ヴァイス教~case 3~
Added 2021-01-17 11:28:59 +0000 UTC俺の名前はロアン。アルセルラ王国カマール村。ここはシンバ帝国との国境近くにある小さい村だ。この村に今、ヴァイス教の団体が滞在している。しばらくこの村を拠点にするらしい。滞在中はお礼に炊き出しや礼拝、首都から持ち込まれた品物の売買などを行うらしい。ただの村人である俺がそれ以上の何かを知るはずはなく、その光景を不快な思いで見ていた。小さな村なので有難い話ではあるが、俺は宗教なんてものは信じていない。しかもヴァイス教と言えば教祖がヴァイスというただの人だ。よく皆信じられるものだ。神なんて居れば俺の両親は事故で死ぬなんて事は起きていない。きっと助けてくれたはずだ。神に祈った所で神は俺に何もしてくれない。信じるだけ無駄だ。 村の広場で朝の礼拝が行われている。村には教会が無い為、ヴァイス教の方達と村の信者、興味のある人達は共にお祈りを捧げていた。見たくもない光景だが、俺の家、畑からだと嫌でもそれが見えてしまう。畑作業の途中、なるべく無視をするようにするが、有難いお話をする声が聞こえてきてしまう。鍬を地面に突きさし、溜め息が零れる。 「貴方はお祈りしないんですか?」 そんな様子の俺を柵の外から目立つ白い鎧を身に付けた男が落ち着いた丁寧な口調で声を掛けてくる。 「いえ、俺は宗教とかあまり興味が無いので…」 「そうですか…。それは残念です。神は信じられませんか?」 「そうですね。信じた所で両親は帰って来ないですから。すいません、こんな話」 「いえ、話しかけたのは僕の方ですから。両親はお亡くなりに?」 「はい。子供の頃に…」 「そうですか。思い出させてしまったみたいで申し訳ございません。貴方に幸せが訪れるように祈りを…」 そう言って目の前の騎士は目を瞑り、掌を右胸に当てる。 「やめてください。俺は本当にいいですから」 「失礼しました。貴方に少しでも教祖様のご加護があればと…」 「気持ちだけで大丈夫です。貴方は俺とあまり歳が変わらなさそうですけど何故ヴァイス教に?」 「歳は18ですよ」 「なら一緒ですね。俺も18です」 「同じですか!これも何かの縁ですね。仲良くしたいものです。そうそう何故ヴァイス教に?って質問ですね。教祖様直々に救って頂いたんですよ。僕も元々は無宗教だったんですけど数ヶ月前にヴァイス様という神に出会い、入信しました。それからは教祖様のご加護のお陰で人生が素晴らしいものになりました。スキルにも恵まれていたので、こうして教皇様のお役に立てることが出来てとても嬉しく思います。僕はヴァイス教徒になってとても幸せです」 幸せな記憶を思い出すように語られるその内容はまさに心酔する信者という解答だった。俺にとっては反吐が出る。歳がいっしょでも俺とこんなに違うものか。仲良くはなれそうにない。 「スキル鑑定はされたのですか?」 唐突に騎士から質問される。 「いや、こんな村じゃ教会もないし、他の村や町に行くのにもお金がかかる。そんな事が出来るのは村でも金持ちの人達だけだよ。俺も含め、村のほとんどの人達がスキルも分からず一生を終える。まあスキルによっては偶然分かる事もあるみたいだけど。でもこんな村でスキルが分かっても分からなくても同じさ。少しの魔力でも生活出来るだけの魔法があれば生きていける」 「では先程の失礼のお詫びとしてスキル鑑定受けてみませんか?勿論お代は頂きません」 「俺の話聞いてました?俺は別に分からなくても」 「でも分かれば出来ることが増えるかも知れませんよ。先程も言いましたがお代は頂きません。こんな機会ないと思いますよ。いかがですか?」 手を頭に当てて考える。教会がない村ではこういう風にどこかの教団関係者がわざわざ水晶を持って来ない限り鑑定なんて出来ない。