SamSuka
シカク
シカク

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からまって、 -前編-

ドンっ!ドンっ!と今日も轟音が街に響き渡る。ヒーローと悪の組織が戦闘しているのだろう。科学が発達した2XXX年。空に車が飛んでいるのなんてもう当たり前の時代。そんな時代で俺、佐藤幹彦はサラリーマンというしがない職業についている。便利になった時代でもAIですべてを賄う事は出来なかった。結局お金を使うのは人。人の心、購買欲を動かさないとお金は動かないわけだ。だが、昔に比べて多くの職は機械にとって代わったらしい。今では機械を使っているのか使われているのか分からない人も多くいる。 そして今の時代はヒーローが当たり前にいる。今じゃ当たり前だが昔は漫画の中の世界だけだったとか。ヒーローが当たり前になったのも科学の発展が理由と言われている。パワースーツを装着して戦うヒーローの姿は今では日常だ。 そもそもヒーローという存在が現れた理由は、犯罪者たちが高い技術を利用した犯罪が多くなった事が原因だ。弾丸を一切もろともしない防弾スーツを作ったり、光化学迷彩やステルス技術を使って完全犯罪を行ったりと悪い方向にも科学が進歩した。そうした対抗処置としてヒーロー組織が設立された。だがそれによって犯罪者たちも対抗するべく、手を組んで悪の組織が多く作られる事にもなった。 ここまでの話は俺も教科書やヒーロー24時なんかのテレビでの情報で知った事だけど。そんなヒーローのお陰で今日も俺は平和に過ごせてるっていう事だ。 最近この街では蜘蛛の巣をデフォルメしたようなシンボルマークが特徴の犯罪組織の連中をよく見る。ネックウォーマーの様なものでピタッと口元を隠し、シャツと短パンから黒タイツを覗かして、ブーツに手袋と昔の映像でしか見ないような格好をして恥ずかしくないのだろうと見かけるたびに思うので印象に残っている。 そして最近、行方不明になる人が増えているらしのだがこいつらが原因じゃないだろうかと推測している。どっちにしろ犯罪者。何かしら悪事を働いている事には間違えない。見かけたとしても関わらず、すぐにその場から離れるのが得策だ。ヒーローや警察は何をやっているのだろうか。はやく検挙して欲しいものだ。 仕事が繁忙期になった事もあって最近の帰宅はギリギリ日付が変わらない時間になっていた。疲れも溜まってきていたが、この繁忙期ももうすぐで終わる。あと少しの我慢だ。 就寝前に動画を見るのが習慣なのだが、オススメの所で気になるサムネに目が止まる。 "心を解放してやりたい事をヤろう!リラックス動画!" リラックス動画か。この手の動画はいっぱい見てきたが、仕事のストレスから解放されたいのでついつい効果があまり無いと分かっていても見てしまう。一番効果があったと思うのは焚き火の動画だろうか。あれは今だに定期的に見てしまう。どんなものかと俺はその動画の視聴を開始した。 なんとも不思議な動画だった。蜘蛛が糸を吐いて巣を張って作っていくのをただ見守る動画。でもなんだか目が離せず見てしまう。集中していたせいか、30分ある動画を苦もなくあっさりと見終わっていた。すると急な眠気に襲われる。これがリラックスの効果なのか。俺はなんとかベットに潜り込んで眠りについた。 夢を見た。一人ポツンと裸で立っていて、その周りにはあの蜘蛛がいた。蜘蛛が糸を吐いて俺に巻きつけてくる。だが俺は抵抗しなかった。なぜなら糸が触れた箇所から、まるで自慰やセックスをしている時の様な性的快感が湧き上がり、体を支配していったのだ。俺はそのままなされるがままに蜘蛛によって巻かれていった。しばらく巻かれていると、とうとう我慢出来ずに射精してしまう。射精し、脳内に快楽が染み込み、愉悦に浸っていた所で俺は目を覚ました。 朝、アラームが鳴ってちょうど起床の時間だった。頭はスッキリと冴え渡っている。なので股間が濡れている事もすぐに気付いた。 「いくらなんでもスッキリし過ぎでしょ…」 思わず言葉が零れた。 その日の調子は驚くほど良かった。スッキリした頭の回転は早く、溜まっていた日々の疲れである体のだるさも無くなっていたので軽く体も動き、仕事をバンバンと片付けていった。その結果、残業はしたが何時もよりも数時間早く帰宅する事が出来た。