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⑱中編・ユグドラ

⑱中編『黒真珠の世界竜』


Chapter 3

──ロケーション『霧の谷モクメル・西口待合小屋』。

 雨風が防げる程度の古びた小屋。それはこの谷のあまりにも濃い霧に埋もれてしまっているよう。そんな室内では1匹の堕竜がただひたすらに自慰を貪っている最中。

「ッ……は″ぁっ♡」

 くたびれたベッドにマントごと仰向けで寝そべり、のけ反るように両手で雄竿を扱き上げ続けているユグドラ。

「ふ″おっ………♡」

 部屋いっぱいに透明な助平汁のにおい、雄の汗臭さで満たしながらもその手淫はいつまでだって止まらない。グチュグチュニチャニチャ、汚らしい水音ばかり。喘ぎだって止まることを知らず、浅ましい唸りが響くのだ。

「……ん、ほっ……ぅ、ふ……ぐぅうぅ………っ…♡」

 我慢汁が泡立つほどに扱き上げていた竿、それを握り締めながらユグドラの身体が一際跳ねる。爪先がグッと丸まり、太い尻尾が真っ直ぐに、厳格そうな表情が必死なそれで震える。

「ぬ、ううぅうっ♡ま、まただぁあ……♡やはり、最後までぇ……イ″けぬ″ぅうっ♡と、止められて、しまううぅ♡」

 だが手が止まってしまう。ピタリと動きを止め、快楽の肉柱から離れてしまうのだ。最後の一線を越えられず、お預けになってしまう原因それは──。


 そこへ狩から戻ってきた黒竜が、獲物をぶら下げながら帰ってくる。。

「またやっておるのか、飽きないのう『オナドラ』よ?」

 今の名前はそれ。ユグドラで遊ぶ度、乱雑で卑猥な名付けをして小馬鹿にするのが堪らないらしい。

 そんな原因となっているのはユグドラの両腕に嵌められた『淫虐の腕輪』のせい。淫虐の神××××の力を秘めたマジックアイテム回収は順調で、一つ前の街でそれを手に入れて装備させたのだ。

 これは肉体操作、主人が好き勝手に命令できるという代物。そう例えば、黒竜が狩に出ている間に『少しでも性欲を感じたら自慰をしろ。ただし、射精寸前で止めること』と命じられているからこその、この惨状。

 谷を進むには濃霧が酷く、晴れるまでは待ちの一手。黒竜は少し手前の森で狩をしており、その間はユグドラはこの小屋で“楽しく"1人遊びをしているというわけだった。というのも『淫虐の腕輪』を手に入れた街では年に一度の祭りが開催されており、谷の反対側から来るものはおれど、こちら側から出る為にこの小屋を使用する者は居ないからこその独占状態なのだ。

 そんな室内は今や我慢汁と汗の臭気が充満。ユグドラがどれだけ浅ましい自慰行為を続けていたのかなど、見るまでもなく分かってしまうもの。

 加えて黒竜の視線、寝転んだユグドラの股間部分。

「まったくとんだ自慰狂いも居たものだ。貴様の我慢汁でマントもずぶ濡れではないか。困ったものだ、一枚しかない大切な衣装だというのに」


 失笑し、冷たい視線を向ける黒竜。こうも公然と嘲笑されてもユグドラに沸き起こるのは屈辱と同時に被虐の悦び。互いの『淫虐の呪い』『暴虐の呪い』が噛み合い、虐められたい思いと虐め抜きたい思いがぶつかる。

 なれば興奮に溺れたユグドラの肉体、再び両腕が股間へと伸びて自慰行為へと直走ってしまうのだ。

「ッ………ぐっ♡ま、また手がぁあ、始まって、しまうっぅ♡」

 両腕を冒す錆びた金属製の『淫虐の腕輪』は、黒竜が出かける前に言った『少しでも性欲を感じたら自慰をしろ。ただし、射精寸前で止めること』という命令を躊躇なく実行する。黒竜に見下され笑われながらも、ユグドラの両手はただただ自身のいきり勃った雄を慰めるための道具と成り果てるのだ。

「ふん、忙しい奴だ。『チンポしゃぶり』も良かったが、『オナドラ』も中々に似合いの名であったな?」

 今のユグドラに黒竜を止める術も、世を平定へと導く気概もない。何も成すことは出来ず、両手を忙しそうに股間で擦り合わせ続けるのだ。射精の為ならば黒竜に教え込まれた恥ずかしい言葉の数々を、濡れた吐息と一緒に吐き出してしまう。

「ふ″っ♡お″ぉぉつ″♡オナニーッ♡マスカキッ♡チンコキッ、止められぬぅうっ♡そ、そうだあぁ、我はっ……我はオナドラッ♡オナドラなのだっ、認めるぅうっ♡だ、からぁっ、射精ぇ……射精させてぐれ″ぇえっ♡♡♡」

 ビュクビュクと小汚い噴水のように溢れる我慢汁。それが滴ってユグドラの身体の下敷きのマントなどぐっしょりと濡れ放題。美しい真珠の白竜肌は汗と興奮、恥辱に染まって赤く。叫びと共に大きく広げられた両脚によって、スリットどころか肛門まで黒竜に丸見えであろうとも吐精の喜びを願ってしまうのだ。

 ここまでするならばと、ニヤリと笑った黒竜の答えは──。


──ロケーション『霧の谷モクメル・山道』。

 いつしか谷に充満していた霧も“少しは”マシになっていた。名称から『霧の谷』と呼ばれるだけあって晴れ渡る景色など誰も見たことはない。成人のほぼ首元程度まで濃霧──いやほぼ液体のような霧に浸かりながらの移動とならざるを得ない。その濃度は頭と首元から下は間近でさえ何も見えないほど。

