こんにちは、スタジオ真榊です。今回は、NoobAIなど生成するたびに顔立ちや画風が変わりやすいIllustrious系モデルに、CoppyLoRAv2を使って「マスピ顔」を作る実験を行いました。うまくいくまでに起きた各種失敗と、そこから分かってきた知見をまとめてレポートしたいと思います。
Illustrious系モデルはNovelAIのようにさまざまな作品のキャラクターをLoRAなしで再現できるのが最大の特徴ですが、その代わり「マスピ顔」(masterpieceなどのクォリティタグを入れると出てくる統一された顔立ち)と呼べるような統一されたタッチがないため、生成するたびに画風が暴れがちなのが扱いを難しくしています。そこで今回の実験では、CoppyLoRA v2を使って「自分画風」のIllustrious用LoRAをまず作り、モデルマージすることで、実際にどれほど画風を固定できるかを検証しました。
結論から言いますと、こちらの画像から画風を抽出することで…
このような「1girl」が出てくるIllustrious系モデルを作ることができました。
スタジオ真榊FANBOXでは既におなじみですが、CoppyLoRA v2は、1~2枚の画像を用意するだけで誰でも簡単に「コピー機LoRA法」でLoRAが作れるアプリ。LoRAの知識がなくても自分の絵でAI画風を簡単に作れるため、同じような絵柄が氾濫してしまったり、既存クリエイターとそっくりな画風になったりすることを防ぐことができます。
「v2」の導入方法と基本的な使い方については前回詳しく解説していますので、まだお読みでない方はこちらをご覧ください。

1.Illustrious系モデルと「マスピ顔」
2.Detail trainモードに読み込ませる画像を作る
<①ベース1girlちゃんで学習させる場合>
<②オリジナルキャラで学習させる場合>
3.学習開始
4.完成品を確認
5.別キャラ・別モデルで効果を確認すると…
6.どうして別モデルだとうまくいかない?
<LoRA二重掛けテストで学習内容を確かめる>
<仮説>
7.画像ペア&ベースモデル変更
8.別のキャラクターで生成実験
<顔だけLoRA強度を強めるには>
9.パースの効いた全身画像で学習できるか
10.実験で得られた知見まとめ
11.LoRAマージで自分画風モデルを作ろう
終わりに
NoobAIやObsession Illustriousなどのモデルが人気を集め、Animagine、pony系に続いてアニメ調の主力ベースモデルとなってきた感のあるIllustrious系モデル。
一方で、他の系統のモデルに比べてあまり「マスピ顔」と呼べる顔立ちがはっきりしないモデルのため、プロンプトでキャラクターの容姿だけを指定しても、生成するたびに画風が変わって同じキャラクターに見えないことがあります。
これはさまざまな画風をキャラクター名や作品名、クリエイター名、クォリティタグと紐づけて学習しているのに、プロンプトでそれが指定されていないために起こる現象です。つまり、「誰々の画風で」とか「あのアニメの画風で」といったようにプロンプト指示すれば、Illustrious系モデルでもそれなりに画風を統一できるのですが、特に実在クリエイター名のタグを使って画風コントロールをすると、「モロパクり」感あふれるイラストになってしまい、いらぬトラブルを呼び込む恐れがあるのはご承知のとおり。
特に、AIを触る前からクリエイターとして活動されてきた方にとっては、他のクリエイター名のタグを使った生成画像を普段の作業補助に使うというのは、リスクの面でもモラルの面でも許容できないという人が多いのではないかと思います。そこで、「CoppyLoRAを使って常に自分の好みの画風で生成できるillustrious系モデルを作ってしまおう」というのが、今回の試みなわけです。
さて、CoppyLoRA v2のSimpleTrain(シンプル学習)モードでは基本的にAnimagine用LoRAしか作れませんので、今回はDetailTrain(詳細学習)モードでCoppyLoRAを作ります。前回解説した通り、これは自分で用意した任意の2枚の画像の「差分」をLoRAにするモード。とにもかくにも、まずは再現したい画風のイラストを1枚用意するところから始めましょう。
<ちょっと脱線:SimpleモードでもIllustrious系LoRAは作れるが…>
ちなみに、ベースモデルにしたいIllustriousモデルを「animagine-xl-3.1.safetensors」と改名して「CoppyLora_webUI_V2\CoppyLora_webUI\models\SDXL」にある「animagine-xl-3.1.safetensors」と替えることで、強引にSimpleモードでIllustrious系の学習を行うこともできます。
