SamSuka
シカク
シカク

fanbox


Creating combatants 予備校

「はぁ...本当にそろそろ勉強真面目にやらないとヤバい...」 高校三年生の山川広谷(やまかわひろや)は背中を丸め、とぼとぼと歩きながら大学受験というイベントが迫ってくる事に絶望を感じていた。水泳部に所属していた広谷は決して強くはなかったが引退まで充実した三年間を過ごした。大学でも水泳を続けたいと思ってはいるが、やはり強豪とも言えない高校からでは推薦が来ることもない。自力で望んだ大学に勉強をして合格を勝ち取るしかなかった。今はもう10月。目指す大学は決まったが全く自分の偏差値が届いていなかった。そもそも目指す大学ですら最近決まったばかりで準備も何も出来ず何を勉強したらいいのかさえ分からなくなっていた。そんな感じでやってみた模擬試験。点数も取れる訳もなく絶望感に浸りながら帰路に就こうと階段を降りていた。 「よっ!山川!今から帰るの?」 後ろから背中を叩き肩を組んでくるのは同じクラスの今長聡士(いまながそうし)。ハンドボール部で部長もしていたしっかりした奴だ。ただクラスメイトだから喋る事もあったが、そこまで親しくもないのでいきなり肩を組まれ驚いた。 「何だか背中から悲壮感が漂ってたがどうしたんだ?」 あどけない笑顔で今長が尋ねてくる。 「そんなに落ち込んでたか俺?」 「もう肩にどっかりと何かが乗ってたぜ」 「いや、実は志望校がやっと決まったんだけど模擬試験受けてみたら全然点数が足りなくて...」 「何だよ!そんな事か!?」 今長の答えに俺は苛立ちを感じ少し睨んだ。そもそもコイツは何故こんなにテンションが高いのだろうか。今長は相変わらずあっけらかんとした態度で言葉を続ける。 「ならいい所知ってるぜ!CC予備校!俺も自慢じゃないけど成績が悪くて、先輩にCC予備校紹介して貰って行ったらすげぇ成績が上がってさ!山川もどうだ?紹介するぜ!」 「予備校かぁ。そうだよなぁ、予備校でも行かないとダメだよな。今からでも間に合うのか?」 「大丈夫大丈夫!CC予備校に入れさえすればすぐに偏差値点数アップだよ!!ただし入るのにテストだけあるから合格しないとダメだけどな」 それを聞いて湧いた希望がすぐに絶望へと変換された。結局入る為にテストがあったら頭が悪い俺には無理だ。今長は俺を馬鹿にしたいだけなのかCC予備校に入れる頭の良さを自慢したいのか、とにかくもう今長と話すだけ無駄と思い、そのまま流そうかとしたが思わぬ話が耳に止まる。 「テストは筆記試験とかじゃないから頭が良い悪い関係ないし安心しろよ」 「えっ?そうなの?予備校だからてっきり俺は...」 「ははは!筆記試験だったら俺も入れてないよ!俺の言い方が悪かったな!テストっていうかちょっとした質疑応答と体をチェックされるだけだから」 「なんだ、ホットしたよ。1度帰って親と相談してみるよ」 「今日見学だけでも来いよ!!ついでにテストも受ければ?善は急げって言うじゃん!」 「いや、でも、親に1回相談した方が...」 「1回見といた方がいいだろ?それに親と来てテストに落ちたらそれこそ恥ずかしいじゃん?今日テスト受けとけば落ちても親に恥晒す事ないしさ!面接と身体チェックって言って安心させたかったけど実はCC予備校に入るのかなり倍率高めだぜ」 再び希望が絶望へと変わった。結局自慢か。俺は心の中で今長に唾を吐くとそのまま表情に出た。 「不安を煽るつもりは無かったんだよ。でも筆記試験じゃないし面接と身体チェックだから分かんねぇじゃん?それに山川水泳やってたし大丈夫だと思ってよ」 「それはそうだけどよ、そもそも身体チェックって何だよ?」 「それは俺にも分かんねぇよ」 今長は数秒前とは違い何故かいきなり開き直った態度になった。だがやはり1度CC予備校に行かせたいのかまた飄々と勧め出したので、押されに押され俺は学校からそのままその予備校へと足を運ぶ事となった。向かう最中にも本人曰く、俺達の通う学校からCC予備校に行ってるのがもう今長1人だけだから寂しいとか、曰く、俺と友達になりたいとか、曰く、CC予備校の素晴らしさを広めて欲しいとか、その他話を聞いたが全て自分勝手な理由だった。結局は俺の事なんて恐らく心配してないだろう。そんな残念な時間を過ごしていたらその噂のCC予備校へと到着した。 外観は白く綺麗な建物で予備校と言うには大きな建物だった。三階まであるその建物に入ると中の構造は学校のような造りになっていた。エントランスを抜けると二手に道が別れており、それぞれの廊下には教室が何部屋もあった。