こんばんは、スタジオ真榊です。2025年5月5日に、NovelAIの最新ナンバリングモデル「v4.5」の先行公開バージョン「v4.5 curated」がリリースされました。フルバージョンではないため、まだNSFW画像などの生成はできませんが、学習知識を単に拡張しただけでなく、さまざまな新機能を備えた進化版になっているとのこと。このところ更新が立て込んでいますが、GW最終日にできる範囲で、いつも通り最速レビューをやっていきたいと思います。
前回のモデル更新は3月1日、NAIv4のフルバージョン公開でしたから、わずか2か月で次世代モデルが先行公開されたことになります。NAIv4のときも最速レビューを行っていますので、こちらも併せてご参照ください。

こんにちは、スタジオ真榊です。2025年3月1日に、NovelAI Diffusion V4のフルバージョンが公開されました。機能が限定された先行公開版「V4 Curated Preview」が昨年12月21日に公開されており、いよいよNSFW機能などが解放された「full」を使うことができるようになったわけです。 「Curated Preview」リリースのときも...
1.進化ポイント概要
2.プロンプト強調が安定・進化
・「angry」を強調してみる
・「wide-eyed,glowing eyes」を強調してみる
3.「負の強調」が可能に
<主な検証例>
・検証結果小括
4.ネガティブプロンプトがパワーアップ?
5.「マスピ&背景タグ&文字生成」に変更
・masterpieceタグ復活
・「location」タグ新装
・英語レンダリングのやり方が変更に
6.その他気づいたこと
・キャラクター再現はジークア〇スくらいまで
・品質タグと除外したい要素(NP)プリセット
・SMEAは引き続き非搭載
・artistタグの置換候補に変化
終わりに
まずはv4からの進化ポイントを確認してみます。バージョンのナンバリングは「4.5」となっていますが、NAI公式によればかなり大型のアップデートのようで、「v5」としてリリースする案もあったとのこと(下図)。
NAI公式の説明によれば、データベースの最新化によって、これまで生成できなかったキャラクターや概念が高品質に生成できるようになったほか、VAEも自社製カスタムVAEに換装。「高忠実度・高品質・広範な知識を兼ね備えた、最先端アニメ画像生成AIモデル」とうたっています。v4に比べるとクセがなく、「思い通りの絵を出しやすい」とのことです。
このあたりは全体的な機能向上ですので、ぱっと生成して違いが分かるたぐいのものではありません。「v4で生成できなかった最新アニメのキャラクターが生成できるようになった」的な進化は分かりやすいのですが、この記事ではそういうポイントよりも、もっとはっきりした進化ポイントを検証してみたいと思います。
NovelAIには、プロンプトを{{{{{{このように記入したり}}}}}}、1.5::このように::記入することで、それぞれのプロンプトの強度を強めることができます。ただ、v4ではプロンプトを{}や::などで強調してもあまり効きに変化が出にくく、強めすぎると崩壊する傾向が報告されていました。V4.5ではこの点について大幅に改善が施され、「::を使って10以上の強調を行っても画像が崩れなかった」とのこと。
・「angry」を強調してみる
早速実験してみます。こちらはv4.5Curatedモデルを使い、スタンダードなミナちゃんのプロンプトを生成したもの。
このプロンプト冒頭の「angry」を「〇::angry::」に置き換えて、どんどん強調してみましょう。Seed値などもすべて同じにしています。
まず、こちらが強度1.2です。特に上の画像と変わりがありません。
強度2。ほとんど変化がありません。
強度4。多少怒り度が上がりました。
強度6。anger vein(怒りマーク)が出てきて、表情もきつくなりました。
強度8。キャラクターの顔立ちに変化が生じましたが、画面全体の崩壊はしていません。
強度10。さらにある種の「キャラクター崩壊」はしていますが、きちんとイラストとして成立していますし、angry部分以外の影響もわずかなようです。
「強度10でも崩壊しない」という公式のうたい文句は確かなようです。むしろ、以前は強度1.5程度でも相当な変化が生じていたので、数値に対する反応はマイルドになったと言えるかもしれません。
実際、全く同じ条件で、「V4」を使って生成すると、このように画面全体が大崩壊してしまいます。v4.5では、実際に著しい機能向上が得られているようです。
・「wide-eyed,glowing eyes」を強調してみる
他のタグでも実験しました。この「wide-eyed,glowing eyes」タグを強めてみます。
