を煽ってやろうと目論んだけど……」 千沙 「その目論見は外れたようだな……」 美波 「えぇ……。恐らくさっきの放送が流れた時点でパーティはお開きになっちゃったでしょうね……」 千沙 「それがさっきの話とどう繋がる? 別にパーティが“おじゃんになる予定”だからやけを起こして船を沈めるつもりだったなんて考えてたわけじゃあるまい?」 美波 「元々この船は沈める予定だったのよ」 千沙 「なに?」 美波 「ほら……私ってば以前の事件のせいで警察さんからお尋ね者にされているじゃない?」 千沙 「以前の事件とは……ラフレシアコーポレーションの……あの事件か?」 美波 「そう。にっくきスニーカーズに会社と研究成果を潰され……更には警察にも目を付けられるようになった私は海の外に逃げるよりほか選択肢はなかった……」 千沙 「……………………」 美波 「幸い……以前から世界を股にかけて商売を行うつもりでいたし、研究所も船の中に移し替える途中の出来事だったから案外スムーズに逃げ出すことは出来たわ……」 千沙 「3年間……海の上を漂っていたんだな……。世界中を巡って……」 美波 「そう。ほとんどを海の上で生活するっていうのは……それこそ拷問のような日々だったわ……。海の上だから常に揺れてるし落ち着かないし解放感もない……ただただ研究に没頭する事くらいしかやる事は無かったわ……」 千沙 「豪華客船とはいえ3年間も同じ環境だとそうもなるな……」 美波 「もうこんな生活はやめにしたかった……だから、船は爆破する事にしたの」 千沙 「……なぜそうなる?」 美波 「犯罪者の私が日本の領海内で研究披露パーティをやっているという事をわざと警察に知らせて、その真偽を確かめに来る貴女達(スニーカーズ)もろとも海の底に船を沈めれば……私は死んだことになる」 千沙 「なるほど……死んだことになれば警察の追手も伸びる事が無くなるから動きやすくなる……そう踏んでいたのか……」 美波 「そうよ。その為に研究資料から研究機器のほとんどをこの船に残したまま沈む予定にしていた……」 千沙 「研究機材がもぬけの殻だと後で怪しまれるからと踏んでの事か? 狡猾だな……」 美波 「それでも、生産したほとんどの機器は訪れた先々の貸倉庫に保管してあるし、データだってコピーは取ってある。この船に載っている機器やデータはもはや不要になったモノばかりなのよ。だから沈めても全く痛くはない……」 千沙 「用意周到もここまでやられると神経質なのかと疑いたくなるものだな……」 美波 「船は最初から捨てるつもりで考えていたし、今日から名前を変えて第二の人生が始まる予定だったの。まさか捕まるなんて思ってもみなかったけどね……」 千沙 「……船を爆破すれば死体はバラバラになるだろうし、海の底に沈めば引き上げるのも困難を極める……。だから船を出航させてパーティを開いたのか……簡単に足がつかないようにするために……」 美波 「フフフ……完璧な計画を練ったつもりだったんだけどね……貴女達の力を過小評価さえせずにもっと慎重に立ち回ってさえいれば……」 千沙 「お前はいつだって人を過小評価し過ぎる癖があるよな? 信者だった人を人間扱いせず実験材料にするのが当たり前だったし、前のラフレシアでの一件も我々を甘く見たお前の油断が崩壊を招いたし……自分の母親の事もお前は見下していただろう? “おかしな宗教で金儲けする守銭奴だ”とか言ってたもんな……陰で……」 美波 「あら……知ってたの? そうよ、私は母とは違う! あんな口八丁な綺麗ごとを並び立てて信者からお金を毟り取る事を良しとしていた母を誇りになんて思えるはずがない!」 千沙 「母親に内緒で信者を引き込んで拷問の研究をしていたお前の方が立派だとでも言いたいのか?」 美波 「私は拷問をビジネスにした! ビジネスで得たお金は口八丁で得たお金とは違うわ! 努力もしたし、何度も苦い思いもした……。それこそ血の滲む思いで作り上げた私のビジネスは口達者だけが取り柄だった母と比べるべくもなく上等なはずよ!」 千沙 「フン……犯罪に上等もなにも無いと思うがな……」 美波 「今に世界が私を求めるはずよ! このマシンを利用した軍需だって生まれる……下手をすれば外交ビジネスにだって手が伸びる可能性だってある。貴女達は“たかが拷問”だと思っているでしょうけど……このビジネスの需要は未だ底が見えないほどに深くて広いのよ」 千沙 「…………………………」 美波 「ねぇ、千沙ちゃん?」 千沙 「……なんだ?」 