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スタジオ真榊
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「AI線画」が理解る!ラフのペン入れから色トレスまで

こんばんは、スタジオ真榊です。今日は最近急激に進歩している「AIによる線画化(ペン入れ)」についての特集記事です。


「線画化」と一口に言っても、自分で手描きしたラフを白黒の線画にするだけでなく、生成したAI絵の線画部分のみを抽出して、自分で塗り直したり、AIに着彩してもらったり、既に手元にある線画をAIでクォリティアップしたりとさまざまな方法があります。単純に主線だけを抜き出す「線画抽出」なら、専用のウェブサービスやControlnetのプリプロセッサでもできるのですが、粗い線を取捨選択して正しい線を導いてほしい場合は、AIを使った「線画生成」をすることになります。この記事では、「より品質が高く、その後の作業が最もしやすい線画抽出・線画生成のやり方は何か?」ということを主題として検証してみたいと思います。


AIでラフを線画化、オート影付け!「AI-AssistantV2」でグリザイユ体験

既にこちらの記事で「AI-Assistant v2」を使ったラフからの線画化の手法を紹介していますが、今回の記事では最新の「AI-Assistant v3」や、作画補助アプリ「copainter」も含めたさまざまな選択肢を並列に検証し、得られた線画を使ってイラストをより思い通りに仕上げる方法も含めて最適解を考察していきます。



目次

線画化に使える選択肢は?

 ①Photoshop 【線画生成✖ / 線画抽出〇】

 ②CNプリプロセッサ 【線画生成✖ / 線画抽出〇】

 ③AI-Assistant v3 線画生成〇 線画抽出〇

 ④copainter【線画生成〇 線画抽出〇】

 ⑤ローカル生成(各種SDwebUI)

AI絵を線画化するには

ラフをAIにペン入れしてもらうには

棒人間(トンチキ絵)を線画化するには

線画で何をする?AI着色のやり方

 <copainterで"AI着彩">

 <ローカルで線画着色するには>

線画の「色トレス」をやってみよう

終わりに



線画化に使える選択肢は?

始めに、この記事を執筆している2024年6月下旬現在、「線画生成」もしくは「カラーイラストからの線画抽出」に使える機能やアプリなどをまとめました。AIによるものだけでなく、Photoshopなど通常の画像加工ソフトでもできる主線の抜き出しについて、取り回しやすさと線のきれいさを調べていきます。

①Photoshop 【線画生成✖ / 線画抽出〇】

AI絵や写真からの線画抽出なら、まず思い浮かぶのがPhotoshopの「フィルターギャラリー」です。


線画化したい画像を読み込んで、「フィルター▶フィルターギャラリー」「スケッチ▶コピー」を選択。これで黒背景に白線で線画が描画されます(上の画像の中央)。あとは「イメージ▶色調補正▶諧調の反転」でディティールと暗さを調整するだけで、白背景の線画にすることができます。


これはAIと関係なく、その画像から読み取れる主線以外を機械的にそぎ落としているだけなので、「線画抽出」であって「線画生成」ではありません。

ただ、あるAI絵や線画を基に、おおむね線画を継承したAI絵を生成したいときはこの手法がもっとも手軽だと感じています。CLIPSTUDIO(クリスタ)でも「ライン抽出」や「LT変換」機能などを使って似たことが可能ですが、Photoshopのフィルターギャラリーの簡便さには負けます。


白い部分を透過させたい場合は、クリスタの「編集▶輝度を透明度に変換」で一発です。

これは「輝度が高いほど透明になる」処理なので、黒い線と白い面に区分けされた画像に掛けると、線画だけが残って白背景が透明化されます。これは普段の画像加工でもいろんな場面で活躍する便利機能。ちなみにPhotoshopでは「アルファチャンネル」を使うことで白い部分を透明にすることができますが、私はクリスタのこの手軽さが好きで愛用しています。