強度2
強度5
これが強度10です。目の光量は数字通り増量していることが分かりますし、wide-eyedにはあるところで限界があることもなんとなくうかがえる結果となりました。
「::」を使った数値強調では、プラス方面だけでなく、マイナス方面にも活用できるようになりました。例えば「-1::angry::」とすると、このように笑顔になります。
では「-10::angry::」にすると超笑顔になるかというと、そうでもなく、-5あたりからさほど変化がなくなります。
怒りの反対概念は確かに笑顔ではあるのですが、おそらく怒りと笑顔は1:1の関係ではなく「平静」「無表情」などの概念も混じっているため、このように笑顔度はあるところで頭打ちになるのだと思われます。
マイナス強調はStableDiffusionのプロンプティングやLoRAではよく行われており、ネガティブプロンプトとともに我々も馴染んでいるテクニックです。flatLoRAをマイナス適用して描き込みを増やすような使い方はだれしも普段からやっていると思います。NovelAIでも、例えばflat colorを強度2にするとこのようになりますが…
flat colorの適用度を「-2」にするとこのように、書き込みを任意に増やすことができます。まさにFlat LoRAと同じことができるわけですね。
こうした使い方はネガティブプロンプトではできないので、アイデア次第でさまざまな表現が可能になるかと思います。下記のようにいろいろなタグで試してみましたが、画風やカラー、塗りをコントロールしたり、年齢や身長、バストサイズを調整するなど、かなり広範な使い道がありそうです。
<主な検証例>
・sketch+2(背景がなくなり、線画がラフになる)
・sketch-2(線画が丁寧になり、背景も増える)
・bold +2(線画の太さが増し、厚塗り気味に)
・bold -2(線画が細くなり、水彩系の繊細なカラーリングに)
・large breasts +2(デッッ)
・large breasts -2(平らになる。さらに強めるとchibiキャラのような効果が出た)
・子供化 +2(普通に子供化する)
・子供化 -2(老いていくわけではなかった)
・fat +2(デブる)
・fat -2(痩せる。数字を大きくするほどどんどん痩せていって最終的に概念のようになるのでとてもホラー)
・検証結果小括
さまざまな検証で分かるのは、太る/痩せるのように単純な反対語のある概念の場合、マイナス適用するとスライダーのように利用できて便利だということです。一方、「sketch」などのように単純な「反対語」の関係ではなく、より複雑な要素を持つ概念の場合、必ずしも予想した効果はなく、マイナス適用を強めていってもある程度で頭打ちになることが分かりました。
例えば、「水彩画(watercolor medium)」をマイナス適用しても、反対語が明快にある概念ではないため、このように効果がはっきりしない結果となります。
NovelAIのモデル学習次第ですが、マイナス適用すると面白い/便利なタグはまだまだたくさんあると思われます。例えば、人物がどうしてもこっちを見てしまう場合は「looking at viewer」をNPにするのが常道でしたが、マイナス適用することで外すことができますし、タグの中に複数概念が学ばれてしまっているとき(pencil画風にしようとすると鉛筆が描かれてしまうなど)、マイナス適用を使って誤用を回避することなどができるかもしれません。
▲straight-on(正面構図)をマイナス適用して横にずらしていくことも可能
想定した結果と違う生成結果にどうしてもなってしまう場合、ネガティブプロンプトに間違った概念を記述して外すことが行われます。V4.5curatedでは、正の方向にネガティブプロンプトを強調することで、頑固にはがれない概念をうまくはぎとることができる…とのことだったのですが、検証ではそこまで強力な進化は感じられませんでした。
例えば、初音ミクはtwintailsと強力に結び付いて学習されていますので、単純にネガティブプロンプトに「twintails」と入れただけではなかなかはがれてくれません。「初音ミクと言えばツインテールだろ!!」という状態になっているわけです。
そこでこのように、ネガティブプロンプトを強調適用することでツインテールが外れて…くれませんでした。同じように、水星の魔女のスレッタさんの「ponytail,headband」をはがそうとしてもどうしても無理でした。
むしろこういうときは普通に「ショートボブのミクちゃん描いて」と頼めば割と普通に出てきます。せっかく進化したネガティブ強調ですが、出番はそこまでないかもしれません。
