『こうそく』違反 - 違反者の末路
Added 2023-07-14 15:00:00 +0000 UTCこの作品は『園田 美緒の視点』(https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19956595)のアフターストーリーになります。
また『浅倉 文香の視点』(https://macaroon.fanbox.cc/posts/6006226)も併せて読んでおくと、作品の世界観がわかりやすいです。
※今作中には『◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎』となった園田 美緒の発言はありません。
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【回想】
とある学校に "少し変わった" 校則が存在した。
『学校生活において、その身の一部を "拘束する" こと』
その校則を違反した者(以下、拘束違反者)は特別指導の対象となる。
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「……抵抗の意思も無さそうだし……指導内容を言い渡す…学籍番号 2210833 園田 美緒(そのだ みお)。これより2日間、 "懲罰室で" 謹慎処分とするっ!」
あの日、園田 美緒は拘束違反者となった。
初回ということもあり、 "学校での" 謹慎処分で済んだのだが……もし指導を拒否したなら……初回ではなかったなら……さらなる特別指導及び、懲戒処分を下されたはずだ。
教師はあの時『良くて停学か退学、最悪の場合は『◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎』も考えてもらわないといけなくなるが……』と確かに言っていた。
最悪の場合の『◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎』とは何であろうか……それが "違反者の末路" であり、園田 美緒の "不明だった動機" であるのだが果たして……。
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特別指導では全身を拘束され、その間は自分の意思では何も行えないため、生徒会がその世話役として充てられる。
この時に世話役を担ったのは、今年度の生徒会長である浅倉 文香(あさくら ふみか)だった。
特別指導最終日の放課後、文香が慣れた手つきで食事を与え、それと同じくらい慣れた様子で美緒は食事を摂っていた。
文香にとっては何度目かの世話役ではあったが、初めて特別指導を受ける美緒が同程度慣れているのは……おそらく『私と "同じだ" 』と文香は結論をつけていた。
生徒会長には "卒業記念品になる" という使命があり、 "生徒会長の像として" 学校に寄贈される。
文香は最後に、残りの指導時間を『 "楽しむ" ように』と言い残して懲罰室を去った。
美緒の表情は見えなかったが、核心に迫った文香の言葉にドキッとしたのは言うまでもないだろう。
【違反者の末路】
あれから2度、3度と拘束違反を犯した美緒は、ついに自主退学をすすめられた。
自主退学はその言葉の通り、自らが主体的に…つまり自分で進んで退学をするという意味である。
しかし『自主』とあるが基本的には半ば『強制』であり、自主退学を選ばない場合は学校側から退学を言い渡されるのだ。
では、なぜ自主退学という制度があるのかと言うと、自主という形になるだけで後々色々と融通が効くというか……とは言え、退学には変わりはない。
そんな後の無い美緒に、もうひとつの選択肢が提示された。
『残りの在籍期間を『学校の備品』として過ごすこと』
これがその選択肢だ。
備品になると籍を移され、特別なカリキュラムを受ける。
以前の学籍番号は破棄され、新たな番号を与えられる。
新たな番号は出席番号を兼ねるが、そのクラスは学校に一つだけしか存在しない上に、学年という概念も無い。
そのため、開校以来の通し番号で管理されている。
また、籍の移った先の『クラス」呼ばれるものは形式的にそう呼ばれているに過ぎず、実際に教室があったり決まったクラスメイトと授業を受けたりはしない。
それが備品についての大まかな説明であった。
説明が終わると転籍に伴う誓約書を差し出された。
誓約書
△△ 高等学校長 殿
私は △△ 高等学校の生徒として以下の項目に従うことを誓います。
1 卒業までの残りの在籍日数を本校の備品として過ごす。
2 本校の備品である期間は、人としての権利の全てを放棄する。
3 備品としての態度及び思想を学び、本校の不利益にならないよう努める。
4 備品として、本校の教育活動に協力する。
5 以降は、管理番号 - No.146 備品名『園田 美緒』として扱われる。
