「くぐっ、ううっ……!」
アズールは虫たちに囲まれ、壁の隅に追い詰められていた。
エネルギーはほぼ突きかけて、もはや立つこともできなくなっていた。
スーツのあちこちは破れ、柔肌が露出してしまっている。
ぎちっ、ギチ、ギチ……と牙を軋ませながら虫たちが包囲を狭めてくる。
「く……うっ……逃げ、なきゃ……」
アズールは膝をこすり合わせ、後退する。しかし虫たちはそれを嘲笑うように、ゆっくりと距離を詰めてくる。
「いや、離れて……!」
とっさに差し出した腕を、牙がガチリと捉えた。
「あ、ぁあっ!」
アズールの華奢な体はあっさりと引きずり出され、虫たちの中へと倒れ込んでしまう。
「あ……あ」
虫とは言っても子供大くらいの大きさはある。それが周囲を取り囲んでいるのだから、かなりの圧迫感だ。
冷静なアズールの中にも、異形に蹂躙される恐怖が芽生える。
(食い殺される……っ)
しかし虫たちはそれ以上アズールに危害を加えようとはしなかった。かわりに……
「っっ!!?? ……そんな……っ!」
虫たちの股間から、粘液を伴って巨大な生殖器の先端がひくひくと動いている。
(虫が、人相手に欲情するなんて……)
おぞましい光景に目を疑う。
……いや、とアズールはすぐさま思い直した。
(これはエリミネーターが作り出した化け物で、似ていても地球の虫とは違う)
実際のところその通りで、この虫は体内に怪人の精子を溜め込んでおり、それを代わりに注ぎ込むことで自分たちの眷属を増やすためのものであった。
「近づかないで……!」
自分に触れようとした虫を、残っていたエネルギーで氷漬けにする。
しかし、それが連中を刺激したらしい。一斉に動きを早め、群がってきた。カシュカシュと甲殻がぶつかって、耳障りな音を立てた。
「あぐ、あああっ!」
力尽きたアズールは容易に拘束され……いわゆるマングリ返しのポーズで押さえつけられてしまった。
そして一匹の虫が、尻を突き合わせるようにアズールの腰にのしかかる。
その虫の股間から、先端だけ覗いていた生殖器がズルリと這い出てくる。
「ひぃっ……」
その巨大さに、アズールは明確な畏れがこもった悲鳴を漏らさざるを得ない。
キシャアァァ……と虫が漏らした怪音は、獲物を目前にした喜びあってのものか。
生殖器はアズールのスーツ越しにプクリと浮かんだ可愛らしい恥丘に狙いを定め……一気に貫いた。
ずぶウウウウうっ!!
「あぐあああああああーーーっ!?」
突然の挿入に、アズールはのけぞって声を上げた。
「く、あ! あっ……!!」
アズールは生娘ではない。ただ経験が浅いのは確かで、その内部はまだペニス慣れしておらず、快楽より痛みが先に走る。
「やめ、てっ……抜いて……!」
懇願するが、しかし虫は動きを止めるどころか、アズールの腰を掴んでぐいぐいと激しい抽迭を開始した。
「ひっ!あっ!ああっ!」
ずぶうっっ! ずっちゅ、ずっちゅっ!!
前回は後ろからだったのでわからなかったが、今度は姿勢的に自分の膣に垂直にズボズボと出入るペニスが良く見える。
粘液を撒き散らしながらスケベにピストンする異形が、嫌でもアズールを高ぶらせる。
「やめて、これ以上はっ……!」
小さくなっていく痛みを、ぐんぐんと広がってくる快感が飲み込んでいく。
「あんっ♥ ああっ! やっ……あっ、ああっ!!♥」
経験したことのない強烈な快感にアズールは身悶えた。異形の怪物相手に感じている自分に、羞恥心と屈辱が湧き上がってくる。
(だめ……感じちゃだめ……!)
