「……っ、いた……ぁ……」
廊下を駆けながら、羽那は必死にお腹を押さえていた。さっきまでプロデューサーと打ち合わせをしていたはずなのに、急に襲ってきた鋭い痛みが、容赦なく彼女の全身を支配する。
「ごめん……プロデューサー……っ、ちょっと……トイレ、行かんと……おえん……」
唇をかみしめ、小さな声でそうつぶやく。不安と苦しさで思わず零れてしまう。
胃の奥から「グルルルル……」と不穏な音が響き、羽那の額には汗がにじむ。曲がり角を必死に曲がりながら、彼女は片手で壁を支え、片手で腹部を強く抱え込んだ。
「はやく……っ、トイレ……トイレどこ……!」
彼女の声はかすれ、ほとんど泣き出しそうだ。下腹部を押さえるたびに、さらに腸が抗議するように「キュルキュルッ……!」と鳴き立てる。

歩くたびに脚はもつれ、膝は震える。それでも羽那は止まらない。止まったらもう戻れない気がするからだ。
短いスカートの裾が揺れ、汗に濡れた太ももに張り付く。冷や汗が背筋を伝い、羽那は必死に呼吸を整える。
「……っだめ……、もう少しなのに……!」
目にうっすらと涙が滲む。羞恥と焦りと、どうしようもない痛みに押しつぶされそうになりながら、羽那はただ前へ前へと足を運ぶ。
その先にあるドアノブへ、震える指を必死に伸ばしながら――。
なんとか駆け込んだ和式トイレ。羽那は慌ただしくスカートと下着を掴み、しゃがみ込むように腰を落とした。
その瞬間――
「っ……あぁ……だめっ……!」
下腹部を突き破るような激しい便意に、もう制御する余裕はなかった。
――ブシュルルルルッ!! ビチャァァァッ!!
――ビチビチビチィィィッ!! ジョボボボボボ……ッ!

爆ぜるような音とともに、茶褐色の液体が勢いよく吐き出され、便器の水面を派手に叩きつけた。濁った水が泡立ち、酸っぱい発酵臭と生臭さが一気に狭い個室を満たしていく。
「はぁっ……っ、くぅ……っ……止まらん……っ……!」
涙目で振り返る羽那の頬には汗が伝い、噛みしめた唇が震える。腸が勝手に動くたび、「ボコボコッ……ブリュルルルッ……!」とガスと液状便が混じり合う音が断続的に響いた。
――バシャァァッ! ピチャピチャッ……!
便器に広がった下痢の海は、もう元の水色をすっかり失い、濁った茶色の液体と泡の層に覆われている。鼻をつく強烈な臭いが充満し、羽那は顔を赤くしながら必死に歯を食いしばる。
「……っ、おえん……ほんまに……おえんよ……っ……!」
羞恥と苦しみと安堵が入り混じり、声は震えて途切れる。
それでも、止まらない排泄の勢いに、ただ身を震わせるしかなかった。