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【番外編:序章】変わる日常(さらば平穏な日常 より)



「みんな!おはよー!!」



明るく元気な声がこだまする教室。

「もーびっくりした~(笑)」「宮っち、おはよ~!」「相変わらずうるせーやつだなぁ(笑)」と、クラスのみんなも笑いながら返事をしてくれる。



そんなみんなの姿に、私も軽くスキップをしながら自分の席へと足を進める。

机の上に少々勢いよくカバンを置くと、そのままの勢いで椅子に座り、カバンの中の教材を机の中にしまおうとファスナーを開く。



「え~っと、確か一限目は……」



カバンの中をガサガサと漁っていると、隣に座って顔を伏せている同級生の姿が目に入った。

私はその姿を見るなり、目を細めニヤリと笑う。

一限目の数学の教科書を手に取り、そーっと彼の後頭部に狙いを定める。



「そりゃ!!」



スパーン!!と軽快な音が周囲に響き渡る。



「いってー!!!なんだ一体!?」

「ふふーん(笑)おはよ!上園君、よく眠ってたねぇ(笑)」

「んだよ、宮野か……毎度毎度変な起こし方するなよ……」

「だって上園君、こうでもしないと起きないじゃん。そんで、そのまま朝礼で先生に怒られちゃうでしょ?だから起こしてあげてるの☆感謝してよね~」

「そうだけど……だからってなぁ……」



後頭部を抑えながらブツブツと文句を言う上園君。

いつもサッカー部の朝練で疲れ切っているのか、私が教室に入る時間にはいつも眠っている。

始めのうちは、先生に起こされるのをただただ見守っていただけだったのだが、それでは可哀想だなと思い、それ以降、私が起こしてあげるようにしている。

肩を小突いて起こしてあげることから徐々に進化(?)し、今では後頭部を思いっきり叩いて起こしてあげることに楽しさすら見出している。



「大体なぁ、そんなに強く叩かなくても起きれるっつうの!」

「え~ww?そんなこと言って、この前私が風邪引いて休んでた時に、起きれなくて先生に怒られたって聞いたけど~?それはどうなの?」

「そ、それは……その……いつもみたいに起こしてくれるのを待ってたっていうか……」

「え?何?聞こえないんだけど?」

「……うっせぇな」

「あ!また怒った~!」



いつものように、そっぽを向く上園君のことをからかう私。

周りがその姿をニヤニヤと見ているのがチラリと見えるが、決して悪い気はしない。

そして、さっき彼がボソッと放った一言も、実はしっかりと聞こえている。

その言葉を耳にした途端、ドキドキとした心をひた隠すかのように、彼をおちょくり続ける。

こうしてふざけ合っている時間が、私にとって何よりも代えがたい幸せな時間だ。



しばらく経つと、教室のスピーカーからブツッ…という音が一瞬鳴った。

そして、そんな楽しい時間に終わりを告げるかのように、校内にチャイムの音が鳴り響く。



「さ!上園君、今日は授業中に寝ないでよね?もし寝たら私が一発叩き込んであげるから(笑)」

「はいはい分かったよ!寝なきゃいいんだろ…ったく」



わざと明るめに声を出したが、内心このチャイムの音にガッカリしてしまう。

一時間目も二時間目の終わりのチャイムも鳴れば嬉しいはずなのに、この朝のチャイムだけはもっと遅くになればいいのにと、どうしても思ってしまう。



(さてと、数学の準備でもしておこうかな?)



先生が来るまでの間、机の上に1限目の授業の教科書やノートを出しておこうとカバンの中を再び探り始める私。

しかし、いつもならチャイムが鳴ると同時に教室に入ってくる先生の姿が珍しく見えない。

まぁたまにはこんな日もあるだろうと、先生が到着するのを待っていたが、十分経っても現れない先生に、次第に教室がざわつき始める。



「島野先生どうしたんだろ?」

「誰か呼びに行く?」

「もしかして、先生休みなんじゃね?」

「え?なんか隣のクラスも来てねぇってよ」



様々な情報や憶測が飛び交い始め、教室内が徐々に不安に包まれていく。

私も、何かあったのかと心配になり始めた。

そんな時だった。



教室の一番前の引き戸がガラガラと音を立て開かれた。



「おやおや、ここは何年生の部屋ですかねぇ……?」



しかし、扉を開けて入ってきたのは、いつも綺麗で清楚な服装に身を包んだ島野先生ではなく、髪のない頭が目立つTシャツ短パン姿のおじさんだった。

新しい先生とはさすがに思えない風貌に、教室が一気に静寂に包まれる。



「あ~そうだ、皆さん驚かせてしまってすみませ~ん。私、これから皆さんの『ご主人様』になるものでございます~ww」



教室に入ってきたおじさんは、右手を挙げながら、気味悪くニヤリと笑うと、意味の分からないことを突然口走り始めた。



(え?え?なにこのおじさん……なんかヤバそうな人じゃん……)



