夕暮れの校舎を出た瞬間、冷えた風が制服の隙間を抜けた。
西城樹里は片手で肩のバッグを揺らしながら歩いていたが、ふいに腹の奥で鋭い痛みが走った。
「っ……くそっ、マジで痛ぇ……!」
思わず声が漏れる。足が止まり、壁に背中を預ける。握った拳が制服の上から腹を押さえ、額に汗が滲む。
キリキリ……ズキンッ!
鋭い痛みが波のように押し寄せてくる。
「いってぇ……っ、やば、歩けねー……」
呼吸は浅く、口から熱が漏れる。ハァ、ハァ……と掠れた吐息が廊下に響き、視界の端が滲んでいく。
『落ち着け……アタシ、落ち着けって……!』
自分に言い聞かせるように呟き、肩を震わせながら一歩を踏み出す。
しかし歩幅は小さく、膝が震えて思うように進まない。
ギュルルルゥッ!

制服の布地を握る指先が白くなるほど力が入り、汗がタラタラと頬を伝って落ちる。
「どっか……トイレ……はぁ、はぁ……急がねぇと……!」
背中のバッグが軋み、ギシッと音を立てる。樹里は奥歯を噛みしめ、前かがみの姿勢で必死に歩いた。
鋭い痛みがまた腹を突き上げ、ビクッ!と全身が小さく跳ねる。
その度に「ッ……!」と唇を噛み、悔しさと苦しさを押し殺す。
「……アタシ……弱ぇとこ見せたくねぇのに……!」
照れと苛立ちと必死の強がりが混ざり、胸の奥から込み上げる。
けれど、その足取りは明らかに限界に近づいていた。
個室の戸を乱暴に閉めた樹里は、しゃがみ込むより先に腹の奥を掻き乱すような激痛に襲われた。
「っ……はぁ、やっと……っ!」
スカートを乱暴に押し上げ、下着を膝まで下ろした瞬間、肛門が勝手に開いてしまう。
ビチャッ! ドロロロロロロッ……!!

茶色い水が一気に和式便器へ叩きつけられ、反響する音が狭い空間にこだました。
「くそっ……止まんねーじゃん……!」
額から汗が流れ落ちる。両腕は腹を抱え込むように強張り、震える太腿は力なく開きっぱなしだ。
ブシュゥゥゥッ!! ビチャビチャビチャッ!
波のような便意が次々と押し寄せ、そのたびに樹里の身体は小さく震えた。
痛みに顔を歪め、奥歯を噛み締めても、腸の暴走は止まらない。
「いってぇ……ッ……腹、ねじれる……!」
ググゥゥッ……ドロドロロロロ……!
激しく収縮する腹筋が腸を絞り、まだ残っていた水っぽい下痢が容赦なく流れ出す。
「……誰にも、見られてねーよな……っ」
口に出した瞬間、羞恥で頬がさらに赤く染まった。普段の樹里なら絶対に口にしない弱音。
それでも今は、腹を抱え、汗だくになりながら情けなく声を漏らすしかなかった。
ハァッ、ハァッ……ポタ……ポタタ……
最後の力を搾り出すように水っぽい音を響かせた後、便器の中には濁った液体が広がっていく。
樹里は肩を上下させながら、力が抜けたように小さく呟いた。
「……マジ、最悪……」
情けなさと安堵が入り混じる声だった。