廊下を抜けた先は合流地点となり、そこに教員室がある。今長に案内され俺は授業中であろう教室を何部屋か覗き、右側の廊下を抜けて教員室へと入っていった。 「お疲れ様です!さっき連絡した友達連れてきました!よろしくお願い致します!」 「よ、よろしくお願いします!」 今長は部屋に入るや否や直立に立って丁寧な言葉を並べ出す。そして言い終えると90度に頭を下げ、その対応に俺も驚き慌てて頭を下げる。 すると1人の講師が慌ててこちらへとやってきた。 「どうもどうも!今長くんもそんなご丁寧に挨拶しなくて大丈夫だよ。いつも言ってるだろ?」 「あっ...すいません!つい...」 「そちらがさっき電話で言ってくれた子かな?」 「山川広谷って言います。今日はよろしくお願いします」 「こちらこそ。私は講師の羽田です。それじゃあ早速空いている教室があるからそこで面談をしようか」 俺と羽田さんは教員室を出て、行きとは反対の廊下側にある教室へと入る。今長は授業があるということでそのまま来た道を戻って行った。教室に入ると白い壁に白く光る蛍光灯、清潔感のある白い机と白1色で全てがキレイに見えた。俺と羽田さんは向かい合って座り話を始めた。最初は緊張したがそこまで堅いものでもなく、今までの学校生活や志望校、将来の夢など在り来りな質問ばかりだった。今度はまた教室を移動して身体チェック。部屋に入ると清潔感のある室内に1人の白衣を着た人物がいた。どうやら専属の医師らしく身長体重と測り、服を脱いで体をベタベタ触られ、血まで抜かれた。それが終わるとまた先程の教室に戻り、世間話。暫くすると封筒が届けられて羽田さんの手に渡される。中には俺の身体チェックの結果だろうか?一通り何枚もある紙をペラペラ捲り見終えるとニッコリとした表情を俺に向ける。 「入塾おめでとう!!山川君!!合格だよ!これからよろしくね!!」 「えっ?あ、よ、よろしくお願いします!!」 まさか合格するとは思っていなかったので予想外過ぎて変に驚いてしまった。でもこれで進学の不安が和らいだ。この塾で勉強すれば合格へと大きく近づくはずだ! 「それじゃあまた色々とこれからの説明があるから部屋を移動しようか」 また部屋を出て羽田さんの後ろをついて行くと最初に今長と来た教員室へと戻った。だが羽田さんはそのまま教員室を突っ切って奥にある重々しい雰囲気が漂う関係者以外立ち入り禁止と書いてある分厚い扉を開け入っていった。俺がその部屋に入るのを躊躇っていると羽田さんから“山川君入って来て”と催促を受けてしまった。 部屋に入るとそこはまた清潔感のある白い部屋。だが今までの教室と違うのはその殺風景。真ん中に椅子だけが置いてあり、それと部屋の隅に机と椅子があるだけだった。 「じゃあその真ん中の椅子に座って下さい」 「はい...」 俺は何も質問出来ないまま疑問を持ちその椅子へと座った。羽田さんも奥の机にパソコンを置いて椅子に腰かける。 「それでは山川君、見事テストに合格した君はこれからCC塾の生徒となる訳だがその為にはしなきゃいけない事があります。それを今からしますね。そんな大層な事はしませんよ。すぐに終わりますし、気持ちイイですよ。それでは始めます」 そう言い終わるとEnterを押す音が聞こえた。その瞬間、ガシャン!と音が鳴り、手首と足首、胸と首が拘束具によって固定されてしまった。 「なっ!何だよこれ!おいっ!何だよ!」 急な拘束に恐怖と驚きで叫ぶがそれが羽田さんに届くはずもなく冷たい温度だけが固定された部分に伝わるだけだった。だが、それは鉄製の冷たい物だけではなかった。その温度が段々広がる事に違和感を覚えて視線を落とすと拘束具から黒い液体が皮膚を覆っていた。素肌に直接当たる胸以外の拘束具からソレは出ており、制服の下はあっという間にピッチリとしたインナーを着用している野球部の様になった。次にそれはお尻、顔など人間の穴がある部分から侵入し始め体内を侵していく。外も中も広がり続け、頭のてっぺんから足先まで隅々まで黒く包まれた俺は制服の下にラバースウツを着ているような姿になった。 この黒い液体のせいか全身に快感が襲う。 体がビクビクと痙攣を起こし、特に腰はヘコヘコと上下に動く。 頭に声が響く。 組織が素晴らしいと言ってる。 組織が正しいと言ってる。 組織が悪こそが正義だと言ってる。 組織に従えと言ってる。 組織に従えば気持ちイイと言ってる。 組織に全て捧げろと言ってる。 組織に忠誠を誓えと言ってる。 組織に忠誠を誓えと言ってる。 組織に忠誠を誓えと言ってる。 