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オペレーション・ブルーアルカディア♯3-①

1:立場逆転 ――洋上航海中の豪華客船 ブルーアルカディア号の中央区画メインホール 23時45分。  先程までは沢山の招待客で賑わっていたブルーアルカディア号のメインホールも、その喧騒が嘘であったかのように今は静かに静まり返っていた。 茜 「んっ……んん……」  怪しげな拷問ベッドを操作し、笑いの責め苦を徹底的に与え、あまつさえその被験者を処刑しようと企んでいた神崎茜は突如現れたスニーカーズのオペレーターに襲撃され意識を失っていた。 茜 「……ん? これ……は?」  そして目を覚ました彼女が最初に見たものは、ベッドの被験者であった朝咲舞華が見ていた風景……やたらと高い天井とやたら眩しいスポットライトの明かりだった。 舞華 「……やっとお目覚めね? 神崎茜さんとやら……」  煌々と光を照らすスポットライトの光を遮るように身を乗り出した一人の女性は、茜を覗き込みながら低い威圧的な声をかける。しかし茜の目には光が逆光になりその影しか見えず、声をかけたのが誰なのかすぐには分からなかった。 皐月 「電撃銃の電圧……もう少し下げた方が良かったですかね?」  覗き込んだ女性とは違うもう一人の小柄な体躯の女性。彼女がそう言いながら覗き込むと、最初に声をかけた女性はクスッと笑って「別にいいわよ、遠慮しなくて」と無慈悲な返答を彼女に返した。 茜 「これは……どうなって……んくっ!?」  2人の女性から覗き込まれ不快感を感じた茜は、すぐさま寝姿勢から立ち上がろうとベッドらしきマットから身体を起こそうとする。  しかし……。 ――ガチャッ!  起こそうとした上半身は、腕の手首付近の抵抗感によりその動きを抑制される。  まるで万歳しているかのように両手を上げさせられた格好で寝ていた茜は、その手首に革の枷がはまっていて上半身の自由を奪っている事をその感触で悟る。  そして上半身に続けて下半身も……。 ――ガチャガチャッ!!  こちらも肩幅に開かされた脚が動かせなくなっている。足を動かすたびに足首の方から聞こえる鎖の擦れる音……手首を拘束している革枷と同じ感触が足首にも感じ始める。 茜 「くっ……私とした事が……。捕まってしまいましたのね?」  この身動きが取れない状況……。これは端的に自分が捕縛されている事を明確に表している。  寝起きにこのような事実が付きつけられ取り乱したい気持ちは十分にあったが、茜はその捕えた人物に弱みを見せてはならぬと冷静な言葉を選び気丈な態度を彼女達に見せる。 舞華 「良い格好ね……。どう? 逆に捕まってみた気分は……」  “良い格好”と言われ、改めて自分の身に付けている物に意識を集中してみると茜はハッとさせられる。  膝まで丈のあった白衣は脱がされ、上半身はインナーに着用していた黒いタンクトップシャツのみ。下半身はショートパンツ姿のまま脱がされてはいないようだが、足先は僅かな風の揺らぎも感じてしまう程感覚が鋭敏になっている為ハイヒールもタイツも脱がされた裸足の格好にされているのが感覚で分かる。  その露出された部位を頭で理解すると、途端に茜は焦りの汗を額に浮かべ始める。  この格好は後に自分を襲う刺激を暗に示しているのだから……。この拘束ベッドの機能を使おうとしているのが分かってしまったから……。 茜 「ふ、フン! 涼しくて……案外快適ですわ♥ たまには裸足になってみるのも……良いですわね……」  自分が裸足にされている事を実際に目では確認していないが、この肌に直接触れる風の感覚で悟った事を2人の女性に告げる。少しの強がりも絡ませ、自分はまだまだ余裕だと示すような口調で……。 皐月 「アハ♪ 快適なんですって。舞華さん、これはイジメ甲斐がありそうですね♥」  小柄な女性は可愛らしい声で笑い、もう一人の女性を舞華と呼んだ。これにより、分かり切っていた事ではあるが覗き込んでいた女性が朝咲舞華であり小柄な女性が自分を襲った奏皐月である事が分かる。  