巨人の頭部へ向かって上っていくアズールとベスタの二人。
その道中、空を舞うコウモリ型の怪人に群がられてしまった。知性は低いのか、ギャアギャアと威嚇しながら二人を取り囲む。
「ちッ! そりゃあこういう連中もいるよねッ」
怪人が大口を開けて震えると、コッ!という妙な音が発せられた。
「痛っ……!」
それとほぼ同時に、体にドスリと鈍い痛みが走る。
「面倒…!」
アズールは痛みの原因をすぐに看破した。空気の弾丸だ。
おそらくは怪人の口から発射されているのだろう。
遠距離攻撃にじゅうぶんな耐性を持つセラフスーツだが、貫通力のある攻撃を受け続ければ破損は免れない。
「まずいなーー……このペースだとちょっちね」
ベスタが呟く。巨人の侵攻スピードは遅いとはいえ、このまま怪人たちにまとわりつかれては、頭部にたどり着くまで時間がかかりすぎる。
「仕方ない、ここはあんたに任せたっ」
そう言ってベスタはアズールの両脇を両手でがっしりと掴み、大きく振りかぶった。
「え、あ……?」
そしてそのまま――放り投げる! セラフスーツの力があればこその芸当だ。
「ベスタっ……ああぁぁっ」
「あんたもあの子のためにそうしたんだろ? 子猫ちゃん♥」
アズールは怪人たちの頭上をあっという間に超えていき――その先でポッカリと空いた穴に迫る。
「うぅ……っ!」
アズールにしてもぐんぐんと迫りくる頭部に恐怖を覚えたが、ここで躊躇している暇はない。勢いに任せてそのまま巨人の内部に転がり込んだのだった。
そして、残されたベスタ。その周囲には飛行する怪人がブンブンとハエのごとく飛び回っている。
「さあて、掃除くらいしとかなくっちゃね」
ベスタは腰からエネルギー銃を抜き、怪人たちの頭部めがけ的確に撃ち込んでいく。
怪人たちは早打ちに対応できず次々と撃たれていき、そして骸がぼとぼとと落下していく。
「こんなもんかな」
あらかた片付けるとベスタは銃をしまい、再び巨人の体を上り始めた。
しかし、その瞬間だった。
「なッ……!?」
突如として、巨人の全身が震え始めたのだ。そして衝撃音と共に、体のあちこちから何かが飛び出してきた。
(やばいッ……!!)
ベスタは一瞬の逡巡のあと、スーツの出力を最大にして飛び上がる。だがその一瞬の遅れが命取りだった。
飛び出したその一つが、ベスタの右足に絡みついた。
(しまった……!)
そのまま強い力で引っ張られ、ベスタの体は巨人の体から引き離されて宙へと連れ去られてしまう。
「うああぁぁっ!?」
周囲を見れば、今撃ち落としたものと同型の怪人たちが自分を取り囲んでいる。あっという間の再生産だった。
「くッ……! ああぁぁっ……」
身動きの取れないベスタに他の怪人たちも次々と集まり、四方八方から薙ぐようにベスタを殴打する。
「うぁっ……くぅ……ガハッ……」
反撃の糸口をつかめないまま、ベスタはあっという間に傷だらけにされてしまう。
「くっ……こらやばいかな……」
そして怪人たちは、獲物が戦闘能力を奪われたとみたか、その股間から男根を屹立させていく。
「おいおい、こんなとこでヤろうっての? 青姦にもほどがあるでしょ……♥」
ベスタはこんな状況でも、余裕の笑みを浮かべながら怪人に言い返した。しかし状況は最悪の一言に尽きる。
「あっ!?」
次の瞬間には、怪人たちの腕がベスタの体を捕らえていた。そしてそのままベスタの孕み腹を抱え込み――
「うあぁっ♥ あッ!!♥」
一気に奥へと突き入れる。
その衝撃に、ベスタは思わず声を上げてしまう。
(ああぁ~……これヤバいかもっ♥)
濡れてもいないだけに、乾いた皮膚がこすれ合う痛みのほうが先に立つが、宙吊りにされながらヤられる開放感はヤリなれたベスタにも興奮を励起させてくる。
何より、膨れ上がった腹だ。臨月の大きさになったその腹部は子宮を押し下げ、亀頭へこちらから入口を押し付ける形になっている。
