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真鍋ラスの倉庫
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―樋口円香―和式に崩れる静寂

レッスン場に入る直前、円香の足がふと止まった。

「……っ」

冷たい汗が首筋を伝う。鋭い痛みが腹の奥をえぐるように広がり、次の瞬間――

ギュルルルルル……ッ!

腸の奥から響く生々しい音が、彼女の体を突き上げた。

「……タイミング、最悪……っ」

かろうじて吐き出した声は震え、余裕を装う彼女らしさはほとんど崩れかけている。

手は自然と下腹を押さえ、爪が布をきしませる。痛みと便意の波が交互に押し寄せ、そのたびに膝がかくりと揺れた。

キュゥゥゥ……ッ、グググ……ッ!

「っ……こんな……大げさにすることじゃ……ないのに……」

唇を噛み、誰にともなく言い訳を吐きながらも、視界は揺れ、呼吸は乱れる。

廊下の向こうからは仲間たちの談笑が聞こえる。

透、小糸、雛菜。あの三人の声に、彼女は眉を寄せた。

「……っ、見られるわけには……いかない……」

強がりの仮面を崩さぬまま、円香は必死に歩みを進めた。

だが一歩ごとに、腹の奥は裏切るように蠢き、ドクン、ドクンと心拍に合わせて便意が強まり続ける。

「……あの人に……心配される筋合いなんて……っ」

プロデューサーの顔が脳裏にちらつく。

だが今の彼女には、強がりで押し切る余裕すらない。

廊下の角を曲がった瞬間、再び鋭い痛みが襲い、思わず壁に手を突いた。

ギュルルルルル……ッ!! キュゥゥ……ッ!

「……っ……は、早く……トイレ……」

声は掠れ、強張った表情のまま、必死に足を進める。

その姿には、いつもの皮肉も冷静もなかった。

ただ、必死に“見られたくない自分”を守ろうとする少女の、か細い意地だけが残っていた。

レッスン前、廊下を早足で駆け抜けた円香は、どうにかトイレの個室に滑り込んだ。

「……っ、最悪……。なんで……和式なんですか、ここ……」

目の前の便器を見下ろし、思わず顔を歪める。屈みこむ姿勢の不安定さと、足にかかる負担、そして何よりこの状況。余裕のない腹痛に耐えながら、皮肉を呟かずにはいられなかった。

ギュルルルルル……! キュゥゥゥッ……!

お腹を締め付ける痛みが波のように襲い、もう一秒も待ってはくれない。震える手でスカートを押さえ、下着とタイツを急いで下ろす。冷たい空気が素肌を撫で、羞恥の熱が頬に広がった。

「っ……屈むなんて……ほんと最悪……っ」

ぎゅっと目をつむり、どうにかしゃがみ込んだ瞬間――

ドロロロロロロロロッ!! ビチャアアアアッ!!

勢いよく茶色い液体が噴き出し、和式便器の中へ叩きつけられる。反響する音に思わず肩を震わせた。

「……っ……はぁ……こんなの……誰かに見られたら……最悪どころじゃ……ない……」

額から滴る汗を拭う余裕もなく、次々と腹の奥から噴き出していく。

ブシュゥゥゥゥ……ッ、ビチャビチャビチャッ!! グググ……ッ!

下痢は止まらず、便器を叩く水音が狭い個室にこだました。円香は壁に手を突き、必死に呼吸を整えようとする。

「……はぁ……っ……早く……全部……出て……」

声は掠れ、強がりも皮肉も消えかけていた。ただ羞恥と苦痛に揺れる瞳で、ひたすら終わりを願うしかなかった。

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