教会ひとつに水晶1つと決まっているので水晶を持ってきているという事は今どこかのヴァイス教の教会では水晶が無いということだ。なので持って来てくれたしても高い鑑定料を取られる事になる。そしてこんな辺鄙な村じゃお金も勿体なくする人も限りなくゼロに近い。確かにこんな機会はない。 「分かりました。お願いします」 承諾すると男は嬉しそうに歯を見せる。 「そう言えば名乗ってなかったですね。失礼しました。ヴァイス教教祖直属護衛近衛聖騎士ルイスと申します。肩書きは長いですが折角歳も同じなのですから気にせずルイスと呼び捨てでお呼びください」 「へぇ、教祖直属って若いのに偉い人だったんですね。俺はロアンです。貴方のそのわざとらしい敬語止めてくれたら呼び捨てで呼びますよ、ルイスさん」 「これは手厳しいですね。お時間はありますか」 「畑仕事が終わればありますよ。それももう終わりますが」 「では準備をしまして2時間後ぐらいにいかがですか?」 「大丈夫ですよ」 「それはよかった。ではまた呼びに来ますね」 「分かりました。多分家の中にいると思うんで」 ルイスさんは丁寧に頭を下げて畑を去っていった。それにしても偉い人が祈りの最中に離れてここまで歩いてくるなんて俺に何の用だったのだろうか。祈りも捧げず遠くから見てる俺が気に食わなかったのか?まぁいいや。スキル鑑定もタダで出来るし。あまり考えないようにしよう。 ロアンの畑から戻ると同じ真の信者である職員が俺の元へとやってきた。 「ルイス様。わざわざあの様なただの村人に何用が?何か用がありましたら、私達下の者に命令して頂ければルイス様の足を運ぶ事も無かったかと」 「俺の直感があの男、ロアンは恐らくヴァイス様のお役に立つ人材だと言っている。スキル鑑定の約束もしてきた。準備をしておけ」 「分かりました。ルイス様が仰るのなら確かなのでしょうね。すぐに準備を致します」 「ああ、頼む。あと、他の皆の様子はどうだ?信者として遠征で教祖様の元を離れるのが皆初めてだろう?」 「ええ、それに関しては私も含め、夜にお互いで慰め合いながら教祖様の命令を支えに頑張ってます」 「ならばいい。ここは本部の外だから声は気を付けろよ」 そう言って俺は職員の股間を揉む。 「んあぁ…♡はい、ルイス様♡」 2時間後、ルイスさんが俺を迎えに来た。俺は教団の人達が滞在しているという宿へと案内される。スキル鑑定の為に一室別で部屋を借りてくれたらしく、少し申し訳ない気持ちが出てきてしまう。でも、言ってきたのは向こうからだ。気にする事はないと思うようにした。部屋に入るとすでに1人職員の人がいて、ルイスさんと少し話すと、ルイスさんはそのまま出ていってしまった。 「個人情報であるスキルが漏れると大変なのでルイス様には退出して頂いたんです。それでは手をこちらの水晶の上に」 「はい…」 職員の嘘くさい笑顔に思う所はあるが、ルイスさんも少し笑顔は嘘くさい。教団の人達は皆、こうなのだろうか。モヤモヤとした感情を少し持ちながらも、俺は言われた通り水晶に手を乗せる。 暫くすると水晶が薄く光り、目の前に紙が現れた。 「それを手に取って下さい」 職員の言われた通りにその紙を掴むと文字が浮かび上がってくる。 “隠密”“暗殺”“気配察知” 自分のスキルを見て愕然とする。スキルが3つあった。本当なら嬉しいはず。だが、これじゃまるで暗殺者だ。裏の世界でしかこんなの役に立たない。勿論裏稼業なんかやるつもりなんかない。人を殴った事さえないのだ。こんな結果なら鑑定なんてするんじゃなかった。悲観になり肩を落としていると、職員から声が掛かる。 「以上となります。ロアンさんのスキルがどんなものでもきっと幸福は訪れますよ」 「そう、ですか…」 またあの嘘くさい笑顔。こんなスキル誰にも言えない。幸福なんて来ない。来るのはいつもと同じ両親がいない生活。