②CNプリプロセッサ 【線画生成✖ / 線画抽出〇】

Lineart系のControlnetを触ったことがある方はすぐ思いつくのが「プリプロセッサ」を使った線画抽出。これもAI生成を伴わない画像処理なので、線画を整えることはできません。また、Photoshopでの処理と同様、黒背景に白線で出力されるため、通常線画として使う場合は白黒反転する必要があります。


やり方は簡単で、Controlnet画面で線画化したい画像を入力し、プリプロセッサで「lineart_realistic」を選んで「💥」マークを押すだけです。このときResolusion(解像度)を2048pxにしておくと、幅2048pxで線画化してくれるので、より高精細な線画化が期待できます。「Lineart anime」などもテイストは変わりますが線を抜き出してくれますので、比較してみるとよいでしょう。


これは、左の画像をそれぞれの手法で線画化し、白黒反転した後、クリスタの色調補正メニューにある「トーンカーブ」機能で明るさを調整したものです。

Lineartの方は線を多数拾えており、Photoshopの方は輪郭をより重視して抽出できるーという違いが見て取れます。機械的処理では線の「取捨選択」のようなことができないので、線画にそのまま塗っていくには線が多すぎるということもあろうかと思いますが、その場合はAI機能を使って、より高品質な線画にしていくと良いわけですね。


③AI-Assistant v3 線画生成〇 線画抽出〇

以前も紹介した作画補助AIアプリ「AI-Assistant」では、線画抽出とラフの線画化の両方を行うことができます。線画化タブで元画像を入力し、「Canny画像」を先に「生成」してから、「prompt分析」ボタンでプロンプトを自動生成してもらい、最後に左下の「生成」ボタンを押せば、上の画像のように線画が「生成」されます。


これは元画像を直接加工しているのではなく、元画像を参照してゼロから生成しているのですが、精度は非常に高く、このようにほぼ正確に元画像に重なります。(もちろん完璧ではなく、まつげなど微妙に変わっています)

線画の「忠実度」と「太さ」を調整できるので、多少ずれても良い場合は、忠実度を下げるとよりきれいな線画が得られることもあります。


もちろんこちらの画像ように、ラフ絵を線画化することもできます。「線画忠実度」の操作によって、クォリティを優先するか自分の線を優先するかを調節しましょう。


輪郭をおおざっぱに描いた程度のトンチキラフでもきちんと線画化ができます。その代わり、ほとんどディティールを描いていないトンチキラフからはプロンプトを自動抽出するのに限界があるため(例えば表情をどう描けばよいか分からない)、自分で工夫してプロンプトを組む必要があります。この絵は「腕組みをしているこちらを見下ろしてキレている制服姿のミオリネ」とプロンプト指示しているので、こんなに適当なラフでもこの程度まで整えてくれます。

ただ、ネクタイが小さかったり、細かい制服のデザインが違ったりと、完璧な線画ではありません。NovelAIのインペイント機能を使ったり、加筆修正して再度線画化タブを通したりと、この画像をスタート地点にして工夫していくのがよいと思います。


ちなみに、ラフを線画に整えたり、カラーイラストを線画化するアプリとして、高価なグラボがなくてもウェブ上で動作する「sketch2lineart」もとりにくさんが公開されています。(なんとスマホからでも動きます)

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④copainter【線画生成〇 線画抽出〇】

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Radius5社が提供する「copainter」はAIを使った有償の作画補助アプリ。2024年6月24日に、新たに線画化機能「ペン入れAI」が実装されました。copainterにはもともと、線画と下塗りをアップロードするだけでAIクォリティに着色してくれる「AI着彩」が搭載されていましたから、ここに新たに線画化機能が加わったことによって、ラフさえあれば着彩までたどり着けてしまうサービスとなりました。