しかしそんな理性とは裏腹に体は反応してしまっていた。子宮口が降りてきて虫の生殖器の先端に吸い付く。
「んあっ! だめっ♥ それは、だめえぇぇっ!!」
そんなアズールの様子を見てとったか――虫はピストンをやめ、大きく腰を突き込んだ。
(出され、る……っっ!)
アズールは歯を食いしばって下腹部に力を込め、精液の侵入を拒もうとする。
だが、それは無駄な試みだった。わずかにすぼまった膣洞だったが、虫の精子圧は容易にそれを押し広げ、内部までなだれ込んだ。
びゅくーーーーーっ!!
「おほぉあ♥ あああああああああーーーっ!!♥♥」
虫の生殖器はアズールの子宮口にぴったりと張り付き、ドクンドクンと脈動しながら濃厚な精子を注入し始めたのだ。
「はふぉっ♥ にゃめっ!♥ じにゅんっ!♥」
アズールは意味不明な悲鳴を上げて身悶えた。しかし虫は容赦なく精液を流し込み続ける。
「赤ひゃんできっ、ふぐっ♥ でぁめぇっ」
アズールは涙を流しながら懇願したが、虫は聞き入れなかった。
「はひぃ♥ おっ♥ ふぅ……あ……っ」
感情も肉体も蹂躙され、アズールは抵抗することもなく、精子が自分の中に満ちるのを受け入れる他なかった。
やがて全ての精子を注入し終えると、虫はゆっくりと生殖器を抜き取った。
アズールはぐったりとして地面に横たわった。その股間からは入り切らなかった精液がごぽりと溢れ出している。
「ううっ……」
アズールは悔しげに唇を嚙んだ。しかしまだ終わりではない。今度は別の個体が近づいてきて、再び生殖器を割れ目にあてがった。
「ミ、サキ……」
どこかで走り続ける友。その無事を願いながら、アズールは蟲姦地獄に意識を投げ出したのだった……。
そして――ルージュは一人水路を走っていた。
道中、虫たちにはほとんど遭遇することはなかった。現実の虫たちにもフェロモンで状況を伝達する能力があるように、アズールが戦っているところにほとんどが集結しているのかも知れない。
アズール……キョウはどうなっただろう。そんな邪念が頭をかすめる。
(今そんな事考えたってどうしようもない! どうなっていても、助けに行くわけには行かないもの……!)
今自分にできることは、この水路を進み、敵の本拠地――ピラーへ乗り込み、それを破壊すること。それだけだ。
そして、もうずいぶん走ってきた。腕のマルチデバイス上の地図では、自分の位置と、目標とする座標の光点が接近しつつあった。つまりもうこの上には、ピラーへの転送装置が存在しているはずだ。
(それが、正しければだけど――ね)
間違いであってくれるな、と思いながら、ルージュは地上に出る梯子のあるところへ向かう。
しかしそこには――
「誰!?」
水路を照らすライトの影から、それが姿を現す。
怪人だ――なりを見て、ルージュは戦闘態勢を取る。
そしてハッとする。その異形、先程自分たちを追い回した虫たちに似ている。
「キケケケ……来たのは、お前一人かぁ?」
「怪人……!!」
「俺はマズリム」
マズリムと名乗った怪人は、虫のようなマスクをカリカリと指先で描いて満足気に頷く。
「そうかそうか……残りは俺の手下と子作り中ってことだな♥ いいことだ」
「なん……ですってぇ……」
「あいつらは俺の子種を持っててなぁ、お前らみたいなのをとっちめて俺の子種を仕込むのよっ!」
ルージュの背筋が凍りつく。アズールの別れ際の表情が脳裏をよぎり、マグマのような憤怒が体の底から湧き上がってくる。
「こ、のぉぉおおおおおおーーっ!!」
「ハハッ! お前は俺直々に子種を植え付けてやるよ!」
「だ、れ、がぁっ!」
ルージュが拳を握り込み、マズリムに向かって突撃していった。