つい先程まで拷問にかけていたスニーカーズの2人が目の前で自分を覗き込み、優位の立場にいたはずの自分が逆に捕えられ拘束されている。茜にとってはこの状況は途方もなく屈辱的であり悔やんでも悔やみきれない。  まさか罠を仕掛けていた自分が逆に罠に掛かって捕まるなんて思ってもみなかった。もう少し慎重に瑞樹でも警備にあたらせておくべきだった……。 茜 「そう言えば……瑞樹ちゃんはどうなったのかしら?」  自分の近くに置いていた倖塚瑞樹。度重なる洗脳行為によって自分の言いなりになるよう仕立て上げた彼女の姿が見えない。っと言っても、首の可動域にも限界がある為ホールの様子が完全には把握できず見つけきれないだけではあるのだが……。 舞華 「あら? 自分の心配じゃなくて良いワケ? 随分余裕ね……」  未だ逆光に当てられている為彼女の表情は見て取れないが、明らかに自分の事を見下して笑っているというのが声の調子で分かってしまう。圧倒的に優位な立場にいる彼女が見せる余裕の態度に、茜の苛立ちと焦りも内心では高まっていた。 皐月 「瑞樹さんなら部屋の隅でまだ意識を失ったままですよ? 勿論……後ろ手に拘束させて貰ってますけどね……」  茜の質問は舞華から答えは得られなかったが、優しい性格の皐月によって答えがもたらされた。しかし、彼女が助けを期待した瑞樹は意識を失ったままという状態と、後ろ手に拘束されているという役に立ちそうにない格好である事が知らされ茜は改めて絶望の色を濃くしていく。 舞華 「なんだか顔が青ざめてるように見えるけど……どうかしたのかしらぁ? 神崎茜さぁ~ん?」  焦りが顔に現れている事を見逃さなかった舞華は、いやらしく口元をニヤつかせワザとらしく甘い声で名前を呼ぶ。  その勝ち誇った声にますます不快感を露わにした茜は、自分の焦る顔を見られまいとプイッと顔を横に傾け不機嫌な口調で言葉を返す。 茜 「どうもしてませんわ。光加減でそう見えただけじゃないんですの? フン!」  口を尖らせ強がってみせる茜であるが素足の足裏に僅かな風が当たる度にゾワッとした寒気を感じ、それがこれからの事を想像させてしまい焦りが増していく。   舞華 「ふぅ~ん、あっそ。まぁどうでも良いんだけどね、どんだけ強がっても私達の聞きたい事には答えて貰うんだから……。あんた達の作ったこの変態セクハラマシンに自ら嬲られながらね……」  素直じゃない答えを返す茜の態度に増々いやらしく口元をニヤつかせる舞華は、横を向いた彼女にも見えるようタッチ式のコンパクトな操作機器を掲げてそれを見せつけた。 茜 「うくっ! そ、それは……」  その操作機器が視界に入った瞬間、茜の顔色は更に曇りが強まっていく。それもそのハズ、その機器は先程まで彼女自身が操作していたパッドなのだから、それが操作されればどのようになるかは彼女が良く知っている。それが先程まで責められる側であったはずの舞華の手にあるのだから、これから自分に何が行われるのかは火を見るより明らかだ。 舞華 「さぁ、時間もないし答えて貰おうかしら? 柳津美波の居場所を……」  曇り掛かった顔が更に暗みを増した茜の顔を眺めながら舞華はペロリと舌で自らの唇を舐めて見せ、改めてニヤリと笑って見せる。  その得意気な顔を横目に見て茜は再び不快感をあらわにした表情を浮かべ“喋るものか!”という意思を見せるか様に「フン!」と不機嫌そうな声を出して目を瞑った。 舞華 「今喋れば少しのお仕置きで済ませてあげてもいいわよ? この“30分モード”ってやつだけで許してあげる♥」  完全に横を向き切った茜の耳に舞華はソッと唇を近づけ、囁く様に交換条件を加える。最後にフッと細い息が耳奥に送り込まれ、敏感な神経をゾクッとさせる気持ちの悪い寒気を感じた茜は慌てて耳を塞ごうと手を動かそうとするが、枷がその動きを封じてしまい手が降ろせない。その降ろせない手に改めて自分の不自由さを噛みしめてしまった茜は、いいように弄ばれている悔しさに歯を噛みしめギリリと聞こえる音をたてながら怒りの表情を濃くしていく。 