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macaroon(まかろん)
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苗床の女王 After

「きゃー」

「誰かー 誰か助けれてくれー」

「何だこのバケモノたちは!?」


 この日、大量の触手が森から現れて村を襲った。


「あれっ あそこにいるの魔法使い様じゃない?」

「エレナ様が助けに来てくださったのか!」

「これで私たち助かるのね!」

「…でも、エレナ様って “例の洞窟” に行ったきり行方不明になっていたのでは?」

「じゃあ、あれは誰だって言うの? どう見たってエレナさ……ま???」


 そう言って村人がエレナの姿を見て言葉を失う。

 確かに目の前にはエレナの顔をしている者が存在している。

 しかし、その体からはおよそ人の物とは言えないものが “生えていた” 。

 それは村人がバケモノと呼んだブヨブヨとした生物と同じであり、ピンク色をした肉片のような触手群である。

 それがエレナの肩から先、そして腿から先を形作っていた。


「みんなぁ 久しぶりだねぇ(お願い、逃げて)」


 その声はエレナそのものであり、表情は笑顔である。


「エ、エレナ様…その姿は……それに……」


 あのエレナがやられるはずはないと、村人は信じて問いかける。

 しかし体は正直で、口から発せられる言葉は微かに震え、足もすくんでしまっている。

 おそらく、エレナが無事ではないのだと本能的にわかっているのだろう。

 それでも村一番の実力で、唯一の希望であるエレナを信じるしかないのであった。


「大丈夫よ(大丈夫なんかじゃない)むしろ前よりも素晴らしいくらい(いやよ、元の姿に戻して)……どう? あなたも私と同じになりましょう?(気づいて、これは私の意思じゃないの)」

「……エレナ様と同じに???」

「そうよ、とってもいい考えでしょう(そんなはずない。バケモノの子を産まされ、自分の意思とは無関係に体を動かされ、さらには大切にしていた村まで滅ぼすことになることの何がいいと言うのよ……)」


 頭の中では色々と考えるが、それが言葉として表に出ることはない。

 エレナは問いかけてきた村人に近寄り、触手の腕で押し倒す。

 そのまま顔に跨るとエレナはお尻の穴を調節して息みだした。


「きゃっ!? エレナ様何を……ぶっ!!!」


 ブリュブリュブリュブリュ


「あはっ あはははっ(やってしまった、もう戻れない)」


 エレナのお尻から放たれたバケモノの子どもが村人の顔を覆う。


「う、ううう(気持ち悪い、息ができない)」


 しばらくは口を閉じていた村人だが、限界を迎え酸素を求めて口を開く。

 その時を待っていたかのように子どもたちが侵入する。

 洞窟と違って日光を直接浴びる屋外では、幼体が生きていくことはできない。

 そのため、成長するまで人の体に入り過ごすのが一般的な生存戦略なのだ。

 宿主に寄生して子孫を残す。

 そうやってこの種は生き延びてきた。


「あががが(いやだ、こんなの飲み込みたくない)」


 村人の想いが届くことはない。

 体を動かして逃げようにも、エレナにのしかかられているためそれも不可能だ。


「今度は何っ??? 変な感じがする??? 私が私じゃないような……私が変わっていく……」


 体に入った子どもたちは自分たちの住みやすいように宿主を弄る。

 体を、そして精神を……エレナがかつて認識を変えられたように。


「えへへ、かわいい我が子を育てなきゃ……何でさっきまで気持ち悪いなんて思っていたんだろう……こんなに愛おしいのに……そうだ、妹にもこの素晴らしさを教えてあげなきゃ……」


 いつの間にか村人に覆い被さっていたエレナはその体を退けていた。

 それでも村人が暴れる様子はない。

 それどころか、膨らんだお腹を優しくさすっている。

 幸せそうな表情の村人は、新たな仲間を求めて歩みを進めた。

 何に変えても守りたいと思っていた妹を自らの手で落とすために。

 それをいいことだと信じて……。


「あ"、あ"あ"…あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"あ"あ"あ"あ"あ"……」


 その一方で、初めて人を落としてしまったエレナは発狂していた。

 実力者たるエレナは今まで、かろうじてその精神を保っていたに過ぎない。

 一般の人であれば肉体より精神が先に壊れてしまい廃人となる。

 先ほどの村人のように、いっそ精神ごと壊れていた方が良かったのかも知れない。

 下手に精神が残っていたからこそ、大切にしていた村人を自らの手で落としてしまったことを認識してしまうのだから……。

 そして人は、精神が耐えられないときそれを手放すことで自らを守る。

 これも、先ほどの村人がそれである。

 しかしエレナは手放せずにいた。

 その代わりに自らを正当化することで保ってしまったのだ。


「もっと、もっと増やさなきゃ。みんな私と同じになれば、また一緒に居られる」


 それからエレナは次々に村人を襲った。

 半日もしないうちに村は壊滅した。

 寄生された女は自らの足で洞窟へと向かい。

 男はと言うとエレナが連れてきた成体の触手たちに呑み込まれて洞窟へと運ばれた。

 女は苗床として生かされ、苗床として使えない男は養分として溶かされた。

 洞窟には肉の繭に包まれた女たちが並んでいる。

 中でもエレナは女王個体として、苗床たちの中心に添えられていたのだった。

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Thank you !!

macaroon(まかろん)

:)

skty1248


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