こんばんは、スタジオ真榊です。2025年3月、Chatbotに自然言語で指示して画像を生成してもらう「LLM画像生成」に革新が起きました。一つは「Google AI Studio」で画像生成・編集機能を備えたモデル「Gemini 2.0 Flash Experimental」が試験公開されたこと。もう一つは、昨日からTLをにぎわせている「ChatGPT4o」の画像生成機能向上です。
どちらもStableDiffusionやNovelAIのような画像生成専用モデルとは異なり、Chatbotに自然言語(普通の日本語)で作ってほしい画像を「お願い」するもの。ChatGPTに指示して画像生成を行うこと自体は2023年から可能でしたし、最近ではXでGrok3に指示すればFlux.1クォリティの画像が出力できたわけですが、Geminiと4oはそれらをはるか凌駕する実力を示しています。
例えばGeminiはこのように、カラー画像から線画を抜き出したり、線画を保持してカラー化したりするControlnetじみた画像編集が一発でできます。
超進化した4oも、これまでは動画生成AIの力を借りるしかなかった「一貫性を持った別角度の一発生成」ができてしまいます。
4oが白眉なのは、これまではほぼできなかった日本語の文字生成がかなりできるようになったこと。コマ割りの概念もしっかり理解できており、このような漫画生成も予備知識なしでできてしまいます。
今回はこの2つのLLM系モデルの実力をさまざまに実験し、モデルごとの特性・得意分野の違いや、4oを使った「GPT漫画」の作り方、StableDiffusionやNovelAIといった画像生成専用モデルとどう掛け合わせられるかなどを一つ一つ検証していきたいと思います。
1.Gemini2.0Flash Experimentalの使い方
2.Gemini2.0Flash Experimentalでできること
①Controlnet風の画像編集
②連続画像生成
③一貫性を持った別カット生成
④画風変換
3.ChatGPT4oの超進化
①文字情報の生成
②角度変更比較
③Controlnet的用途
④画像透過
4.「GPT漫画」爆誕
5.「GPT漫画」具体的な作り方とコツ
①お題
②提案の修正
③生成段階
・3ページ以上に伸びると?
6.「Gemini vs 4o」
7.従来のAI創作にどう活用?
・漫画利用
・イラスト利用
・Controlnet利用
終わりに - Gemini 2.5 Pro Experimental早くも登場-
Googleが2025年3月12日に試験公開した「Gemini2.0Flash Experimental」は、画像編集機能に優れたマルチモーダル型の大規模言語モデル(LLM)です。いずれ有償サービス化されることが予想されますが、記事執筆時点では、GoogleアカウントさえあればGoogleAIStudio上で誰でも無料で生成を行うことができます。
初めての方は、まず上記のリンクからGoogleAIStudioにログインします。これは、Googleの最新AIで試験的に無料生成できるAI開発者向けプラットフォームですので、一般顧客向けの正式サービスではないことに留意して利用してください。
こちらの画面まで来たら、画面右側の「Model」からGemini 2.0 Flash (Image Generation) Experimentalを選び、「Output format」には「Images and text」を選択すればOK。あとは、画面下部のウィンドウに日本語で指示すれば画像生成(text2image)が始まります。右下の「+」ボタンから、画像を読み込ませることも可能です。
さっそく実例を見ていきましょう。マルチモーダル型の画像生成が優れているのは、Chatbotと自然に会話をしながら、直感的に微修正を加えていけること。たとえばこのような感じです。
さらに、インペイントやimg2imgのような操作だけでなく、このようにアイデアが「飛躍」するような画像加工も可能です。
間違ったところがあれば、言葉で具体的にどう直したいのか指示することで、かなりユーザーの意を汲んだ結果を得ることができます。
生成結果が気に入らない場合は、入力したプロンプト履歴の上にポップアップする星型のボタン(Rerun this turn)を押せばもう一度生成を行うことが可能。その横のペンマークから一部プロンプトを書き換えてやり直すこともできます。
ただ、正式サービスではない試験公開のためか、ChatGPTのようにやりとりのログを残すことはできません(記事執筆時点)。プロンプトと生成結果は一期一会ですので、気に入った画像はきちんとダウンロードし、やりとりのログを残したい場合はスクリーンショットしておくことをおすすめします。
