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⑱後編・ユグドラ

⑱後編『黒真珠の世界竜』


Chapter 5

──ロケーション『常闇の祭壇』。

 空を覆う闇夜は常にこの一帯を覆うもの。古来より掛けられた大規模天候魔法が今もその祭壇を中心に陽光を拒んでいるのだった。数千の年月を夜として、祭壇は邪神の力を蓄え続けているのだ。


 鎧姿の黒竜は堂々を祭壇を囲む神殿へと足を踏み入れる。その後ろに下したかつての竜神を従えて。

「ン″ッ♡ムゥッ……ウ″ッ……♡」

「どうした舐めイヌ。しっかりと歩かぬか」

 勝敗どころか、魂まで売り渡したかのような姿。ユグドラは一糸纏わぬ四つん這いでヘコヘコと黒竜の後を追うが、その歩みは遅々としたもの。それは首輪やネックレス、両手足の枷もそうだが、何よりその“上下の口”に突き入れられた『淫虐の張り型』のせいだろう。喉奥と尻穴に深々と挿入された魔物の角製ディルドは、互いに引き合う性質があるせいで常に刺激が止まないからだ。

 構わず神殿を進み、開けた祭壇のある部屋へと黒竜。暗い石材で造られた大きな円形ホールのようになっており、所々崩れかけている。だが中央祭壇だけは怪しい黒曜石のような色味の円盤状で、造られたばかりのような姿を見せている。

「ようやくここに辿り着けたか。貴様との旅は退屈しなくて良かったぞ、楽しかったであろう?どうだ」

「ゥウ″ッ……オ″ッ♡」

 足元を眺めて笑う黒竜に対し、ユグドラの返事は喘ぎ声かそれとも肯定か。

「ははは、そうであった。どれ」

 むんずと伸びる黒い太腕が、ユグドラの口から『淫虐の張り型』を引き抜く。男性器を模した漆黒の魔物の角製ディルドは、唾液をボタボタと垂らしながらその巨大な全容を晒すのだ。


「ンア″ァッ♡お″っ……はぁっ……ぐ…はっ……はぁっ……」

 かれこれ数週間は殆どそれを咥えさせられていたユグドラだ、急には言葉を紡ぐこともできない。そんな無防備な身体、下腹部へと黒竜の腕が伸びる。握り締めた『淫虐の張り型』を無遠慮にユグドラの勃ちっぱなしの肉棒下部、スリットへと強引に挿入していくのだ。

「お、へっ……ぁ…お………待っ……ソコは″あ″ぁああっ♡」

 これで引き合う尻穴と縦割れの偽陰茎は、ユグドラの下腹部の前後でより強力に内部を刺激することに。少し動くだけでも腰が抜けてしまいそうな圧迫感、加えてスリット下部のピアスともぶつかる張り型によって、ユグドラはどうにかなってしまいそうになっているのだ。

 しかし黒竜はそんなことなどお構いなし。祭壇を指差し、逆らうことなど許されない口調で言い放つ。

「そこへ寝そべるがいい」

「……っ……う、おっ!?」

 何とか身体を円形祭壇に乗せたユグドラだったが、描かれた六芒星の頂点ずつに頭と両手足、そして尻尾を魔法的に拘束されてしまう。真っ直ぐに伸ばされた四肢、仰向けに崩れかけた天井を見上げるユグドラ。昼間であろうと、石材の隙間から覗くのは星すら見えない偽物の夜だけ。


 家畜を檻に収めた畜産農夫のように達観したような顔で黒竜はポツリと語り出す。

「我の世界でもこういった祭壇はあってのう。ここでならば強者が弱者の力を丸ごとに取り込むことができるのだ」

 つまりはどちらが強者でどちらが弱者かであるなど、確認するまでもないという言葉。

「そ、そのようなことが……。いや、そうだとしても許される訳がなかろうっ……!」

「決めるのは我よ。貴様ではない」

 既に旅路にて散々に可愛がられ、痛めつけられた心身は黒竜の手の内。辱められ弱った隙に溢れでる神性など全て奪い去られているのだから。淫虐の神××××の淫らなマジックアイテムで散々に飾られた肉体など、ゴブリン1匹にだって勝てはしないのだから。