結局俺には畑仕事がお似合いだ。後悔と失望のまま部屋を出るとルイスさんがこちらに笑顔を向けて待っていた。 「お疲れ様です。鑑定はいかがでしたか?自分のスキルが分かると得意な事、その能力を使って出来ることがハッキリ分かりますからね。やって損は無かったと思いますよ」 その言葉に俺は苦虫を噛み潰したように返す。 「損しか無かった…!今じゃ後悔してる。俺には何も無い…」 ルイスさんの顔を怖くて見れず、俺は俯いて足速に宿を出た。とにかく早く離れたくて、いつの間にか人気のない道に入ってしまったようだ。 「待ってください!」 すると後ろからルイスさんが追っかけて来た。あんな八つ当たりをしたのに。 「せめて送らせて下さい…。その、さっきはロアンさんの気持ちも知らず無神経な事を言ってしまい申し訳ありませんでした…」 「いえ…こちらこそ折角善意で鑑定させてくれたのに結果が良くないからって八つ当たりしてしまってすいません…」 「いえ、そんな…とりあえず、行きましょうか…」 そうルイスさんが気まずそうに言葉を切った瞬間に上からナイフが飛んでくる。 「危ない!!」 ルイスさんが剣で払い除けてくれ、俺を庇ってくれた。ナイフが地面に突き刺さると2人の黒装束に身を包む怪しい男が現れる。 「すいません…きっと狙いは俺です…巻き込んでしまってごめんなさい…ロアンさんには謝ってばっかですね…」 ルイスさんは俺を庇いながらも2人を相手に渡り合っている。その光景は流石の一言だ。あの長い役職名は伊達じゃないと言うことだ。俺はその攻防を見つめ、逃げる隙を伺っていると、ふと後方に気配を感じる。ナイフを持った男がこちらに襲いかかってきた。早く気配に気付いたお陰か、寸前の所で致命傷は避ける事が出来たが、肩をかすり血が流れ出す。騒ぎを感じた教会の人達が来ると、黒装束の男達は何をするでもなくそのまま逃げていった。 「ロアンさん!!大丈夫ですか!?早く!ヒール魔法を!!」 ルイスさんは男達が居なくなるとすぐに俺に駆け寄ってくれた。怪我を見て来てくれた職員達に指示を出す様に俺も他の人達も普段と違うその迫力に思わずビックリしてしまう。 「ロアンさん、本当にすいません…俺のせいで…」 「いえ、大丈夫ですよ。こんなのかすり傷ですから」 「でも刃に毒とか塗られていたら」 「今の所大丈夫そうです。それにすぐに治してくれるんですよね?」 「もちろんです!」 何故か俺は職員さん達がこれ以上ビビらないようにとルイスさんを落ち着けようと大丈夫だとアピールをする。勿論それなりに痛いのだが。 「先にこれだけでもしときますね」 そう言ってルイスさんは突然、純白な卵型のモノを取り出す。 「それは…?」 「これは教祖様の魔力で作られたもので、体の中の毒など不純物を打ち消すものです。もしもという事がありますので」 「わ、分かりました」 その胡散臭いモノに信用感など無かったが、今の状況と理由が理由だったので躊躇いつつも俺は承諾した。傷口近くにそれが近付くと煙を上げるように傷口へと流れ、体内へと入っていく。段々と卵は小さくなり、全てが俺の中へと入ったタイミングでヒーラーの職員がやって来た。すぐに傷口は治され、痛みも引いた。流石はヒールスキル持ちだ。ヒールスキル持ちは回復系統の能力や効果を底上げされている為、回復魔法のスペシャリストになれる。本来、薬ではなく、ヒーラーの手によって傷や病気を治すのには多額のお金がいる。だが、今回はルイスさんが要らないと、自分のせいで俺を傷付けたと言ってお金は受け取ってくれなかった。内心、そこまでお金がある訳ではないので安心はした。ルイスさんが家まで付きっきりで送ってくれて、着いた頃にはもう夜遅い時間になっていた。一応言っておくがルイスさんはあの教祖様の側近。本来なら忙しく、一人の、ただの村人の俺にこんな時間を割いてくれるのは有り得ない事だ。