ことば
Added 2021-10-07 06:14:51 +0000 UTC相手の心情を汲んであげよう、相手の抱える事情や背景、境遇を推し量ってあげよう、想像してあげよう。
そういう姿勢が大事だと思ってた。
でも今日母と話してて、なんか、自分は色々間違えていたのかも、と思った。
自分なりに父や母の境遇、背景、心情、事情、汲んでるつもりでいた。
分からないなりに、分らないけど「汲んで理解しようとする姿勢がある」という事が何より大事なんだろうと思ってた。
母は癇癪持ちの人なのだけど、なぜ癇癪を起こしてしまうのかという話題になって、きっとこういう境遇だったせいじゃないか、こういう状況だったせいじゃないか、あれが原因だったのでは、あと、あれも。色々自分なりに想像してたことをそのまま10個くらいぶつけてみた。
返ってきた答えは全然違った。
「正直そういう事より、ただお父さんの作っちゃった借金があまりに途方もなくて(最大時3000万くらいあった…)、返済に追われて、本来自分も外で働くことが得意なタイプじゃないのに、お父さんの収入は全部借金返済で消えちゃうから、とにかく生きてくために家計を支えるために働くしかなくて、失職してもすぐに次の仕事を見つけなきゃいけなくて、すぐにでも次を見つけなきゃなのに、中卒の自分を雇ってくれる職場が全然見つからない、職安に毎日通って、でも仕事が見つからなくて、無くても見つけなきゃいけなくて、どしゃぶりの雨の中、途方も無い気持ちでそれでも職安に向かう日のあの言葉にならない不安とストレスと言ったらそりゃもう本当にね……」
上記の通りの境遇だから、当然わたしも極貧家庭で生まれ育って「貧しい苦しさ」をそれなりに知ってるつもりでいた。
家を出てからは月7万の朝刊配達のお給料だけで生活する時期も何年かあって、4畳半にも満たない部屋、冷暖房はもちろんなし、シャワーは冬でも水、洗濯機はないから洗濯物は入浴時に手洗い、廃棄弁当を漁ったり、39円の豆腐と28円のもやしと3パック59円の輝き納豆をひたすら無限ループで食べてた時期とかあって、服は全部古着屋で500円以下で買ったやつ、髪は当然セルフカット、「自分より極貧を心得てる人間はそんなに多くはないだろう」みたいな自負があって、思い上がり。
思い上がってた。
理解してるつもりだった。
貧しさも、嫌でも無理して働かなきゃ生きてけない過酷さも、失職する辛さも、低学歴で職を探す大変さも、全部自分も経験してきたことだから、分かる、なんてつもりになってた。
「相手の立場、境遇、心情、想像してあげる事が大事」
できてるつもりだった。
自分はなんて思い上がってたんだろうと思い知った。
「全く返済できるあてのない額の借金と、家族の生活」を背負って貧しいのと、ただ呑気にひとり暮らしで貧しいだけ、全く重みが違う。責任の質が違う。桁が違う。
わたしは母のことを何一つ理解してなかったのだと思い知った。
子供の頃はほとんど怒ったり喧嘩したりしない人間だったという母がなぜヒステリーを起こしてしまうようになったのか。
どれほど過酷な状況で、どれほどの重圧と責任とストレスに耐えながら、何十年もの日々を時給800円とか900円で、家族を守るためにひたすらに走り抜けてきた母。
平日は月曜から金曜までフルタイムで病院の受付、土日は競馬場でやっぱりフルタイムで馬券売り。休日は0。
諸々の事情で平日の仕事が銀行の窓口や図書館勤務に代わっても、土日の仕事が別の職場に代わっても、結局休みはほぼ月1もない、平日も土日もフルタイムで仕事、父は家事を全くやらない、わたしも当時は重度の反抗期ど真ん中で家事と言えるほどの家事はほとんど何もしなかった。そして借金。
ただひたすらに、ただひたすらに、働くだけの日々。返しても返しても全然減らない借金。
人の何倍も働いてるのに、世間では「最底辺」みたいな扱い。実際お金ない。借金だらけ。貧乏。休日もなく毎日朝から晩まで働いてるのに。職場が潰れたり、経営悪化で突然の解雇通告されたり、そんないざという時に生活を維持する貯金すらままならない。服も買えない。趣味も持てない。何も買えない。人の何倍も、死にもの狂いで毎日働いてるのに。
「もしあの時期に何か病気でもしてたら完全にアウトだったわね」
そんな生活が何十年も続いた。
キレていいでしょう。これはもう。そりゃ切れちゃうよ。感情を抑えられなくなって怒鳴り散らしてしまってもしょうがない。プッツンしちゃうやつ。あまりにも限界突破しすぎ。無理ゲーすぎる。よく今日まで死なずに生きてたと思う。