 黒竜の手が伸びる。ユグドラの頭部を強引に掴む。

「今直ぐにでもこの浅ましく仕上がり淫らへ堕ちた肉体を奪えるのだぞ?」

 地上の肉体としても脆弱、神性すら欠片も残らぬ魂に抵抗の術などない。

「ぐ……ぅ…」

「そこでだ。貴様にチャンスをやろう」

 奢った口調、黒竜は最早必要などないと黒鋼の鎧を脱いでいく。肌着などを全て放り、闇に溶け込んでしまいそうな見事な裸体を見せつける。黒真珠のような鱗、鍛え抜かれた体躯に歴戦の肉棒がぶら下がっているのだ。

 堂々とした態度で竜肌を晒し、仰向けに拘束されているユグドラの顔面の真上へと黒竜はやってくる。排泄でもするような姿勢でしゃがみ込めば、その秘部はユグドラの鼻先数センチ。


「ふ″……お″っ………っ♡」

 初めて見る黒竜の肛門は長旅で凄まじい臭いを放ってはいたが、ユグドラ以上にそこが使い込まれているということも分かる。盛り上がった淵、息遣いに合わせて収縮する肉の蕾のなんと蠱惑的なことか。恥部でありながらも“犯す為の器官”として成熟しているソコに、ユグドラの肉棒は馬鹿げたように揺れて雫を垂らして興奮してしまうのだ。

「それ、舐めイヌらしくココも濡らして貰うかの」

 否が応でも、ユグドラは嘲笑を降ろされながらも分厚い舌を伸ばしてしまう。今まで黒竜の身体の至る所を舐めさせられてきた身だったが、この雄臭い肛門は初めて。無様にもベチャベチャと小汚い水音を立て、しかし夢中になってアナル舐めなどに興じてしまうユグドラ。

「ふはは、どうしたそんなに必死に舌を動かして?期待しておるのがバレバレだぞう?」

 その様子は黒竜を満足させ、そして呆れさせた。続けるは先の『チャンス』の意味。

「その初々しい肉棒を我が抱いてやろうというのだ」

 少し振り向けば、ユグドラの雄竿がビクビクと跳ねるように欲情を表現している。地上に落ちて未だ、誰の身体も知らない純潔の陰茎。黒竜を笑わせ、少しばかり期待させる。

「それで果てぬ根性を見せ付けられたのならば我も負けを認めようではないか」

 勝利を収めたのならば好きにしろ、射精しない気概を示せばあとは放逐してやろうと約束する黒竜。

 意図を理解しながらも、ユグドラは顎が外れそうになるまで大口を開けて黒竜の雄穴に夢中。しゃぶりつき、舐めまわし、舌さえ入れてその激臭に理性を焦げ付かせてしまっているのだ。


「そんなに嬉しいか、そうであろうなあ」

 このところユグドラの喉は黒竜の精を与えられてはいない。吐精だってもう最後は何ヶ月前だったろうか。

「最後の記念だ、童貞を奪ってやろうぞ?」

 ユグドラの顔面に座り込みながら、黒竜は再び背面に視線をやる。言葉を紡げぬ舌に代わり、肉棒が何度も揺れるのは「ありがとうございます」の不細工な表明か。

「貴様の粗末なモノで我を満足させられるかは心配だがなあ」

 黒竜は腰を跳ねさせてユグドラの顔面で肉穴をグポグポと動かしながら、本物の雄はコレであろうと自身の雄を扱く。そしてゆっくりと腰を上げ、そのままユグドラの胸に腰掛けた。股座の全ての交尾器官を見せつけ、足で顔を囲んでユグドラへと問いかける。

