SamSuka
ねぼしかぼちゃ
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ちかづくはもの 

 突然、周りの職員が少女を取り囲んだ。

「腕を広げて、そのまま後ろに下がってね」

 少女は言われるがまま、腕を広げてフレームの前に立った。

 職員は少女の腕を掴むと金具で、フレームに腕を固定した。

 同じように脚もフレームに固定された。

「えっ・・・、何・・・」

 説明がないまま、進行する体験学習に不信感を覚えた。


 金具での固定が終わった。

 少女は両腕を広げたまま、十字架のようにフレームに固定されていた。

 手足を固定する金具は重く、自力で外せるようなものではなかった。

「なにが始まるんですか・・・」

 少女は震える声で尋ねた。

「食肉、解体体験だよ」

 解体、という言葉が少女の心を締め付けた。

 グオーン

 機械が動き出す音がした。

 少女の目線の先にある扉が開いた。

 中は真っ暗で何があるか分からない。

 ふと、扉から伸びているレールが自分の足元に続いていることに気づいた。

 レールは鉄のフレームを運ぶためのものだとすぐにわかった。

 

「いや、あの、わたし、いいです・・・」

「じゃあ、しゅぱーつ!」

 少女の身体を固定したフレームがゆっくりと動き始めた。

 そのまま、暗い扉の先に向かってゆく。

「ハァ、ハァ、ハァ・・・」

 少女は震えながら浅い呼吸を繰り返していた。

 嫌な汗が首元を伝い、シャツに染み込んでゆく。


 少女を固定したフレームは扉の中に入っていった。

 暗い装置の中を進んでゆく。

 後ろで扉が閉まる音が聞こえた。

「ハァ、ハァ、何をされるんだろう・・・」

 奥の方で鈍い光を放つ何かが見えた。

 近づいてくると、それは大きな刃物だと分かった。

 鋭く砥がれた刃は暗闇でも光を反射していた。


 レールの先にはいくつもの鋭い刃が待ち構えているのが見えた。

 ガコン

 突然、フレームの動きが止まった。

 少女は息を呑んだ。

 シュッ、シュッシュッ、

 目の前で刃が動き回っているのが見えたのだ。

 複雑が動きで刃を振るうソレを見て、“解体装置”という言葉を思い出した。

 一連の動きが終わり、刃が元の場所に戻った。


 暗闇の中でフレームに固定された少女はガクガクと震えていた。

 ガコン

 再び、フレームが動き始めた。

 刃が動き回っていた場所に近づいてゆく。

「いやああああっ!止めてっ止めてええっ!!!」

 少女は泣き叫んだ。

 暗い装置の中で、少女の叫び声が響き渡った。

「いやああああっ!」

 少女はフレームから抜け出そうともがいた。

 しかし、頑丈なフレームはびくともせず、エプロンや三角巾がはためくだけだった。

 そして、

 ズシャッ!

 鋭い刃が少女の身体を斬りつけた。

「いぎゃあああああっ!」

 真っ赤な鮮血が飛び散った。

 左目のあたりに向かって大きな刃が少女の身体を縦に斬りつけた。

 真っ赤な鮮血が噴出し、白いエプロンや青いジャンパースカートを真っ赤に染めてゆく。

 刃が衝突した勢いで、右目の眼球が飛び出していた。

 綺麗な碧い瞳をした眼球は光を失い、右目の窪みから筋のようなものでぶら下がっていた。

「いぎゃあああああっ!」

「おがあざん、おがあざああああああああ!」

「いやあああああああっ!」

 血を撒き散らしながら泣き叫ぶ少女。

 しかし、無情にも次の刃が少女に向かって振り下ろされたのだった。



ちかづくはもの 

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