Private army -Prologue- (おまけ)
Added 2021-08-15 14:36:52 +0000 UTC今日もハローワークへと通う。大学を卒業して就職しても長く続かず、1年間でもう3度仕事を辞めている。何がやりたいのかも分からず適当に就職してもやる気がなく身が入らない。その態度を叱られて逆ギレをして辞める。いつもこのパターンだ。ハローワークでも話が進まず最近では平行線を辿るばかりで求人応募もしなくなってきた。今日も何も成果もなくハローワークを出て信号待ちをしていると、隣にいたスーツ姿の男性に声を掛けられる。 「仕事きまりました?」 「えっ…と、」 突然のことで戸惑っていると男性はそのまま続ける。 「自衛隊とか興味ありませんか?そこでよかったら話しませんか?」 男性が指差す先、信号を渡った所に自衛官募集の出張所があった。帰った所でやることもなく、親とまた就職の事で喧嘩するだけだと思い、俺は話だけでも聞いてみる事にした。 出張所に案内された俺は席について説明を受ける。自衛隊にも色々と種類があるようで、聞くだけなら中々興味深い話だった。だが、やっぱりというべきか訓練だったり配属されてからの仕事がキツそうだ。その分給料は高いのだが。俺には到底耐えられるものではなさそうだ。俺は丁重に断り、建物から早く出ようとしたのだが、最後に紹介動画だけでも見てくれと言われたので、仕方ないと思いさっさと見て帰ろうとそれを承諾した。タブレットが準備され、俺は手渡されたヘッドホンを装着する。そして画面をタップして俺は動画を再生させた。するといきなり大音量の金属音が鼓膜を刺激する。その音はすぐに俺の脳を揺らして思考能力を奪い、全てを受け入れるだけの人形となった。驚いて一瞬体も震えたが、人形になった後はヘッドホンから流れ続ける酷くうるさい金属音も平気で受け入れられた。そして虚ろになった目から情報が入ってくる。光化学迷彩色の渦巻きが視界を支配する。目も痛くなるような映像だが俺は瞬きをせず、それを凝視する。すると中心から黒文字が浮かんできた。 “従え” その言葉は消えてまた浮かび上がる。 “従え” からっぽの俺はそれを素直に受けとる。従えばいいんだと。 “復唱しろ” 「復唱する…」 “お前は組織の兵士だ” 「俺は組織の兵士…」 “お前は組織の一員として命令に従う” 「俺は組織の一員として命令に従う…」 “組織の兵士は淫乱な男好きだ” 「組織の兵士は淫乱な男好き…」 “組織に所属するお前も淫乱な男好きだ” 「俺も淫乱な男好き…」 “お前は男好きな組織の兵士だ” 「俺は男好きな組織の兵士…」 “兵士は総帥と組織に忠誠を誓う” 「兵士は総帥と組織に忠誠を誓う…」 “総帥が支配する男だけの世界こそが平和” 「総帥が支配する男だけの世界こそが平和…」 “総帥こそが正義” 「総帥こそが正義…」 “総帥に忠誠を誓え” 「総帥に忠誠を誓う…」 “総帥がすべて” 「総帥がすべて…」 “総帥と組織にすべてを捧げろ” 「総帥と組織にすべてを捧げます…」 “総帥に忠誠を” 「総帥に忠誠を…」 “総帥に永遠の忠誠を” 「総帥に永遠の忠誠を…!」 はっきりとした口調で宣誓すると今度はマークも一緒に浮かび上がる。 “復唱はもういい” “このマークは組織のシンボル“ “しっかりと目に焼き付けろ” “シンボルはいつもお前と共にある” “シンボルを胸に総帥の為に尽くせ” “最後に質問だ” “はっきりと口に出して答えたら目覚めろ” “お前は何者だ?” 「俺は淫乱な男好きの総帥に忠誠を誓う組織の兵士です!!」 俺は姿勢を正し、拳を胸に当て、ハッキリとした口調で宣誓する。意識が覚醒すると、音も動画も止まっていた。だが、ハッキリと俺自身が何をすべきか、何者なのかは覚えている。 「では今からここへ向かえ。ここがお前の配属先だ」 「はっ!!」 俺は立ち上がり、上司であるスーツ姿の男に敬礼をする。建物を出て俺は早速指定された場所へと向かう。 俺は兵士。俺は奴隷。総帥の敵を滅殺する者。それが俺だ。