舞華 「言わないっていうんなら、この“処刑モード”を延々と続けるわよ? 喋るまで……」  舞華のタッチパネルには『尋問30分モード』という項目の下に『処刑モード』というオドロオドロしいフォントで書かれたスタートボタンが存在する。  そのモードは少しの時間であるが舞華も体験させられていたのでその辛さは彼女が一番分かっている。恐らく、開発だけを行って自分は体感した事の無いであろう開発者の茜本人よりも……。 皐月 「舞華さん? しょけーモードって……何です??」  舞華の持つタッチパネルを横から覗き込んで興味深げに首を横に傾けながら聞く皐月……彼女もまたそのモードについてはほとんど知らない。 舞華 「これね……。すっっっっごく苦しいモードなの! 私がやられてたの見てたでしょ? あんたが助けてくれなければ後5分だって生きてはいなかったかもしれないわ……」 皐月 「へぇ~~。そう言えば舞華さん……笑い顔がヤバかったですもんね。今にも死にそうでした……」 舞華 「こいつにそれを受けさせられたのよ! ホントに死ぬかと思ったんだから……」 皐月 「ふ~~ん。でもそれならお返し出来て一石二鳥ですね♥ 自分で受けさせればどんなに苦しいか分かってもらえるでしょうし……二度とこんなのを作らないように改心させられるかもですよ♪」 舞華 「それはどうだか……。美波の片腕なんだし、反省なんてしないわよ……多分……」 皐月 「反省するまで痛めつけてあげればいいんです♥ 徹・底・的・に♥」 舞華 「あんた……たまに怖い事言うわよね? 可愛い顔してかなりのドSだわ……」 皐月 「えぇ~~? そんな事ありませんよぉ~~見た通りの性格ですってばぁ~。やだなぁ~舞華さんは……ウフフ♥」  舞華 「よく言うわ……」  無人ドローンに捕まり、舞華と同じく責め苦を受けた皐月も美波や茜には恨みを募らせていた。  その恨みをこれから晴らせるのだと思うと無性にウズウズと胸奥が疼いてくる。  処刑モードというのが茜をどのように苦しめてくれるのかと……勝手に妄想してしまう。 皐月 「それで? 茜さんはお喋りしてくれるんですか? 美波さんの居場所……」  皐月は……別に白状することを期待してこの言葉を口にしたわけではない。  どちらかといえばとぼけて欲しいとさえ思っている。このマシンに責められる哀れな悪玉の姿を見てみたいと思ってしまっているのだから……。  拘束され自由を奪われた茜に選択の余地などありはしない。素直に白状するのが自分にとっての最適解だと理解もしている。でも、あの美波を裏切るという行為は万死に値する事もよく理解している。マシンの苦しみを直接体感したことはない茜にとって未知の責め苦よりも確実な制裁が加えられるハズの美波の方がまだ怖い。自分の作った機械よりも、裏切った事を知った瞬間の美波の顔を想像する方が遥かに恐ろしい……。  だから茜は横を向いたまま皐月の問い掛けに返事を返さない。  その無返事こそが舞華達の望んだ答えだと分かっていても……。 舞華 「返事が無いって事はこの機械ベッドを起動しちゃって良いって意味よね? 本当にいいのよね?」  舞華は念のために確認を取る。  喋る事に微塵も期待は寄せていない癖にワザとらしく真顔で……。 皐月 「舞華さん。いいから始めちゃいましょうよ♥ その処刑モードってやつ♥」  真顔で確認する舞華に対して、マシンが動き出すのを見るのが待ちきれないと言わんばかりにウキウキした表情を見せる皐月。早く動かしてくださいと言わんばかりに舞華を忙し立てる。 舞華 「う~~ん、でも折角捕まえたんだし……じっくり責めてみたいって気もあるのよねぇ~~」  そんな皐月に向かってニヤリと口角を上げる舞華は、責めモード選択の画面を指で下にスライドさせ“焦らしモード”と書かれた項目まで戻って見せる。  その項目を見た皐月も舞華と同じようにニヤリと笑い小声で「良いですね♥」と口から零してその責めモードを選ぼうとしている彼女に同意の返事をしてみせた。  