<10回まで無用お試し可!>

現在、新機能搭載を記念して、10回まで無料生成できるチケットが配布されています。AI着彩、線画化ともに、無料分の10回を超えて生成したい場合は、月額680円(月50回生成可)か1980円(月300回生成可)のプランを契約することになります。


<使い方>

「ペン入れAI」の操作方法は極めて簡単。入力画像を選んで、こちらの3つのパラメータを調整して「送信」すると…


1分ほどで、このように入力画像を基にした線画生成を行ってくれます。(忠実度が低いと高クォリティになる代わりに、ラフから絵柄がAI寄りに変化し、このように描いていない部分を想像して補完してくることもあります)



AI-Assistantの線画化機能との違いは、


①ローカル上で生成が行われないため、高価なグラフィックボードが不要

②プロンプト入力の必要がなく、初心者でも簡単に高精細な線画化が体験できる


の2点。成果物の精度は非常に高く、実用的な線画を出すことができます。生成した画像は、次に「生成」のボタンを押すとDLできなくなりますので、生成するたびに必ず保存しておくようにしましょう。(生成結果が自動保存されるヒストリー機能の実装希望です!)


一方で、プロンプトをユーザーが指示できないということは、誤解されがちな絵(極端にパースが効いている、AIが学習していない特殊な被写体である、一般的にありえない人体構造…など)を入力した場合、それを正す方法がありません。さきほどAI-Assistantでは、プロンプトで「これは〇〇の絵だよ」と説明することで、トンチキラフの線画化ができましたが、copainterでそうしたことは基本的に難しいです。それなりにきちんと描き込んだイラストを線画化することが求められるため、AI-Assistantよりも、ある程度絵が自分で描ける人向けのツールと言えるでしょう。


ちなみに、入力画像は手描きラフに限定されるわけではないので、例えばプリプロセッサで抽出した線の多すぎる画像を整えることもできます。



⑤ローカル生成(各種SDwebUI)

AI-Assistantもcopainterも、内部的にはControlnetやLoRAを駆使して生成を行っているわけですから、通常のローカルwebUIでも同様のことが可能です。問題は何のCNとLoRAを使うか、t2iでやるのかi2iでやるのか、パラメータ設定はどうすべきかといった点。


ローカル生成とcopainterなどを上手に組み合わせると、このようにポン出し画像からきれいに線画を抜き出して、ローカルで自由なテイスト(厚塗り風やアニメ風、水彩画風など)に着彩することもできます。※右の画像はそこからさらに"色トレス"を行って線画をなじませています。



ローカル生成での線画化については、入力するラフが棒人間レベルなのか、それともかなり整ったものなのか、モチーフはどんなキャラクターなのか、自分の画風に忠実に線画化したいのか、それともAIクォリティに仕上げてほしいのか…といった要素によって最適解が変わります。記事後段では、どういったCNやLoRAを組み合わせると最適な結果が得られるか、パラメータ設定も含めた実験を行いたいと思います。



◆線画化に使える各種サービスの概要はここまで。ここからは記事執筆時点で使いやすく、また高品質な線画化・AIペン入れ等のやり方について検証していきます◆



AI絵を線画化するには

まずは入門編ということで、ポン出ししたAI絵を線画化する方法から見ていきましょう。なぜ一度カラーで生成したAI絵を線画にわざわざ戻すのかというと、単純に自分で塗りたくなった場合や、「惜しい」画像をいったん線画レベルで描き直してイメージ通りに修正したい場合、後述する「線画トレス」をやりたい場合―などが挙げられます。


結論から言うと、PhotoshopかLineart realisticでいったん線画抽出したのちに、copainterかAI-Assistantで仕上げるのが、現状最も品質が良いように感じています。線画抽出だけですと、前述したように線が多すぎて、色塗りや線画トレスをするにはやや「うるさい」線画になってしまいます。ControlnetやcopainterでAI着色をする際も、線が多すぎると誤解を招いて悪い方向に働くことが多いです。