「どうだ、悪くない話であろう。チャンスをモノに出来るかは貴様次第。それに我を達せられれば馳走も待っておるぞ?」

 自慰など必要ない身でありながらも、黒竜の手淫だって堂に入ったもの。ドチュドチュと我慢汁を飛び散らせ、ユグドラの濡れた顔面をより卑猥に彩っていくのだ。

 そうしてゆっくりと身体を後へと倒し、眼前の“舐めイヌ”が支度した準備万端の雄穴を見せつけて誘う。

「──男を見せてみるがいい」

 ニチャリと窄まる、グプリと花開く肉の蕾の淫猥さに、ユグドラが敵うはずもない。返事は即座に、かつみっともない性急さ。

「分かっ……分かった″ぁ…のだあ♡」


 鼻息一つでそれを受け入れ、黒竜は黒い筋肉尻の中央をユグドラの初心な色味の肉棒先端へと押し当てる。ゆっくりと、本当にゆっくりと焦らすように挿入を開始した。

「そうれ、我の肉まんこで貴様の童貞を卒業させてやろうではないか」

 顔面騎乗の次は本物の騎乗位。駄馬を乗りこなす主人のように、黒竜は自分が上だと示すようにその我慢の効かない肉棒を尻で犯していくのだ。

「うぉっ………は、チンポがぁっ♡飲み込まれ、る″ぅぅっ♡」

 まだ先端、竜族特有の先細りの亀頭が蠢く肉穴にしゃぶられている状態でしかない。それなのにユグドラの呼吸は荒く、目尻が熱くなってしまう。

「くぅ…うぅ……ぐぅぅぅ……な、んとぉ……♡」

 六芒星に捕えられた身。黒竜に跨られて、その肉棒はズルズルと肉鞘に収められていく。手足の枷をガチャガチャと鳴らして耐える、耐える。初めて味わう他人の体内の熱に、新品の肉棒を蕩けさせられそうになりながら。

 そして黒竜がようやく腰を下ろす。その引き締まった臀部がユグドラの腰と密着し、大胆不敵な笑みでもって言い付けるのだ。

「さて、ここから天国を見せてやろうではないか」

 楽しませてくれよと自身の黒ずんだ肉棒を揺らし、腕組みをした黒竜にはユグドラの付け入る隙などありはしない。


「まずは小手調べ、ふんっ」

「ッお″ほっ♡」

 最初に仕掛けるのは尻の筋肉──大臀筋を引き絞るような黒竜の悪戯。たった一度の締め付けでさえ、ユグドラは涙すら溢しそうになりながら喘いでしまうのだ。挿入“させられた”肉棒をどう動かせばいいかも分からない。


「まだ始まってもいないのだぞう、それい!」

「んぐぅぅ……チンポがぁ、喰い千切られっる″♡」

 屈強な体躯を活かした、恐ろしいまでの締め付け。黒竜のアナは男性器を犯すために仕上げられた極上の逸品。有象無象、ユグドラのような弱者の竿では太刀打ちできる訳もない。入れているはずなのに、責められているのはユグドラの方。


「ぬはは、まさかここまで敏感な初心者チンポだとは」

「待っ、お″っ♡そ、れ″はぁあ……ッ♡」

 黒竜はまだ腰を動かしもしない。その心底馬鹿にした笑い声と共に、3度目の狭窄でもってユグドラを弄ぶのだ。騎乗位の体勢、腕組みをしたまま微動だにもせず、内部の中臀筋をギチリとさせるだけでユグドラなど捻り潰したのだ。


「逸物だけでなく肉まんこですら我の方が名器ではないか、のう!?」

「ひぐぅふぅう″♡」

 誇るように揺らすのは今まで数千数万を犯し、ユグドラを毎晩にでも鳴かせてきた剛直。固く屹立しながらも、不満そうにユグドラの腹に垂らす先走りは僅か。どちらが上かを示すよう、搾り取るような尻の動きでユグドラを攻める。


「まさか交接もせぬ間に果ててしまうのでは無かろうなあ?」

「ほ″ぉっ♡締め付けぇえ″ぇっ♡」

 これではセックスなどとは呼べぬもの。ただ挿入を果たした段階、未だに一度の抽送を経ることもなく、ただ跨られただけ。だというのに黒竜は尻の最奥の筋肉──小臀筋を巧みに蠢かせ、ユグドラの脈打つ肉棹をこれでもかと締め上げてみせるのだ。


