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ハルカナ
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(ぴゅあスマ2)#39

#39  直接手でくすぐれば……機械の手ではなく人間の意志でくすぐるのであれば反応も違ってくるはず!  あなたは反応の良かった部位を責めるという安全策を取らず、あえて反応が微妙であった脇腹をくすぐる選択を下した。  羽根の刺激に頭を下げ笑いを我慢するような仕草を取ってはいたが……あの仕草が演技でないという保証はどこにもない。下を向きながらも脳内では舌を出してあなたをあざ笑っていた可能性だってある。そうじゃないかもしれないし……そうかもしれない……。真実がどうなのか分からないから、あなたは敢えてココを選んだのである……自分で直接くすぐってみて真実を確かめるために……。  あなたは恵理の正面より少し横に寄り添うように立ち、向かい合わせになって手を胸の前に構える。  恵理はその様子を気に留める様子もなくジッと片方の目であなたの目を見つめていた。  その突き刺さるような視線に迫力負けしてしまいそうになり顔を背けたくなるが、あなたは我慢して踏みとどまり両手をワキワキさせながら恵理の両脇腹へ近づけさせていく。  あなたの手が脇腹に触れる直前……恵理の口元から「フッ」という呼気の漏れる声が一つ聞こえた。  手の動きを見てくすぐったい想像をしてしまって吹き出したのか? と、希望的観測を脳内で浮かべてしまうが……頭の中ではもう一つ最悪の予感も同時に浮かび上がってきていた。 ――余裕があり過ぎて思わず零してしまった声ではないだろうか?  そのように考えたくはない。責める前からそのような態度を取れては攻め手の沽券にもかかわってくる!  あなたは過った嫌な予感を払拭するように顔を2~3回横に振って気を紛らわし、改めて恵理の顔を正面に見据えた。  恵理の顔は……先程の澄ましたような無表情顔ではない。僅かに口角を上げわざわざ笑顔を作り、顔も斜め上を向けあなたを上から見下すような体裁を取っている。明らかにあなたを挑発している……まるで“脇腹”の部位を選んだのは愚策だと言わんばかりに……  あなたはその顔を見て腹の下から熱い何かが込み上げてくるのを感じた。怒り……悔しさ……それに類似した何か……。  そして頭にもその熱い何かが巡った時、あなたの手先に力が込められ始める。本当は優しく愛撫して楽し気に笑わせてやろうと思っていたが、その考えは恵理の顔を見て吹っ飛んで行ってしまった。  自信が有るのなら……意地でも笑わせて見せる! 笑わないつもりでいるのなら……後悔するまで笑わせて見せる!  あなたの想いの熱量はその指に宿り、恵理の脇腹への刺激へと昇華される。 ――コチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョ!  決して優しさなど見せない、脇腹の肉が躍る様に激しいくすぐり……あなたは初手にそのくすぐりを彼女に施した。  脇腹の敏感な皮膚をそのように搔き乱され、笑わない筈がない、と思っての責めだったが…… 「ふっっ……んっ……く……ふっっ……」  恵理は枷の許す範囲まで上半身を曲げ、上げていた顔を下げ笑いを堪え始める。  想定していた反応とは大いに差はあるが、少なくとも笑いを堪える仕草を取っている所を見るに全く効いていないと判断は出来ない。案外このくすぐり方で正解だったのかも……とあなたは内なるテンションを高めていく。 ――コチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョ……コチョコチョコチョコチョコチョコチョ…… 「ぷっっ! くっっ……ふっ……くくっ! んく……っっふ……」 ――コチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョ…… 「んんんっっ!! んぐふっ! ぷふっ……んぷぷぷ……んぐぅぅ!!」 ――コチョコチョ~? こちょこちょ……こちょこちょっ♥ コチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョ! 「くふぅぅぅぅっっふっ!! んくっっっ!! ん゛ん゛~~~~っっ!! んっ、んっ、んんっっっ!!」 ――こぉ~ちょ、こちょ♥ コチョコチョ、こちょこちょ♥ コショコショコショ……こちょこちょっ♥ 「んむぅぅぅぅっっふ!!? むぅ! んむぅぅっ!! んぐっっっ……んぷっ! ぅんんんん゛ん゛っっ!!」  脇腹を揉み込んだかと思えば、次の瞬間には手を逆手に替えてモジョモジョと脇腹の表皮を指先で掠らせてみたり……また横腹の肉を摘まむように二本の指でモミモミと揉み解したかと思えば……今度は順手のままで脇腹の少し上の部分をコショコショっと素早く爪の先でこそぐったり……様々なテクニックを駆使して恵理を笑わせようとくすぐってみるが、恵理は反応こそ大袈裟にしたり見せるが笑いを吹き出すという段階までは行かず、顔を下に向けたまま肩を震わせてあなたのくすぐりにジッと耐え忍んでいる。    これが効くだろうと予測して披露したバリエーション豊かなくすぐりだったが、恵理の我慢強さが尋常でないのか……それとも、そもそもこの部位の耐性が高すぎるのか……どうしても恵理を笑わせるところまで運べない。  あれやこれやと試しているうちに与えられた時間も少なくなっていき、ますますあなたは焦りの色を濃くさせる。  そして……焦れば焦る程にくすぐり方が雑で強引な動きを見せ始め、下を向いて笑うのを我慢していた恵理もあなたの焦り顔を見ようとするように顔を上げる程にくすぐったさとはかけ離れた刺激を彼女に送ってしまっていた。  口は開かないが、閉じた口の端の方を少しだけ開いてあなたに聞こえるように嘲笑の籠った笑いを一つ零す。あなたが上げさせたかった笑いはそのような彼女自身の意志で零せるような余裕ある笑いでは決してなかった……。もっと息を吸うのも困難になるような……支配力と強制力のある笑いを上げさせたかった……。  しかし、恵理はすでに勝利を確信したかのような顔つきであなたを見ている……。その顔が示すように、それ以降あなたがどんなに工夫を凝らしたくすぐりを行おうが、彼女はピクリとも反応せずただただあなたの焦る姿を興味深げに見ているだけとなった……。  あなたは悔しさを滲ませながらも、時間が来るまではと言わんとするように脇腹へのくすぐりを続行する。それがもう無駄な責めになっていると気付きながらも……恵理の柔らかな脇腹を触ること自体に至福を得たあなたはそこから手が離せない……。この触り心地抜群の脇腹をいつまでも揉みしだいていたい……そのように感じながら、とうとう彼女に声一つ上げさせないままに終了の時間を迎えてしまった。  結果は勿論惨敗……。やはり恵理にとって脇腹という部位はくすぐりの効かない特別な箇所なのだろう……悔しいかなあなたは完全に選択をミスしてしまった事を認めざるを得ない。  思えば脇腹に触れる直前に上げた恵理の吹き出すような声……あれはやはり余裕から来る息の零れであったのかもしれない。まぁそれを聞いたところで、脇腹を選んでしまっていたあなたには選び直す権利はなかったのだが……それを分かっていたからこそ恵理はあの時「愚かな場所を選んだわ」と心の中で思ってあの息を吐いたのだろう。悔しいが完敗である。  「なに落ち込んでんのよ! そんな顔しなくてもあんたはよくやったわ!」  肩を落としプレイの終わりに落胆しきっていたあなたに鈴菜の声があなたの耳に入れられる。 「私達も、あんたが来る前に恵理の脇腹くすぐって見てたんだけど……下を向いて肩を震わせて我慢させるには至らなかったわ。それほどあの子は脇腹に強かったのよ? でもあんたはもう一歩の所まで追い込んでた! 