また、性的な印象が強いキャラクターイラストの生成は、規約エラーで弾かれることが多いです。最初は制服を着ている女の子というだけで弾かれていたので、これでもかなり緩和されたのですが、胸元やお尻などが強調されているイラストの生成や加工は引き続き難しいかもしれません。
さて、基本的な使い方が理解できたところで、じゃあどんなところが革新的なのか?ということを一つずつ見ていきましょう。
①Controlnet風の画像編集
t2iの能力もとても高いのですが、Geminiの実力が分かるのは、やはり画像を入力しての編集指示をしたときです。+ボタンから「Upload Image」を選ぶと、自由に画像を入力することができ、線画を保持した画像編集を指示することができます。
マルチモーダル型の強みは、ここから自然言語で会話をしていくだけで、好みの結果に寄せていくことができることです。このイラストの人物部分は必要な部分だけが継承されており、背景に合わせてカラーなども調整されていることがわかります。
ただ、ハイライトの不自然さなどを見て頂くと分かるとおり、Geminiのイラスト生成の実力はIllustrious系などをしのぐほどではなく、出力される解像度も高くはありません。これがそのままStableDiffusionやNovelAIの代替になるかというと微妙ですので、SDやNAIでは出しにくい部分をスポットでやってもらい、アップスケール元などとして使うのが現実的でしょう。
②連続画像生成
Geminiは通常、1枚ずつ画像を生成しますが、指示次第では複数枚の連続生成も可能です。ただ、普通に頼むとこのように、同じ画像が1枚出るだけで失敗することが多いようです。
いろいろ試行錯誤してみたのですが、こういうときは、「いったん同じ画像を生成させる」テクニックが有効なようです。いきなりミナちゃんのイラストを「〇〇して」と頼むのではなく、いったん「同じ画像を生成して」とか「固定して」とか頼み、Geminiに同じ画像を生成させます。
この工程を挟んで指示すると、なぜかGeminiは自分で生成した画像をいろいろと自由にいじることができるようになります。試験モデルですので、これもいずれ修正されるかもしれません。
この連作イラストでは、自由なアイデアで作ってもらったからか、画風やキャラクターデザインが大きくぶれてしまっていますが、きちんと指示すれば、Geminiはかなり「線画・画風を守る」のが得意なモデルです。
先ほども線画をカラー化してもらえましたが、StableDiffusionでいうControlnetのように、入力した画像の線を動かさずに指示通りの変更を行うことができます。
4oもかなり性能が高いのですが、どうしても「描き直し(生成し直し)」の印象が強く、参照させたのと同じキャラになりにくいのが弱点と言えば弱点。その分、想像力や空気を読む力は4oの方が上回っている感触があります。この辺りは後で詳しく比較していきます。
③一貫性を持った別カット生成
Geminiは単に入力画像の線画部分を守るだけでなく、入力画像を一貫性を持ったまま別カットに変更することも可能です。
これはついこの間、動画生成AIでできるようになって革新的に思っていたテクニックだったのですが、あっという間に静止画生成でもできるようになってしまいました。進歩が速すぎる!

こんにちは、スタジオ真榊です。今回は漫画制作において非常に重要な「一貫性のある背景」を作るテクニックの特集記事です。いわゆる「AI漫画」を制作する方だけでなく、自らの手で漫画を制作しているクリエイターの方にも活用できるよう、一貫性のある漫画背景を簡単に作る方法について、さまざまな検証を行いました。...
④画風変換
これもついこの間までControlnetを使って苦心していたもの。輪郭を守ることができるので、このようなことが簡単にできてしまいます。さきほどと同じ、いったん同じものを生成させてから変容させるテクニックを使っています。
こちらの記事でやっていたのと似たことを内部的にやってくれているのかなと思いますが、それにしても工数が段違いです。こんなに簡単にできてしまっていいのでしょうか。

こんばんは、スタジオ真榊です。今回の記事は、AIが苦手な「手だけ」の生成を掘り下げた特集です。こちらの投稿をご覧いただくと早いのですが、このように自分の手をさっとスマホなどで撮影し、その画角とポーズのままで線画やAIイラストに落とし込むやり方をいろいろと検証しました。 漫画やアニメ、映画を見ていると、...
