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02シャットアウトシャム③

Chapter 3 『快楽迷宮』

 シャットアウトシャムは未だにヒーローズ本部には発見したヴィランアジトのことを報告していない。ただ報告して他のヒーローに潜入なり襲撃をされるよりも、このアジトを経由して何かしらの大事件でも起きた後に手を打った方が価値が高いから。

 ヒーローらしからぬ打算ではあったが、これもA級ヒーローに上がる為の足掛かりに過ぎない。自信と将来性を胸に、今日もシャットアウトシャムは工場群地下のアジトで情報収集を続けているのだ。

 だが報告をしないのは本当にそれだけの理由だろうか。本人は絶対に認めはしないが、少しずつその心境に変化が訪れていること。仲間のヒーローや本部との相談があれば違ったかもしれないが、若きヒーローは知らずのうちに地下の迷宮へと誘い込まれてしまっていて──。


 最初こそこのアジトの全貌を丸裸にしてやると息巻いていた。人数や各種施設、襲撃や脱出用の出入り口などなどを、丁寧かつ詳細に調べ上げていたのだ。それは半ばまでは確かに上手くいってはいたが、今ではそれも放り投げてしまっている状況。


 何せ、下級戦闘員たちへ毎日のように行われる戦闘員スーツを着込まされた変態的な洗脳調教にどうしても意識を持っていかれてしまっているから。組織統領であるビッグボスへと、命令を飛ばす上級戦闘員へと忠誠を誓い、服従すれば快楽を貪れるのだと刷り込む卑猥な運動の数々。

 捕まった一般人とは違い、シャットアウトシャムはヒーローパワーを応用した能力体を送り込んでいる。それでも性的経験値の低いシャットアウトシャムのようなヒーローにとって、その浅ましい活動に能力体とはいえ参加してしまえば悪影響を及ばさない筈がないから。

 今日も威勢のいい上級戦闘員の声。

「ほれロック解除されてるチンポ振り回すの堪らねえだろお!?」

 ここに集められているのはまだこのあいだ攫われたばかりの下級戦闘員。股間の南京錠ロックマークは解除された状態なので、その股座では真っ黒な戦闘員スーツで覆われた男性器の形状が丸分かりだ。

 上級戦闘員の言葉通り、彼らは両腕を腰に当てて堂々と立ったまま、変態じみた腰振りで勃起した肉棒を跳ねさせているのだった。まだ戦闘員なりたてだからか、黒く膨らんだ亀頭の先端から滴るのは透明な雫。完全に密閉されているようだが、恥ずかしい体液だけは漏らさせられてしまう仕様なのだ。


 そんな中、シャットアウトシャムの能力体とて戦闘員スーツを着込み、真っ黒な全頭マスクを被ってそこに参加している。全身を覆う防御フィールドを可変させ、人型にして戦闘員スーツを着させて潜入させているのだ。

 ということは、その体型から何からシャットアウトシャムと全く同じ。前後左右に並んだ男たちよりも劣る体格で、当然のように勃起して暴露されている小振りな男性器だってシャットアウトシャム本人のそれ。

(せ、戦闘員なんか、にぃ……ボクの裸同然の格好…見られ、るなんて……!)

 天井裏で悔しがるが、大広間で整列している能力体を止める訳にはいかない。潜入がバレない為、A級ヒーローへの昇格の為と変態的な行為に身を染めてしまうのだ。

 あの高貴な顔立ちで常に冷静沈着なシャットアウトシャムが、まさかガニ股で先走りを飛ばしながら腰を振っているだなんて。

 体格が華奢な点以外は見分けが付かないような、没個性の極みとも言える戦闘員スーツ。能力体を操っているとはいえ、その背徳的な解放感はシャットアウトシャムの頑なな心にいけない感情をもたらしているのだった。

(な、なんなんだよコレェ……♡こ、んな馬鹿げた、ことぉ♡)

 ダクトから覗く、自分の能力体のあまりにも無様で卑しい腰振り。だがその余波は確かにシャットアウトシャム本人の下腹部にだって直撃している。能力体が浅ましく勃起しているように、今のシャットアウトシャムだって痛い程に勃ってしまっているのだ。下着の中を我慢汁の洪水が襲い、若きヒーローは悔しげな吐息を吐き出すばかり。