そこで、このようにいったん抽出した線画をcopainterなどでもう一度「ペン入れ」することで、おおむね線を残しながらより高品質に仕上げてもらうことをお勧めします。

一発でカラーイラストを線画化してもよいのですが、その場合線の取捨選択がやや難しいように感じています。残して欲しい線と拾ってほしくない線があるので、より使いやすい線画にするにはひと手間掛けることをオススメします。



<より自然な線画にするには>

PhotoshopかLineart realisticでいったん線画抽出した際、線が多すぎてごちゃごちゃして見える場合や、誤解を招く線が自動抽出されてしまっていた場合は、やや面倒ですが下図のように自分でざーっと消しゴムを掛けてしまってから、線画生成に回すと思った通りのラインにできます。面倒であれば、画像編集ソフトに必ずある「二値化」ツールを使って、薄い線を消してしまってもよいでしょう。


こちらがcopainterでの生成結果。線の数がほどよく減って、「入り抜き」も加えられ、より自然な線画にできたと思います。瞳の線画についてはどうしても好みが分かれるので、加筆でなんとかした方が早いと思います。



ラフをAIにペン入れしてもらうには

次に、それなりに描き込んだラフを線画化する方法について考えていきます。いわゆる「AIペン入れ」に当たる作業ですね。ラフな線をほどよく無視してきれいにしてもらいたいわけですから、これは線画抽出ではなく「線画生成」に当たる作業です。よって、候補はAI-Assistant・copainter・ローカルの3つになります。


非常に下手なラフで恐縮ですが、こちらを綺麗に仕上げる方法を検証してみます。


まず、こちらがcopainterに「忠実度0.5、線の太さ0、入り抜き0.5」で生成させた場合。キャラクター容姿を学習していないので、ミオリネさんにしようとする力は働かず、単純に入力されたイラストから想定される線画に仕上げようとした感じになります。copainterが理解できない描写があると、別のものに化けてしまったり、大きく描き直されたりするため、思った通りの仕上がりを期待するのであれば、それなりに整ったラフであることが求められます。




<Controlnetを使った"AIペン入れ">

ミオリネさんの容姿を学習しているAnimagineXL3.1で、Controlnetを使ってこのラフをペン入れしてもらうにはどうしたらいいでしょうか。いろいろと試しましたが、現状「Anytest v3」と線画化LoRAを使ってt2i生成する方法がまず考えられます。


仕組みとしては、スタイルチェンジが自在にできる「Anytest」を使って、線画化LoRAとプロンプトを併用して「ラフを線画にスタイルチェンジ」するやり方です。実験に使用した線画化LoRAは、月須和・那々さん「sdxl-lineart_11」と、AI-Assistantで使われているとりにくさん「sdxl_BWLine.safetensors」の二種類。それぞれ、下記URLで配布されています。

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こちらが、Anytestの重みを変化させながら、それぞれのLoRAを適用した比較一覧です。 下に行くにつれてAnytestの効果が強まるので、より私のラフに近い絵になっていくのが分かると思います。ラフに近づくということは、低劣さもそのまま残されてしまうということでもありますので、ちょうどよい重みを調整することが求められます。


ラフに忠実に、ひざの上に両手を置く絵になったのは0.7から。それ未満だと、プロンプトに引っ張られて違う形の体育座りになることが分かります。逆に、1.0に近づくと、ラフな線に引っ張られて線画がダブる現象が増えたり、背景がグレーがかってきたりしています。



<"白紙i2i法"で白黒がはっきり分かれた線画にする>

こうしたグレーがかった線画になってしまった場合、画像編集ソフトで「トーンカーブ」機能を使うなどして直す手もあるのですが、「白紙i2i法」を使うときれいな線画が得られることが多いです。


これは以前も別記事で解説しましたが、AI漫画家ヒツジさんが考案したモノクロ画像や線画をきれいに出す手法。出したい線画と同じアスペクト比の真っ白な画像を用意して、それを「強度1」でimage2imageするだけです。ノイズからではなく白紙からノイズ除去をスタートさせるため、空白部分が白くきれいにできる効果があります。