手の形状を保持しながら、おっさん(私)の手を女の子に寄せて、と頼むとこんな感じ。それまでの画像の線画部分の印象に引きずられることが多いので、「線画を保持しなくていいよ」と言う必要があります。この指示の有無で、Controlnet的なシークエンスを挟むかどうかが変わるのかもしれません。
さて、次はOpenAIのスタンダードモデル「ChatGPT4o」の画像生成性能のジャンプアップについて見ていきましょう。世間がGemini2.0のとんでもなさに湧いてから2週間、OpenAIからこのような案内が出ました。
進化のポイントは、これまでのように4oが別の画像生成モデル(DALL-E3)への仲立ちをやってくれるのではなく、4oそのものに画像生成機能を組み込んだタイプのマルチモーダル型として進化したことです。詳しくはこちらの公式記事をご覧いただきたいのですが、個人的に4oの進化ポイントをまとめると「文字レンダリングがすごい」×「画風やキャラデザの一貫性を保てる」×「プロンプト理解力と応用力が高い」=「漫画が作れる!」ということになろうかと思います。
4oは無料会員でも使用することができますので、導入方法の説明はすっとばして、さっそく画像生成例を見ていきます。
①文字情報の生成
やはりすごいのは日本語を含めた文字情報の生成がかなり正確になったことです。ここからは、4oとGemini両方で比較していきましょう。
指示は「アニメイラストを生成して。黒髪ポニーテールでセーラー服、赤い眼鏡をかけた青い瞳の女の子が、"スタジオ真榊"とロゴの書かれたプラカードを持ってつまらなそうな表情で立っている。背景は学校の教室で、整然と机が並んでいる。窓の外は宇宙空間」です。
まずこちらがGemini。
なんとなく…は分かりますが、文字になっていませんね。
こちらが4oです。漢字が間違っていますが、これは「榊」の字が難しすぎるからというのと、単純に「Geminiをしのぐ文字生成性能だが、完璧ではない」ことを強調しておきたかったからです。また、フォントもだいたいこのような「4oフォント」っぽい感じで生成されることが多く、字の一部がウニョることも多いです。
簡単な漢字の文章だとどうでしょう。
とまあ、このような感じ。いったんできたものを縦書きに変更させようとするとさらに崩壊しがちですので、期待しすぎてはダメですね。
とはいえ全然ダメかというとそんなことはありません。こちらは「博士に聞いてみた!LoRAってなに?」というテーマだけを4oに与えて、自由にセリフや展開を考えさせ、出力させた漫画。正直かなり凄いと思いました。「ちょっとだけ新しいクセ」「覚えさせる」などがもちろん怪しいのですが、文字の入るスペースは確保されているので、このあたりはあとでCLIPSTUDIOなどで写植しなおせばよいと思います。
②角度変更比較
同じキャラクターの別角度の生成も行ってみます。まず、こちらがGemini2.0flash exprerimental。
こちらが4oです。
どちらもガチャなし一発生成のため完璧ではないのですが、やはり4oは「描き直す」感じが強く、画風を保持する力についてはGeminiに軍配が上がることが分かります。
一方、無機物であれば4oも大得意。このように、かなり正確に指示通りの生成ができました。よく見るとカラフルなエンブレムの色順が違っていたり、ナンバーの「東京」がおかしくなっていたりしますが、それを差し引いてもかなりの再現度ですね。
部屋の画角を変更する実験もやってみましょう。こちらがGeminiで…
こちらが4oです。
微妙なところですが、4oの方が枕やビルなど細かいところまで再現度が高いように見えます。一方で、画像の画風というか、「テイスト」のようなものは4oの方が保持できているようにも見えますね。やはり、4oは「プロンプト指示に正確だが、画風はマスピになる」ような動作をするようです。
一方で、このような「画風が多少変わってしまってもよいので、意図を汲んでほしい」ときには4oのほうが各段に性能が高いことが分かります。瞳のデザインやヘアピンの形状などは継承できていませんが、これはかなりすごいですね。
指示していないのに、キャラクター名がライフゲージのそばにあることを4oは知っていますし、名前の読み方が分からないのに、がんばってそれらしく英語で示しているところも面白いです(ミナちゃんはともかく、しのみや→しみやはしょうがないですね)。ポーズといい背景といい、全体に格闘ゲームらしい文脈がきちんと理解されており、地頭の良さ(?)のようなものが感じられます。
③Controlnet的用途
次に、さきほどGeminiでやったのと同じ、手の写真をアニメ調に変換する実験をやってみます。さきほど貼ったのと同じ画像ですが、こちらがGeminiで…
こちらが4oです。プロンプト次第かもしれませんが、4oの方が空気が読めていますね。Geminiは強力に線画保持できる分、実写調に引っ張られやすいとすれば、逆に線画を変更しやすい4oのほうがこうした加工は得意なのかもしれません。
手の実験では、「複雑な手の形状を継承できるのはすごいけど、もっと女の子の手らしくできないか?」ということをこちらの記事で検証したばかりです。さきほどGeminiに頼んだときはこのような「手」になりましたが、4oではどうでしょうか。
こちらが4oに頼んだ結果です。
これはかなり驚きました。完璧じゃん!