Simple trainモードでは内部的に既に用意されているコピー機LoRAを使えるため、2つコピー機LoRAを作らなくてはならないDetail trainモードの半分の時間でLoRAが作れるのがメリット。その代わり、このベース1girlちゃんか、もしくはベース1boyくんとの差分しか取れない点にはご留意ください。(学習時のキャプションもいじれません)
Detail trainモードでは任意の画像2枚から差分を取れるわけですが、じゃあどんなイラストで差分を取るか、というのがまず決めなくてはならないところ。特にこだわりがなければ上の茶髪の「ベース1girlちゃん」にしてもよいですし、よく生成するオリキャラや、自分でこれまでに作った最高傑作から「逆算」して作ってもよいでしょう。(※前回記事の"【パターン2】よくできた過去作品を「マスピ化」して1枚目を作る"を参照)
例えば、ベース1girlちゃんでお手本画像を作るならこのような感じにします。
この「お手本」画像はSNS向けAI漫画に使いやすそうな、シンプル可愛くて特徴のある画風を狙って、生成+加筆で作ったものです。一番の特徴である「瞳」を印象的にするのと、全体的な塗りや線画をフラットでシンプルなものにすることを心掛けました。
<作り方>
作り方は簡単。CoppyLoRAに同梱されているこちらのベース1girlちゃんを普段使いのモデルやLoRAを適用してimg2imgし、好きに加筆するだけです。ポイントとして、口が開いてしまったり、首の角度が変わってしまったりするとその特徴量も抽出されて「首傾げ口開け画風LoRA」になってしまうので、描かれている要素はできるだけ変えないことを心掛けましょう。また、パースが効いた画像も構図に影響しやすいためおすすめしません。(※あとで実験を行います)
1024x1024サイズで、ノイズ除去強度0.75~0.95くらいでたくさん生成すれば、好みのものが出てくると思います。もちろん手描きができる方は、手癖をモロに出してこれを模写すればOKです。
生成画像と、それをどんなふうに加筆したかをGIF化しておきます。ちょっとした違いですが、口が開いてしまっていたのを閉じ、瞳のデザインや髪のハイライト、鼻のデザインを好みに従って描き替えています。
余談ですが、どうしてもAI絵は無数のイラストから平均的な美を学習する過程で、特徴のありすぎる尖ったデザインは失われていく傾向にあります。美麗だけれど没個性なAI絵にならないためには、どこかに尖った自分らしい統一デザイン(これがあると自分の絵だよというアイコン)を作ることが大事なのかなと思います。
次に、オリジナルキャラの画像ペアで学習させる場合。
下図はSD1.5の典型的なマスピ顔で生成できるnoobai系モデル「copycat-noob v1.0」を使ってポン出ししたミナちゃん(左)を、自分モデルといつものクォリティタグでimage2imageしたもの(右)です。いつも特定のキャラばかり生成する方は、そのキャラを学習モチーフにすると意図通りのデザインにできると思いますが、あまり容姿が複雑なキャラクターはおすすめしません(理由は後述)
オリジナルキャラを学習させる場合、画風と一緒にキャラクターの細かなデザインもある程度修正することができるLoRAになります。例えば上の画像の例では、胸の校章のようなマークや、半袖の紺色のふちを除去していますので、これでミナちゃんを生成するときはこのデザインで出やすくなる効果があります。
(※ちなみにcopycatシリーズは、まさに今回の実験で行うような、ベースモデルにSD1.5の生成画像から抽出した画風LoRAをマージする手法で作られています)
さて、画像のペアができたら、あとはDetail trainモードで学習させるだけです。ベースモデルにはcopycat-noob v1.0を使うか、illustrious v0.1にしたほうがいいか迷ったのですが、ベース画像の「マスピ顔」を作ったモデルの方がよいLoRAができるのではないかと考え、最初の実験ではcopycat-noob v1.0をベースモデルとしました。(※あとでこれは失敗だったという結論に至りますが、とりあえず読み進めてください)
キャプションは以下の通り。いつも通り、クォリティタグや重複するタグ、強調表示は抜いて、シンプルに画像の説明をしています。
PP:1girl,solo,sidelocks,red-framed eyewear,semi-rimless eyewear,blue eyes,,school uniform,serafuku,hair between eyes,navy_sailor_collar,ponytail,short sleeves,black hair,white bow,red neckerchief,upper body, solo, white background, simple background, white pupils