そのままだとここに何を描けばいいかAIは分からないので、Controlnet画面に線画化したいラフなどの画像を入力し、さきほどの比較画像のときと同様にAnytest v3を掛ければOK。



このように、白背景と黒い線画がきれいに分かれた画像になります。


得られた画像をさらにcopainterやAI-Assistantに入力することで、より「入り抜き」のある綺麗な線画にすることもできます。

ただ、元イラストに低劣な部分(集合知的に考えると普通はそう描かないと判断されてしまう部分)は、描き直されてしまうことが多いです。例えば、下の画像ではズボンの丈の不自然さや左腕に乗っかっているポニーテールの先が理解されず、変容してしまっています。やはりAIに描き直してもらうか?それとも自分の線をできるだけ残すか?ということが重要になろうかと思います。


棒人間(トンチキ絵)を線画化するには

さて、さきほどはそれなりに描き込んだラフを入力しましたが、棒人間や輪郭レベルの低劣なトンチキ絵を線画化してもらうにはどうするのが良いでしょうか。前述のように、copainterはラフすぎる場合、何が描いているか理解できずユーザーの思っているものと違う絵に仕上げがちです。トンチキ絵から仕上げてもらうなら、プロンプト指示ができるツールで行うのが基本になります。


今度はこちらのトンチキ・ラフを使ってみましょう。


これが何の絵なのかAIに理解してもらうには、プロンプトをそれなりに練り込む必要があります。AI-Assistant v3の線画タブに入力し、自動抽出されたプロンプトを基に、このようなプロンプトを組みました。


1girl, suletta mercury,gundam suisei no majo,solo, long hair, looking at viewer, smile, simple background, long sleeves, white background, hair between eyes, closed mouth, jacket, school uniform, monochrome, ahoge, greyscale, hairband, shorts, wide sleeves, sweatdrop, arm up, sketch, waving, :>, asticassia school uniform,


こちらが生成結果。線画忠実度は0.65としました。弱すぎるとポーズを再現してもらえず、強すぎると低劣なラフに引っ張られるので、ある程度ガチャしてバランスを取る必要があります。

元のラフがデフォルメ体型なので生成結果も自然とそうなっていますが、修正したい場合は体をいったん消しゴムして手の位置をこのように調整し、足りない部分をNovelAIのインペイント機能で補ってもらう方法もあります。(Anytestでも可能ですが、ちょっと調整がややこしいので、NAIのほうが手っ取り早い)



このような感じ。黒ベタが入ってしまったので、例によって、これをcopainterなどでさらに線画仕上げするのもよいでしょう。




線画で何をする?AI着色のやり方

さて、ここまでさまざまな手法で線画抽出や線画生成のやり方を見てきましたが、「得られた線画をどう使うか」についても触れておきたいと思います。普段からイラストを描かれる方は、ペン入れの労力をスキップするのに有効と思いますが、もちろんAIに着色してもらうことも可能です。


<copainterで"AI着彩">

品質と簡単さで言えば、有償ソフトであるcopainterの「AI着彩」機能にやはり軍配が上がります。まずは線画と「下塗り」の2枚の画像を用意し、このように入力します。「下塗り」は、バケツツールなどを使って線画と別のレイヤーに適当に色を塗っていって、線画を消したものを入力しています。



あとは「AI変化の強さ」「書き込み量」「変換モード」「線画・色に忠実」「モデル」という各パラメータを設定して生成すると…

このように着色してもらえます。これは「ブラシ塗り」というモデルを使用しており、他に「アニメ塗り」「水彩塗り」を選ぶことができます。描き込み量を減らすとフラットな塗りに近づき、増やすと筆のタッチが多めに残って情報量が増えます。