だから母に、最後いつしたかも思い出せないハグを今さら今日さっき唐突にしたくなって、して、「よくがんばったね、借金は一つもお母さんのせいじゃないのに、家のこと、家計の事、仕事、家事、育児、全部、今までずっと、ほんとにえらいよ。お母さんはえらい。よく耐えたね、えらかったね、立派だったよ。ほんとうに。ありがとう」って、思ったこと全部伝えた。
母はあんま露骨にドラマチックな演出とか好かないタイプだから、わりとひょうひょうとしてて、なんなら若干迷惑そうな感じすら出てたけど、でもわたしが部屋を出る時ティッシュで目尻を拭ってて、ただ単に目にゴミが入っただけかもだけど、いつも感情的に言い返してくる母が今日は「まーね、どうしていつもつい感情的になっちゃうんだろうって自分が嫌になるけど、人情とかはね、あんたの言う通り、うん、あたし負けないと思う」って素直に聴いてくれて、実際ヒステリックな側面もあるけど、人情に関してはほんとエグいくらいに厚い人だから、わたしが示す人情の9割は母の人々への姿勢から学んだものといって過言じゃないから、でもまあどれだけ言葉が響いたかはやっぱりわからない、想像するしかない、そもそもわたしがなんとなくハグしたいなって気持ちになったから、あと最近海外ドラマばっか観てたからそれに感化されてってゆうのも大きくて、だから別に母のためにとかじゃなくて、わたしがしたくてやっただけ。わたしのエゴ、わたしの欲求。
母はそれを邪険にせずただ受け止めてくれた。それだけで十分。
想像力って大事だと思う。
相手の立場、境遇、心情を汲んで、察して、そういう姿勢、とても大事だと思う。
でもやっぱり相手の口から本当の事を聞くと、あ、自分なりにしてたつもりの「慮り」って結構ズレてたんだな、相手の心情汲んでるつもりで、ただの勝手な妄想だった部分結構あるなって実感する。
想像や汲む姿勢ももちろん大事だけど、でも何より大事なのは、相手が正直に自分の心境、境遇、立場、諸々を打ち明けられる雰囲気、自然にそう出来る流れを作り出していく姿勢、そういうのが何よりも大切なんだなって痛感した。
結局想像よりイメージより配慮より、当人が自分の言葉で正直な気持ちで語る事が最も正確で、解りやすくて、多分一番だいじなこと。
それを我慢して飲み込ませずに、ちゃんと引き出せる人になりたいって今日、なんとなく思いました。
たとえばわたしにはこのFANBOXとか色々吐き出せる場があります。
読んでくれる人がいて、言葉を返してくれる人がいます。
わたしは元々エロスを探求するタイプの人間じゃなかったので同人活動当初はエロとはつまり何か全然分からず想像だけで描いてました。
きっとこういうのがエロなんだろう、多分こうだろう、自分なりのイメージ。
でもやっぱり元がエロ大好きマンじゃないから、男性諸氏にとって実際に「エロいと感じるもの」と結構な乖離があるなぁと常々感じてて。
想像と実像。
作品に触れてくださった皆さんから「このシチュで自分の股間が文明開化した!」とか「あわよくばこういう要素を混ぜ込んでくれると自分的に捗る!」とか、具体的な言葉をいただく内に、「なるほど、そうか、それがエロなのか」って徐々にエロスのメカニズムみたいなものを理解する感じになっていって、まだまだ全然「エロを理解した!」とは言えないですけど、でも絵だけで食べてける程度に売れる、買ってくださった方々から「めっちゃはかどった!」って言ってもらえるようになれたのは、意見、助言、叱責や批判も含め正直な所感を言葉にして伝えて下さった全ての方々のおかげだなぁとヒシヒシ感じてます`~`
父の癌が寛解した代わりに、7月頃からわたし自身の先天性魚鱗癬が結構悪化しちゃってて体調メンタル共に低空飛行なのと、ホルモンバランスの変動とかで性的なもの全般ゴメンちょっと今は無理……みたいな時期が定期的にあって、作品を安定供給できなかったり、いただいた要望に対しても「ゴメンなさいそれはちょっと…」みたいにナイーブな感じで返してしまったり、自分でも反省する事多いんですけど、でも日常会話的な事柄、性的な事柄含め皆様からいただくすべてのコメントがやっぱり嬉しいし、それはもう正直な気持ちだし、要望頂いた瞬間はたまたまちょっと無理なタイミングで…そのまま「ごめん無理!」って答えちゃったけど、しばらく経って「なんでも描いたるぞ!」のモードに移行した時コメントやメッセージ読み返して「あー!これ、作品に超使えそうな案!ありがたし!!」みたいになることいっぱいあるし、だからほんとすごく感謝です`~`