帰る際の同期の嘆く声を思い出して思わずニヤついてしまう。上機嫌に俺は酒を引っ掛けて、今日も寝る前にアノ動画を見る事にする。昨日は"その1"だったので今日は"その2"を再生する。その2は何か違うのかと思ったが、また蜘蛛がひたすら巣を作る映像が始まる。昨日と違うのは形作られる蜘蛛の巣が歪なものではなく、ハッキリと綺麗な型をとっていることだ。完成した巣はどこかで見た様な形だった。ただ思い出そうにも、また眠気が襲ってくる。ベットに潜り込んで目を閉じた時、それを思い出した。最近街にいる悪の組織のマークだと。 夢の中。また蜘蛛に糸を巻かれていく。昨日と同じく気持ちイイ。だんだん糸を巻かれて、射精感が湧いてくる。すると糸がブチっと切れて消えていく。せっかく気持ちイイのに。あともう少しで達せるのに。焦り自分の体をよく見ると、糸の代わりに全身が黒いタイツに身を包まれていた。だが、快感は続いていた。糸が切れた喪失感で一瞬下がった体温が再び上がる。セルフハグをして感触を確かめようと、肌と一体になったタイツに触れると更なる快感がそこを起点に広がる。そして腰を突き出して俺は早々にイってしまった。 目覚めると、昨日と同じくスッキリした体と濡れた股間。だがそこに面倒くさいや、やってしまったという思いは全く湧かなかった。むしろ夢の中だが己の欲望に従って射精した事に快感を覚えていた。俺はおもむろにパンツに手を入れて、自分が出したザーメンを掬い取り、それを口へと運ぶ。美味い…。青臭い苦味がクセになりそうだ。俺はもうひと掬い口へと運ぶ。掬えなくなるとパンツの股間部分をチュウチュウと吸い取る。あぁ、なんだか蟹味噌を吸ってる様だと幸福感に包まれる。そんな事をしていると、もうそろそろ家を出る時間が迫っていた。着替えて朝飯食わないと。でも朝飯はさっきのでいいか。昨日に引き続き、いや昨日よりも最高の朝に俺は上機嫌で会社へと向かった。 今日も仕事は絶好調だった。自分の分は昨日よりも早く終わったのだが、嘆く同期に今日はしつこく捕まり遅くなってしまった。まぁでも気分がいいし、たまにはいいか。 帰り道。今日は遅くなってしまったので、いつもの時間だ。人も少なく明かりも減ってくる時間帯。人も昨日に比べると少ない。いつも下を向いて帰っていたので、あまりきちんと景色を見ていなかったが、いつもの時間の景色のはずなのに新鮮だ。ふと目を薄暗い路地に移すと、あの蜘蛛のシンボルマークを見つけた。あの格好をした組織の奴らがいる。関わらないようにすぐに距離を取ろうとしたが、足がその場から進まない。思わず彼らのあのマーク、あの格好に見惚れてしまう。 「いいなぁ…」 無意識に自分が零した言葉にビックリする。だがそのお陰で我に帰りその場から離れる事が出来た。そこから足早に俺は帰宅した。 どういう事だ。あんな恥ずかしい格好って思っていたのに羨ましいなんて、気持ち良さそうだなんて。でもそう感じる事も悪くないと思う自分もいる。正直になって自分を解放しろと。そうすればスッキリして快感が得られる。悪魔のように囁く自分がいる。ハァハァと息が零れる。彼らを思い出して興奮してしまう。糸で包んで欲しい。あのタイツを身に付けたい。彼らのあの格好を身に纏いたい。スラックスからチンコを取り出して俺は彼らの姿、昨日の自分の夢を思い出して扱く。 「んあぁ…はぁ…はぁ…ん"っ、イクっ…」 あっという間にイってしまい、床に白液を撒き散らした。俺は少し躊躇いながらも指で掬ってペロリと舐める。やっぱり美味い。そしてまた股間は元気を取り戻す。だけど一度射精した事で少し冷静になった俺は、このまま快楽に身を任せるのは不味いと我に帰り、とりあえずシャワーを浴びて落ち着かそうとそのまま浴室へと向かった。 風呂から上がり、部屋着を着る。股間は大きく膨らんだままだがここは部屋の中なので誰にも見られることはない。ご飯を食べて、あとは就寝をするだけだ。だが、体の体温は上がったまま。問題は寝る前にアノ動画をみるかどうかだ。最近は動画のお陰で絶好調だ。だけどそれと同時に自分があの蜘蛛のシンボルを持つ組織に惹かれている事も自覚している。そこでまたあの組織の一員の姿を思い出して、股間が脳に快楽を求め腰がビクンと動く。そうだ、所詮夢の中だけだ。夢で何しようが犯罪を犯そうが関係ないじゃないか。組織の格好をしてたって咎める人は誰もいない。