「なんと情けない。堪え性がないとは分かっていたが、ここまではと。どうせなら──最も無様に果てさせてやろうではないか!のう、それい!」

「駄目だ、ぁあ″♡耐え、耐えな″けれ、ばあ″ぁあ″あ″ーッ♡♡♡」

 黒竜の笑い声は嘲笑から憐憫へと変わり、残酷な射精へと導くための餓狼となる。もはや腰を跳ねさせる必要すらない、抜き差しなどという男らしい行為などユグドラには与えないと吠えるのだ。粘り着くような圧迫感、縦横無尽に駆け巡る肉襞の愛撫がユグドラの陰茎を貪り尽くしていく。


「それでは終わりにしてやろう。果てるがいい世界竜ユグドラよ──ふんぬうぅっ!!」

 最後の一絞り。黒竜は全身をバネのように使って腰から下への強固な締め付けを実現する。灼熱の中肉がユグドラの未熟な男性器をこれでもかと締め上げれば。

「ぬ″お″お″っぉおっほ″♡チンポがぁあ♡チンポが喰われってしま″ぁああ❤︎だあ″あ″あ″っ❤︎イグッ❤︎イグッ❤︎男のっ尻でぇっ、イかされてしまう″う″ーっ❤︎❤︎❤︎」

 僅か7度の狭窄で、ユグドラは汚い喘ぎでその快楽に負けてしまう。今まで散々に黒竜に犯し尽くされてきたというのに、一矢報いることすら出来ずにこんな情けない最後──強制射精を味わされてしまうのだ。本当に久しぶりの、そしてとびきりの開放感が尿道を込み上げていき、ぶち撒ける精の勢いが激しいこと。

 それでも黒竜は涼しい顔でユグドラの白濁を受け止め続け、むしろもっと寄越さぬかと追加で臀筋群を蠢かしてさえ。腕組みをしながらせっかくのチャンスを掴むことの出来なかった情けない自分自身を見下ろして……。


 黒曜石の円形祭壇、その六芒星魔法陣に四肢を捕えられているユグドラ。跨がってる黒竜の尻から溢れた精を祭壇の紋様に流しながら、息も絶え絶えに天井を見上げている。

「……ハァ……しゃせぇ……何とっ、お♡……ん、はへっ…………はぁ……っ♡」

 これ以上ない間抜け面を晒し、身体をひた走る射精の余韻に悶えてしまっているユグドラ。そこにはもう神としての威厳も、男としてのプライドなど見えようもない。

 だから地の底から響くような黒竜の侮蔑の声が落とされる。

「ふん、主神は7日で世界を創ったというが、貴様はたった7度の締め付けて果ててしまうとはな」

「ッ……違っ…わ、我はまだ……我はぁ♡」

 負けていないとでも言いたげな声。こんな媚びるような喘ぎでいながら、今更何を弁解しようというのか。

 なれば黒竜の返事だって、それを意図的に曲解したもの。

「そうだな『まだ』であるな。こんなもの性交とはとても呼べん」

「っ…待っ…………我は、ふ″お″っ♡」

 何か言いかけたユグドラを、その凶暴な尻肉で締め上げて黙らせる黒竜。別れを告げるようではあるが、さして寂しくともないと黒竜は神たる貫禄で言い付けるのだ。

「ふはは、結局貴様は童貞竜のままであったな。では頂くぞそのカラダを──」

 精液に濡れた黒の祭壇が怪しく光を放ち、黒竜とユグドラの肉体と魂が溶け合い、混じり合い────。


 * * *


Chapter 6

──ロケーション『神界・世界竜の神殿』。

 気付くとレリクゥは神界へと戻っていた。あの淫虐の呪いのじっとりとした感覚は腹から消え、神界と同じように心さえ晴れ渡るよう。清竜の神たる蒼の和装をはんなりと着こなし、世界竜の神殿の前に立っていたのだ。

「これ、は……!」

 今し方は地上の街で情報収集をしていたはず。こうも容易くレリクゥを神界に戻せる者など、上神であるユグドラに他ならない。気付けばレリクゥは普段のたおやかさも忘れ、駆け出していた。

