SamSuka
macaroon(まかろん)
macaroon(まかろん)

fanbox


オオカミ少女と催眠おじさん

「おい、あれ見てみろよ」

「マジか!? 本当に居たんだな、“催眠おじさん” 」

「じゃあ、あの子は……」

「うん、自分の意思とは無関係にあんな事させられて…… “かわいそうに” 」

「明日からネットで、街で、そして “学校で” 色々言われて大変だろうね」

「 “あの制服” ……ここらじゃ有名なお嬢様学校だし、目でも付けられてたんじゃないかな」

「こういう場合って、警察に通報した方がいいのかな?」

「そんなの俺に聞かれても知らないって 笑」

「そうだよね。AVや同人誌の世界じゃないし、目の前に “裸の女の子” が現れるなんて……」

「てか、なんて説明するのさ? 通報したら俺らの方が怪しまれそうじゃね?」

「それはそうかも……これって見てるだけでもアウトなのかな?」

「さすがに不可抗力じゃない? 状況的にはむしろこっちが見せられてるんだし……」

「……見せられてる。なるほど確かに」

「どうかしたか?」

「いや、言い得て妙だなって……あの女の子は催眠によって露出をしているのであって、決して見せているのではないけれど、“催眠おじさん” なんて言う正体不明の存在なんて証明できないから、女の子が見せていることになるのが何とも言えないなぁと……」

「そう言われると不思議な気持ちになるけど、そうとでも考えないと俺らが捕まっちまうぞ?」

「だね…で、どうする?」

「どうするって?」

「俺らって不可抗力なんだろ?」

「そうで無いと困るって話であって、実際にはどうだか…」

「こんな機会滅多に……いや、一生に一度あるか無いか」

「そうだな(無いだろ)」

「であればやっぱり楽しむしか無いだろ?」

「そうだな(そうだな)……でも楽しむと言ったって、具体的には何をするんだよ?」

「まずは写真でも撮ろうかな」

「意外と慎重なんだな」

「そうか?」

「なんかこう…もっとさ…あるじゃんか。触るとか……それこそナニをするとか……」

「ああ、俺そういうのはあんまり。むしろこの写真を使って後で一人でやりたいわ」

「………」

「それに、実際に手を出したらそれは問題になりそうだし?」

「…なんか冷めちまったわ」

「どうしてさ」

「急にリアルなことを言うからだよ」

「なんかごめん」

「別にいいけど、リアルな話ついでに俺も一個つまらん質問していいか?」

「改まってなんだよ」

「 “催眠中って意識あるのかな?” 」

「…意識か。それは分からないけど、記憶はあるんだと思う」

「それはどうして?」

「だって、そうじゃなきゃ “催眠おじさん” の噂はどこから出たんだ? 別に催眠おばさんだっていいし、催眠お兄さんだっていいだろ?」

「目撃者がいた可能性は?」

「無いとは言い切れないが、その人を見逃す必要はないだろ?」

「まぁそうか。“噂が立って欲しい” とか “みんなに知って欲しい” なんて理由でもないと存在すら知られない方が都合いいもんな。もし俺が犯人でも、消せるもんなら記憶を消すと思う」

「だよな」

「…じゃあ記憶が残ると仮定するなら、お前の言うとおり手を出すのはアウトなわけだが、ただ近づいて見るだけってのはどうだ?」

「セーフだな」

「…線引きが難しいな」

「俺はこう考えている。いくら彼女の記憶に残ったとしても証拠がなければどうする事もできない。接触は指紋などを残すからダメだが、“写真や動画、近くで見る” とかは立証のしようがないからセーフだ」

「写真や動画は記録として残るけど、それに関しては?」

「不可抗力だろ? その場に居合わせただけ、野次馬となんら変わらんさ」


 一通りのやり取りを終えた男たちは、ようやく少女へと近づくのだった。


 …………………………

 ………………

 ………

 …


 この日、少女は筆を走らせていた。

 ノートに板書をするような小さな字ではなく、模造紙にペンで大きな字を書くように。

 少女は苦戦していた。

 慣れない大きな字を書く難しさ以上に、鏡を見ながら逆さで字を書くことに。

 不安定な “肌色のキャンバス” にインクを乗せていく。


 少女はいいとこのお嬢様である。

 そんな彼女が通うのは所謂お嬢様学校であり、その制服を見ただけでどこの学校か分かるほどの有名校だ。

 彼女の通う学校に、とある “噂話” が広がったのはつい先日のこと。

 お嬢様たちの会話と言えば、パーティーに呼ばれたとか、展覧会に行きましたとか、はたまた今日はピアノのレッスンがあると言ったような一見華やかだが、変わり映えのしない “つまらないもの” ばかり。