LoRA名は自由ですが、Coppyで作ったことやベースモデルが何かくらいは分かるような名前にしておくとあとで整理がしやすいかもしれません。(mina_ill_coppyv1とか)
学習を開始します。内部的には、上のマスピ顔画像だけが生成できるコピー機LoRAと、下の「正しいミナちゃん」だけが生成できるコピー機LoRAを順に作って、その差分がLoRAとして出力されます。RTX4080だと、だいたい40-50分くらいでできます。
できたLoRAはCoppyLoRAのOutputフォルダに出力されるので、ローカル環境のLoRAフォルダに移すのを忘れずに。
さっそく上のミナちゃんペアで作ったLoRA「mina_coppy_v1」を使ってみます。
まずは、ベースモデルであるcopycat-noob v1.0に適用するとどのような画風で生成されるかを確かめました。左列がさきほどと同じSeed値、右列は別のSeed値。上から、適用強度「1」「0.6」「0.4」「LoRA適用なし」の順に並んでいます。
とりあえず、想定した通りの生成結果が出たようです。LoRAが適用されていない最下段はcopycat-noob v1.0らしい「SD1.5顔」ですが、弱めに掛けた「強度0.4」でもかなり学習させた通りの画風になっていますし、セーラー服のポケットや胸元のマークを消す効果もある程度出ていることが伺えます。
ただ、赤いリボンの結び目や襟のラインの本数は間違えているので、ミナちゃんの容姿を再現する「キャラLoRA」としてはそこまで優秀ではありませんね。少なくとも、このLoRAに「copycatNoobでミナちゃんを生成するときに、学習させた通りの見た目にずらす」効果はあることが確認できたというところでしょうか。
次に、さきほどのCoppyLoRAが、ミナちゃん以外のキャラクター生成をした場合や、別モデルでもちゃんと使えるかを試します。同じIllustrious系のほか、別系統(animagineやpony系)のモデルに適用するとどういう変化が起こるかをXYZ Plotで確かめました。
こちらが、copycatNoobを始め手元にある自分モデルやanimagine、ponyモデルにさきほどのLoRAを強度0.6で適用し、「1girl+クォリティタグ」で生成したものです。(クォリティタグはnewest, latest, masterpiece, best quality, ultra highres, original, absurdres,general)
ガーン。
残念ながら、さきほどのミナちゃん画風LoRAには問題があることが明らかになりました。ベースモデルであるはずのcopycatNoobですら画風が全く似ず、illustrious系の自分モデルであるiostrious以外はほぼまともな画風統一効果が感じられない結果となりました。絵柄の特徴であるフラットな塗りや髪の毛の特徴的ハイライト、大きく白い瞳孔がほぼ再現されていません。
「ミナちゃんのプロンプトでしか画風の似ないLoRA」になってしまったのでしょうか?そこで、「1girl」だけだったPPをさきほどと同じミナちゃんプロンプトに変えて同じ実験を行いました。
やはり、まともに「画風LoRA」と言えるレベルのものはできませんでした。ミナちゃんの召喚プロンプトには「white pupils」のタグがあるので、白い瞳孔は出ていますが、そのほかは全然です。どうも「copycat-noobでミナちゃんを生成したとき」のみ画風が似るものの、そのほかのシチュエーションでは画風LoRAとしては使えないものができてしまった模様。
一体、なぜ失敗してしまったのでしょうか。
そもそもコピー機LoRA法の基本的な仕組みは、「マスピ顔」のイラストと「こう生成してほしいお手本」の画像の差分をLoRAとして抽出するというものです。その差分は、目的地の座標へ連れて行ってくれる「絶対値」的なものではなく、二つの画像の離れた距離からGPSのように「相対値」をはじき出すものなはず。このような理由から、さきほどのLoRAは「copycat-noobでミナちゃんを生成したとき」のみ画風が似るものの、同じIllustrious系であっても別キャラ・別モデルに適用すると効果に差が出てしまう結果になったのではないかと考えました。
しかし、さきほどの生成実験で気になるのは、ベースモデルであるcopycatNoobですら全然画風が再現されなかったということです。これはミナちゃんで作った画風LoRAを適用したcopycatNoobでランダム生成したもの。