v4.5ではタグ周りでいくつかの仕様変更が行われています。主だったものは、masterpieceタグの復活と、背景タグ「location」新装、そしてテキスト生成方法の仕様変更の三つです。
・masterpieceタグ復活
NAIv4では「masterpiece」タグが廃止になり、代わりに「top aesthetic」がレーティングタグの最上位に使われていたのですが、あまり浸透しなかったようで、v4.5では「masterpiece」が再び使用されているとのこと。
とはいえ、masterpieceタグを使うと昔のように全く同じ顔が出てくるというわけでもなく、引き続き今回のv4.5もマスピ顔は搭載されていません。実在クリエイター名のタグを使用せずに一貫性のある画風を再現したい方は、さまざまなタグをプラスマイナス双方で組み合わせるか、前回の記事で紹介した「ポーション」機能をfullで搭載後に使って再現することになろうかと思います。(※記事執筆現在、V4.5Curatedでポーションは使えず、読み込ませようとするとなぜかV4fullでもV4.5CuratedでもなくV4Curatedが選択状態になる現象を確認しています)
▲鬼怒川あんなさんのポーションでミナちゃんを生成。コスプレみたいになる
・「location」タグ新装
背景を生成したい場合、「indoors」や「outdoors」を始めとしたさまざまな背景タグを入れるわけですが、v4.5で新装された「location」タグは屋内外関係なく、何かしらの背景を呼び出すことができるタグです。
そのまま放り込むだけでなく、強度を強めてみても良い感じです。locationを単体で使うというよりは、背景を描きたいときに入れておいて、他のタグで詳しい背景描写を指示するかたちになるのかなと思います。
ちなみに、マイナス適用することで無背景にすることもできました。(まあ、white background指定すればいいだけなので使い道はあまりないかも…)
・英語レンダリングのやり方が変更に
英語での文字レンダリングの手法が変更になっています。日本語生成はいまだできませんし、文字を入れたければクリスタでやればよいので、あまり使う場面はなかろうかと思いますが、一応紹介しておきます。
英語生成のやり方は、まず「text, english text」タグをプロンプトに追加して、プロンプトの一番最後に表示したい英語文を「Text: (レンダリングしたい英文)」の形で記入する、というもの。ちなみに「品質タグを追加する」をONにしていると「no text」タグが自動追加されるので、オフにしておくとよいでしょう。
ちなみに複数行に分けて生成したい場合は、プロンプト欄内で「Shift+Enter」を使って空改行を入れると可能になったそうですが、試した限りではちょっと不安定で、あまり画期的な使い方は思いつきませんでした。
▲「v4.5」がなくなって「5.curated!」になってしまった例
文章内容のミスも多発しますし、どんなフォントスタイルなのかも運任せになるのでは、わざわざAIに文字を描かせるメリットは(やっていて楽しい以外)あまりないのかもしれません。どうしても思ったように生成してほしい場合、speech bubbleタグと自然言語プロンプトを併用すると改善するようです。
例えばこのように、「text, english text,speech bubble,open mouth」を冒頭に入れ、末尾に「text:〇〇」としゃべらせたいワードを入れた上で、その手前あたりに自然言語で「The girl is saying "novelAI v4.5 curated!" with smile.」と書き加えるやり方です。
・キャラクター再現はジークア〇スくらいまで
最新アニメまでキャラクター再現は可能になっていることを確認しました。タグ検索候補にも普通に出てきます。もちろん先週登場したばかりの人妻パイロットキャラは出せませんでしたが、ここ数か月くらいまでのデータセットで作っているのかなと思います。
・品質タグと除外したい要素(NP)プリセット
NovelAIでは、クォリティタグやネガティブプロンプトのプリセットをこちらのトグルで自動追加できます。
埋め込みタグから内容を調べてみると、curatedにおけるクォリティタグには「location, masterpiece, no text, -0.8::feet::, rating:general」が自動追加される模様。nsfwが生成できないのは学習していないからだけでなく、こっそり品質タグでも全年齢指定されていたためだったんですね。脚が生成されないようになっていたのはよくわかりませんが…現時点のcuratedはあまり脚の生成が得意ではなかったんでしょうか。
一方、除外したい要素(NP)プリセットは以下の通りでした。