恐らく信者なら泣いて喜ぶ事なんだろうが、俺にとってはあの時に声掛けられたせいで散々な目にあったと、家に着いた時に気付き、ぐったりとした。今日はすぐに寝ようと寝所に入ると、ふと今までには無かった思い、考えが過ぎる。 “神は信じられないがルイスさんも職員の人も意外といい人達だったし、ヴァイス教はその点はいい宗教だな” この日を境に俺のヴァイス教への考えが180度変わっていくことになった。 朝、目が覚めると俺は、その足を村の広場へと運んでいた。あんなに嫌悪していた朝の礼拝に参加する為だ。参加してみようと思ったのは自分を少し変えてみようという積極的な思いが急に芽生えたからだ。何時までも両親を理由にうだうだするのは止めようと。ルイスさんや職員の人達には、自分はある意味巻き込まれた立場だが親切にしてもらったし、ヴァイス教というものに少し触れてみてもいいと思った。有難いお話を初めてちゃんと聞くが、俺がイメージする普通の宗教とは少し違っていた。その話の内容は、教祖ヴァイスの伝説、武勇伝、そしてヴァイスを信じ祈れば自分もきっとヴァイスのように逞しく生き、幸せが訪れるというものだった。 礼拝が終わると、ルイスさんに声を掛けられた。 「ロアンさん、来ていたんですね。参加してくれるなんて嬉しいです。礼拝はどうでしたか?」 「まあ、悪くはなかったです」 「これをキッカケにヴァイス教を少しでも知って頂ければと思います。よければ教典もありますが読みますか?」 「教典?」 「ええ、今日のような話をより詳しく纏めた本みたいなものですよ」 「そうですね、よかったらいいですか?」 「もちろんです!部屋にあるので一緒に戻りましょうか」 「はい」 教典なんて昨日のまでの俺なら1ミリも興味はなかったが、今日の俺は何でこんなにも積極的なんだろうか。ヴァイス教に対してこんなに足を突っ込むとは。自分でも今日の俺が分からない。困惑した思いを持ちながらも、そのままルイスさんについて行き、宿に着くと早速俺は教典を受け取った。 「ありがとうございます」 「そちら差し上げます」 「えっ?いいんですか?」 「ええ、沢山ありますし、これは色んな人に読んでヴァイス教の素晴らしさを広める本でもありますから、欲しい人には配ったりしているんですよ」 「では、ありがたく」 「読んでみた感想、是非聞かせて下さいね」 宿から帰宅し、畑作業を済ませて早速教典を読んでみる。確かにその内容は礼拝の話と被るものがある。だが、この分厚い教典を抜粋しているだけなので、より詳しくとなると教典を読む方がいいのは確かな事だった。 夢中で読んでいると外はいつの間にか暗くなっていた。こんなに夢中になるとは、今日は自分に驚く事ばかりだ。教典の内容も内容なので、まるで物語の勇者を読んでいる感じでスラスラと読め、ヴァイスに対しては憧れのような感情を持ち始めていた。 暗くなった事に気付くと、明かりを点してまずは夜ご飯を摂る。そしてまた読み進める。舟が漕いでくるまで読み進め、眠りについた。 朝目覚めると、ヴァイス教への理解をより深めたいという思いが強くなり、畑作業をせずに教典を読み進めた。自分はすっかりヴァイス教への信仰が芽生えてしまったのだ。自分でも分からないがヴァイス教に、その教祖への憧れや尊敬、信仰したいという思いが。目覚めた信仰心の違和感も読み進めているうちにすっかり無くなった。 不意にコンコンと扉を叩く音がする。扉を開けるとそこにはルイスさんがいた。 「あぁ、よかった。やっぱり家に居たんですね。ずっと反応が無いからてっきり居ないのかと」 「すみません・・・、すっかり夢中になっていた見たいで・・・」 「教典をずっと読んでいたのですか?」 「ええ、昨日貰ってから止まらなくなって。ちょうどよかったです。お願いがあって」 「お願い?」 