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椎名真昼、和式下痢うんち

がたん、ごとん――。

 通勤・通学の人々で混み合う電車の揺れに合わせて、吊り革を握る椎名真昼の身体も小さく震えていた。

 いつもは背筋を伸ばし、品のある微笑を浮かべている彼女。成績優秀で容姿端麗、周囲から“天使様”と讃えられる存在。その彼女が今、必死に顔を伏せ、唇を噛みしめている。

 「……っ、だめ、こんなところで……」

 細い指が自然とお腹を押さえる。制服の上からでもわかるほど、腹部の痛みは鋭く、何度も波のように押し寄せてくる。腸がぎゅるりと動く音が内側から響き、冷や汗が額を伝った。

 「っ……どうして今……」

 思わず声が漏れそうになり、慌てて噛み殺す。視線の先には、揺れる車内で何食わぬ顔をした乗客たち。誰一人として、彼女の苦悩など知るはずもない。

 その決意を裏切るように、腹部の痛みはさらに強まった。

 「キリキリ……」と腸がねじれるような痛み。思わず吊り革を握る手に力が入り、「ギュッ」と音を立てる。

 「はぁ、はぁ……っ」

 呼吸が荒くなる。太ももを伝う汗が、まるで羞恥を煽るかのように冷たく感じられた。

 電車にはトイレなどない。この状況から逃れる術はなく、次の駅に着くまで、ただ耐えるしかなかった。

 しかし、痛みの合間に押し寄せる便意は容赦なく、下腹部を圧迫する。

 (お願い、誰にも気づかれないで……。こんな……私が下痢に苦しんでいるなんて……絶対に知られたくない……)

 真昼は必死に脚を揃え、膝をわずかに震わせながら、祈るように目を閉じた。

 「……っ……もう少し……もう少しで駅に……」

 心の中でそう繰り返す彼女の姿は、普段の完璧さとは正反対。

 だがその必死さこそ、清楚な“天使様”が人知れず抱える弱さであり、彼女をより人間らしく、美しく見せていた。

 駅に滑り込むように停車した電車から、真昼は人混みをすり抜けるようにして飛び出した。

 制服のスカートを押さえ、鞄を肩から落としそうになりながら走る。普段ならば一挙手一投足が「清楚で優雅」と評される彼女だが、今は必死さが先に立ち、そんな余裕はなかった。

 ――トイレ。そこにさえ辿り着ければ。

 目に入った駅構内の案内板。その矢印を追い、ふらつきながら個室へと滑り込む。鍵をかけ、スカートと下着を慌てて下ろすと同時に、堪えていたものが破裂するように噴き出した。

 「――っ、はぁぁぁぁっ……!」

 便座に腰を落とした瞬間、肛門から熱い水流が勢いよく飛び出し、陶器を打つ音が狭い個室に反響する。

 ビシャァァッ……! ドロドロ……グジュルルルッ……!

 音と臭いが自分を包み込み、頬がかっと熱くなる。天使様と呼ばれる自分が、今こうして必死に下痢を垂れ流している――その事実が羞恥となって胸を突き刺した。

 「いやっ……やだ……こんな音……誰かに聞かれちゃ……っ」

 漏れる声さえ震えている。だが便意は止まらず、腸の奥から次々と押し寄せる。

 ジュブジュブゥ……ボタタタ……!

 脚を閉じることもできず、膝は震え、指先は便座を掴んで離さない。荒い呼吸が個室にこもり、全身は汗に濡れていた。

 「……っ、はぁ……はぁ……もう……止まらない……っ」

 安堵と羞恥が入り混じる。たどり着けた安心感と、清楚な自分が崩れていく惨めさ。その二つに引き裂かれながら、真昼はただ耐えるしかなかった。

 便意がひとしきり過ぎるたび、短い沈黙が訪れる。その静けさこそが、次の波が来る恐怖を強調する。

 シーン……

 そしてすぐに――

 グルルルルッ……ビチャアッ!

 止まらぬ下痢に全身が跳ねる。涙が滲み、汗と混ざり、視界を曇らせた。

 (どうか……誰にも……気づかれませんように……。お願い……)

 真昼は祈るように目を閉じ、羞恥に震えながらも、ただひたすら排泄の終わりを待った。

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