Winding back a bit in time....
捕えられ取り調べを受けている兄の回想
全身のあらゆる部位に痛みを感じながらも、一旬ほど前のことを朧気に思い出していた。 …日の傾いてきた里の入り江、敵船の艦尾を模した標的の側に浮かぶ組舟の上でのこと。その日何十回目かの爆薬据え付けの模擬演習を中断したところであった。状況や想定を変えて、幾度も繰り返される修練。消耗しきっているナズナは、組舟の上から水面へと。荒い息と共に胃の内容物を吐き出していた。背をさすってやっているアオイも肩で息をしており、疲労の色は濃い。俺は御頭に抗った。「通しでもう一度やれというのですか。いくら何でも酷だ」御頭は無表情のまま、「そうだ。…先ほどの動きには抜かりがあった、命を奪われたも同じだ」アオイはわずかによろめきながら、御頭にむきなおってうなずくと、妹の方を見やる。ナズナも目に涙を浮かべつつうなずく。組舟を再び”艀だまり”を模した位置へと漕ぎやる。御頭の「かかれ」の声に、妹たちは模擬爆薬を抱えて甲板下へと消えた。妹たちを隠して"敵船"へと向かう組舟の上、御頭は誰に言うと無く「生きのびる為とはいえ、なんと酷なことを強いているのだろう」… 妹たちの苦難に比べればどうと言うことはない。口元に笑みすら漏れる。何百発目かの殴打を受けた。
savaster
2020-09-20 01:22:40 +0000 UTCReader
2020-09-11 10:12:08 +0000 UTC