 だからこそ俗世との関わりが多くないお嬢様たちは、巷を賑わしている珍しい話にはいつも興味津々なのである。

 

「何やら “催眠おじさん” と呼ばれるお方が存在するらしいの」

「それは何ですの?」

「その名の通り、“催眠をかけてくるおじさん” よ」

「そうではなくて、催眠をかけてどうなさるの?」

「そんなの知りませんわ」

「では催眠をかけられたらどうなりますの?」

「それも知りませんわ」

「気にはなりませんこと?」

「気にはなりますけれど、“催眠をかけられたお方がどうなったのか” は一切不明なんですって」

「どうして? そんなの催眠をかけられたお方に聞けば分かるのではなくて?」

「…それは…… “誰一人として” 催眠をかけられたお方の存在を確認できてないようなのです」


 巷を賑わしているならば、一人くらいその存在を確認できていても不思議でないどころか、そうでもなければおかしいとも思える。

 しかし、催眠おじさんとその被害者のどちらの存在も知る人はいないのであった。

 では彼女らが……そして男たちが、何故 “催眠おじさん” と口を添えて噂をするのか。

 火のないところに煙は立たぬ。

 噂の出所は一体どこの誰?


ーーーーーーーーーー


『催眠中』

『変態』

『おま〇こ』

『発情中』

『ヤリ捨てOK』

『拡散希望』

『おち〇こ大好き♡』

『痴女』

『肉便器』

『現役J〇 1〇歳』

『ご自由にお使いください』


ーーーーーーーーーー


「ふふっ我ながら会心の出来かしら」


 少女は満足げに笑うと、仕上げとして学生証をテープで自身の体に貼りつけた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


     学生証

 私立 お嬢様女学院 中等部

 氏  名:〇〇 〇〇

 生年月日:20xx年 6月17日

 有効期限:20yy年 3月31日

 上記の者は本学の学生であることを証明する


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「こんな感じで良いかしらね」


 少女は制服を着直して学校を出た。

 いつもであれば迎えが待っている。

 けれども今日は、“友人と” 寄る場所があるからと迎えを断っていたのである。

 目的の場所へと “一人で” 歩いて向かう少女。


「着きましたわ」


 少女は人通りの少ない道へとやってきた。

 道中ではなくここが目的地。

 しかしなぜ、少女はこんな変哲のないただの道を目指して来たと言うのか。


「あちらから来られる方はあまり居ませんはず……」


 この道は一方通行な上に、行き着く先には目ぼしい施設もない。

 すぐ隣には大きな道路も通っているため、使うのは近所の人くらいだろう。


「遅くなってもご迷惑をお掛けしてしまいますし、早速始めましょうか」


 少女は外だと言うのに、その場で制服を脱ぎ出す。

 誰に命令されるでもなく裸になった彼女は生まれたままの……いや、生まれたままと言うにはあまりにも酷い落書きの数々と、少女が何者であるかを示す学生証をその身につけている。

 そんな状態でも少女は、その育ちの良さゆえか制服を畳んで横に置き、脱いだ靴を揃えるのも忘れない。


「(はぁはぁ、わたくしやってしまいましたわ)」


 少女が一糸纏わぬその身を、雲一つない空の下に晒している。

 辺りは静まり返っており、人が通る様子はない。


「(まだ誰も現れませんこと? でしたら “あれも” 使ってしまおうかしら)」


 少女はスクール鞄から布の紐を何本か取り出す。

 一本は足を結ぶのに使い、もう一本は目を隠すのに使った。

 最後に残った一本で輪っかを作り、私はそれに後ろ手の状態で通すと腕を引っ張る。

 すると紐の輪っかは閉じていき、最後には硬く結ばれた。


「(これでもう逃げることは出来なくなってしまったわ……って自分でやったのですけれど……にしても、目まで隠したのは失策だったかしら……突然現れるのも緊張感があって大変よろしいことですが、どのくらい時間が経ったのかも分からないのは少し問題かも知れませんわね)」