パッドの画面が見れない茜は処刑モードという未知の刺激がいつ襲ってきても良いようにと、いつも朗らかな笑みを浮かべている口元をキュッと引き締め額に緊張の汗を滲ませながらも唇を噛んで刺激されるであろう箇所に意識を集中する。 舞華 「それじゃあ、あんたにはたっぷり笑って貰おうかしら♥ 私達にヤった分の復讐も兼ねて……ね?」  舞華は我慢しようとする茜の緊張した顔を見てクスリと笑いを零すと、ゆっくりと人差し指を操作パネルのボタンに乗せ優しくスイッチをオンに切り替える。  すると、茜の寝かされているベッドから期待通りの駆動音が鳴り始めた。 ――ウィィィィィィーーーン!! ゴウンゴウンゴウンゴウン!   選んだモードの名称からは想像もつかない程の轟音が鳴り響き、茜は「いよいよ来たか」と唇を痛い程に噛みしめる。  意地でも我慢して見せると何度も心の中で唱えながらその瞬間を待つ。 ――ガチャ! ガチャガチャ!! ウィィィィィィン!! ガチャガチャガチャガチャ!!  先程舞華を責め抜いたマジックハンド達がベッドの下から次々に這い出して来る。それに伴って細い金属製の関節部分がクネクネとうねり、機械特有の重厚感のある人工的な音を発し始める。   舞華 「さぁ、たっぷり味わってちょうだいね? あんたが自分で作ったこの変態マシンの責め苦を……」  機械の手は白い手袋をつけていて見た目には人間の手のようにも見える。その手がベッドの上でバンザイして寝かされている茜の無防備な身体を捕えると、まるで意思を持っているかのように指をコチョコチョとくねらせ始める。  その動きはとてもいやらしく……これから送られる刺激を容易に想像させられる。  この指達が自分にどんな責め苦を与えるのか……それが分かっているから尚更身体中がむず痒くて堪らなく感じる。  自分で作ったマシンに自分が責められるなんて想像も出来ていなかった。  このいやらしい動きをする指達が、これから自分の身体を這い回って我慢ならない刺激を送りつけてくる。  その苦しさたるや……想像もつかない。  被験者の苦しむ顔は何度見たか覚えていないけれど、常に安全な場所でその顔を見ていた茜には本当の苦しさなんて理解は出来ていない。ただただ滑稽に笑い苦しむ被害者を上からの目線で見下ろしていただけなのだから。 ――ピッ!  舞華がタッチパネルの“開始”のボタンを軽くタップすると、その命令を受け取った事を知らせる電子音が1度だけ鳴る。  そしてその信号を受け取った各アーム達は一斉に茜の無防備な身体へと近づき始める。 茜 「んっっ――――」  ついに始まってしまう! そう悟った茜は更に唇を噛み、なるべく機械の手達のいやらしい動きを見ないようにと目を固く瞑る。自分が作り出したこの“強制笑わせマシン”などに負けてはならない……ましてや先程までイジメられる側だった2人に無様に笑いを見せて屈服するなど計り知れない屈辱だ。だから笑ってはいけない! 絶対に…… ――サワッ……  最初の刺激が茜を襲う。  隠せないように晒された彼女の大きな足裏に、機械の指1本が僅かに触れそれが上から下にツツツっと撫で降ろす優しい刺激が加えられた。  茜はその刺激にビクリと身体をビクつかせ、突然襲ってきたむず痒さに思わず身体を起こそうとしてしまう。  しかし拘束された身体を起こす事は勿論、触られた足を動かす事も逃がす事も当然出来ない。頭では分かっていたけれど やはりこの刺激には反射的に逃げてしまおうと身体が反応してしまう。意識していても……していなくても。 茜 「むぐっふっっ! んくぅぅぅ!!」  足裏への刺激を皮切りに身体中に散っていた機械仕掛けの手は次々に茜の無防備に晒されている敏感な箇所を触り始めた。  タンクトップの袖から伸びている、滑る様に美しい茜の見事なワキ。少し裾の捲れたそのシャツから見え隠れしているくびれた脇腹……。白衣を着ていたため見る事の出来なかったモデル並みに細くてすらっと伸びた脚、太腿……。  