重い:blurry, lowres, upscaled, artistic error, film grain, scan artifacts, worst quality, bad quality, jpeg artifacts, very displeasing, chromatic aberration, halftone, multiple views, logo, too many watermarks, negative space, blank page
軽い:blurry, lowres, upscaled, artistic error, scan artifacts, jpeg artifacts, logo, too many watermarks, negative space, blank page
人間に重点を置く:blurry, lowres, upscaled, artistic error, film grain, scan artifacts, bad anatomy, bad hands, worst quality, bad quality, jpeg artifacts, very displeasing, chromatic aberration, halftone, multiple views, logo, too many watermarks, @_@, mismatched pupils, glowing eyes, negative space, blank page
指定なし:(追加なし)
基本的には低品質な学習データ由来の要素は出さないようにする傾向で組まれていますね。「重い」と「人間に重点を置く」には「multiple views」がネガティブに入っているのがちょっと興味深いです。よくあるキャラの増殖が見られたのかもしれませんね。
NPプリセットの中では、「人間に重点を置く」を選ぶとキャラクター絵としての品質は安定するようです。中身の効果としては「bad anatomy, bad hands」「@_@」あたりの定番指示が瞳や手の安定生成に貢献しているのかもしれません。「blank page」をネガティブ指定するやり方はあまり見たことがありませんでしたが、大量のデータセットの中に白紙が結構含まれていたのかな…
・SMEAは引き続き非搭載
NovelAIv3に搭載され、繊細で一貫性の取れた表現が可能になると人気だった「SMEA」設定は、v4に続きv4.5でもオミットされているようです。当時とはAI絵のタッチもかなり多様化しましたし、どうしても必要というものでもないのですが、「SMEAがないとv3のようなタッチで生成できない」という声もあるようです。
・artistタグの置換候補に変化
個人的にあまり良い事とは思えないのですが、「artist:」タグの置換候補の仕様も変化したようです。以前はこのように、置換候補にはartistタグが表示されなかったのですが、
V4.5curatedでは実在のクリエイター名が検索できるようになっています。
実際いくつかのクリエイター名で試してみると、本人が見たら最悪の印象を覚えるような精度で画風模倣ができていました。既存作品と類似性がなければ画風模倣自体は著作権侵害にはなりにくいわけですが、著作権法とは別の文脈でリスクが高いので、引き続きトラブルに巻き込まれないよう注意しながら使うべき機能かなと感じています。
以上、GW最終日でしたのではなはだ駆け足でしたが、NovelAI diffusion v4.5 curatedの最速レビューでした。以前v4 curatedが公開された際はインペイントに使えないといったことがありましたが、今回のv4.5 curatedはインペイントやポーションにも既に対応しているようです。v4のときのようなユニークな新機能はないものの、全体に使い勝手が底上げされており、v4の正統進化版という印象を持ちました。
▲既にcuratedでもインペイントが可能
v3からマスピ顔がなくなったNovelAIは、画風の一貫性を出しにくい…というより、はっきり言ってしまえば「一貫性のある画風を出したいときはartistタグを組み合わせて使ってね」という制作意図で作られているように感じます。artistタグを使っているととかくトラブルに巻き込まれやすいので、個人的にはCoppyLoRAなどで気軽に画風をいじれるローカル生成のほうがメインになってしまうのですが、NAIにはインペイントやポーションなど他にない強力な機能が揃っており、サブツールとして今後もお世話になるでしょう。
引き続き、「v4.5 Full」の登場を待ちつつ、インペイントなどサブ生成ツールとしての使い勝手もなお高まるとよいなと思っています。
それでは本日はこのへんで。スタジオ真榊でした。