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夏コミ新刊「娘喰ネズミ」 ボツ絵+小説版

夏コミ新刊「娘喰ネズミ」のボツ絵集と小説版(設定含む)のまとめになります。

・ボツ絵(7枚)

・小説3742文字


【ボツ絵】







【小説版】

  一般客にも公開されているのが地上部の正規コロシアムである。

 1体の魔物を一人ないしは数人の闘技師が仕留める。

 一方、コロシアムの地下には別のコロシアムがある。

 広さは正規コロシアムの4分の1ほど。

 使われる魔物が小型であるため、狭い面積でも運用できる。

 狭いおかげで目の前で闘技を観戦できることが魅力だが、ここに来る客は闘技をスポーツとして観戦するのが目的ではない。


 表舞台から姿を消した闘技師、主に女性闘技師が連れてこられる。

 地下コロシアムへ望んで参戦する者はいない。正規コロシアムで敗北し、死亡したと思われた闘技師を蘇生し、連れてくるのだ。

 生命蘇生は開発されたばかりの技術で三千万円かかると言われている。

 それだけの金額をペイできる闘技師でないと連れてこれない。


 オクタマグナ(溶肉ハウスの魔物)に敗北し、捕食されたはずの少女は地下闘技場にいた。

 強酸の海に溺れたはずだが、身体には傷1つなかった。

 新しい少女の身体に先ほどの戦いの記憶をペーストしたのだ。

______________________


「狭いコロシアムね。大きな魔物は出てこなさそうだけど」

 魔物が格納されている向かいの扉が音を立てて開き始めた。

 しかし、扉の奥からは何も現れなかった。


 すると、壁に開いた小さな穴から何かが出てきた。


 こぶし大ほどのネズミだった。

 ネズミは少女を見つけると、よだれで滑った前歯をみせた。

そして数十匹ものネズミが少女に向かって走り出した。

 少女は弓を構え、矢を放った。

 ネズミの群れの中に矢が吸い込まれていったが、肝心のネズミには当たらなかった。

 獲物が小さく、動きも素早いため弓で仕留めるような魔物ではない。それに数がとても多い。


 次の矢を構える前に少女はネズミに囲まれてしまった。

「くっ・・・」

 少女は矢を握り、近づこうとするネズミを突き刺すことにした。

 ネズミが一斉に少女に襲い掛かった。

 矢で突き刺そうとしたが、素早く数が多いネズミに狙いが定まらず、地面を突くだけだった。少女の足に登ったネズミがパンプスから覗く足に噛みついた。

「いやっ!」

 少女は足に登ったネズミを振り払った。

 しかし、もう片方の足からもネズミが登ってくる。

 そして、ふくらはぎに噛みついた。

「いぎゃああっ!」

 白く柔らかい皮膚にネズミの歯が食い込んだ。ネズミが少女の皮膚を噛みちぎると中から真っ赤な鮮血が溢れ出した。

「いたっ!」

 少女は足をジタバタさせながら、登ろうとするネズミを振り払っていた。

 ぶちゅっ!

 足元で走り回っていたネズミを踏みつけた。ネズミは潰れて動かなくなった。

「うっ、汚いけど足で潰すしかないわね」

 少女はネズミを振り払いながら、足元のネズミを踏みつけようとした。

 しかし、狙ってみると、なかなか踏みつけられない。

 そうこうするうちに、1匹、また1匹と少女の脚に登り、ふくらはぎに噛みついていった。

「うっ!」

 ふくらはぎに刺すような激痛が走った。

 すかさず振り払おうとするが、皮膚に爪を食い込ませてしがみついたネズミは振り払えなかった。

 ネズミを何度も振り払っているうちにだんだんとしがみつくのが上手くなり、振り払えなくなってしまった。

 それに、少女も息が切れてきた。

「はあ・・・はあ・・・」

 脚がもつれ、動きが鈍くなってきた。

 そんな少女に追い打ちをかけるように次々とふくらはぎに噛みついた。

「うぐっ!」

 少女の顔が苦痛に染まった。

 スカートから覗く細い足首には鮮血が伝い、パンプスを赤く染めていた。

「はぁ・・・はぁ・・・、ずるいっ・・・わっ・・・」

 苦し気に波打つプリーツスカートに内側から染みた血が赤く彩っていた。


 闘技場では1体の魔物に対して一人ないしは数人の闘技師で戦闘を行う。

 ここでは、1人の闘技師に対して数十匹の魔物が襲い掛かる。

 オーナーもそのことは承知である。ここでは闘技師が獲物を仕留めるのを観戦するのではなく、闘技師が魔物に襲われ、悶え苦しむ様子を見て楽しむのである。

 観客席では、興奮した様子で観戦していた。

「あのコロシアムプリンセスが・・・」

「クールな顔があんなに苦しそうに歪んでるなんて・・・」

 観客たちが応援しているのは少女ではなく魔物。いや、応援すらしていないかもしれない。彼らが求めるのは、魔物に弄ばれる少女の姿なのだから。


「せっかく・・・チャンスを与えてもらったのに・・・」

 少女は魔物にやられている自分の不甲斐なさに涙をこぼした。

(こんな姿、みんなに見せられないっ・・・)