「や、やるじゃん……かよぉ♥」
そして怪人たちの腰の動きが激しく始動した。パンパンと肉が打ち合う音が大空に響き渡る。
「あッ! あッ!!♥ んおぉぉ~っ♥」
その激しいピストン運動に、ベスタはたまらず嬌声を上げ始めた。
「うあっ……! ああぁっ!!♥ おぉっ!」
屈辱感と快楽がないまぜになったまま、しかし体は正直に感じ始めてしまっている。
肉が打ち合って弾け飛んだ雫が、はるか下界に墜落しながらキラキラと輝いている。
「あぁっ!♥ あッ!♥ うあっ! ああんッ!!♥♥」
怪人のモノが子宮口をノックするたびに、ベスタはびくんと体を震わせる。
「ああぁ……っ♥ やばっ……これぇ……♥」
ベスタの反応が変わってきたのを感じ取ったのか、怪人の動きはさらに激しさを増した。
「ああッ!♥ あッ!♥ ああ~~っ!!♥♥ だめ、イクッ♥」
そして一際強く突き上げられた瞬間――びゅるっと子宮の中に大量の子種が吐き出された。
「おほぉおぉぉ~~っ!!♥♥」
同時に絶頂を迎えたベスタは全身を痙攣させ、やがてぐったりとうなだれてしまった。
「うあっ……ああっ……あへぇぇ……っ!?♥」
ドクンと、身体のうちで鳴り響くものに、ベスタは気づいた。
自身の心臓とも、埋まったペニスのそれとも違う律動だ。
「あぁ、だめだ、こんなところでっ」
さすがのベスタも焦りを見せる。それは破水が始まり、出産の兆しとなる律動だった。
やがて激しい陣痛がベスタを襲った。その衝撃は脳髄にまで響き渡り、彼女を悶絶させる。
「ああぁぁ~~~ッ!!!♥」
(始まった……出ちゃう……!)
腹部は強い力で内側から押され、子宮口が押し広げられていく。そしてその圧迫に合わせて両足がぐぐっと開かれていった。
そして、ついにその時がやってくる。
「うああぁぁっ!!♥ あッ! ああぁあ~~ッ!!♥♥」
メリメリと音を響かせながら、ベスタの股間から赤子の頭が生えてきた。その様はまさしく、出産だ。
「あッ! あはぁぁっ!!♥」
(あぁ、来る……っ♥)
子宮口を押し広げながら、赤子の頭が膣口から姿を現す。そしてその瞬間が訪れる。
ズルン、という小気味よい音を立てて、ベスタの産道を一気に這い出してきたのだ。
「ああっ!?♥ あッ~~っ!!♥♥」
ベスタは意識を飛ばし、出産の激痛と快楽に酔った。
が、すぐにある現実に気づき、焦った。
「あっ!? ダメだ、くそ、行くなッ!!」
こんな上空だ。赤子はすぐ命の危険に晒される。
その赤子は、異形の姿をしていた。紫色の体躯に、節くれだった表皮――。
しかしそれでも、それはベスタの子どもだった。それが、ふわりと宙空へ舞い落ちていく。
ベスタは必死になって、自身と赤子を繋ぎ止めているへその緒を引っ掴んだが――
じゅんっ!
怪人のレーザーが、それを断ち切った。
「――!!」
ベスタが伸ばした指の間越しに、小さくなっていく赤子――そしてそれは、やがて灰色の瓦礫の中へと消えていった。
ケラケラと、怪人たちが笑う。自意識はないと思っていたが、ちゃんとそのへんの嗜虐心のようなものはあるらしい。
いずれにせよ、あの赤子の命は長くは保たなかったろう。これが生き長らえる世界なら、それは人類の滅亡を意味する。
だが――
キリキリと、ベスタの首が怪人たちの方を向く。その瞳にはただ、純粋な殺意のみが煌々と猛っていた。
――
―――
怪人たちを掃討し、巨人の肩に立つベスタは、赤子の消えた方へ視線を向けていた。
「ごめんな、最後に嫌な目ェ見せちまったか」
捕まっている間、何度も奴らの子どもは産まされた。それらがその後どうなったのかは知らないが、一度は乳もあげただろう。
それすらも出来ず、ただ苦痛のために産まれたような我が子。
ベスタは耳のピアスを一つ取り外すと赤子の落ちた辺りへ放り投げ、アズールの後を追いかけていった。