人間が下塗りをしているので、配色ミスが起こりにくいことが「AI着彩」の最大の特徴。ただ、慣れていない人にとって下塗りを準備するのはそれなりに面倒ですし、あまり雑に配色をしてしまうと、AIがそれに引っ張られて生成結果も雑になってしまうことがあります。例えば、上の画像の白いリボンを見ると「どこまでがリボンでどこが髪か」私がきちんと判断して下塗りをしていないので、生成結果もあいまいな塗りになっています。


こちらは「水彩塗り」モデルを使用したもの。


こちらが「アニメ塗り」です。


わざわざいったん完成したAI絵から線画を抽出してこのように塗るというのはそれなりに酔狂なことで、明確な目的がなければ面倒な作業も多いのですが、きちんとディレクションした作品を仕上げたいときには、こうした作業も選択肢に入ってくるでしょう。


<ローカルで線画着色するには>

copainterは680円で月50枚の生成が可能になりますが、割とあっという間に使い切ってしまうので、なかなか手が出ない…という方もいるのではないかと思います。AI

を使った線画着色は、Anytest v3をはじめとしたControlnetでも可能ですので、そちらのやり方も検証しました。


ここでは配色をプロンプトで指示してAI任せにする「プロンプト塗り」と、自分で下塗りをしてAIに仕上げてもらう「image2image塗り」の二つを紹介します。


<1.下塗りなしでプロンプト塗り>

こちらはtext2image画面で行うAI着色のやり方です。


やり方は簡単で、Anytest v3に線画を重さ「1」で入力し、あとは普通にプロンプト指示をして生成するだけです。実験で使用したプロンプトは以下の通り。


1girl,original,solo, wind,hand in hair,red-framed eyewear,(navy school uniform,navy serafuku:1.3),upper body,flat eyes,ponytail,short sleeves,navy pleated skirt, shiny skin, beautiful purple eyes,black hair,white ribbon, masterpiece, best quality, very aesthetic, absurdres,, white background,simple background


4枚同時生成するとこのような感じになります。

ご覧のように、プロンプトが雑にカラー指示しているので、解釈の幅が生じてしまっています。「リボン」がヘアリボンなのか、胸のリボン(ネッカチーフ)なのか分かりにくいのですね。また、セーラー服も襟部分を紺に、シャツ部分を白にしたいとしたら、これでは間違いになります。


ネッカチーフや襟、シャツなど細かく分けてプロンプト指示をしても良いのですが、色指定が細かくなりすぎると、今度はblack hairと指定しているはずの髪が白くなってしまうなど、色の取り違えはどうしても起きてしまいます。

ある程度ガチャをすれば正しく塗り分けられたものを得ることも可能ですが、ちょっと面倒臭い。色の塗分けにそこまでこだわらない場合はこの着色方法で問題ありませんが、きちんと塗り分けたい場合は次の「image2image塗り」を試してみましょう。



<2.雑な下塗りでimage2image塗り>

配色ミスを防ぎたい場合は、さきほどcopainterでやったように自分で下塗りをし、それをimage2imageする方法があります。ノイズ除去強度は最大の「1」とし、線画をAnytest v3で読み込ませて生成するだけです。プロンプト指示が入力画像と矛盾したカラーにならないよう気を付けましょう。


Controlnet設定画面はこのような感じで、ただ重み1でanytest v3を掛けるだけ。特に変わったことはしていません。


このまま生成する尾、このように、配色の取り違えを防ぎながらAI着色してもらうことができます。プロンプトはさきほどのものと同じですが、正しい色の配置を高いノイズ除去強度でimage2imageしているので、間違えが起こりにくくなるわけです。


上の画像はAnimagineXL3.1で普通に生成した、言わば「マスターピース塗り」なわけですが、画風LoRAを適用することでcopainterのように塗り方を変化させることもできます。こちらはアニメ風水彩塗りLoRAを適用したもの。適用するLoRAによっては、以前Controlnetの記事で実験したようにフィギュア風にしてみたり、実写風にしてみたりすることも可能なはずです。