頭の整理が追い付かず、何が起こっているのかも分からない状況ではあったが、少なくとも、このおじさんがまともな人ではないことはすぐに理解出来た。

クラスのみんなも、同じような心境だったのか、眉間にシワを寄せながら、おじさんを睨む人もいれば、何をされるのかも分からないという恐怖に、後ずさりを始める人もいた。



そんな中、隣にいた上園君がゆっくりと立ち上がりながら、おじさんに向かって声を上げ始めた。



「おいおっさん!あんた、一体何の用なんだよ?」



不安と恐怖が入り混じったこの状況で勇敢にも声を上げた上園君に、クラスのみんなの視線が注がれる。

しかし、そんな勇気ある行動にも、おじさんは顔色一つ変えずニヤニヤと笑い続けるだけだった。



「君ぃ、かっこいいね~wwでも、おっさんは良くないよ~?せめてお兄さんって呼びなさいなww」

「は!?何意味わかんねぇこと言ってんだよ!?」



上園君は、そう声を荒げると、おじさんのいる目の前までズンズンと近付いていった。



「おい、おっさん!これ以上変なことしたら……」



上園君がおじさんの目の前にまで迫った瞬間だった。



「はい、ちょっとごめんね~ww」



突然、おじさんは上園君に向かって手を伸ばし始めた。



「え?……」



そう言い放った瞬間、おじさんがパンッ!!と手を叩いた。

ただ手を叩いただけのはずなのに、鼓膜を揺さぶられるような感覚に陥る私。



(うっ……な、なにこれ……あ、頭がぐわんぐわんして……)



朦朧とする意識の中、クラスのみんなも同じような事態になったのか、頭を抱えてその場にうずくまったり、机に顔を伏せたりしていた。

しばらくして耳が聞こえるようになると、改めておじさんの方へと視線を向ける。



「て、テメェ…一体何したんだ……」

「ふふんwwさぁなんでしょうねぇww」



頭を押さえながら、おぼつかない足を必死に支えている上園君を前に、余裕な表情を見せるおじさん。

上園君も我慢の限界なのか、拳をグッと握り締め始める。



「ふざけんなよテメェ!!!」



上園君はそう叫ぶと、おじさんに向かって拳を振るい始めた……はずだった。



「ぶふっwwwちょっとちょっとwwこんなところで何してるの君ィww」



そう笑い始めるおじさんの目の前には、ワイシャツを捲り上げ、必死の形相で乳首を弄っている上園君の姿があった。



「くらえ、チクビ―ム!!ビビビビ!!もう一発!チクビーム!!!……」

「う、上園君……?」



いつもクールな上園君は、こうしてふざけるような人ではないことくらい、クラスのみんなは分かっている。

しかし、今の彼の姿は、真剣な表情でおじさんに相対しながら自らの乳首を前後に伸ばしながら弄る変態にしか見えなかった。

そんなあり得ない状況に、クラス全員が硬直してしまっている。



「く、くっくっくwwwや、やばい、面白過ぎる~wwち、チクビ―ムてwww」

「何笑ってんだよ?俺のチクビ―ムくらい過ぎておかしくなったのか?ほらもう一発……」

「ああはいはいwwそうですそうですww……なんかこれ、終わりが見えそうにないからさ、乳首の感度100倍ね、ほい」



おじさんは、再びパンッ!!と手を叩いた。

その瞬間、上園君の表情が一変した。



「チクビーむぅぅぅぅ!!!あ!あ!あぁ乳首イク♡乳首イクぅ♡」



ワイシャツをはだけさせながら、両手で乳首をコリコリと弄り、悶え始める上園君。



「くひィ♡乳首すげぇ♡チクビ―ム最高だぁぁ!!チクビーむぅぅ!!」



半開きになった口からよだれを垂らし、涙で潤んだ瞳で天井を見上げながら喘ぐ上園君。

そんな光景にクラスの全員が言葉を失う中、おじさんだけがニヤニヤと笑い続けていた。



「さ、いちいち時間をかけても勿体ないし、ササっとやっちゃうねwwほい!」



私たちは、脳内におじさんの手を叩く音が響くのを感じながら、確実な絶望が訪れたことを悟り、静かに意識を失うのだった……


Comments

どんな生徒、どんな変化があるのか楽しみです。

オメーガ


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