「ほれ感謝はどうしたあ!?」

 上級戦闘員が叫ぶ。それは命令であり洗脳であり、ただの言葉でありながら頭を巨大なハンマーで殴られたような衝撃を引き起こすもの。下級戦闘員にとっては抗えない一撃。

 腰に両手を当て、みっともない腰振りを披露しながらも下級戦闘員たちは口々に呼応する。

「お″っ…あ、ありがとうございます!」

「感謝しますう″……上級戦闘員様!」

「き、気持ち良いです、ありがとうございます!」

 感謝の大波はズラリと整列した下級戦闘員全てを飲み込んだ。だからシャットアウトシャムとて、その能力体とて言わざるを得ない。

「……あ、ありがとうござい‥ます…!」

 消え入りそうな声での感謝ではあったが、口にした瞬間にゾクゾクとした妖しい電流が走ったようにシャットアウトシャムには感じられた。

(あ、ああ……コレ、いけないやつ……だぁ♡言っちゃった、ボク……こんな奴に感謝、しちゃったぁ♡)

 ビクンビクンと若雄が跳ね、溢れ出る潮臭い透明汁。後悔を黒い悦びが塗り潰すのを実感し、今にも失禁してしまいそうなほどの嬉しさに包まれてしまう。それがシャットアウトシャム本人なのか、能力体が感じているのか、それさえ分からなない。

 こんなモノを生身で受け入れれば、一般人など戦闘員に堕ちてしまうのなど納得の威力なのだと、シャットアウトシャムはその身を以って痛感したのだ。


「お前ら下級戦闘員はなあ、何をするにも上からの命令が絶対!」

 追撃するような上級戦闘員の声が下級戦闘員たちに、シャットアウトシャムの頭に刻み込まれていく。

 支配者然とした足取りで上級戦闘員は近場の下級戦闘員を操り、卑猥な姿勢を強制しながら大広間を命令でビリビリと震わせるのだ。

「こんなポーズも──」

 例えば股間を天井に向けた勃起の変態ブリッジ姿勢。

「こんなポーズも──」

 例えばガニ股で蒸れた脇の下さえ披露する姿勢。

「こんなポーズも──」

 例えば尻を限界まで後方へ突き出してのおねだりのような姿勢。

 上級戦闘員に指示されるがままにそんなポーズをさせられる1人を見習い、全ての下級戦闘員だって同じように無様なポーズへと身を染めていく。ミチミチと窮屈な戦闘員スーツが妖しい布擦れの音を立て、人格も品位も無視した変態ポーズの群れが形成されるのだ。

「──言われるがまま従ってそのエッロく黒に染まった身体を見せんだよ!」

 それが正しいこと。この世の立った一つの真実だと脳裏に刻み込まれていく。

 最後の尻を突き出したポーズのまま固まる下級戦闘員たち。その丸く破廉恥なまでにパンパンに張り詰めた尻を撫でながら悠々と歩き回る上級戦闘員。


 そして偶然ではあるが、まるで念入りにチェックするかのようにシャットアウトシャムの能力体の尻を凝視する上級戦闘員。本人のそれと寸分違わぬ尻たぶ、尻穴。窪みを上位存在に見せる為に黒スーツに覆われた尻尾もピンと真っ直ぐに上がってしまうのだって無意識。

 完璧に密着した戦闘員スーツであるから、シャットアウトシャムのくっきり肉尻の全てが上級戦闘員の歪んだ瞳に晒されるのだ。

(うぅ……いくら能力で形作った身体でも…ボクの恥ずかしいとこ全部、こんな奴に見られちゃってる……♡見られ、てるっ♡こ、んな近く、近くでっ♡ぁあ……や、息がお尻にかかって……ん…キュンってなるとこ、鼻で笑われちゃったぁ……♡誰にも、見せたことない、恥ずかし…とこ、見られ、ちゃったぁ……♡)

 こんな場面で正体がバレる訳にはいかないと必死に耐えたシャットアウトシャム。男同士では性器と成り果てる部位だという知識はあれど、誰かに見せたことなどあるはずがない。尻たぶの柔らかさ、尻穴のシワの一本まで丹念に上級戦闘員にチェックされ、その恥ずかしさに我慢汁など滝のように滴るのだった。