 露出を始めてから30分も経ってはいないが、このまま誰も通らず日が沈めば捜索願が出されるのは必至であり、お嬢様である少女にそれがされるのは時間の問題だ。

 見知らぬ誰か見つかるのではなく、家の者や警察に見つかること以上に恥ずかしく、つまらないものはない。


「(…早く誰か訪れないかしら……いっそ大声でも……いいえ、そしたら人が集まり過ぎてしまう……すぐに通報され、私は保護されてしまうでしょうね……)」


 何も見えない暗闇の中で、少女の思考は冴えていた。

 人は感覚を失うと、それを補うように別の感覚が強化される。

 それと同時に使うべき体の機能を抑えることで、別の機能にそのリソースを割くことも出来るのだ。

 視覚を失った少女は今、他で情報を得るために聴覚や嗅覚、そして頭の回転が普段以上に働いていた。


「でさぁ」


 かなり離れたところで話し声がする。

 相手の視界に少女が入るにはまだ距離があった。


…コツコツコツっ。


 徐々に足音が近づいてくる。

 何も見えていないはずの少女が先にその存在を感じ取る。


「(…来た……会話をしている……2人組?)」


 おそらく距離にして50mもないくらいで足音が止み、片方の男が言葉を発する。


「おい、あれ見てみろよ」


 …

 ………

 ………………

 …………………………


 一通りのやり取りを終えた男たちは、ようやく少女へと近づいた。


「(こっちに来ますわね)」

「結構キレイな体をしているね」

「(殿方に褒められてますわっ/// 嬉しいですわっ///)」

「さっきの場所からだと、落書きで汚れているだけに見えてたからな」

「まぁそれもあるけど、何もされてないんだなって」

「どう言うことだ?」

「(どう言うことですの?)」

「いや、催眠をかけるだけして放置するってのも変わった趣味をしてるなぁって……自由に言うことを聞かせられる女が目の前にいたらお前ならどうするかって話だよ」

「そっか。一回くらいはヤッてから捨てるかも」

「(この方…随分と鬼畜ですわね……♡♡♡)」

「一回でヤリ捨てとかお前もクズだな」

「だって “ヤリ捨てOK” って書いてあるから……それに例えばの話だろ? 記憶は残るって結論になったわけだから、実際にはヤレないんだし…」

「それは俺の場合であって、催眠おじさん本人はヤレるだろ」

「どうしてさ」

「単純な話だよ。証拠を辿って警察が来たら俺らは捕まって終わり、でも催眠おじさんはその時に催眠を使えば逃げられるからさ」

「催眠ってそんなに便利なものかなぁ……確かに落書きだけして去るのは少しばかり “不自然” だけど、噂が立つくらいには多発してるんだし贅沢な話ではあるけど飽きたんじゃないの?」

「……そんなもんかねぇ」

「(…何だかまずいかしら? もしかして疑われてますの???)」

「まぁ何だっていいさ。とっとと写真だけ撮ってずらかろうぜ」

「そうだな」


 少女の心中など男たちが知る由もなく、男たちの行動は少女には見えていない。


…パシャ、パシャ……


 スマホのシャッター音で少女はカメラで撮られていることを知る。


「(わぁ/// 裸の写真撮られてるぅぅぅ/// 目隠しをしているから直接的に顔は写ってないけど……学生証があるから間接的にわたくしが誰であるかを示していますし、はっきり言って目隠しの意味ないですわね///)」