これも実力差というより、二つのモデルの性格の違いが明らかに出ていますね。「Geminiはできるだけ線画や画風を守ろうとする」「4oは線画や画風を無視しても、ユーザー指示の空気を読もうとする」という感じです。
④画像透過
ちなみに4oが作った上のpng画像は、背景透過までできています。「背景は透過して」と頼むと、かなりきれいに抜けるようになっています。
では、既存のイラストの背景だけを消したり、透過したりできるでしょうか。まずは白背景にしてみて、それから白い部分を透過できるかやってみます。
このように指示してみましたが、ダウンロードした画像を開いてみるとこんな感じでした。
惜しい。上下左右が切れてしまっているのは、4oに規定のアスペクト比があり、それと違う画像を入力したために起きた現象ではないかと思います。入力画像を画像加工するときではなく、新たな画像を4oに生成してもらうときに、「背景は透過して」と頼む形なら比較的うまくいくようです。が、この手の画像加工はAIを挟むよりAnime Remove BackgroundやCLIPSTUDIOでやったほうがいい感じにできるので、無理に使う必要はないかもしれません。
ちなみに、Geminiでは有効だった「一端入力したものと全く同じ画像をLLMに生成させて、その画像を加工するよう指示する」手法も4oで試してみましたが、結局うまくいきませんでした。このあたりは入力画像との相性もあると思うので、今後もいろいろ試してみようと思います。
さて、GPT4oの進化で最も驚いたのは、やはり漫画生成能力でしょう。さきほど格闘ゲームの実験でやったように、キャラクターの画像を読ませて「このキャラをこうして。1コマ目のセリフはこうで…」と指示するだけです。キャラデザの細部や画風は変わってしまうものの、かなり意図を汲んだ漫画を生成してくれます。
例えばこのような感じ。ミナちゃんの画像を1枚読ませて、漫画の内容をそのまま指示するだけで、このようなものが一発で出てきます。金網が正確なのがすごい。
「カラーにして。おっさんは40人以上にして。ミナちゃんは金網を掴んでいて、興奮して上気した表情」と指示するとこう。描画範囲が狭いのでおっさんたちの顔の細部は崩れてしまいますが、全体に意図通りになっていますね。
細かく見ていくと完璧ではありませんが、金網がちゃんとひねってあるし、顔が透けるのもすごい。さりげに指の描写も相当正確なんですよね。
もはや「GPT漫画」の作例はX上にごろごろありますので、いちいち紹介するより検索していただいた方が早いのですが、次の章では、いろいろ自分で作ってみて分かったコツをまとめてみたいと思います。
①お題
自分でストーリーやコマ割りが既に浮かんでいる場合はそれを指示文にすればよいのですが、そうでない場合、まずはお題を与えて、コマ割りと台詞を文字で考えさせます。さきほどの格闘ゲーム画像のように、複数キャラでもきちんと理解してくれます。
②提案の修正
4oが出してきた案を人間がコピペして修正していきます。重要なのは1画像あたりのコマ数。上の「全員野球」のように2コマだけならかなり正確に描けますが、コマ数が増えるごとに正確性が落ちていくので、どこまでを1ページ目に収めるかは人間が考えましょう。
下図は、当初6コマ以上を提案してきたので、4コマで考え直させたもの。
ただ、ネタがわざとらしく感じたので、このように人間が書き直して打ち返します。
③生成段階
決まったキャラデザがある場合、手元の画像を入力して「女の子のデザインはこれ」などと指示しておき、まずは「1ページ目を生成」させます。いきなりオチまで全コマ生成するのではなく、1枚ずつ、納得できるまでガチャするとよいです。目安としては、1ページ当たり2~3コマまでなら正確度が高いですが、4コマになると間違えがち。キャンバスが極端に縦長になるタテ型4コマだと4oがうまく出せないので、2コマずつ2ページに分けて生成してもらうとよいでしょう。
基本的に1ページ目の画風とキャラクターデザインを2ページ以降も継承してもらうので、1ページ目のクオリティはかなり重要です。例えばこのように指示します。
細かいミスはあれど、全体のやりたいことはほぼ汲んでくれていますね。満足がいくまで「もう1回同じ内容で生成して」などと頼んでガチャしてもよいですし、「カラーにして」「PCのミナちゃんにはキラキラしたエフェクトを足して」「胸の差をもっと強調して」などと頼んでもよいでしょう。ただ、胸に関する指示はやりすぎるとセンシティブと判断される可能性もあります。