そして舞華達よりも少しサイズの大きい裸足の足裏。  それら、触られれば“こそばゆく”感じてしまう箇所へ機械の手達は次々に群がり、指先で上下にゆっくり触ったり……小さな円を描く様になぞったり……触るか触らないかのフェザーなタッチで焦らしたり……様々な動きで彼女をくすぐり始めた。 茜 「んくぅぅぅぅっっ!? くぅぅぅぅっっふ!! んっ、んんっっ、んんんんっっっ!!!」」  全身を襲うゾワゾワっとした不快感が茜の笑いたい衝動を容赦なく刺激する。むず痒いけれど掻けないジレンマの如く、この意地の悪い刺激から逃げる事の出来ない身体が恨めしくもあり苦痛でならない。 舞華 「ムフフ♥ どうしたの? 随分辛そうな顔してるけど? もしかして……どこかくすぐったかったりするのかしら? 自分の作った機械達に責められて……」  顔を横に振って必死にむず痒い刺激から意識を外そうと試みる茜に、舞華は目を細めていやらしく言葉を掛ける。  その言葉に憎まれ口の1つも返してやりたかったのだが、込み上げてくる笑いを必死に我慢しようとしている彼女には口を僅かに開くことさえも許されていなかった。  息が漏れた瞬間、今の我慢が全て吹き出してしまって……そのまま笑ってしまいそうだったから……。 皐月 「うわぁ~見ているだけでとってもくすぐったそう♥ 動きがいやらしいんですよねぇ~~特に足の裏を触ってる指とか……」 舞華 「あら? 皐月ってば足裏が好きなの? さっきからずっと見てるけど……」 皐月 「ち、違いますよぉ!! 別に好きとかじゃないですっ!! ただ……私も足裏が特に弱いから、茜さんのおっきな足がくすぐられているのを見てると……なんだか変な気分になってきちゃうんです……」  舞華 「……変な気分?」 皐月 「な、なんか……もし触られているのが自分の足裏だったら……とか勝手に妄想しちゃって……」 舞華 「あんた……もしかして、くすぐられたくなった訳? 責められ過ぎて……」 皐月 「ち、ち、ち、違いますよぉぉ!! 何言ってるんですかぁ!! 私は変態じゃないんですよっ!! 責められたいなんて……そんな……」 舞華 「ムフフ♥ 私で良ければいつでもイジメてあげるわよ? こんな風に縛ってあんたの足裏を延々とこしょぐってあげましょうか? 気が済むまで……」 皐月 「(ゾクッ♥)ば、ば、馬鹿な事言わないでください!! 私はどっちかと言うとくすぐられるより……くすぐる方が好きなんですから……」 舞華 「あぁ……そう言えばあんたはドSだったもんね? そりゃそっかぁ~」 皐月 「だ、だから!! ドSとかも違いますから! 普通です、ふ・つ・う!!」 舞華 「はぁ~い、はい♥ 分かった分かった~~」 皐月 「むぅぅぅぅ!! 分かっていませんよね? 絶対……」  自分が必死に責め苦を耐え抜こうと頑張っているのに、ベッドの上では微笑ましい会話がやり取りされているこのギャップ……茜はその緊張感の無い2人に怒りの感情を覚える。  真面目にやれ! と一喝してやりたい所なのだが、怒れば笑ってしまうという矛盾した結果を生む事は自分でも分かっていた。だから、口を開くのを諦め怒りの感情を抑えながら身体中から送られてくる笑いの衝動を抑えるべく意識をそちらに向ける。  感情さえも自由に出せないこの拷問に、茜はまだ始まったばかりだと言うのに既に“辛い”という言葉が頭を過り始めていた。  笑いたい時に笑って怒りたいときに怒りの感情を出す……その当たり前がさせてもらえない……我慢させられているこの状況は、奔放に生きた茜にとって苦痛以外の何ものでもなかった。  思いっきり笑いたいけれど屈服するのは絶対に嫌! 好き勝手に振る舞う2人に怒声を浴びせたいけれど安易に口を開くわけにはいかない……。ムズムズ刺激するくすぐったい指達から逃げたいけれど拘束されているから逃げられない……。  何ひとつ自由は許されていない。束縛される事が何より嫌いな茜にとってこの身体も精神も自由にならないこの拷問は苦痛しかない。  まさか自分がコッチの側になることが有るなんて……。