…パシャ、パシャパシャ…パシャ……


 しばらく撮影が行われた後、男たちは満足したのか、それこそ飽きたのかこの場を離れようとしていた。


「これ以上ここに居ても出来る事ないんじゃ仕方ないし、十分に拝んだんだ早く帰って一発抜きたくなってきた」

「お前の言うとおりだな。この子には申し訳ないが、しばらくはおかずに苦労しなくて済みそうだ」

「(なんだか解散の流れになってない? 写真を取られた “だけ” で、まだ “何も” されないのに…こういう時はあれをするしか……)」


 少女は意を決して行動に出る。


「…だ、誰かおられるんですの?」

「しゃべった!?」

「生きてる人なんだから喋りはするだろ」

「そういう事じゃなくて、“催眠中なのに” 自我があるのかって」

「(し、しまった。そうでしたの、わたくし催眠中でしたの)」

「かけられてる催眠によるんじゃないか? 動きを制限されてるだけかも知れないし、意識をいじられてるだけかも知れないし……現に今だって目隠しをしてるわけだけど、これって俺らの姿を見られない以外に役割を成してないだろ?」

「そうかもな。学生証を体に貼り付けるあたり、この子の顔を隠してあげるような意味合いは無いもんな」

「(わたくしに都合の良いように解釈をしてくれたみたいで助かりましたわ)」


 男たちが生体不明の “催眠おじさん” について、今の状況と辻褄を合わせるように解釈してくれたことで事なきを得た少女。

 少女は少しくらい無理をしても、なんとかなるんじゃないかと考えるようになっていた。


「もし宜しければ、拘束を解いていただけませんか? 助けて頂いた折にはその御礼をするようにと “言われて” おります」


 今度はボロを出さないように、あくまで “催眠によって” 命令をされているのだと装った。


「ほらな。催眠と言ったってある種のプログラムみたいなもので、目の前に催眠おじさん本人が居ないならこの子は、既にかけられてしまった催眠に従って行動しているに過ぎないんだよ」

「ふ〜ん。まぁ何にせよ、お礼って何だろうな」

「気になるなら拘束を解いてやれよ」

「いいのか?」

「拘束を解くのは人助けだよ」

「まずは手の紐から……お前も手伝えよ」

「俺は動画撮っとくわ」

「なんでさ」

「俺らが助けたという証拠」

「俺が、な」


 男は手の紐を解き、それから足の紐…最後に目隠しを取った。


「疑ってたわけじゃないけど、まんま学生証の子だな」

「マスク美人ならぬ目隠し美人じゃなくて良かったってか?」

「学生証と比べてんだから、言うとしたら写真写りの良し悪しだけどな……そんなことよりお礼だろ?」

「そうだった」

「…助けて頂いてありがとうございます……自己紹介の必要はなさそうですね……こちらにある通りの身分でございます……帰り道、噂の “催眠おじさん” と出会いまして現在に至ります……わたくしにかけられた催眠は大きく分けて3つございます……1つは “催眠をかけられているとは気づけないこと” ……1つは “助けてもらったらお礼をすること” ……1つは “より下品に、より無様に、より変態に振る舞って破滅すること” ……これよりわたくしは助けて頂いたお礼として、お嬢様が決してしてはいけない “下品な” 表情で、“無様な” 姿を晒して、“変態な” ポーズを決めますわぁ〜♡♡♡ 是非ともその目で、そのスマホでしっかりと収めてくださいましぃ〜〜〜♡♡♡」


 高らかに口上を述べると少女は、足をガニ股に開き、両手を頭の後ろに当てる。

 それから少女は全力で腰を前後に振り出した。

 狂った様子の少女は、まるで本当に催眠をかけられているように見えるが “全て演技” である。

 『催眠にかかっている “フリ” をする少女』と『噂だけで “存在を確認できない” 催眠おじさん』が意味するのは果たして……初めからここに至るまでの全てが、少女によって仕組まれた台本に過ぎないのだとしたら……真実は “少女のみ” が知っている。