で、ちょっとこれを見て思いついたのですが、いったん自分と全く同じミナちゃんが生成できた後に、こっそり「large breasts」と書き足していたらオチが強調されて面白いかな?と感じたので、それをお願いしてみます。
今度はPCの背景が透けているように見えたり、驚いているミナちゃんがヘンだったりするのですが、正直このへんをプロンプト指示で直してもらっていても、また新たなミスが生じたりするので、ここは一進一退になりがちです。
どれだけこの段階に時間を掛けるかはこだわり次第ですが、「4o上ではここまでやれば十分だな」と思った段階で、手描きやSD、NAIのインペイントなどを駆使して直した方が早いです。指の数がヘンだったり、「スゲェ!」のフキダシもとがらせたりしたいところですが、それもクリスタや従来のインペイントなどで直した方がはるかに早いです。
納得のいく画像ができたら、「画風はそのままで2ページ目を生成して」などと指示し、1ページ目と同じように台詞やコマの内容などを説明します。いきなり個別にコマを指定して生成するとバラバラの画風になってしまうのですが、こうした段階を踏んで指示すれば、4oはたいてい1ページ目と一貫性を保った画風で生成してくれる傾向にあるようです(もちろん確実ではありません)
すると、さきほど生成した1ページ目のキャラデザなどがそれなりに継承されます。
たまに1ページ目の情報と混線して、台詞が混じってしまうときがあるので、そういうときは2ページ目の画像を添付で読み込ませて「この画像を微修正して」と頼むとうまくできるようです。
・3ページ以上に伸びると?
基本的にはこの手法を重ねていけば、簡単な漫画なら何ページでも続けられるはずです。こちらは、さきほども触れた「LoRAってなに?」漫画。間違えている部分もポン出しそのままですので、とりあえず読んでみて下さい。
オチがいかにも「AIの考えたAIギャグ」という感じで面白いなと思いながら作りましたが、細かいところを見ていくと、文字が間違えがち、眼鏡の色が違う、博士の眉の太さが違う、ミナちゃんが眼鏡をしていないコマがある、「とても効率的で便利なんじゃ」のコマのLoRA活用例がよくわからない…などなど、ミスは多々ありますね。
また、視線誘導の関係で、文字が横書きになるとやはりアメコミのようで読みづらく感じます。コマの読み順も、日本人の慣れた「右上から右下へ」ではなく「左上から右下へ」になりがちなので、生成前にそのあたりを意識しながら指示する必要もあるでしょう。(いったんアメコミ風になったものを縦に直してと頼んでも、あまりうまく修正できないようです)
このように、すべて4oがやってくれると思わず、きちんとした作品を作りたい場合は自分で写植をしたり、コマや表情を差し替えたり、加筆したりする従来のAIイラスト術がやっぱり重要だね、ということになりそうです。
さて、二つのLLMでやれることは無限にあるので実例はこの辺りにして、「結局どう違うの?どっちを使ったらいいの?」というところを整理してみます。
実験できわだったのは、やはり「画風の扱い」の違いですね。Geminiは入力画像の画風をできるだけ保存しながら動かそうとするのに対し、4oは「自分の画風」で自由に描き直す動作をしがちなように感じます。無機物や手のアップなどなら画風が多少変わってもごまかせますが、キャラクターの容姿になるとやや厳しいですね。ただ、構図さえ出せればあとは普段の画像生成モデルでi2iなどできるわけですから、慣れた方ならそこまで問題にならないかもしれません。
それよりも、現時点で圧倒的な差があるのは「4oはすでに正式サービス化されている」という点。Gemini2.0Flash experimentalはあくまで試験公開ですし、画面端にウォーターマークも付いてきますが、4oはこれまで通り生成物の著作権がユーザーにあることを規約で認めており、ウォーターマークもなく、商用利用も可能です。
もちろん、それは「ガンダムやらドラえもんやらを生成したりSNS投稿したりしてもOK」という意味ではないのは、このFANBOXを読んでいる方ならよくご存知のことかと思います。二次創作にも二次的著作権が生じることはありますが、それは版権元から咎められないということでは全くありません。
