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East Japan Girls 1

「小諸なる 古城のほとり

雲白く 遊子悲しむ

緑為す 繁縷は萌えず

若草も 籍くによしなし」


利根「みやびな調べじゃな」

筑摩「島崎藤村先生の書いた、千曲川旅情の歌 という節よ。

  姉さんは聞くの初めて?」

利根「かも知れぬな。おぬしは、あのように滔々と美しく流れるだけでなく、文士が歌を

  付けてくれるとは、何とも羨ましいことよ」

筑摩「ありがとう」

利根「それに比べて、この吾輩は、古くは関八州いちの暴れ川じゃからな。坂東太郎など

  とて、たれも歌曲を付けるとは思いつかなかったと見える」

筑摩「ふふ。いいじゃない、強そうで」

利根「言うわ」(少しおこ)


「浅くのみ 春は霞みて

麦の色 わずかに青し

旅人の 群れはいつしか

畠中の 道をすぎぬ」


筑摩「…姉さん」

利根「なんじゃ」

筑摩「お願いがあるの。今度もまた、ほんの少しでもいいから、私より長く流れていて

  ほしい」

利根「…」

筑摩「だめ?」

利根「おぬし、前回もそうじゃったが、姉妹の序をたがえるのはいかんぞ。…あの比島

  の負けいくさで、ほうほうの体で母港に逃げがえったとき、吾輩がどれだけ恥をかい

  たか。音にきこえた、舞鶴戦艦の片割れがいない、舞鶴戦艦がどこにも見えぬと」

筑摩「…」

利根「今回は、何があっても吾輩がおぬしを守る。先には逝かせぬぞ」

筑摩「あら、今度も私が姉さんを守るわ。…それこそ、何があっても」

利根「ふっ、強情者め」


「千曲川 いざよふ波の

岸近き 宿にのぼりつ

濁り酒 濁れる飲みて

草枕 しばし慰む」


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