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ハルカナ
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オペレーション・ブルーアルカディア♯3-⑱

18:数日後……  あのような大規模なミッションが繰り広げられ……辛くも全員脱出を果たしたスニーカーズの面々は報償とは別にしばしの休暇が特別に与えられ、それぞれがそれぞれの休日を謳歌していた。  舞華はミッションの後すぐに病院へ運び込まれ、診てもらう医者を卒倒させかねない数の骨折の数をレントゲンに写し取られ即日入院、数か月の絶対安静&外出等一切禁止を言い渡され毎日面会に来る仲間たちに文句を垂れまくる生活を送っていた……の、だが…… 看護師 「せ、先生! またあの患者が脱走しましたっっ!!」 先生 「ま、またかっっ? えぇい、今度逃げ出したら拘束衣を着させて監禁すると言っておったのにっっ!!」  看護師 「いえ……それは前回でしたので……今回は拘束衣を着させていました……」 先生 「なっっ!? じゃ、じゃあどうやって逃亡を??」 看護師 「ベッドの脇に変な形に曲げられたヘアピンが二本落ちていたので……それでカギを開けたのではないかと……」 先生 「むきぃぃぃ!! もう許さんぞ! 今度は指一本たりとも動かせないようベッドに磔にしてやるっっ!」 看護師 「ちなみに……ベッドの横には置き手紙がありまして……」 先生 「なに?」 看護師 「“退屈だから家に帰るわね、バイバ~イ♪”と書いてありますが……」 先生 「い、家に帰るだと? あれだけ複雑骨折して要安静だと言い聞かせたのにっっ!! 今度怪我して診てくれと言われても診療拒否してやるんだからなっ!!」  と、言った具合で全治3か月の入院予定を勝手に3日に繰り上げて脱走した舞華は、次の日から平気な顔をしてスニーカーズ併設のジムに顔を出し何食わぬ顔で筋トレを行い始めるのだった。  千沙はこの騒動の後、スニーカーズの重役やら警察への情報提供などに時間を割かれ折角の休暇もほとんど仕事をするという社畜ぶりを発揮してしまう。 警察幹部 「で? 肝心の柳津美波は取り逃がしってしまったと?」 千沙 「いえ、取り逃がしたとは言っていません。正確には生死不明になった……という事だけです」 警察幹部 「だが逃げ出す為の潜水艇があると言っていたのだろう? だったら実質逃がしてしまったと捉えるのが筋ではないか?」 千沙 「お言葉ですが……柳津美波の確保は二次任務であったはずです。確保できれば報酬を追加で付与すると言われたに過ぎません! 取り逃がしたというよりはスニーカーズの脱出を優先した……と訂正して頂きたい!」 警察幹部 「それは君が逃げ出したかっただけではないのかね? 身の危険が迫ったから敢えて美波が逃亡するのを止めなかった……もしくは“わざと逃がした”と捉えられても文句は言えんぞ?」 千沙 「あの状況で彼女を追うのは危険だと判断したから追わなかったのです。もしも追っていればスニーカーズの複数人が脱出に間に合わなかったでしょう……」 警察幹部 「それでも……君は追うべきだった。彼女を捕まえておくべきだったんだ……」 千沙 「なぜです? 任務を受けた時は彼女の生死は問わないと仰っていたではありませんか!」 警察幹部 「君は……今の柳津美波の脅威レベルを知っているかね?」 千沙 「脅威……レベル?」 警察幹部 「君たちが押収した実験のデータが入った記録を解析したところ……彼女は実に120を超える国に依頼を受けているという事が分かった」 千沙 「……120……?」 警察幹部 「どういうコネでそのような大規模なネットワークを張ったのかは分からんが、彼女の研究に興味を持った裏社会の要人たちは今回の研究発表会に複数顔を出していたみたいじゃないか……」 千沙 「えぇ……リストは奪えませんでしたが、大小様々な企業の要人が集まっていたようで……」 警察幹部 「その中には、今まさに内乱が起きている国の幹部やら……戦争状態にある国の要人たちが混じっていたと聞く……」 千沙 「それは……初耳ですね……」 警察幹部 「こちらにも……こちらの情報網がある。現場に行った君達だけが全て知っていると思わない事だ……」 千沙 「…………………………」 警察幹部 「まぁ、それはいいとして……。柳津美波の脅威は今や世界レベルだ……日本の小企業に拷問機材を配っていた昔の彼女ではない。