さきほどミナちゃんを生成したときはうまくいったのに、なぜここまで全然画風のかけらも感じられないのだろうかと考え、もう一度ワークフローをチェックしてみました。
すると、本来除去すべきだった「white pupils」が入ったままになっていることを発見。クォリティタグ「absurdres」も消し忘れていました。
これでは「absurdresを入れたときはこういう画風にしてね」「white pupilsを強調した場合はこうなるよ」という意味になってしまいます。
そもそもよく考えてみると、この2枚の画風って、そんなに強烈な画風の差があったでしょうか?どちらもアニメ塗りですし、白い瞳孔ですし、せいぜい髪がシンプルになって影やハイライトが違う塗り方になったくらいです。画風の差がはっきりしないペアだったせいで、できたLoRAも効果がはっきり感じられないLoRAになってしまったのではないでしょうか。
<LoRA二重掛けテストで学習内容を確かめる>
先ほどのLoRAは何を差分として学習したのか確かめてみます。white pupilsタグをオンにした上で、このLoRAを「二重掛け」(プロンプト上でLoRAの呼び出しを2回行う)するテストを行いました。上段がLoRA単体がけ、中段がLoRA二重掛け、下段がLoRAなしです。(崩壊しないよう強度は0.6としました)
上段ではよく効果がわかりませんが、中段では塗りがフラットになり、目の形も吊り目方向に変わるなど、やや狙った画風に寄っていることがわかります。要するに、先ほどのミナちゃんペアでは、LoRAを二重掛けにしてようやく画風が感じられる程度にしか差分が抽出できていなかったということが分かりました。
<仮説>
差分をはっきり出すためには、すごく違いがはっきりしたペアでなくてはなりません。平凡なマスピ顔をベース画像にするのではなく、「お手本」との違いがとても際立つような、すごく特殊な画像にすべきなのではないか?という仮説を立てました。
例えばこのように「3d」「photorealistic」「ai-generated」タグをこれでもかと強調して、できる限り「同じモチーフをものすごく遠くに突き放す」ことを意識してベース画像を作ってみる方法です。右の画像は「マスピ顔」とは言えないほどいろいろ濃ゆい画像ですが、これとお手本画像を見比べると、カラーや塗り、情報量や目のデザインまで、どう描いてほしいかがはっきりするはずです。例えば、カラーだけをみると彩度が低めのフラットな塗りになり、髪のハイライトだけを見るとちょんちょんと色を置くだけのデフォルメされたハイライトに「ずらす」効果が期待できます。
ミナちゃんは眼鏡やセーラー服など、キャラクター容姿を構成する要素が複雑すぎて、画風のポイントがうまく差分として表れにくかった気もします。また、SD1.5画風でファインチューンされたCopycatNoobは、他のモデルとは潜在空間の構造が大きく異なっていると思われるので、IllustriousXL0.1をベースモデルにして学習したほうが汎用性が高くなるのではないか、と考えました。
そこで、次のような学習を行いました。
1.画像のモチーフをミナちゃんからベース1girlちゃんに変更。プロンプトを駆使して、できる限り画風を「お手本」から遠くした「極端1girlちゃん」を使う。
2.ベースモデルをcopycatnoobではなくIllustriousXL0.1に変更。
3.キャプションは従来通り、クォリティタグなし。ただしwhite pupilsは削除。
ベース画像にした極端1girlちゃんは、お手本の画像(下段)をcopycatNoobでimage2image(ノイズ除去強度0.7)して作りました。プロンプトはこちら。
PP:1girl, bangs, black shirt, blush, breasts, brown eyes, brown hair, closed mouth, collarbone, eyebrows visible through hair, looking at viewer, medium breasts, shirt, short hair, simple background, solo, upper body, white background, (3d,ai-generated:1.3), photorealistic
「ベースモデルの平凡なマスピ顔」ではなく、「できる限りキャンバス上の同じ位置に同じものを描きつつ、純粋に画風だけを極端に離す」ことを目指しています。
あとはさきほどと同様に、40-50分ほど待つと、新しい画風LoRAができました。
できたLoRAを強度1.0でIllustriousXL0.1に適用したのがこちら。("1girl"4枚生成)
ようやくきちんと画風が「寄る」LoRAができました!