「今更、というか、あれだけ否定しといてなんですけど、俺をヴァイス教へ入信させてくれませんか?」 「ええ!勿論ですとも!!歓迎します。聖騎士ルイスの名の元に認めます」 「ありがとうございます。何と言うか、昨日、今日でヴァイス教の教祖への、いや、教祖様への凄さが分かったというか」 俺は後ろめたい思いで話しているとルイスさんが突然俺に抱きついてくる。 「本当に嬉しいです。過去の発言など教祖様も俺も気にしませんよ。それよりロアンさんが教祖様への偉大さを理解してくれたのが嬉しいです!」 本当に嬉しそうに喜ぶルイスさんに思わず照れてしまい、俺もその手をルイスさんへと伸ばして抱き返す。 「ありがとうございます。俺を受け入れてくれて」 「これからよろしくお願いしますね」 ルイスさんは俺を解放すると笑顔で手を伸ばす。 俺も笑顔で2人は握手を交わした。 「俺もヴァイス教の信者になったのならルイス様って呼んだ方がいいですか?」 「いや、改めて同じ歳なんだしルイスって呼び捨てで。同じ教祖様を信仰する者同士、俺もこれからロアンって呼び捨てにするからタメ口で頼むよ」 「あぁ、こちらこそよろしく。じゃあ遠慮なくルイス、タメ口になると結構雰囲気変わるんだな」 「俺も元々はただの平民だからな。もう行かないと。夜にでもまたロアンの入信祝いしないか?教典読んだ感想聞かせてくれよ」 「分かった。また夜にでも」 ルイスが去ると俺はまた入信出来た嬉しい気持ちで教典を読み進めるのだった。 (ヴァイス様への信仰心が薄い気がする・・・それともあまり感情を表に出すのが苦手なだけか?卵を入れてちょうど2日程だが、進行具合で言うと60%ぐらいか。2日経つとほとんどのやつが真の信者として1歩手前の80、90%ぐらいにはなっているのだが。魔力量のキャパが恐らく大きいのだろう。今日の夜が勝負だな) 考え事をしながら宿に戻ると職員が俺の元へと足早にやってきた。 「ルイス様、帝国からの返事です」 そう言って手紙を俺へと渡す。そしてそれ読み、やっと仕事が進んだ事に思わず安堵の息が漏れる。 「やっと交渉の席につくそうだ。明日にでもここを出発する。準備をしておけ」 「はっ!」 「それと夜は出掛ける」 「何か御用でしたら私が」 「いや、俺が行く。優秀な信者を真の信者へと導かないといけないからな」 「それは失礼致しました。私達も新たな信者の誕生、嬉しく思います」 「あぁ、優秀な人材だ。迎えたら丁重に扱えよ」 「御意に・・・」 外が暗くなる頃、再びドアからノックの音が聞こえる。今度はあまり待たせること無く反応出来たと思う。扉を開けるとそこには普段の鎧姿とは違った、白いキャソックのような服装をするルイスがいた。 「いらっしゃい・・・ど、どうぞ」 「お邪魔するよ。ご馳走持ってきた」 「ありがとう。そろそろかと思って準備はしていたんだ。すぐ食べるだろ?」 「ああ!」 テーブルに並ぶ食事。ここまでテーブルが豪華になるのは何年振りだろうか。昔を思い出し懐かしんでしまう。 「おい、大丈夫か?」 「ああ、悪い。それじゃ食べようぜ」 久々に誰かと向かい合う食事は楽しいものだった。食事中の話題はもちろんヴァイス教について。あっという間に時間は過ぎた。皿は空になり、片付けが終わると俺達は再び向かい合い、食後の休憩を取っていた。 「やっぱりルイスの事様付けで呼んだ方がいいと思うんだ。俺と同じ歳と言っても教祖様の右腕な訳なんだし。他の同じ歳の信者は様付けなんだろ?」 「ロアンはいいんだよ」 「なんでだよ?」 「いずれ分かるさ」 「何だよそれ」 俺はその答えに笑って呆れると、ルイスは突然立ち上がり、こちらへと近付いてくる。 「それより、ロアン。俺が来た時からココ膨らんでるけど、俺とそういう事したいの?」 「えっ、いや、これは・・・」 俺はその指摘に焦りを見せてしまう。