 走る、慣れ親しんだ明るい神殿を懐かしむ間もなく走る。そして最新部の暗闇に座る、敬愛する大きな背中を見つけた。つい声も大きく。

「ユグドラ様!やはり呪いに打ち勝ったのですね!」

 何故か灯りもなく、本当に薄暗い最奥の間。その怪しい気配は初めてのようでどこか懐かしいもの、レリクゥの声には途端に訝しみが含まれてしまうのだ。

「ユグドラ様……?」

「レリクゥよ、こちらへ」

 何かおかしいと思いながらも、その声に従ってしまう。ふらふらと歩みを進め、灯りの加減のせいかユグドラがやけに黒々しいと思いながらもその眼前へと立ってしまうレリクゥ。

 立ち上がったユグドラは夜の帳を広げるようにレリクゥを抱くと、耳元に囁くのだ。

「どれ、その忌まわしい呪いをどうにかしてやろう」

「あ……ユグ、ドラ様っ…あ、あの……いえ、かの神の呪いならば既に──」

 戸惑うレリクゥの腹部に、ユグドラの大きな手が押し当てられる。

「ハッ……ア、アアァーッ♡」

 伏せ目がちなレリクゥの瞳が大きく開かれる。ユグドラの手によって、消え去ったと思われていた淫虐の呪いが再び息を吹き返したからだ。いやむしろ地上にいた時よりもそれは遥かに強力。服の上からでも妖しい発光が見て取れ、それは肉体にベッタリと完全固定されてしまったのだ。


「な、何を……うあ…こんなぁ……♡」

 上神の腕の中で発情してしまう。たおやかで清楚を旨とする清竜の神でありながら、恥ずかしげにスリットから顔を覗かせてしまう若い赤身。腰を抱く大きな手に雄性を感じ、スリットから後孔から、愛液を滴らせてしまうレリクゥ。

「仕方なかろう、全てはこのくだらぬ呪いがいけないのだ」

 慰めるようなユグドラの声がやけに腰に響く。

「我が欲しかろう?」

 見上げてしまえばレリクゥ、ユグドラの雄の顔にコクンと頷いてしまう。だがそれも一瞬だけ。直ぐにハッとなり、小さな抵抗で腕から逃れようとする。

「こ、このようなことをユグドラ様が、なさるはずが……フーッ♡く……んっ♡」

「無理に堪えることはないぞレリクゥよ。何せ──」

 含み笑いを堪えるように、ユグドラが言葉を貯める。そして次に口を開いたが瞬間、神殿最奥の間にある全ての灯りがともるのだ。

「貴様の上神であるユグドラとて、我の魅力には勝てなかったのだからな。ふは、ふははは!」

 レリクゥが感じていた違和感の正体、それはユグドラの何もかもが同じはずなのに鱗の色が正反対の黒であること。一朝一夕にこのような変化が起こるはずがない、落界下とてこの変化は異常だ、本人でないと判断するには十分。

「ユグ……お、お前はっ…!?」

「我こそが世界竜ユグドラよ。我こそ──」

 そうしてユグドラ──黒竜が語るのはレリクゥにとっては信じたくもない事実。並行世界の世界竜である黒竜が、とあるマジックアイテムを介してこの世界へと辿り、あまつさえ本物であるユグドラの神性を奪ってその身を一体としたなど。


「そ、んな……そんなこと、が………ぅ……く♡」

 話している最中であろうと、黒竜の手がレリクゥの痩身を弄る手付きは止まってはいない。地上のユグドラとの思い出話をしながらも、もう次の獲物を仕留めようというのだ。そしてその目論見の成功の可否は、レリクゥの服の裾から入り込んだ黒竜の指先の湿りが簡単に証明してしまう。

「その濡れた身体が何よりの証拠であろう?」

 世界竜ユグドラが健在ならば、こんな異物たる黒竜が神界に存在するはずがない。世界竜ユグドラが健在ならば、黒竜が強欲な視線でレリクゥの恥じらう姿を犯しているはずがない。