「white pupils」タグなしでも、きちんと白い瞳孔が出ていることが確認できましたし、髪のちょんちょんとしたシンプルなハイライトも「お手本」の通りにできていますね。
LoRA強度を1まで強めてしまうと、被写体の構図にまで強く影響してしまうことが分かります。例えば上の画像の例では、LoRAオフだと本来描かれるはずだった紅葉や山の背景はLoRAを強めるほどに消えてしまっています。(この点はあとでadetailerによる解決をはかりました)
次に、LoRAにちゃんと汎用性があるか確かめるため、足まで映り込むミナちゃん+index finger raisedポーズで生成してみました。特に危なげなくうまくいっているように見えます。
illustrious系モデルはさまざまなキャラクター再現を得意としているわけですが、それぞれのキャラクタータグはキャラデザのみを学習しているわけではなく、ある程度原作の画風(瞳の造作や体型等)も混じって学習されています。そうすると、せっかくオリジナル画風LoRAを作っても、ベースモデルが学習している各キャラクターの画風とバッティングしてしまって効果が弱る恐れがありますので、別キャラクターでもきちんと狙った画風で生成できるか実験しました。
これはLoRAを0.6強度で適用したものですが、問題なく効いているようです。キャラクタータグのみで、作品名のタグは使っていません(white pupilsあり)
よく見ると、キャラクターの「たれ目・ツリ目度」「まつ毛の形状」などはそこそこキャラクター固有のデザインを踏まえて変化していることが分かります。もっとLoRAの影響を強めると、どのキャラもお手本画像と同じような顔立ちになりますし、弱めると各キャラクターの本来の顔立ちに寄っていくわけです。ただ、あまりLoRAを強く効かせすぎると、さきほど背景の紅葉が消えたように、キャンバス全体の構図まで影響してしまうのが難点ですね。
<顔だけLoRA強度を強めるには>
そこで、いったんLoRA強度0.5程度で生成を開始しつつ、adetailerを使って顔だけLoRA強度を1.0に強めるという手法を試してみます。
下図のように、キャラクタータグなしで顔にadetailerを利かせれば、顔の画風がキャラクター固有の画風に寄ることを防いで、しっかり自分画風で生成することができるはず。
メインプロンプトはLoRA強度0.5ですので、最初は原作寄りに生成されますが…(まつ毛の形状が原作寄りなのが分かります)
Adetailerによって、よりLoRA寄りの顔立ちにすることができました。
他に、このようなペアでも画風LoRAを作ってみました。この「お手本」はパースを効かせて無理に全身を映したイラストですし、ベース1girlちゃんに比べると顔の比率が小さく、画風がきちんと差分抽出されないのではないか?という懸念がありましたが、何事もやってみないと分からないので、まずは実験してみます。
こちらができたLoRAを0.8強度で適用した結果。
そこそこ目の描き方やフラットな塗りは覚えているのですが、右上の一枚は勝手にパースが効いて大崩壊してしまっています。もしかすると、学習時のキャプションに「perspective」などと入れていれば緩和されたのかもしれませんが、構図に意図しない影響が出てしまうのでは画風LoRAとして使いづらいですし、目などのデザインも統一感がそこまでありません。
0.6強度で適用すると構図の影響は緩和されるのですが、やはり瞳のデザインにはブレがあります。画風はやはり顔立ち、それも目のデザインに大きく宿るので、無理に下半身を映り込ませず、ベース1girlちゃんのように角度のないバストアップにしておくのが無難ということが分かりました。
今回のillustrious向けCoppyLoRA画風実験で得られた知見は以下の通りです。
①ベース画像は「平凡なマスピ顔」ではなく、不自然なほどに「お手本画像の正反対の画風」をimage2imageで作ると差分がはっきり抽出できる
再現したい画風がどういう特徴を持っているか言語化して、その要素が強調されるような真逆の要素を持ったベース画像を意識して作るとよい。フラットな塗りにしたければリッチでリアルなタッチに、大きな目にしたければ小さな目に、太い線画にしたければ細い線画に、カラフルにしたければ褪せたカラーにする。
②ポーズ・構図はできる限り同じにして、余計な差分要素を出さないこと
ちょっとでも画風以外に違うと解釈できる部分が生じると、それも差分としてLoRAに学習されてしまい、予期せぬ結果を呼んでしまう。どんな要素が差分として学習されているかは、できたLoRAを「2度掛け」すると分かりやすい。
③マスピ顔とのペアリングにこだわる必要はないので、ベースモデルは特定の画風にファインチューンされていないものを使った方がよい。
具体的には、noobAIやIllustriousXL0.1でよいはず。極端なベース画像を作るためにcopycatNoobを使ったからといって、ベースモデルにする必要はありません。(他のモデルでの汎用性が失われるため)