「うわぁっ!?」

「これは傑作だな」


 少女のとった突然の行動に驚く男と楽しむ男。


「お次はハイグレ♡♡♡ ハイグレですわぁ〜〜〜♡♡♡」


 ガニ股はそのままに、Vラインへと手を沿わせて上下に動かす少女。


「実は俺、下品なのってただ汚いだけな感じがしてあんまり好きじゃ無かったんだけど…これをやってるのがあのお嬢様学校の子だと思うとなんかこう……」

「普段はお淑やかなはずなのに、強制的にやらされて……普通だったらあり得ない催眠ありきの非日常。そのギャップが最高だって?」

「まさにそれだよ! お前すごいな!!」

「思うところは皆一緒ってことさ。欲しかったらあとで送ってやるよ」


 少女の拘束を解いた時からずっと、男はスマホのカメラを回したままでいた。


「欲しいっ! でも今は目の前で起きてる本物を見て目に焼き付けないと勿体無いぜ!!」


 そんなやりとりをしている間に、少女は次なるポーズに移る。


「あへぇ〜♡♡♡ あへぇ〜♡♡♡ ピース、ピースですわぁ〜〜〜♡♡♡ どうぞ記念写真を撮ってくださいましぃぃぃ〜〜〜♡♡♡」


 今度は顔の横で両手をピースにして、アヘ顔を晒す。

 いわゆるアヘ顔Wピース状態の少女は男たちに、その姿を記念に残せと願った。


「どうですかぁ〜? 満足していただけましたでしょうかぁ〜??」


「満足も満足、大満足だな。お前は?」

「新しい扉を開くことも出来たし、十分なお礼だったかな」

「………」


 そんな男たちの返答を聞いた少女は一拍置いてから、この劇も少女の人生も “最後” と言える行動に出た。

 スクール鞄から自らのスマホを取り出すとロックを解除し、SNSのアプリを起動する。

 少女が普段使いしているリアルのアカウントが表示され、配信モードに切り替えた。


「…こちらのスマホを用いて、わたくしの姿を全世界に公開することにご協力いただく事は叶いませんこと?」


 そう言いながら少女はスマホを男に差し出す。


「面白いじゃん! でも俺は自分ので撮るから、お前やってやれよ」

「わかったよ」


 男がスマホを少女に向ける。

「…ご協力感謝致しますわ……それでは準備をしますので、少々お待ち下しまし……」

「準備?」


 少女は綺麗に畳んでおいた制服を手に取って自らの足元へと置き直すと、それに跨がり蹲踞の姿勢になった。


「どうぞ配信をよろしくお願い致しますわ」


…ピロンっ……


 配信が始まった音を確認してから少女が話し始める。


「これからこちらのお召し物に粗相を致しますわ。それが終わると “催眠が解ける” ようになっているそうですの…… “催眠おじさん” の罠にかかった哀れな女の子の姿をどうぞご覧になってくださいましぃぃぃ〜〜〜♡♡♡」


ブリッ、ブリリリッ…ボフッ……ボトッ……ブリュリュ、ブリュリュリュ……


 少女は躊躇することなく脱糞した。

 白く輝いていた制服が、茶色く染まって濁っていく。


「(これきますわ、あれがきてしまいますわ。あっ♡♡♡ きたっ♡♡♡ 誤魔化しませんとっ♡♡♡)」


プシュッ、プシュッ、シャーーーーッ!!! …ジョロ、ジョロジョロ……


 少女はイったことを誤魔化すように、潮吹きに続けて放尿も行った。

 後から追い討ちをするようにかけられたおしっこによって、先に出していたうんちはドロドロに溶け、さらに制服に染み込んでいく。

 いくら洗っても元の純白な制服の姿を拝めることはないだろうし、それよりも何を着て帰るかの方が重要かも知れない……けれども、それらを “些細なこと” と一蹴するくらいには少女の “すべきこと” が残っている。


「…はっ!? ここはどこですの? えっ裸?? わたくしこんなところで何をしてますの??? あなた方は誰ですの??? それわたくしのスマホ!!!! くさっ!?!?!?」


 “すべきこと” ……それは後処理である。

 少女は “被害者” だと、世間に示す必要があるのだ。

 世界に配信された事実は残るし、一度ネットに上がった映像が消えることはない。

 それでも明日からの生活を続けるためには、少女が犯人だと知られるわけにはいかないのだ。

 “やらされた” のであれば、少女が学校でいじめられることはないし、むしろ同情を買えるというもの。

 この少女は見事、自身に損失なく公然猥褻をやってのけたのだ。

 世間を巻き込んだ嘘つき少女の完全犯罪である。

 現代に現れたオオカミ少年ならぬ、オオカミ少女。

 オオカミ少年と同じ結末を辿るなら少女も……。



More Creators