後半のあの雑さが無ければもう少し追い込めいたかもしれなかったわ……それは勿体ない限りよ!」  鈴菜の言葉に被せるように美咲も言葉を挟む。 「えぇ、私も気になって顔を下から覗いてみたんですけど……恵理ちゃんは下を向きながらも涙目で唇を震わせながら歯を食いしばって笑いそうになるのを必死に我慢していたんですよ♥ もう少し……あと一押しが有れば笑わせることが出来たんです」  笑う寸前までは追い込むことが出来ていた? とてもそうは思えなかったが…… 「恵理ってば演技派だからあんたに余裕ある仕草を見せて苦しいのを胡麻化していたのよ……あんたを焦らせるためにね……」  ……それが本当なら……見事にそれに引っ掛かってしまったという事になるが……いや、しかし……あの余裕ある態度が演技であるというのは女優並みの演技スキルを持っていると言っても過言ではない。完全に小馬鹿にするような態度で挑発していたのだから……それに焦らされない人間などいないと思う。  あと一押しだった……? では何が足りなかったのか? なにか笑いの起爆剤になるような責め方があったのだろうか? 「今回の尋問は、残念ながら彼女の勝ちという事で日を改めてまた最初から行うつもりですが……チーフ? もし次、彼女を責めるのでしたら……チェックの順番にも気を配ってみてくださいね? 彼女は人に見せないだけで案外“笑い上戸”なんです♥ チェックの段階で笑わせることが出来れば……その後の展開も有利に運んでくれるはずですので」  美咲の耳打ちにあなたは恵理の意外な真実を知る。あぁ見えて……笑い上戸なのだと……いつもクールな無表情をキめている彼女が実は笑い上戸であったのだと……  彼女が腹を抱えて笑い転げる姿はとても想像できないが、そういう一面も彼女にはあるのだろう。そしてその情報は次に彼女と対峙する場面で有益に働くだろう。  あなたは勝ち誇った目で見つめる彼女に“次こそは笑わせて見せる”と決意を込めた視線を返し、袖を引っ張ってこっちを向くようにと無言で訴える鈴菜の方を振り返った。 「ほら、分かったんだった……部屋を出るわよ? こっちへ来なさい……」  手を引かれ部屋のドアの方へと誘導してくれた鈴菜はあなたが部屋を出る間際に、小さく折り畳んだ1枚の紙を無理やり握らせ小声で「店を出てから読みなさい」と告げた。  あなたはその忠告通り店を出るまで紙は開かず、美咲が手を振って退店を見送る中後ろを振り返ると同時にその紙をゆっくり開いて中に書いてあった伝文を確認した。  紙には走り書きの様な汚い字で…… “恵理は足の裏をくすぐられる事に弱いらしいわよ? でも弱いくせに他人の足裏をくすぐるのも大好きだったりするの。しかもそのくすぐりはねちっこくてくすぐり方も上手いわ……。パートナーとして選ぶんだったらそういう相性も考慮に入れて配置させると良いかもね……”  という内容の文章が書き綴ってあった。字の感じや文の描き方から察するに書いたのは鈴菜だろうと想像はつくが、書いてあった内容は彼女のぶっきらぼうな性格からは考えにくい程分かり易く丁寧なヒントだった。  恵理は足の裏が弱い……という有益な情報と同時に彼女を“パートナー”にする時も足裏を狙わせた方が良いという値千金な情報……。これは美咲のみならず書いた本人である鈴菜にも有効であろう事は明白である。  だとするなら、次にプレイをしにいく時にこれも参考に入れて責めを考えなくてはならないだろう……  あなたは、プレイが前半で終わってがっかりするより先に次のプレイの事で頭がいっぱいになった。  次は恵理にしても美咲にしても鈴菜にしても必ず笑わせてみせる……と暮れる陽に向かい柄にもなく誓いを立てつつも、あなたは帰路へとつくのであった。 『恵理ルート失敗③……【焦ったが為に恵理を笑わせられなかった】エンド……完』  別の日で改めて再プレイ→#1へ


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