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天空戦姫セラフィーヌ 第10話 ジェイド無惨! 屈辱の肉磔刑 後編

 司令室のある地下施設から地上に出たケイは、変身ポーズを取って声を張り上げた。

「セッタップ!」

 カッと光が走って、ケイはセラフアンバーへと変身している。

「ケイ!」

 続いて地上に出てきたエンマをちらりと振り返り、

「ごめん……でも、あたしはっ!」

 地面を蹴って、あっという間にビル群の向こうへ消えていった。

「ケイ……」

 エンマはきゅっと唇を引き結ぶと、彼女を追うべく自衛軍の車庫へ向かうのだった。



 Fエリアの南方3キロ。オペレーターの推測通り、そこにグラガンは仁王立ちして待ち構えていた。

 その瞼がピクリと動くと、ふんと小馬鹿にしたように鼻を鳴らす。

「……本当にのこのこやってきやがった」

 崩壊したビルの残骸の向こうから、黒い影が飛び出した。

 ケイ――セラフアンバーだ。

「カイ先輩を……返せえええええええええっ!!」

「おいお前たち。そこの馬鹿をやっちまえっ!」

 きぇぇーっ、と奇声をあげて周囲に控えていた戦闘員たちがアンバーに襲いかかる。

「でぃっ……やああっ!」

 アンバーは地面を蹴って飛び上がると、先頭の戦闘員に蹴りを食らわせる。その反動でくるりと回転し、次なる敵を蹴り飛ばす。さらに着地と同時に振り上げた腕を地面に叩きつける。

「アースライズ!」

 アンバーの周囲の地面から岩塊が突き出して、群がっていた戦闘員たちを天高く打ち上げた。

「ほう……」

 グラガンが面白そうに眉を上げる。

 どさどさ、と打ち上げられた戦闘員が落下するなか、アンバーは立ち上がってじっとグラガンを見据えた。

「グラガンとか言ったな……カイ先輩を離しやがれっ!」

「カイ……? ああ、こいつか……」

 二本のペニスで串刺しになったままのカイ――セラフジェイドは、ほとんど気絶してしまっている。

 アンバーの大声にも反応がない。

「そうかそうか、すっかり忘れてたぜ……俺のペニスケースとして馴染みすぎてな♥」

「て、め、えぇ……!」

 怒りでアンバーの身体が打ち震える。

「まあ、相手してやるよ。だが、気をつけるこった。大好きな先輩に当たらねえようになあっ!」

 グラガンが叫びながら突っ込んでくる。

「ぶっ……殺してやるっ!!」



 アンバーは雄叫びを上げると、地面を蹴ってグラガンに向かって突進する。

「おらあ!」

「っ!」

 グラガンのパンチがアンバーを襲い、その顔面を打ち抜いた――だが、アンバーはその拳を腕でガードし、弾き返していた。

「やるねえ」

 感心したようなグラガンの声がわずかに耳に届く。

 (舐めやがって……っ!)

 怒気を隠しもせず、アンバーは乱打を繰り出した。

 が、その全ては四本の腕によって防がれてしまう。

「くっ!」

「どうした、それで終いか?」

「なわけねえだろっ!」

 アンバーの額からビームが撃ち出され、グラガンの獣の頭部を撃ち抜いた。ばちゅんっ、と一瞬で脳が蒸発し、頭部が炸裂する。

「へへ、どうだっ!」

 頭が二つあるのだから、これで死ぬわけではあるまい。

 ただ、戦闘力が落ちるのは間違いないはずだ。

 だが――

「残念♥」

「はっ……」

 グラガンが拳を振り上げた。アンバーはガードを固めて備える……が、それはフェイントで、グラガンはもう一方の腕をアンバーの腹に叩き込んだ。

「かはっ……!」

 一瞬息が止まり、内臓が破裂したかと錯覚する。続いてハイキックが繰り出され、肩口を蹴り飛ばされた。

「うわああっ!!」

 どん、どんっ。

 地面を二度バウンドし、倒れ伏したアンバーに、グラガンはゆっくりと近づいてくる。

「あぐ、あ、あ……」

「ほう……まだ意識があるたぁ大したもんだ」

「そん、な……」

 信じがたいことに、吹き飛んだ獣の頭部が、しゅうしゅうと煙を上げながら再生していく。

「俺様は不死身でね……これくらいじゃあどうともならんぜ」

「ちくしょう……!」

 アンバーは起き上がることも出来ないまま、グラガンを睨みつける。

「へへ、いい目だ。屈服させがいがある」

「ケイ―っ!」

「あん?」

 土煙を巻き上げながら、二人に突進してくるものがある。

「エ……ンマ……」

 それはエンマだった。装甲二輪車にまたがって、アンバーとグラガンの間に割り込んでくる。

「ウェイクアップ!」

 キラリと閃光が走る。そしてエンマは紫光の戦士、セラフライラックに変身した。

「なんでえ、新手か。いいぜえ、何人でもかかってきな!」

「ケイ、立って!」

「くそおっ!」

 アンバーもようやく立ち上がり、二人でグラガンに立ち向かう。

 ライラックの光剣がグラガンの体を引き裂き、アンバーの拳が顔面を撃ち抜くが、グラガンに効いた様子はない。

 ダメージが入ったとしても、ほとんど一瞬で回復してしまうのだ。

 しかし――

 たまたま、本当に偶然に、獣と竜、両方の頭部に二人の拳がめり込んだ。ごしゃりと内部組織が砕ける音がして、体液が吹き出した。

「ちっ!」

 グラガンは鬱陶しそうに二人を弾き飛ばす。その多少慌てたような仕草に、ライラックは違和感を覚えた。

 そして、今までは一瞬で再生していたものが、今度は違っている。潰れた肉がゆっくりと戻っていく。

「ケイ!」

 呼ばれたアンバーも確信を持って頷いた。頭部を同時に攻撃すれば、グラガンの再生能力は著しく弱まる。

「てぇやあああああああああっ!」

 二人は瞬時に飛び上がると、グラガンの両方の頭部に向けて光剣を振りかざした――。

天空戦姫セラフィーヌ 第10話 ジェイド無惨! 屈辱の肉磔刑 後編 天空戦姫セラフィーヌ 第10話 ジェイド無惨! 屈辱の肉磔刑 後編

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