いわば夢の中でコスプレをしてるだけだし。現実で気をつければいいだけだ。俺は自分を正当化させて動画アプリを起動させる。順番でいうと今日は“その3”の動画だ。俺は迷うことなく再生した。 その3が始まる。今回は始めから蜘蛛の巣は完成されていた。巣の中心で蜘蛛がじっと獲物を待っているようだ。瞳に蜘蛛の巣がこびりつく。その位集中してただ巣だけを見つめていた。そんな静止画のような映像が5分続くとついに獲物が掛かった。蝶々だ。蝶は暴れるが頑丈な糸からは逃げられない。蜘蛛は蝶に向かって糸を吐く。段々と巻き、しばらくすると蝶の姿は糸で覆われ見えなくなり、糸の塊が出来上がった。蜘蛛はまたその塊に向けて糸を吐く。だが塊にくっつけるだけで切る事も更に巻く事もしない。すると蜘蛛が吐いた糸が黒く染まっていく。そしてそれは塊にも伝染し黒く染める。塊はビクビク震えると、しばらくして塊と蜘蛛を繋いでいた糸が切れる。塊にヒビが入り割れると、中から全身黒に染まった人型のナニカが姿を表した。それは起き上がると蜘蛛の元へ近づいて跪いた。蝶が蜘蛛の下僕に生まれ変わったという事だろうか。だがその姿は蝶でもなければ蜘蛛でもない。人型の黒いナニカだ。だが、なぜかそれを自分と重ねてしまい、鼓動が早くなる。目が離せない。すると急に画面が揺らいで映像が切り替わる。知らない男の顔が映し出されてカメラ目線に怪しく笑うとすぐに動画は終了してしまった。何だったのだろうと考えだしたところで、いつもの眠気が襲ってくる。眠気と戦いながら、巻き戻してもう一度確認してみようかと思うが、アプリがフリーズしていた。一度アプリを再起動させて再び動画を再生させようかと思ったが、動画自体が見つからない。閲覧履歴を見ようとしたがもう限界だ。俺はスマホを掌から零し、夢の中へと落ちた。 夢の中。早速蜘蛛が素っ裸の俺を糸で巻いてくれる。今回は頭のてっぺんから足の指の先まで。そして糸の色も白ではなく動画と同じ真っ黒な糸で。立ったまま繭のようになっただろう俺はその中で激しい快楽に揉まれる。何度もイって腰が砕けそうだが、体は糸で固定されている為それは許されない。夢の中とは思えないほどのリアルな感覚で脳は快楽物質が溢れ、溶かされていく。もう何回イったかも分からない。塞がれた口から出る喘ぐ音も自分の体内に返って響く。それも官能的に感じてしまう。気持ちイイ事しか考えられない。幸せだ。気持ちイイ。気持ちイイ。夢から覚めたくない。このまま漂っていたい。すると突然光が差し込む。そのまま繭がひび割れていき、俺は外へと放り出される。嵐のような快楽は収まったが、まだ全身には脳汁を出させるには十分な快楽が叩き込まれ続けている。体は腰が砕けるどころか普通に立ったっり寧ろ走ったり出来る体力があった。なのでまだまだ快楽に溺れていたい。股間もあんだけイったにも関わらず、萎える事なく勃っている。ふと俺は自分が裸ではない事に気付く。あの蜘蛛の巣がシンボルマークの組織の格好になっている。ネックウォーマーの様なものでピタッと口元を隠し、シャツと短パンから黒タイツを覗かして、ブーツに手袋を装着している。そしてシャツの中心には大きく蜘蛛の巣が描かれている。そんな自分を認識すると俺は小刻みに震えてしまう。興奮する、嬉しい、幸せだ。だから今も気持ちイイんだ。いつもこんな気持ちイイ格好が出来るなんてあの組織の人達が羨ましい。自分の姿に見惚れて酔いしれていると、いつの間にか目の前に人の気配が現れていた。視線を向けると、そこには動画で一瞬だけ見たあの動画の男がいた。整った顔立ちに寡黙な雰囲気。大学生ぐらいだろうか。黒のロングコートを身にまとい。少し長い前髪から俺を優しく見つめているのが分かる。その真っ黒な瞳に赤く蜘蛛の文様が刻まれており、吸い込まれそうだ。息を飲む。そして俺の体はそうするのが当然だと言うように勝手に動きだして、その男に跪く。相変わらず叩き込まれる快感によって蕩ける顔を晒しながら見上げると、男は唇で弧を描きながらかがんで俺の耳元で囁く。 「合言葉は…」 低くハスキーな甘い声が直接脳に響いて俺はまた射精する。その瞬間に理解した。あぁ…このお方は… そして朝を迎え、俺は目覚めた。


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