線画の「色トレス」をやってみよう

最後に、もう一つ線画を使った表現手法について触れておきます。抽出した線画はクリスタの「輝度を透明度に変換」機能によって白い部分を透過させることができますので、生成した画像の上に線画を重ねることで、はっきりと際立たせることができます。


たとえばこのような形。さっき掲載した水彩塗りに、参照させた線画をそのままレイヤーで重ねたものですが、線画部分がアニメのようにカチっと際立っているのが分かるかと思います。これはこれで印象が強くて面白いのですが、水彩塗りの透明感は失われてしまいます。さきほどの水彩塗りは、あえてこのように目立たせず、線画を周囲の色になじませているので自然な仕上がりになっているわけですね。



そこで、クリスタの「レイヤーカラー」機能でこの線画部分全体を茶色にしてみます。「レイヤープロパティ」パレットの該当ボタンを押し、カラーを茶色にするだけですね。すると、このように柔らかい雰囲気になりました。

ただ、服や肌はこの茶色がフィットしていますが、髪や眼鏡などはやや不自然に感じますね。まつ毛も含めてすべて線画が茶色で統一というのは、やや不自然な感じがします。


そこで、「透明ピクセルをロック」ボタンを使って、線画部分にのみ色を塗れるようにして、部位によってふさわしい色を自分で塗っていくという手法があります。これが「色トレス」と呼ばれる線画のなじませ方。注意して見てみると、だいたいのAI絵はこの「色トレス」が自動的になされていて、自然な仕上がりになっていることが分かります。


基本的にはぼけ足の強いブラシやスプレーを使って、周囲になじむ色を載せていく形になりますが、自分で線画を塗ってなじませるのはなかなかセンスが必要になります。そこで、次のような手法で「周囲の色になじんだ線画の色に自動的に変化させる」ことができます。


<自動色トレスのやり方>

①AI絵のレイヤーの上にぴったり線画レイヤーが重なっている状態からスタート。まずAI絵のレイヤーをコピーする。

②Ctrlキーを押しながら線画レイヤーの小さいキャンバスの上をクリック。するとこのように線画部分だけが選択されるので、「AI絵のコピー」レイヤーを選択し、Deleteキーを押す。

③一見何も変化していないように見えるが、他のレイヤーを非表示にすると、「AI絵のコピー」レイヤーはこのように線画だけがない塗りレイヤーになっている。

④「AI絵のコピー」レイヤーに「編集▶色調補正▶明るさとコントラスト」を掛け、かなり強めに暗くする。コントラストも上げておく。

「フィルター▶ぼかし▶ガウスぼかし」を掛ける。目安としては、線画が消えてしまった部分が完全にぼけて周囲になじむくらい。

⑥「AI絵のコピー」レイヤーを線画レイヤーのすぐ上に移動させて、「下のレイヤーでクリッピング」を押す。


うまくいっていれば、このように透明感のある線画にすることができます。これはどういう理屈かというと、線画が全部同じ色で統一されている不自然さを軽減するために、線の周囲にある色を「ガウスぼかし」によって線の上に波及させて、「下のレイヤー(つまり線画レイヤー)にクリッピング」することによって、線画の色を絶妙に周囲の色に合わせて変化させているのです。

線画の濃さや色合いは「明るさとコントラスト」「色相・彩度・明度」といった色調補正機能で好きに変化させられますし、レイヤーの合成モードをいろいろと変えるのもおすすめです。


思い切って線画部分をガッと明るくし、画面全体に「仕上げグラデーション」(ここでは説明しませんが、画面全体にエモいカラーリングのグラデーションを掛ける仕上げ術と思ってください。クリスタのアセットにエモいグラデーションが沢山配布されています)を掛けるとこのような感じに。赤いものに隣接する線画は赤っぽく、青いものに隣接する線画は青っぽいカラーになっているので、透明感が増していると思います。