今まで支配する側だった彼女はこの支配される側に立場が逆転している事が悔しくてならない。  補足される側の舞華や皐月に下衆い目で見下ろされながら責め立てられる現実が来るなんて……思いもしなかったし望みもしなかった。  ただただ悔しい! あの時勝ちを確信し拷問の方にうつつを抜かしていた自分を思い返すと悔やんでも悔やみきれない。  警戒しておくべきだった……。  奏皐月が自分よりもハッキング技術が上であるという事実を受け入れるべきだった……。  高慢にも自分の技術力の方が上だと勝手に決めつけなければよかった……。  そうであったなら、この救出劇は防げたはずだったのだから。  用心棒として残しておいた瑞樹の催眠を“警戒モード”にしておくだけで良かった……。  1対1であれば彼女の合気道で皐月は倒せていたはずだったのだから……。 茜 「くっっふっっ!? ふっっ……ふっっっぐっっっ!!!」  足の裏を複数のアームがモジョモジョと触りまわる嫌悪感と、ワキから脇腹にかけてのラインを指先だけで撫でられる不快感……それらが、どうしようもない笑意を腹の底から喉元へと運び込んでくる。それを吐き出さないように口を閉じておくのが苦痛でならない。笑いたいのを笑わないように我慢するという行為がこれほど苦しいものだとは……人生の中で初めて知った感覚だった。 皐月 「あれぇ~? 舞華さん……この程度のくすぐりで茜さん、もう笑いそうですよ? お口がピクピクしちゃって笑いの形になっちゃってます……」 舞華 「う~ん、“焦らしモード”で始めたからそんなに強く刺激しないと思うんだけど……思いのほかこういう刺激に弱かったんあじゃないかしら? 彼女……」 皐月 「かなり辛そうですもんね……笑うのを必死に我慢してるって感じで……」 舞華 「自分はくすぐりに弱いくせに、他人をくすぐりで責め立てる機械を作るのには積極的だったって事よね? ほんとたわけた悪党だわ……」 皐月 「そんなたわけた悪党さんには……お仕置きが必要ですよね?」 舞華 「ん? お仕置き? なぁ~に? 皐月ってば……悪い顔しちゃって……」 皐月 「えへへ♥ 来る途中の倉庫にこんなのを発見しちゃいましてね♥」 舞華 「あ、鳥の羽根? そんなものこの船に乗せていたの? この悪党たちは……」 皐月 「えぇ……。袋にはTickling featherって書いてありましたので……これも拷問用に売るつもりだったんだと思いますけど……」 舞華 「くすぐり拷問用の羽根か……。確かに毛先が細くて……こそばそうね……」 皐月 「これを使って……どっちが先に彼女を笑わせられるか勝負しません?」 舞華 「おっ、良いわねそれ! 面白そうじゃない♪」 皐月 「じゃあ、負けた方は罰ゲームとしてこの羽根で10分間足の裏コチョコチョの刑っていうのはどうです?」 舞華 「……何よ……やっぱりあんた……くすぐりをするのもされるのも好きになっちゃったんじゃない……。これじゃあ私が一方的に不利なだけよ……」 皐月 「そ、そんなことありませんよぉ! 私だってくすぐりは受けたくなんてないんですぅ! 今はこれしかヤってないから、そういう罰ゲームしか思いつけなかっただけで別に他のを考えようと思えば……」 舞華 「ふ~ん、まぁいいわ……私が勝てばいいだけの話だしね? どんな罰ゲームであれど……」 皐月 「フフフ……私だって負けませんよぉ~~」  2人の影を帯びた企み顔が顔を青ざめさせながら刺激を我慢する茜の顔に向けられる。  捕虜の尋問・拷問用に自分たちが開発した鳥の羽根の形をした拷問具を手に持ち……含み笑いをいやらしく零しながら……。

Comments

ようやく完成いたしました。長きに渡ってお待たせしてしまって申し訳ありませんでした。最後までお楽しみくださいましm(_ _)m

ハルカナ

待ってました!更新ありがとうございます!

ガリタル


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