「我が命ずる。清竜レリクゥよ、脱げ」

「や……はいっ♡……あ、違うっ……違っ…こんな、僕は望んでなんかぁ……♡」

 肯定と否定がぐちゃぐちゃに混ざった返事をしながら、レリクゥはその脱衣でもって答えとする。今や明るい神殿の室内だ、直ぐにその裸体の全ては黒竜の眼差しに晒されてしまうのだ。

 細い頸筋、体の内側は白く柔らかな竜肌、くびれのある腰のライン。ふっくらと形良い尻、すらりと伸びる尻尾、そして恥ずかしそうにスリットから甘勃起に震える性器。

「み、見ないで、ください……っ…!」


 満足そうに頷き、黒竜も衣を脱ぎ払う。ユグドラが着ていたのと同じ荘厳な白布をはらりと床に落としていく。

「どうだ、好きなだけ見るが良い」

 すれば顕になる黒き世界竜の肉体美。削りだした彫刻のような荒々しさと、内から輝くような神性の神々しさが同居している。ユグドラとは違い、黒真珠のような濃艶の黒鱗。腹部にほの光る淫紋のようなそれは、効果に当てられた者に被虐を強制する『暴虐の呪い』。

 レリクゥの視線を確かめながら自身の縦割れを弄って見せ、その内側からズルリと姿を表すのは雄々しい肉棒が一振り。どれだけの寝台の戦を経てきたのか、淫水焼けしたグロテスクともいえる見た目をしており、レリクゥに小さな悲鳴さえ上げさせたのだ。

 対面する両者。

 こうもまじまじと上神の肉体──間違いなく男性器部分は違うが──を見ることのなかったレリクゥ、あまりに立派な体躯に胸をドキドキとさせてしまう。そして何より、互いの『淫虐の呪い』と『暴虐の呪い』が相乗効果を発揮してレリクゥの心身を侵してしまっているから。

 ポタポタと淫らな液体を股座から垂らすレリクゥを、黒竜は笑わずにはいられない。

「ふん、賢しい言葉など必要なかったようだな」

 蕩けた顔のレリクゥ、その肢体は抵抗も忘れて柔らかく砕けて。そんなレリクゥへと堂々と手を伸ばし、顎を上げさせる黒竜。

「……ふぁ…♡」

「奴の下神らしい顔になったではないか」


 その顔を、瞳を覗き込むように顔を密着させる。黒竜の覇気のある息遣いが、レリクゥの辿々しい甘えた吐息を上書きするように問いかけるのだ。

「では聞いてやろう。我に何を望む?」

「はっ……ひ、くっ…僕っ♡僕っ……い、虐められたいっです♡この熱い身体ぁ、どうしようもなくってぇ……♡全部っ、滅茶苦茶にされたくて、されたくてぇ♡」

 抵抗に使うはずの両手は自身を抱き締め、涙ながらに答えてしまう──答えさせられてしまうレリクゥ。興奮に濡れる下半身を持て余し、その熱をどうしたら良いのかも分からない。うずついた瞳は、仇である黒竜に縋るかのよう。

「ふはっ、あの変態トカゲの下神もやはりこんなものか」

 楽しみつつもあまりに簡単に籠絡できたからか、がっかりだと鼻先で笑う黒竜。直ぐに神たる権能で空中から衣装箱を生み出した。

「では貴様の上神からの下賜だ、ありがたく受け取るが──いや、こうしてやろう」

 衣装箱から取り出したのは小汚い布切れが一枚、それを惚けた顔で見上げるレリクゥの顔、マズルへと巻きつけたのだ。

「ンムゥウウッッ♡♡♡」

 恐ろしいまでに熟成された痴垢と雄汁の臭い、汚体液の湿り気がレリクゥの清楚な顔面をベチャリと汚す、冒す、穢す。こんな嗚咽すべき代物に、どこか懐かしさを感じてしまう自分はおかしいのではないかと思い、危険な興奮と情けなさに泣き出しそうな顔になってしまうのだ。

「どうしたそんなに喜んで。これは貴様の大好きな上神の我慢汁がたっぷりと染み込んだ腰布だぞう?」

 クラクラと立ち尽くすレリクゥは、その言葉を噛み締める。地上にて元はユグドラのマントとして利用されていたが、次第に扱いが悪化するにつれてオシメのように使用されていた物を黒竜が仕舞っておいたのだ。