意見や要望、頂いた直後にはうまく理解できなかったけど、しばらく経って読み返して「なるほど!なんか今唐突に理解した!」みたいになること、自分はかなり沢山あって。
FANBOXはあくまでエロ同人作家としての活動の場だし、なるたけエロコンテンツで埋め尽くしたい…と思うのですけど先月にもお伝えした通りなんせ「スランプ脱出直後な今、蓄えがなくて載せられるモノがほぼない」みたいな状態なので、エロコンテンツを強くご所望する方は気軽に支援切っていただいていいし、また「これは…股間に刺さる感じのやつ来たぞ……」ってなったら気軽に支援再開してくれたら嬉しいし、自分もなるべく気楽にやりたいから皆様の側も、支援するも支援切るもエロ要望もそれ以外のコメントも何でもお気軽にどうぞ!みたいなそんな感じで`~`
自分はなんとなく楽しいのが好きだし、自分と関わる人達もなんとなく楽しくいてくれたら嬉しいし、ゆるい感じでふわっとやってけたらいいなと思います`~`
Comments
まさにbinさんの言葉そのままで…家族の責任も何もなかった独り身のわたしは、幾らか苦労を経験したところで母の本当の心情を理解できなくて、だからこそ「母の正直な言葉」に耳を傾ける事が一番大切だったんだなって今更ですけど気づきました`~` このFANBOXもbinさんが言ってくれた「絵を描けない時こそ支えたい」という言葉から始まったものだし、その真心に支えられる形で「浄化装置」を作成し続ける事が叶ってます。 わたしは個人的にbinさんの日本語の上達がとても嬉しくて、だから「自分もbinさんに負けないように、もっと上達しよう」と今まで励み続けてこれました。 コロナ等で色々大変だと思うけどbinさんのお仕事がうまくいくように祈ってるし、お互いの努力がお互いの励みになる、そういう関係性をこれからも続けていけたらと思うし、だからわたしも頑張ります!いつも本当にありがとうごさいます!!
メランコル
2021-10-08 17:36:39 +0000 UTCメランコルさんのお母さんは尊い!としか言葉が出てこないので、上手く表現できなくてごめんなさい。 自分にも休日なしに働いた時期はありましたが、ある日突然ベッドから起き上がれなくなって、心は働きたくても体はそういう柄じゃないなぁと理解して、努力しすぎるのを控えるようになったが、家族の責任も何もなかった独り身の僕には、メランコルさんのお母さんの心情は理解できないかもしれないと心の中で恐縮しながら読んでいました。 でもエロに関しては男として自信を持って色々言えると思います。個人差もあるかもしれませんが、僕は二十歳をすぎてから賢者タイムがだんだん顕著になりました。性欲に襲われ、身体も心も火照った時は慌てて抜いて性欲を落ち着かせるが、意外と抜いたら体がすっきりして性欲から解放された清々しい気分になります。男はいつまでもエロいことばっかり考えてるわけではないと思いますが、性欲が溜まったらそれを心の奥から解放してくれて、清々しい気分をもたらしてくれるメランコルを含めたクリエイターたちが作った「オカズ」がとても大事だと思います。これからも男性全体(或は一部?)の心の汚れを浄化するように頑張ってください!色んな形で応援します!
bin_222
2021-10-08 14:21:06 +0000 UTC1個前の日記せっかくコメント頂いたのに日記ごとまるっと消しちゃってごめんなさい。。 日記の内容が殺伐としすぎててここに載せるようなアレじゃないな…って思って消しちゃいました…w みんな誰しもそれぞれに違った苦労を背負ってて、tenkaoさんもきっとそうだから以前「もしガチで食えなくなったら飯でも食いにおいでなさい。飯くらい出すから」って言ってくれたんだと思うし、そういう人が「自分の事情、背景、諸々知った上で支えてくれてる」って事がすごく嬉しいし、いつもほんと支えになってます`~` エロ絵でなかなか還元できなくてごめんなさいですけど、、「とにかく無理はしなさんな」と仰ってくれた日の事も覚えてるから、自分なりに出来る範囲ずつ全身してこうと思います。 いつもありがとうございます!
メランコル
2021-10-08 13:06:23 +0000 UTC人生の殆どの岐路決める時期に極貧って時点でメランコルさんも相当苦労してきたと思いますよ! 自分の親も相当苦労してましたが、子供に働いてお金入れてくれなんて言う事、一回もありませんでしたし。今だとそういう子供が結構出てくるのはビックリします...
ten-kao
2021-10-08 10:21:53 +0000 UTC