 当然、天井裏で能力体を操作するシャットアウトシャム本体だって無事ではない。羞恥心で頬を真っ赤に染めながらも、下着をぐっしょりと濡らしていた。


 だが上級戦闘員はシャットアウトシャムにも、戦闘員たちにも休む暇など与えない。

「おーし、次は隣の奴とペアになって遊んでみろ」

 ほとんど自動的とも言える動きでシャットアウトシャムは隣に立っていた大柄な下級戦闘員とペアを組まされる。全頭マスクに包まれる2本の雄角などから雄牛種だと分かる。恰幅の良い中年男性で、その下半身の“角"だって立派なことは対面すれば目に入らないはずがない。

 真っ黒な戦闘員スーツに覆われながらもビキビキと血管が走り、フーフーという呼吸と共にビグンビグンと跳ね続けている。雄盛り、シャットアウトシャムとは比べ物にならない、まさに凶器といった代物だ。

 それなのに、上級戦闘員から聞こえた指示は兜合わせなどというもの。

(コ、コレとボクのを……!?)

 無言のまま、上位存在からの命令を実行しようと一歩近づいてくる雄牛の下級戦闘員。今までどんな敵からも引いたことのなかったシャットアウトシャムは、初めて後退りしかけてしまうのだ。たった一歩あるいただけで、雄牛の黒男根はブルンと大袈裟に跳ねて見せたから。

(おっきすぎ‥だよ……♡こ、こんな、ボクの倍以上はあるんじゃ……!?)

 直視するのだって胸がどうにかなってしまいそうな太さ。それでも大広間の即席ペアたちと同じように、無情にもシャットアウトシャムの若雄にもその剛直が重ねられる。触れられただけ、押し付けられただけで立っているのもやっとの雄の力強さがシャットアウトシャムの思考を焼く。

(ふ、ぁぁ…♡熱い、おっきい、臭いも凄いッ……♡)


 もう腰砕け寸前のシャットアウトシャム。だというのにむんずと伸びた雄牛戦闘員の両手が、一本の丸太と一本の小枝を包むように握り締めたのだ。

(待っ♡あ、待って♡そ、んな大きな手でぇぇえ♡)

 ぎゅうと両手が覆い被さり、互いの雄を密着させるように刺激し始めた。

「ほれ!好きにやんなあ!今日は楽しめ楽しめ!」

 上級戦闘員がそう叫んでいるのだって、今のシャットアウトシャムの耳には入らない。雄牛戦闘員が無表情ながら楽しげに両手を動かすのについていくだけで精一杯なのだ。

(ボクも、握り返さないと、いけない、のにぃッ♡)

 これくらいで根を上げるわけにはいかないと、潜入がバレない為に楽しむ素振りを見せなければ。

(コレェッ♡気持ち、良すぎッ♡本体じゃ、ないのにッ♡)

 シャットアウトシャムはかろうじて雄牛戦闘員の大きな手に両手を重ね、追随する振りをする。だがそれなど見せかけのもの。雄牛戦闘員がただの男だった時にやっていただろう、激しくも豪胆なマスターベーションに巻き込まれて泣き叫ぶだけ。

(この気持ち悪いスーツのせい、に決まってる……ぅ♡)

 傍目ではペア同士で快楽を貪っているように見えても、その実されるがままのシャットアウトシャム。能力体を包んだ黒スーツの股間は2匹分の我慢汁でベットリと濡れに濡れ。雄牛戦闘員が逞しい腕を上下するたびに卑猥な水音と吐息を溢れさせるのだ。

(な、のにぃ…ちんちん弄られると、もう……何も考え、られ……♡)


 シャットアウトシャムの初めての性的な経験。それがまさかこんなヴィランのアジト、それも名前も顔も分からないいち下級戦闘員が相手だなんて。それでも強い雄、大きな雄の包容力にシャットアウトシャムはやられてしまう。この異様な空間のエロスの空気に飲み込まれてしまうのだ。

(気持ちいぃぃ♡おっきい手ェ♡)

 腰が止められない。

(クチュクチュいってる♡恥ずかし、いっ♡)

 我慢汁など溢れて仕方ない。

(このおじさんのおっきいので押し潰され、そぉだよぉ♡)

 情けないへっぴり腰。

(も、おぉ♡どうにか、なっちゃうぅぅ……♡)

 全頭マスクに包まれた能力体とはいえ、その表情を形作るのは明らかなる快楽に堕ち堕ちたもの。淫らな即席ペアの手淫に腰をカクカクと揺さぶり、もっともっとと変態戦闘員スーツを濡れそぼらせていくばかり。