 レリクゥの身体はその激臭に痺れてしまったかのよう。いや、僅かではあるが鼻を鳴らしながらその腰は前後にヘコヘコと揺れてしまっている。次第に揺れは大きくなっていき、勃ったレリクゥの竿は我慢汁をトロトロと滴らせてしまうのだ。

「まったく揃いも揃って淫らな竜だ。どれ早速と交わろうではないか」

「ッ……あぁ…♡」

 期待してしまう、その言葉に。レリクゥはとろんとした瞳で黒竜を見上げてしまう。小汚い布切れにかつての上神を感じながら、その敵ともいえる相手に物欲しそうな目を向けてしまったのだ。

「レリクゥよ、尻を出せ。野良犬のように尻を我に突き出すのだ」

 言われるがまま。床に這い蹲り、言葉通りに柔らかな尻を黒竜へと捧げてしまうレリクゥ。マズルに巻きついた汚布のすえた匂いに理性などとっくに溶けてしまっているから。

 黒竜の両手が、穢れ無き神界体ともいえるレリクゥの尻を揉みしだく。指先に吸い付くような柔らかさとしなやかさ、初心で清純さを醸し出す淫らな臀部。甘く蕩けさせるように愛撫するも突然、その尻たぶに黒竜の平手打ちが飛ぶ。

「ひゃっん″ん″っ♡」

 突然の痛みに尻尾が暴れ、しかし悦ぶように若竿が先走りをびしゃびしゃと散らす。逃げようとも防ごうともしないのは、更なる平手を望んでいるが如く。


「可愛らしい尻だが、ちと物足りぬな。こんな小さな穴蔵では、一度で使い物にならなくなってしまうかもしれぬが──それも一興だろう!?」

 今度こそ黒竜の両手がレリクゥの尻たぶを左右に割る。慣らす必要もなく愛液を滴らせているのは互いの呪いの強力さ故。とっくに雄を受け入れる性器と化した後孔へと、太く逞しい歴戦の勇姿が突き入れられていく。

「あっ、ああ、やっ──あ″あ″あ″ぁああっんぅぅっ❤︎」

 顔面をユグドラの雄臭かおるボロ切れに押し付け、レリクゥなど一撃で果ててしまう。動物の交尾のようにマウントポジションで押さえ込まれ、はしたない声で鳴き叫びながら精を漏らしてしまうだけ。

「はは!挿入だけで果てるとは根性が足りぬなあ!?あの変態トカゲの下神だ、貴様は早漏れトカゲとでも呼んでやろうか、のう!?」

 腰を押し付け、ゴスゴスと激しくレリクゥを犯しながら、再び黒竜の平手打ちが飛ぶ。尻たぶがバチンと被虐の楽器と成り果てれば、その嬌声は天に響き渡るよう。

「ん″ひ″ぅうう❤︎や″あぁっ❤︎お尻ぃっ、壊れちゃあ″あ″っ❤︎」

「堪え性のない情けない性器が泣きじゃくっておるわ!」

 未だに射精の勢いは止まらない。この神界においてそんな不純な行為など許されないと吠えるべきレリクゥだったが、背筋を走るマゾヒズムを堪えることなどできないのだ。

「ああ、あっ❤︎んっぁ、ごめ、んなさいぃっ❤︎や、だぁあっ、駄目、駄目ぇぇっ❤︎」

「どうしたレリクゥよ、雌射精ばかりで恥ずかしくないのか!?」


 打ち付ける拷問のような激しさの雄肉棒。赤黒い亀頭がレリクゥの恥ずかしくも堪らない最奥を押し潰せば、漏れ出る精が止まる気配すらない。

「恥ずかしッ、ですっ❤︎ごめんな、さいっ❤︎あっ、あっ…あ″ぁああっ❤︎」

「これでは水の神ではなく愛液の神に鞍替えだのう!?」

 ビチャビチャと神殿の床を濡らし、淫らな水溜まりを広げてしまうレリクゥ。雄々しく腰を打ち付けられ、尻たぶを赤く腫れるまで叩かれる。それこそ暴虐の呪いによって吹き荒ぶ性の加虐が、その細い肢体を滅茶苦茶にしてしまうのだ。