④画風の特徴(white pupilsやdetailed eyesなどなど)を示すタグは、キャプションに入れないようにする
これは普通のLoRA学習のときと同じ考え方。「当たり前にそうするもの」と覚えてほしい要素(white pupilsなど)はキャプションから消すこと。そうしないと、white pupilsと指定しないとそういう瞳の描写にならないLoRAになってしまう。
⑤基本はバストアップ。パースは効かせない
無理に下半身を映り込ませると、顔の比率が小さくなり、あまり画風統一感のないLoRAになってしまうし、パースがLoRAの構図理解に悪影響を及ぼすことがある。基本的にはバストアップのイラストを選ぶ。
最後に、できたLoRAを普段使いのIllustriousモデルにマージして「自分モデル」を作ってみましょう。Supermergerの基本的な使い方はこちらを参照のこと。

使い勝手を考えると、混ぜるLoRAの強度としては0.4-0.6程度がよいのではないかと思います。1つのLoRAをあまり強くマージするとモデル全体から汎用性が失われて、多様なイラストが出しにくいモデルになってしまうからです。
複数のベース画像ペアでCoppyLoRAを作っていた場合、複数適用して強度を調整することで、より細かな画風調整が可能です。例えばこちらの例では3つのCoppyLoRAを使ってテスト生成した例ですが、
左:LoRA①:0.6, LoRA①:0.5, LoRA①:0.4
右:LoRA①:0.7, LoRA①:0.3, LoRA①:0.2
のように適用強度のバランスを変えることで、ちょっとした違いを調整できているのが分かると思います。好みに従っていろいろ試してみましょう。(XYZ plotを使って総当たりすると一目瞭然です)
これはどれも同じような画風を目指して作ったLoRAなので、それぞれの適用強度を大きく変えてもそこまでバランスが変わりませんが、イラスト用、漫画用など用途や情報量ごとにLoRAを作っておくと、そのバランスを生成時にコントロールできてよいのではないかなと思います。月須和さんのflat loraやbold lora、またはwater colorなどの画材系LoRAなどを混ぜて画風をコントロールするのも良いでしょう(ただし、構図や人体構造に悪影響のあるLoRAは強めに混ぜないこと)
よいバランスが見つかったら、SuperMergerの「LoRA」タブ右下にある「get from prompt」ボタンを押せば、t2i画面のプロンプト欄にあるLoRA情報だけを強度とともにコピーすることができます。
あとはModelA欄で混ぜたいモデルを選び、モデル名を記入して「Merge to Checkpoint(Model A)」を押すだけです。お疲れさまでした!
<注意:ForgeやreForgeでLoRAのモデルマージがうまくいかない人へ>
私の環境では、相変わらずForgeやreForgeでSuperMergerを使ってLoRAのモデルマージをしようとすると失敗してしまいます。Forgeではボタンを押した瞬間にエラーが出てマージできず。reForgeでは一応モデルは出力されるものの、ModelAで選んだモデルがそのまま出力されてしまいます。
同じ現象が起こっている方は、ご面倒ですがA1111版webUIを使ってマージをするのが現状、もっとも手っ取り早いかと思います。
ずいぶん長くなってしまいましたが、とりあえずいろいろ失敗して得られた知見でひととおりの結論に至れたので良かったです。特にadetailerとの連携についてはまだまだ試したいことがたくさんありまして、例えばこのように、片方の瞳をアップにした画像を使って瞳Coppyを作れば、adetaler専用LoRAが作れるのではないかと思っています。
この画像は今回作ったLoRAで1girl、close up、detailed eyesで生成したものですが、私が用意したお手本画像と見比べると、目尻など細かいところが意図通りに学習できていないことがわかります。より大きなお手本画像でCoppyを作ればこうしたデザインもきちんと統一できると思いますし、手の描き方などパーツごとに詳細に画風を作っていくことができるはずなので、ぜひいろいろ試してみたいところです。
【20241209追記:試してみたらできました!】

また、最近はこういうモノクロ漫画もよく作るので、あまりイラスト然とした画風だけでなく、漫画向けのざかざかした線の画風も作ってみたいですね。NoobAIはかなり漫画向きなので、より画風もタッチも自分用にファインチューンしたモデルを作れればなと思っています。
漫画はやはり全コマ統一感がある画風でないとすごくちぐはぐな印象になってしまいますし、かといって既視感のあるいわゆる「AI顔」「マスピ顔」に統一すると面白味(人間味?)に欠けるので、このあたりも重要な作業だなと感じます。ほどよく情報量を落とした漫画背景の作り方などもいろいろ検証していきたいですね。
それでは今日はこのへんで。スタジオ真榊でした。