 みんなが見たいのはそんな姿だというのを知るのはもっと後になってからだった。


「はぁ・・・ああっ・・・」

 息が切れ、ネズミを振り払う力が無くなってしまった。

 少女は膝に手を突いて、息を切らしていた。

 動かなくなった少女の脚は、ネズミにとって美味しい肉の塊でしかなかった。

 今まで足元で走り回っていたネズミも、少女の脚に登り始めた。

「うぐっ!・・・いっ!・・・ぎっ!」

 弱々しく息を継ぐ少女の口から苦悶に染まった呻き声が漏れた。

 スカートの中は肉を噛みちぎるネズミでいっぱいだった。

 ふくらはぎだけでなく、太ももまで登り、その柔らかい肉を噛みちぎった。

 少女の足元は血だまりになり、血だまりの中、震える二本の足でかろうじて立っていた。

 スカートのスリットから覗く水色のプリーツスカートには内側から染みた血が滲み、その範囲はどんどん広がっていった。

(くちゃっ・・・ギチッ、ぐちゅっ・・・)

 少女の耳に不気味な音が聞こえた。

(何これ・・・ネズミが噛む音・・・?)

 そう思うと、噛みちぎられた無数の傷から激痛が走った。

「いぎっ!いぎゃあああっ!」

 今までの悲鳴とは違う、濁った獣のような呻き声を上げた。

 低く澄んだ声が濁った。

 痛みで意識が朦朧としてきた。

「うぐっ・・・」

 少女は足に力が入らなくなってきた。

「ああっ・・・」

 少女は倒れてしまった。


 倒れた途端、スカートがめくれ上がった。

 ふくらはぎが見えたかと思うと、おぞましい光景が広がった。

 真っ赤に染まったふくらはぎはいたるところが噛みちぎられ、肌色の部分がほとんど見当たらなかった。無数の噛みちぎられた跡があり、露出した筋肉もかじられた跡があった。


 立つことができなくなった少女。地面に腰を付けた少女の身体にネズミが登り始めた。

「いやっ!」

 ネズミが腕を噛みついた。ひらひらとした袖に溢れ出した血が滲んだ。

 ドレスの上をネズミが這い回っていた。

 袖から入り込んだネズミが次々と少女の細腕に噛みついた。

 鮮血が溢れ出し、袖はすぐに真っ赤に染まってしまった。

 少女は矢を握り、ネズミを突き刺そうとしたが、痛みで震える指は矢を握るのが精いっぱいで狙いを定めて突くことなどできなかった。

 ドレスの上を這い回っていたネズミは血の染みた部分から噛みちぎって中の肉をかじった。

 生地が薄い袖や背中はドレスの上から噛みちぎられた。ビリビリとドレスが破け、中から真っ赤な鮮血が溢れ出した。

 ネズミは露出した首元に噛みついた。チョーカーが赤く染まり、胸元のリボンがベッタリと血で滲んだ。

 ドレスはどんどんと真っ赤に染まっていった。少女が身をよじるたびにリボンやフリルが揺れるが、そのリボンやフリルも血が染みてくしゃくしゃになってしまった。

「いぎゅああああああっ!」

 少女は子供のように地面に転がりながら、獣のような呻き声をあげていた。

 柔らかい頬の肉を噛みちぎられ、少女のフェイスラインは大きく崩れた。

 光が透き通るように薄い耳も1分ほどでなくなってしまった。

 身体の表面から噛みちぎられるため、致命傷が少なく、死ぬことすら許されない。

 はっきりとした意識が少女の脳に激痛を伝え続けた。

 


 1時間後、真っ赤に染まった肉の塊が闘技場の真ん中に転がっていた。

 青いドレスは元が青色というのが分からないぐらい赤く染まり、いたるところにネズミがかじった穴が開いていた。

 折れた矢や曲がった矢がいたるところに散乱していた。


 少女が動かなくなり、ネズミが帰った後も観客は残っていた。

 動かなくなった少女を観察していたのだ。

その目は肉欲に染まったようないやらしい目をしていた。


 ネズミがすべて回収された後、救護班が闘技場に入ってきた。動かなくなった少女を担架に載せ、どこかへ運び去っていった。

 生命力が強化された少女にはまだ息があった。治療を行えば1週間ほどで元通りになると言われている。

 治療が終わり、再び闘技場に現れた少女。青いドレスに身を包み、左手には弓が握られていた。

 魔物を仕留めようと意気込む少女だが、観客は彼女の華麗な弓捌きではなく、魔物に弄ばれ、鮮血を撒き散らす姿を求めていた。



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