他の違いとしては、速度もあります。これは、Geminiのほうに軍配が上がるかと思います。もちろん指示した内容の複雑さによっても生成時間には差が出るのですが、それなりに難しい生成も10秒程度で返ってくるのはすごいですね。4oは1分近く掛かることもよくあります。ただ、このあたりは試験サービスかどうかの違いもあって、モデルの性能差なのか一定の制限を設けられているのかはよくわかりません。
いずれにせよ、画像生成とLLMを巡っては、今後もOpenAIやGoogle、そしてX社、Microsoft社など、さまざまなビッグテックが熾烈な競争を続けていくことは明らかです。2025年3月時点ではOpenAIが一歩先んじているようだね、という程度に受け止めて、そのとき自分のワークフローとやりたいことにフィットしたものをそれぞれが見つけていくことになるのは今後も変わらないのかなと思います。
ちょっと視点を変えて、これまでAIで創作をしてきた我々にとって、LLM画像生成をどのように活用できるか?という点も検討してみます。
そもそも、なぜ車や部屋をぐるぐる回したり、おっさんが自分の手を撮影して女の子の手に変えなくてはならないのか?と言えば、それは「表現したいものにそれが必要だから」ということに尽きます。例えば、漫画の中にどうしても「ボールを握っている女の子の手のアップ」が必要なら、AIの力を借りてなんとか達成したいと思うもの。そういうときに、これまで以上に簡単に望みを叶えられるようになったというのが今回の恩恵かなと思います。
・漫画利用
個人的には一枚絵よりも漫画に関心があるので、まず気になるのは「漫画にどうLLM画像生成が使えるか」ということ。
SDやNAIといった従来の画像生成AIは、Pixivに投稿されているような美麗な一枚絵を多めに学習しているので、部位をアップにしたり、人物以外の絵を出力させようとするととたんにクォリティがおかしくなるということがありました。LLMはそこを補うものとして、漫画のテンポを作り出すのに必要な無生物・風景などのコマを作り出したり、そもそもコマ割りを提案してもらったりーということができるようになってきたと感じています。
たとえばこういう、手に演技をさせたいコマというのはどうしても出てきます。これもかなりインペイントやCNなどの従来技術を駆使して作ったものなのですが、これからは4oに途中までやってもらうことで、だいぶ楽にここまでたどり着けるかもしれません。
さきほどの卒業アルバムの4コマもそうですが、4oが提案してくる案は基本的に、そのままではそんなに面白くありません。しかし、とりあえず0から1をいろいろと出してもらえれば、人間がそれを見て考えることで、50にも60にもできるというのが、LLMの強みだなと思います。従来もネームアイデアなどの「壁打ち」はできましたが、それがもっともっとビジュアルに、レベル高くできるようになってきたわけですね。
逆に、フキダシの形状や写植、ちょっとした書き文字、よく見ないと気付かない小ネタなどは人間の出番。4oに9割がたやってもらう「GPT漫画」ではなく、自分の作品と思える漫画を作るためには、依存度をうまく調整していくことが必須になると思います。
・イラスト利用
では、漫画ではなく一枚絵のAIイラストの場合、LLM画像生成をどのように活用できるでしょうか。どんな作風のイラストが好みかでだいぶ変わってくるところかとは思いますが、よほど難しい条件の作品を作りたい場合でなければ、これまで通り4oなどは活用しなくても良いように思います。一枚絵としての説得力なら、むしろNiji journeyなどのほうが芸術点が高いものをどんどん出してきますし、LLMではやはり自分のこれまで投稿してきた画風と違和感が出てしまったり、キャラクター二次創作が思うようにできなかったりするからです。
ただ、AI依存度がそもそも低く、自分の手描きイラストをAIにサポートしてもらう程度の使い方をしていた方には、かなり広範な使い道があるのではないかと想像します。この特集で検証したように、自分の手の写真から絵のモデルを出力してもらったり、小物を生成してもらったり。「検索しても出てこないし、danbooru語で指示しても画像生成できないような、複雑・抽象的な物体を描くお手本がほしい」といったニーズにも、LLM画像生成はばっちりフィットします。架空のマシンガンや空飛ぶ車、SF風景などを望み通りに生成してもらう場合、SDやNAIではなかなか意思疎通が難しいので、LLMの出番ですね。