美波 「もう一度私とやり直さない? って言ったら……頭を縦に振ってくれるかしら?」 千沙 「私が今更頭を縦に振ると思うか? 振るなら横だ……」 美波 「もったいない……。私についてくれば必ず億万長者の仲間入りになれるっていうのに……」 千沙 「億万長者に憧れはするが、それになるために倫理観やら道徳観やらを捨てるつもりはない……」 美波 「もう……相変わらずの堅物ね……。いいわ、だったら解放だけしてくれない? 私の事……」 千沙 「はぁ? 解放? 寝ぼけるな!」 美波 「このままだと私も貴女も、貴女の仲間も海の底に沈んじゃうわ……それは貴女だって望んでは無いでしょう?」 千沙 「あぁ、当たり前だ!」 美波 「だったら……取引しましょう?」 千沙 「取引?」 美波 「私の拘束を解いてくれたら、IDとパスワードを入力してすぐに爆破の起爆を止めてあげるわ。その後貴女達が大人しくこの船を去ってくれれば私は何も危害を加えない……貴女達を追う事も干渉する事もしないと誓うわ……」 千沙 「無事に逃がすって事か? 我々を……」 美波 「そう。このまま全滅して海の底に墓を建てるよりましでしょ?」 千沙 「………………」 美波 「ほら、考える事なんて一つもないはずよ? その機械を止めて……早く私を解放しなさい。さもないと私達と一緒にあの世行きになるわよ?」 千沙 「……岬。あと何分残っている?」 岬 「んえ? あ、あぁ……丁度今……15分を切ったところだ……」 千沙 「そうか……じゃあ———」 美波 「…………??」 千沙 「15分の我慢比べといこうか……」 美波 「は、はぁ??」 千沙 「この最強のモードを15分お前が耐え抜くか……それともそれを待たずしてお前が果ててしまうか……それか、素直にIDとパスワードを吐いて監獄生活で余生を暮らすか……お前が選べばいい」 美波 「なっっ!? は、話を聞いていなかったの? 私を解放すれば死なずに済むのよ?」 千沙 「お前はさっき言ったよな? 自分を死んだことするために船を沈めるって……」 美波 「えぇ……そのつもりよ……」 千沙 「だったら、我々は絶対に生きてはこの船から出さないつもりだろう?」 美波 「っッ!?」 千沙 「我々が逃げるまで爆破を待ってあげるなんて言ってはいたが、我々が生きていればお前が生きていることを知る人間が4人も生き残る事になってしまう……。そんなリスク……狡猾なお前が許すはずがない! どうせ、解放されたと同時に何かしらの対抗策を取るつもりだったんだろう?」 美波 「……………………」 千沙 「だからこの15分間は私とお前との我慢比べだ……本当の事を喋ったらこのマシンを止めて連れ出してやる。刑務所までな……」 美波 「1文字でも間違って入力してログインすれば……すぐに起爆するのよ? 私が嘘を話せば……貴女達は万に一つも脱出できない」 千沙 「だったら拘束されているお前は100%溺死する事になるな……。大事な商談がこれからもあるお前にそんな自殺めいたことをするとも思えん……」 美波 「私は言わないわよ! 解放されるまで……絶対に!!」 千沙 「だから……我慢比べさ……。お前の命が燃え尽きるのが先か、お前の気力が萎えるのが先か……それとも私の覚悟が挫けるのが先か……」 美波 「さ、さっきも言ったけど……私が喋らなければ……仲間もろとも海の藻屑なのよ? スニーカーズの命を預かってる“リーダー”がそんな命を粗末にするような決断をしていいわけ?」 千沙 「あぁ……そうだった。お前にも岬にも言っていなかったっけ……」 美波 「……??」 千沙 「私のリーダーの権限は今……」 千沙 「皐月に譲ってあるんだ……」 美波 「……は、はぁ??」 千沙 「だから……今スニーカーズのリーダーは私じゃない。湊 皐月がリーダーなんだよ……」 美波 「そ、そんな事っっ! あるわけがっ!!?」 千沙 「この船に乗り込む際に譲ってきたんだよ。肩書きがあると邪魔になると思ったからな……」 美波 「っっ!!」 千沙 「だから……私の判断は、私のごく自分勝手な判断になると……心得ておいた方が良い……」 美波 「………ぅう………」 千沙 「私はこの我慢比べに……命を賭す覚悟があるのだからな」 美波 「……くっっ!?」 千沙 「さぁ、始めようじゃないか。私とお前との最後の戦いだ……存分に楽しんでくれ……」 美波 「ま、待ちなさいっっ! ちょっと待っっ!!」 千沙 「まぁ、私は負ける気はないのだがな……」 ――カチッ!