やっぱり気付かれていた。食事の準備をし始めた時、教祖様やルイスの事を考え出すと股間が膨らみ出してきた。それに気付いた俺はさっさと準備を済ませて、抜こうと考えたが、思ったよりも早くルイスは来てしまったのだ。とりあえずテーブルに座ればバレないだろうと思い、すぐに食事を勧め、片付けの時も膨らみを抑えるようにいじったり、位置を調整したりと努力はしたのだが、目の前のルイスに膨らみは増すばかりだった。そして遂に指摘を受けてしまう。 「さ、最近抜いてなかったからだよきっと。ルイスが帰った後にでも抜くこうと思ってたんだよ!」 「へぇ、じゃあ今手伝ってあげようか?」 「へ?」 ニヤリと笑うとルイスはすぐに俺を手を引っ張り、隣の部屋にあるベットへと俺を放り投げた。そしてすぐにルイスもベットに乗り、俺へと迫ってくる。 「ほら、正直になりなよ。ヴァイス様や俺の事を考えると膨らむんだろ?顔、赤いよ?」 そう言ってルイスは俺の股間を摩り、そして唇を重ねた。最初は抵抗を見せたが、股間と侵入させろと唇を叩くルイスの舌の気持ち良さに負けてしまい、すぐに俺もその舌を絡めた。 「うん、んぁ、チュ、あぁ」 口が離れると2人の間に糸が引く。 「そ、そうだよ。教祖様やルイスの事を考えると、どうしても勃っちゃうんだ。俺は別に男が好きな訳じゃないのに。自分でも分からないんだ」 「大丈夫だロアン。それはお前が真のヴァイス教信者へと近付いている証拠だ。俺に任せろ。すぐにお前を導いてやる」 ルイスは俺を押し倒してまた俺と舌を絡める。俺もルイスの言葉に従い、流れに身を任せ始めていく。自制心や困惑よりも快楽が勝り、だんだんとルイスとの行為にも積極的になっていった。ルイスの股間も膨れ上がっており、俺は腰を揺らして股間同士を擦り合わせる。 「んぁっ、あぁ、んァあ♡ルイス♡嬉しい♡俺でルイスのチンポも勃ってる♡」 「ロアン、最初会った時と比べると随分可愛くなったな」 「ひゃぁっ!あっ」 ルイスの手が俺のパンツの中へと入り、お尻の穴に辿り着く。初めての感覚に戸惑うが、すぐにまた快感へと変わり、より求める。指1本、2本とすんなりと入り、ルイスは俺の中を愛撫する。 「・・・・・・ぁあ、んぁ、あんっ」 「ココがいいのか?」 「ぁ・・・・・・んっ・・・・・・」 「俺の指気持ちイイだろ?ロアンの穴もすっかりエロくなったな。すんなり入ったのもヴァイス様のお陰なんだ」 「教祖・・・様・・・の?」 「あぁ、ヴァイス様は凄いだろ?」 「・・・ん、・・・・・・ぁ、すごい・・・・・・」 もう俺の穴にはルイスの指が3本も入っている。俺は段々と気持ちイイがその焦らされる快感に耐えられなくなり、ルイスに懇願する。 「もう、挿れて・・・ルイスの挿れて・・・・・・もう我慢、出来ない・・・・・・んぁ♡」 「あぁ、勿論だ」 ルイスはパンツを下ろし、そのイチモツを露わにする。大きい・・・・・・♡今からこれが俺の中に・・・ ルイスは俺の穴に向かい、グッと腰を進める。 「……ぁ、あっ……すげぇ・・・・・・♡」 ルイスのモノを咥え込むとあまりの気持ち良さに俺の股間は射精感が押し寄せてくる。ルイスが腰を振り、結合部分ではぐちゅ、ぐちゅと卑猥な音が鳴り響い。俺の腰も欲望のままに小刻みに揺れて、ルイスの背中に手を伸ばして回し、モノをより咥えこもうとする。 「んぁっ、あっ、あんっ、アッ、ぁん♡もうイキそう、もうイクっ」 「初めてなのに中だけでイクんだな。嬉しいよ。ロアンは立派な淫乱信者だ。一緒にイこうぜ。俺も出る!イクっ!イグっ!!」 「んぁっ!きたっ!イくぅっ、イクぅぅぅぅ♡ぁああぁ♡んっッ♡」 ルイスの精液が俺の中で満たされると漏らさないように更に締め付ける。頭の中は真っ白になり、溢れんばかりの幸福感が満たす。 ルイスはニッコリと優しく笑い、再び舌を絡める。 