線画の色が全て同じだと単調ですが、色トレスで水彩画調に合わせると透明感が増して良い感じになりますね。瞳やまつ毛なども肌色に近いカラーになっていますが、ここくらいは自分で印象的なカラーを載せると、目力のある良い感じのイラストにできるはずです。


これは、「AI絵のコピー」レイヤーを選択して、やや色の濃い茶色のエアブラシでまつ毛を塗ったところ。あまり透明度を優先しすぎると淡くなりすぎるので、強調したいところにははっきりした色使いをした方が良いようです。


このあたりは好みですが、このように瞳部分の線画を紫やピンク系に変えることもできます。



終わりに

そんなわけで、「AI線画が理解る!ラフのペン入れから色トレスまで」でした。Controlnet登場時から線画抽出とそれを維持した生成は可能だったわけですが、絵が描けなくてもトンチキラフをかなり高精細に線画化してもらえるようになったことで、生成の自由度は格段に上がってきていると思います。


このところ、お絵描きにAIを活用する方法の検証が続いてきましたが、「別に自分は絵が描きたくて画像生成AIを触っているわけじゃないよ!」という方も多いのではないかと思っています。私自身がそうでしたし、絵をうまくなりたいのであればAIなんて触らないでまじめに練習した方がいいんじゃない?という考え方は正しいと思っています。絵の修練を積まなくても、門外漢がハイクォリティなイラストを楽しめるところにAIの面白さがあるわけで、そこを否定するつもりは全くないんですよね。


先日こんなイラストを作ったんですが、これはほとんどがAnimagineXL3.1によるt2iでできています。もっと言えば、ダイナミックプロンプトを活用した大量ガチャの中から、イメージ通りの「バカ」を拾い上げてディレクションした作品です。

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私はもともとそういう大量ガチャからのピックアップでは自分の個性が出せないのではないかと思い、自分由来の作品を作るために瞳の加筆を始めたところ、いつの間にか絵がそれなりに楽しめるようになっていたわけですが、最近わかってきたのは、別にt2iだと個性や愛が出せないわけではないのだということです。


私はAIの偶然性を廃することで「自分由来度」みたいなものが高まっていくと思っていて、手描きがうまくなるにつれてその感覚も確かにあったのですが、2年近くやってきて上達してきた「AIの取り回しのうまさ」も私の個性であり長所なのかなと思います。必ずしも手描きの割合を高めなくても、きちんと意図があってそれをキャンバス上に表現できるスキルがあれば、t2iでもi2iでも手描きでも関係なく、自分らしい作品が作れていくのだなと思い、より自由さを感じています。


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ハゲも言っていましたが、大事なのは自分の理想の作品を作ることであって、別に必ず無化調でそれを表現しなくてはならないわけではない。そのためのツールは手描きでもクリスタでもAIでもコイカツでもDreamMachineでも良いわけです。手描きでなくてはならない理由はないけど、絵が描けないからと言って手描きを封印する理由もないわけで、どんどんできることを拡張していくと、使える筆が増えてめっちゃ楽しいなという話でした。


それではまた近いうちに。スタジオ真榊でした。




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下書きの線画下に関しては自分も今試行錯誤中だったのでとても為になりました! そしてまさかのラーメン再遊記w ラーメン発見伝シリーズは、ラーメンのみならずその創り方・店や店主の在り方を通じて、一種の創作論にまで到達するのが非常に面白いですよね。 (特にラーメン才遊記ラストで芹沢さんが語る「ラーメンの本質」は、当時二次創作漫画を描いていた自分にとって雷が落ちるような体験でした) この記事を見て、賢木さんがますます気に入りました! これからも応援しています!

Darek

一方で、自分では思いつけなかった偶然の一枚には何時も新鮮な驚きがあります。

z-kumagon


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