キャラクターの3面図を出したり、別のコスチュームを提案してもらったり、微修正したりと、自分がレベルアップする手伝いをしてもらうのにもよいかなと思います。LLMはどこまで行っても「集合知だとこうなる」ということを提案してくれるだけですので、0点の状態から50点のところまでワープできる装置のようなもの。写植を自分でやったり、ミスを直したりするだけで「50点」は簡単に取れる時代になったと考え、そこから「いつもの自分の作品」と思えるようにブラッシュアップしていく過程がやはり大切なのでしょう。
・Controlnet利用
例えばOpenpose用のボーンをいきなり作ってくれたら便利かなと思ったのですが、これはできませんでした。
「できる」と「できない」の間に「こうやったらできるかも」が無数にあるので、「できませんでした」と断言するのはちょっと気が引けますね。ただ、試してみて一発でできない場合は大抵時間が食われるだけになってしまうので、さっさと撤退することにしています。
いきなりボーンを生成するのではなく、このように人物で出してしまって、image2image元にしたり、ここからプリプロセッサでdepthやopenpose用の情報を抜き出すようなやり方なら、特に問題なくできるかと思います。
この例だとアスペクト比の関連で低身長になってしまっていますし、openposeプリプロセッサは実写のほうがボーンを検知しやすいので、実際には写実的な画像で出して読み込ませたほうがよいでしょう。
こちらをプリプロセッサにかければ、このようなボーンを簡単に作ることができます。
それをopenposeモデルに読み込ませるとこの通り。プロンプトは「1girl, solo,three views from front back and side,contrapposto, hand on hip,full body, (white background, simple background:1.3)+キャラ召喚タグ+クォリティ」です。
というわけで、はなはだ急ぎ足ではありましたが、2025年3月最大のトピックであった「LLM画像生成の大躍進」についてのレポートでした。
世間がGemini2.0と4oに驚いている間に、早くも次世代モデル「Gemini 2.5 Pro Experimental」がこっそりお目見えしています。こちらももちろんマルチモーダル型で、動画編集も可能な最先端思考モデルとされており、既にGoogle AI Studio上で試用できるようになりました。ベンチマークではOpenAI社のモデルをしのぐ圧倒的性能を示しているようです。
ChatGPTの最新モデルもそうですが、Gemini 2.5 Pro Experimentalは思考過程が明かされる「Thinking型」のモデルだそうで、その分精度が非常に上がっています。残念ながら、現時点でGoogle AI Studio上で公開されているモデルでは画像生成を行うことができないようですので、こちらも正式サービス化を待ちたいところですね。(おそらくかなり高額なモデルになるのでしょう…)
一方、昨日デビューしたばかりの「4o」は1回の特集では紹介しきれないほど広範な使い道があると思われ、世界中で多くのユーザーがさまざまな用途を投稿しています。さまざまな「別カット」を作れるということは、その間を動画生成AIで補完することでアニメーションを作りやすくなるということでもありますし、LoRAのデータセットを作るのにも役立つ可能性があります。現時点では、4oは1枚の生成にかなり時間がかかりますし、SDのように数百枚を一気に生成するようなことはできませんが、来年もそうかは分かりませんね。
一方で、LLM系が隆盛したからといってローカル生成の意味がなくなるわけでもないことがはっきりしてきました。自分の思った通りの作品を高品質に作るには、まだまだLoRAやControlnet、モデルマージなどの技術が有用ですし、LLM系は規約エラーなどの制約が厳しいこともあって、「移住」が起こるような革新ではないかなと現時点では感じています。
今後もLLM系・ローカル系・NAIなどのオンラインサービス系と、それぞれの持ち味を生かしながら、できることがどんどん広がっていくとよいなと思っています。
それでは本日はこのへんで。スタジオ真榊でした。
(illustrious系の自分モデルでanytestアップスケール後、CLIPSTUDIOでノイズ加算、発光エフェクト、フィルム加工、RGBずらし)
膳
2025-06-16 10:02:02 +0000 UTCレット
2025-03-27 14:47:51 +0000 UTC