それを鑑みて……上は彼女の脅威レベルを2から一気に4に引き上げた」 千沙 「……4? それは……何段階の4ですか?」 警察幹部 「5段階の……4だ。つまりは連続殺人犯と同じレベルの脅威だと思ってもらって結構だ……」 千沙 「そ、そんなに……あいつが脅威だとお考えで?」 警察幹部 「彼女の脅威は……その研究成果云々だけではない……」 千沙 「…………?」 警察幹部 「彼女の持つネットワーク……それが脅威を高めている……」 千沙 「ネットワーク?」 警察幹部 「彼女のパーティに“鳴かない鼠”の幹部が紛れていたという情報が入っていてな……」 千沙 「鳴かない鼠? って……あの“火種屋”の?」 警察幹部 「そうだ……。情勢が不安定な国や地域に出向き……人々を扇動して紛争や革命……果ては戦争までも引き起こして回る危険極まりない秘密結社だ……日本での通称は“鳴かない鼠”と呼んでいるが……君も知っているだろう?」 千沙 「あいつらは……故意に争いを起こして、その当事者たちに武器屋情報を売って荒稼ぎする下衆集団だ……。確か……奴らは腕に“口を縫われた鼠”の入れ墨を彫っていると聞きますが……」 警察幹部 「そう、普段は決して表舞台に現れず地下の底でコソコソと動き回るが故“鼠”とだけ呼称される事もあるが……そんな用心深い彼らが、リスクを冒してでも彼女の発表会へ訪れた……それが何を意味するか……今ならわかるだろう?」 千沙 「紛争を引き起こす火種を欲してあの発表会に顔を出した……そう捉えるべきでしょうね? 警察幹部 「あぁ……」 千沙 「……その情報が確かであれば……驚異のレベルが上がるのも頷けます」 警察幹部 「そうであるからこそ、今回の取り逃しは致命的だ。捕まえる事も出来たのにそれを見逃がしたのだからな……」 千沙 「任務が始まる前にその情報が分かっていれば……計画を変えていたかもしれなかったのに……そもそもその情報はどこから入った情報ですか? 信頼のおける情報筋からなんでしょうね?」 警察幹部 「あの船に非公認の君たちだけを向かわせたと……本当に思っているのか?」 千沙 「な、なんですって?」 警察幹部 「我々だって情報を得るために動いていたさ……」 千沙 「警察からも……潜入させていたんですか? あの船に……」 警察幹部 「あぁ……。だから情報は確かだ……」 千沙 『くそ! 結局うちは全然信用してもらえなかったという事か……』 警察幹部 「さて、この取り逃しの問題……。どう片を付ける?」 千沙 「どうつけると言われましても! 結局美波の件は後付けでしょう? 全て終わった後にそのように詰められても我々にはどうする事も出来ません!」 警察幹部 「確保は任務だった……お前たちはその任務を放棄した……そうだろう?」 千沙 「二次任務を主任務にすり替えないでいただきたい! 我々はあくまで主任務を達成するために……」 警察幹部 「……そういう事にしておいた方が身の為だぞ? 取り逃しはしたが……君たちには別途……特別な報酬を払おうとは思っているのだから……」 千沙 「と、特別な……報酬??」 警察幹部 「そうだ。君たちが取り逃がしたという事実を認めさえすれば……その報酬を渡し、次の“依頼”も授けようと思っている」 千沙 『……そうか。成程……。結局……警察から出した人間も美波を捕らえることが出来なかったのだから、その責任の所在を我々に押し付けたがっているという事か……非公式の組織が失敗したという事にすれば警察のメンツも保たれると……』 警察幹部 「どうだね? 認めるかね?」 千沙 「……………………」 警察幹部 「認めた方が……後の為には良いと思うがね? 依頼は殆どがうちから出しているだろう?」 千沙 「(フゥ……)1つ、伺っても構いませんか?」 警察幹部 「なんだね?」 千沙 「特別報酬とは別に……依頼を出すと仰られていましたが……その依頼とは、どういう内容なんです?」 警察幹部 「あぁ……それは追って書面で送る。だが、君たちには相応しい任務になると考えているぞ?」 千沙 「相応しい……?」 警察幹部 「1つは柳津美波の足取りを追う事……見つけ次第生死問わずで身柄を確保。そしてもう一つは……」 千沙 「もう一つ……は?」 警察幹部 「日本に潜伏している“鳴かない鼠”のアジトへ潜入し……彼らの世界中の支社を暴く事だ」 千沙 「っっ!?」


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