組織に忠誠を誓えと言ってる。 組織に忠誠を誓えと言ってる。 組織に忠誠を誓えと言ってる。 脳内を侵していたその声は全て俺自身の声だった。 「俺は組織に従う...組織の命令に従う...組織が正しい...組織は素晴らしい...組織に俺の全てを捧げる...!組織に全てっ、捧げる!組織に忠誠を誓う...組織に忠誠を誓うっ!組織に忠誠を誓いますぅ!組織に忠誠を、誓います!!組織に忠誠を誓いますぅぅぅぅぅぅぅ!!」 俺は自分の命、思想、体、全てが組織の戦闘員として完成すると腰を浮かして射精をした。 拘束具が外れて、そのまま椅子に体を預けてぐったりとしていると耳から靴の音が聞こえる。だんだんと音は大きくなって俺の前で止まる。 「戦闘員212号、素体名山川広谷起きろ」 羽田さんのいや、上官の声が聞こえると頭で処理するよりも早く俺の新たな本能が体を動かし、直立で立ち上がった。制服を脱ぎ捨てて全身タイツである組織の戦闘員、下僕である事を示す胸に組織のエンブレムが刻印された戦闘員スーツ姿になる。俺の新たな皮膚、戦闘員スーツを操作して顔を外気へと晒し、真っ黒な手袋とブーツを装着させるとそのすっかり光のない濁り切った目で上官をまっすぐ見つめ大きく口を開いた。 「素体名山川広谷!組織の戦闘員212号として完成致しました!!組織に忠誠を!組織に全てを捧げます!」 その俺の言葉に同じ胸に組織の刻印が刻まれたスーツを着る上官は口角を上げて俺に賛称の拍手を送る。 「やはり君はいい素体だ。拒絶反応もなく体も心も素直だ。これから君はここで組織の戦闘員として色んな事を学んでもらう。ここの生徒は組織の立派な戦闘員になるための研修場といった所だ。君も1人前の戦闘員となるべく改造や訓練などやってもらう。さて、改めて自己紹介をしよう。上級戦闘員でここの講師をしている戦闘員A16号だ」 「よろしくお願い致します!A16号様!!」 CC予備校がどういう所か。改めて俺はA16号様から説明を受けた。 1階フロアは外部からのカモフラージュも兼ねて普通の教員室と教室。教室で行うのも普通の学習塾のような授業をちゃんとするらしい。そして今ここにいる教員室の奥にある戦闘員作成室。 2階も主に教室ばかりだそうだがここより小さい教員室と自習室もあるそうだ。そして教員室の奥、この場所のちょうど上に当たる所には懲罰房が存在している。 そして3階。3階は主にジムの様な広々とした作りになっている。表向きには生徒達の体を動かせる場所を作り、リフレッシュさせる為だがその実は戦闘員の体を鍛える訓練場所となっている。そしてそれとは別にやり場と呼ばれる空間もあり、ここで戦闘員同士の欲を発散させている。 この建物はそれだけでは終わらず地下室がある。むしろ地下の方が広いと言っても過言ではない。教員室の扉とは反対の壁が仕掛け扉となっており、そこから地下へと降りれる。地下では主に戦闘員の改造など表には出せない兵器の作製や科学実験が行われている。 そして今、俺とA16号様は移動してこの地下室へと来ている。 「212号、君を呼んだのは新たに開発した肉体強化の薬の適性が高く試して貰いたいからだよ。早速投薬したいと考えてる。そこに立ってくれ」 「はっ!かしこまりました!!」 俺が指定された台座へと登ると上から先端に針が付いたロボットアームが降りてくる。そのまま俺の脊髄辺りを狙ってブスっと刺さり何か得体の知れないものが注入されるのを感じた。 「ゔっ、あっ、あ、イ"、い"っ、い"っ」 思わず崩れ落ち両膝をつく。体が熱を帯びて汗が流れる。それに伴い部活を引退してから鈍っていた体が現役時代、いやそれ以上に引き締まり黒い戦闘員スーツがその筋肉を更にイヤらしく浮かび上がらせる。陰茎もデカくなって反り立ち上がり、逆三角形になった俺の腹筋に当たる。気持ちイイのか苦しいのか分からない中、ビュッビュッと射精を繰り返す。 体が改造されてるのが分かる。 脳が更に弄られているのが分かる。 でも幸せだった。快楽だった。 組織の為だと思えば。 改造液の投薬が終わり、体の落ち着きも取り戻すとスっと俺は立ち上がり改造された体をA16号様の元へと戻る。 「さすがは高素体だ。君ならすぐにでもここでの訓練を終えて任務に就くことが出来るだろう。組織の繁栄の為、君の働きに期待している」 「はっ!ありがとうございます!!早く組織の役に立てるように邁進致します!!」 進学で悩んでいたのが馬鹿らしい。俺の新たな進路があっさり決まった。これからはこの人生、組織に全て捧げ俺は生きていく。


More Creators