「……ハァッ♡気持ちいぃ♡手、止められないっ♡」

 それは天井裏に潜むヒーローの口から放たれていた。ダクトの狭い空間であるためか、服の上から股間を必死になって擦り続けているシャットアウトシャム本体。

「どうだあシコ猿どもお!チンポ弄んのは気持ちーだろお!?なあ!?」

 そんな罵声がシャットアウトシャム本体を夢現から現実へと引き戻す。いくら能力体が戦闘員スーツの影響下にあるとはいえ、本体までもがその罠に掛かってしまうだなんて。

 能力体から見ても、天井裏から見ても惚れ惚れするような雄牛戦闘員。能力体が気持ち良くなるのをいつの間にか羨ましく見ていた為の失態。まさかこの自分が覗き魔に落ちるだなんて、自慰に耽ってしまうだなんて。

(でも……でもぉ……………♡)

 だが止められない。本体の右手はいつまでだって膨らんだ下腹部を弄り続けてしまう。今まで自慰なんて下らない生理行動だと小馬鹿にしていたのが嘘のよう。大広間の呻き声につられて、シャットアウトシャム本体の右手も情けなく動いてしまうのだ。べっしょりと濡れた下着の前面へと、濡れテカる亀頭を押し付けるのが堪らない。

 眼下の大広間での声が切羽詰まったものへと変化。下級戦闘員たちの果てを感じ取り、その一員になったような暗い一体感がより感度を増させるのだ。


「や、ボクも……ボクもぉおっ♡」

 誰にも見せたことのない、誰も見たことのないシャットアウトシャムの痴態。

「あっ♡気持ちぃ……気持ちいの止めらんないってぇぇ……♡」

 右手を懸命に動かす。快楽で尻尾がバタつくのが止められない。三角耳はへたり込んだまま、舌はだらしなく垂れたまま。

 今まで知らなかった、こんなにも心地良い行為があっただなんて。生まれて初めて心から味わう快楽──それは変態的で支配的ではあったがシャットアウトシャムを容易にノックアウトしてしまうのだから。

 大広間でペアの股間を擦り合わせるケダモノたち、一気に雄叫びと嬌声にて吐精を告げるのだ。一気に洗脳の段階がステップアップするとも知らず、快楽の報酬が雄獣たちを雁字搦めにするように精を迸らせていく。

「ブモォオオオオォォオ!!」

「ん……ぅーーーッ!」

 雄々しい雄牛戦闘員に引っ張られるように、シャットアウトシャムの能力体も可愛らしい絶叫で絶頂。能力体の腹どころか胸どころか、顔マスクにまで雄牛戦闘員の射精液が飛び散っていく。黒のスーツに映える白の体液、それは堕落とも祝福ともとれるもの。能力体の身体前面を温かな雄汁で濡らされ、汚され、幸せにされてシャットアウトシャム本体だって理性がトんでしまうのだって仕方ない。


 狭苦しいダクトの中、たった1人で味わう精の果て。

「んんんぅ……ボクもボクもイッちゃうよぉぉぉーーッ❤︎❤︎❤︎」

 大広間で行われる酒池肉林じみた洪水のごとき白濁たちと違い、下着の中で弾けるだけのお漏らしのようなそれ。だがそれは確かに、今までのシャットアウトシャムの人生観を崩壊させるだけの破壊力があったのだ。まさに二度目の精通ともいうべき、生まれ変わるような射精を味わってしまった。

 こんな経験をしてしまえば、シャットアウトシャムが以前と同じような生活が送れるはずがない。それに気付いているのかいないのか、濡れた股間を両手で押さえ、シャットアウトシャムは健気に荒い呼吸をしながら大広間のもう1人の自分をジッと見つめ続けるのだった。


 そして事が全て終わり、天井裏に回収した戦闘員スーツが放つ臭いだって凄まじいもの。雄牛戦闘員の精力の強さを確信させる。シャットアウトシャムはそれに触れようとしたが、ビクッと肩を震わせて止めた。

 もし、もし触ってしまったら、自分が一体どうなってしまうのか分からなかったからだ。能力体で戦闘員スーツを洗いながら、今後の戦闘員としての徴集にいけない期待を募らせるばかりだった。


 その日から、天井裏でシャットアウトシャムは監視という名の覗きを続けた。能力体がさせられる卑猥で破廉恥極まりない“指導"の数々に、自分を重ね合わせての自慰が止められなくなっていったのだ。


 * * *


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