6 正当な理由なく、この誓約書を破棄することは出来ない。
2023 年 7 月 15 日
学籍番号 2210833
氏名 園田 美緒
この日、人間『園田 美緒』はその権利の一切を失い、△△ 高等学校の備品となった。
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備品は、何者かである必要はない。
そのため、個人の要素を奪うために全頭マスクを被る。
目は口ほどに物を言うとはいえ、口ももちろん物を言うのでそれらを同時に封じる方法として、呼吸用の鼻の穴のみが開いたマスクを用いるのだ。
そうは言っても、備品として管理は必要なのでマスクの首元を留める首輪に、元の学生証とNo.の書かれたタグをつける。
学生証は、不要となった学籍番号の部分にパンチで穴を空けて再利用される。
その他の拘束は、胸と股の貞操帯に手枷と足枷。
手は後ろ手に手錠され、足にも同じような鎖で繋がれた簡易的な枷が付けられる。
後ろ手のため自らに身体をいじることはそもそも出来ないが、胸と股の貞操帯は自慰を禁止するためのものではなく、他者からの危害を防ぐためもので本来の使い方とも言えた。
あくまで "学校の" 備品であるため、このような安全管理がされている。
自由意志での行動は制限されているものの、謹慎処分の時のような重度の拘束がされていないのは、備品の持つ様々な用途によるものだ。
……さて、その様々な用途を見ていくとしよう。
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少し変わった校則を持つ △△ 高等学校は私立の学校だ。
私立学校では、公立学校と違って生徒数がその収入に直結してくる。
補助金もあるのは確かだが、結局は生徒ないしはその保護者が支払う学費に頼らなければ経営は出来ないのだ。
しかし少子化と貧困も相まって、そもそも少ない子どもがお金のかかる私立学校に進学するにはそれなりの理由が必要で、多くの私立学校は生徒集めに苦労しているのが現状である。
そこで △△ 高等学校では、地域貢献と地域の中学校とのパイプを繋げることを目的として、備品を貸し出していた。
備品は主に保健体育の授業で用いられる。
授業中は教師の目があるので、備品に危害を加えられたり悪戯をされたりすることはない。
そのため、胸と股の貞操帯は外される。
百聞は一見にしかずという言葉があるように、教科書のイラストや映像だけよりも、実際に見て "触れられる" のでは得られるものに違いがある。
さらに、この授業ではゴムを使用した性行為を体験するのだ。
性に正しい知識を持つということはもちろん良いことだし、保護者からの評判もいい。
社会的に見てもこういった体験は自信にもつながり、積極的な性行為を促すことにもなり、少子化対策にも一役買うだろう。
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次の用途は、広報的な目的としてである。
中学生や保護者が実際に学校を知る手段を挙げるなら、一番に来るのは学校説明会になるではないだろうか。
その際の展示用備品と説明用備品に使われる。
入学したらどのような拘束を行うか、違反したらどのような指導が行われるかを知ってもらうのにちょうど良い。
もちろん、前生徒会長の像の写真もコメントと共にパンフレットに載っているわけだが……本校を対外的にアピールするパンフレットは去ることながら、学校説明会の際に配られる資料や新入生用の資料にも、拘束例として様々な拘束を施された備品の写真が載っているのだ。
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実際に生徒が入学すると、まずはオリエンテーションが行われる。
本校で拘束違反をしないためには、言うまでもないとは思うが拘束をしないといけない。
しかし、素人の拘束は危険を伴うものだ。
強く締めすぎると血の巡りが止まり鬱血や壊死の可能性もある。
反対に緩かったり中途半端であったりする拘束というのも意外と危険で、気を許した身体が急に解けた拘束に対応できず転倒することもある。
危険と拘束違反を回避するために、新入生はまず正しい拘束を学ばなければならない。
いきなり自分の身にするのは難しいし、教師が新入生の生徒の身体を使って拘束を説明する訳にもいかないので、その練習台として備品が使われるのだ。
そのほか、授業においては美術のデッサンモデルとして使われるし、
意外と年中忙しい。
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最後に……『私と同じだ』と言うのは、学校の所有物になるという点においてであり、彼女の動機とは「学校の備品」になりたかったに違いない。
彼女が、拘束違反を繰り返した者の末路が、管理番号 - No.146 備品名『園田 美緒』だったのだ。
……卒業まで、あと681日。