「顔ぐちゃぐちゃだな。気分はどうだ?」 「きもち、よかった・・・・・・」 「そうか・・・快感と俺の魔力を与えれば完成すると思ったが、まだだったか。もう少し時間が経てば完成するが、明日には出発するから少し急ぐか・・・」 快感で頭が満たされる俺はルイスの呟く言葉に対して理解が回らなかった。ルイスはあの時の白い卵を取り出す。 「ロアン、これを飲み込むんだ」 そう言ってルイスは、ハァハァと息を漏らす俺の口に卵を押し込む。前の卵より小さいからか、少し苦しかったが俺はそれをゴクンと飲み込んだ。飲み込むのを確認したルイスは白液が散らばる俺のお腹に手を当てる。すると何か暖かい感覚が腹を中心に広がり、それは全身を包み込む。そして急な頭痛が襲う。出したばかりなのに再びチンコは反り勃つ。頭の中では言葉が刻まれる。自分の立場、役割、生きる目的、生涯を捧げるべき主人。 “お前は奴隷” “お前のスキルは教祖様の役に立つ為のもの” “教祖様に忠誠を” “教祖様に人生を捧げろ” “教祖様の道具” “教祖様の変態ホモ奴隷” “教祖様に従うことが幸福” “教祖様の奴隷である事が幸せ” “全ては教祖様の為に。全ては教祖様の為に。全ては教祖様の為に。全ては教祖様の為に……” 様々な言葉が頭を貫く。それは一瞬だった。そしてその一瞬の間に俺は理解する。自分がどうなったのかを。 全身が教祖様の魔力で包まれている。とても暖かく、幸せだ。あぁ、これが幸福。今俺は人生最高の幸せを感じている。興奮は収まらない。また腹に白い水溜まりを作る。俺は脳内に刻まれた言葉を繰り返し、ビクビクと震え、幸福に堕ちていった。 「気分はどうだ?」 ルイスの、いや、ルイス様の言葉で目を覚ます。ルイス様はいつの間にか白いキャソックを着て、ベットに寝る俺を見守っていて下さった。俺はベットから降りて裸のまま、ルイス様の前に跪く。 「ルイス様、俺を導いて下さりありがとうございます。俺は教祖様の御加護とルイス様のお陰で真の信者として目覚める事が出来ました。教祖様に忠誠を、教祖様の奴隷として全てを捧げます」 「立て」 「はい」 ルイス様はまた俺と舌を絡めて下さり、乳首をイジって下さる。 「んぁ、あぁ♡」 「ロアンが目覚めてくれて、嬉しいよ。そして今まで通り、俺には敬語を使わなくていい。ルイスと、呼び捨てで呼んでくれ」 「ですが・・・っ!!」 「ロアン」 「分かったよ・・・だけど正式な場では別だからな」 「分かってる。これからだけど、俺たちは帝国に入る。それから少し仕事を済ませてヴァイス様の元へと帰還予定だ。お前にも同行してもらうぞ。ヴァイス様にも紹介したいしな」 「あぁ勿論だ。それよりも早く教祖様に会いてぇよ♡」 「なるべく早く仕事終わらすよ。それより村に未練はないのか」 「分かってるだろ?俺は教祖様の奴隷、忠誠を誓った身だ。村になんかもう未練はないさ。畑もこの家もすぐに誰かに譲るよ」 「あと、ロアンのスキルは“隠密”“暗殺”“気配察知”、これを活かして教祖様、教団の暗部として役割を考えている。勿論暗殺などもやってもらうが、人を殺すのに抵抗感などは大丈夫か?」 「大丈夫だって。教祖様の邪魔者は俺にとっても邪魔者だ。喜んで始末するよ。それよりもスキルだけあっても経験や知識はないから教祖様のお役に立てるか不安だ。1度どっかの裏組織に入って経験積むべきだと考えている」 「それはいいかもな。1度ヴァイス様と相談してみるよ」 「ありがとう」 殺しに対する抵抗感も神に対する考え方もすっかり俺の思考は変わってしまったようだ。自覚はある。だが、全ては教祖様の為だ。教祖様が神なのだからその奴隷である俺が従うのは当然の事だ。人生の希望がなかった俺に神の信仰、神に従うことへの幸せ、生きがいを与えてくださった。これから俺の人生は教祖様の為に。教祖様に永遠に仕えるのだ。