 この穢れなき身、その後孔は今や黒竜の肉棒が我が物顔で出入りを繰り返している。ユグドラの腰布に自身の恥ずかしげな唾液を滴らせ、レリクゥはまたしても上り詰めてしまう。ドチュンドチュンと破城槌のような衝撃を受け続け、甲高い悲鳴は悶えるような悦びに満ちて。

「やっ、あぁぁ、駄目なのにぃいっッ♡やだ、やだああっ♡こ、んなの間違っ……てるのにぃっ♡ごめ、ん″ぅ、なさいぃぃっ♡あ″っ、お尻ぃぃっ♡僕っ、お尻で気持ちぃいの止まらないんですぅぅっ❤︎❤︎❤︎」


 そこから先、二つの神はそれこそ時間など忘れて盛り合った。地上であれば一昼夜などという概念があれ、ここ神界では時の流れなど関係ないのだから。溶け合うよう、交わり続けたのだった。

 黒竜はレリクゥの肢体を貪りながら、下界でのユグドラの痴態を楽しげに語るのだ。それは当てつけや皮肉、悪ふざけといったものであったはず。だがレリクゥは悔しそうに尻穴を暴かれながらも、どこかそれを羨ましがるように下半身をビク付かせて聞き惚れてしまうのだった。

 そしてどれだけの時が経ったろう。寝そべってレリクゥに騎乗位──奇しくもユグドラの時とは逆の体位でもって黒竜はおもむろに口を開く。レリクゥの呪いの浮かぶ腹へと手のひらを押し当て、たっぷりと子種を注いだそこに神たる力を注ぐのだ。

「もう我の因子も育つ頃であろう。どれ──」

「アアァアアアアーッ!?」

 もう何度果てたかも分からないレリクゥ、黒竜に跨るのもやっとだったというのに悲鳴は大きく激しいもの。ぐったりとしていた四肢が、尻尾が跳ねて腹部から込み上げる異変に悶えるのだ。


 ゆっくりと沈み込むように黒竜の腕がレリクゥの腹部へと入っていく、物理的ではなく魂への侵入ともいえる行為。そしてその腕が引き釣り出していく、産まれ落としていくのはもう1人のレリクゥ。

 黒竜と同じ世界線に存在している、その下神。その姿は穏やかな蒼と白とは違い、猛々しい黒と赤の二色。黒竜の腕から解き放たれたその場で状況を理解したのか、その足元に恭しく跪くのだ。

「清竜レリクゥ、ここに。お呼びでしょうかユグドラ様ぁ?」

 最初こそ従者の如き声音だったが、最後には堪え切れなくなったかのような楽しげな口調になっていた。この世界線とは完全に異なった、妖艶な色気を漂わせる黒赤竜なのだった。 

「よく来たのうレリクゥよ。では手始めに、そこに転がっている“早漏れトカゲ”を可愛がってやるのだ。たっぷりと時間をかけ、楽しんでのう」

「お言葉のままに」

 艶やかな赤の和装を芝居がかった仕草で脱げば、その傾城傾国の肢体が灯りに照らされる。自らの精に溺れ、ビクビクとのたうつ青魚のようなレリクゥへと黒赤竜は悩まし気に両手を伸ばすのだ。

「あっ……ああ…♡そ、んなぁ……僕は、お前は僕じゃ、ああ──」

 そのたおやかな手は男に極上の快楽を味わせることができるように、男にとって生殺しにされる苦悩の快感を齎すことだって容易なのだから。


 愛し合い、憎しみ合う2人のレリクゥを眺めながら黒竜は不遜に笑う。豪胆に腰掛け、自身の下神とこの世界の下神が雌雄を決する様を見物としけ込むのだ。蕩けるような悲鳴と苦しみの嬌声を背景音楽に、黒竜は侵略の青写真を思い浮かべる。

「それではこちらの世界の神界をも我が物としてくれようぞ。この世界竜ユグドラの名の下に!」


 <終>


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