 そんな中を黒鋼の鎧を誇らしげに鳴らして歩く黒竜。その後ろをよろよろと追い縋るのは、ぐっしょりと我慢汁で濡れたマントをマフラーのように巻き付けて口元を隠しているユグドラ。そうなれば他に衣装を与えられていないユグドラの姿など、首から下は完全なる裸体。こんな濃霧に入浴するような状況でなければ露出狂もいいところ。

「どうしたオナドラよ、遅いではないか」

「ふ……ぅ″♡む……っぐ……う…フーッ♡」

 口元を覆う湿ったマントにより、そのくぐもった声はより聞こえにくい。いや、隠していると言っても過言ではない。

 足元も見えないが、巡らされたロープや発光草の道筋でなんとか進む。同じように対面からは苦労しながらも歩いてくる商人や旅人、冒険者のパーティなどの姿。きっと2人が過ぎた街を目指しているのだろう。

「こんにちは〜!」

「凄い霧ですねぇ」

「もう祭りを楽しんだんですか?」

 だのと時折話しかけられる。黒竜は横柄にだが、悠々とそれらに返事を。

 対してユグドラは俯いたまま臭い立つマントに顎を埋めて返事すらままならない様子。その理由は黒竜による射精を許可する条件が、『谷を抜けるまで止まらずに自慰し続けること』だったから。


「フーッ♡……ぐ…ぉ…………ほ…ぉっ……ぐぅ♡」

 今だって、ついさっきだって、ユグドラの右手は馬鹿みたいに動き続けている。あの休憩小屋で即座に二つ返事で了承したが、それでもかなりの人通り。粘りつくような濃霧によって首から下は見えることはないにしても、その恥ずかしさや情けなさが消えるわけではない。

 楽しそうな旅人たちの隣を通り過ぎる際も、新米冒険者たちの輝かしい進軍を目の当たりにする時も、ユグドラの右手はコソコソと上下に動き続けていたのだ。自身のカウパー液でネチョリとヌラついたマントを噛み締め、声を押し殺しながら。

「ぐぅ…む…………ぅ♡ふうっ♡……ふうぅうっ♡」

 そうして次に出会うのは旅の行商人たちの長い荷車列。ガタゴトと車輪が回り、互いに声掛けを絶やさないようにしているのか中々の賑わい。黒竜とユグドラに気付くなり人懐こそうに挨拶をしてくるの職業柄か。

「霧さえなけりゃ買い物してもらいたいんだけどねぇ〜」

「また次会ったらよろしくなデカい竜人のお兄さん方〜」

「気をつけてな〜」

 こんな悪天候でも陽気な声の数々、きっと心温かい商人たちなのであろう。

 それなのに、離れていくガタゴトという車輪の音を聞きながらもユグドラは中途半端に足を止めて呻いてしまうのだ。

「ーッ♡………ぐ…ふ…………ぬぅうぅっ……ッ❤︎❤︎❤︎」

 その艶の声は人前で隠れてする自慰の開放感と背徳感に犯されたもの。ユグドラは黒竜に何かを言う余裕もなく、ついには念願の射精を道端で味わえることになったのだ。小屋で何時間も自ら焦らしの苦行を強制されていただけあり、その勢いは怒涛。中腰の情けない姿勢のまま、ビュクビュクと精を噴き上げていくのだった。


 商人たちの声も完全に聞こえなくなった頃、黒竜はユグドラへとずいと近付く。

「ぬはは、どうした」

 黒竜の鋭い爪の人差し指が、ユグドラのマント口元を下げて表情を露見させる。

「間抜けな発情顔など晒しおって。そんなにこの格好が気に入ったのなら、肩口までのショートマントにでも用立てようか」

「そ、れだけ、はぁ……っ♡」

 この霧の谷ならともかく、普段でさえマント一枚での旅路は肌を晒してしまいそうになっているのだ。これ以上短いマントで出歩こうものならば、その簡単に欲情する下半身などすぐに笑い物になってしまうだろう。

 激しく首を振り、どうか許してくれと懇願するようなユグドラの仕草。

「ふん、見えずとも激しい手淫の音で喜んでいるのなぞ丸分かりだぞ、オナドラよ」

 けれど首から下は肉欲に素直に突き動かされるのみ。黒竜の蔑み通り、その右手は妄想をズリネタにしてニチャニチャと暴れてしまっていたから。

 つい先ほど精を出したばかりだろうが『谷を抜けるまで止まらずに自慰し続けること』の命令は生きているのだから。


 そうして度々射精しながらの歩み。黒竜の迷いない足取りではあったが、何度も足を止めて射精の汚喘ぎを散らす“オナドラ”を連れていては遅々として進まないもの。

 だから谷を進むにつれてユグドラの声は変化していくことになる。数回まではようやく与えられた解放の瞬間を喜んではいた。だがそれも常に扱き続けたせいで肉棒が赤く晴れてきた辺りで苦悶が混じるように。

「も、ぅう♡チンポがっぁああ♡馬鹿にぃなるぅううっ♡せんずりっ♡し過ぎてぇっ、馬鹿になってしまううっ♡」

 しばらく誰ともすれ違わないせいか、強制自慰が続くせいで思考もまとまらないせいか、ユグドラの声はあまりに大きい。卑猥な露出狂じみた変態としか言いようのない叫びなのだ。

「そうかそうか、では少し休憩してやろうぞ。我は優しいであろう?」

「そんっなあ″ぁあっ♡頼むぅぅっ♡早く、谷を抜け、させてくれ″ぇえ♡」

「良い良い、好きなだけ“抜く”がよい」

 ふざけた言葉で煙に巻き、黒竜はわざと足を止めてしまうのだ。ユグドラの腰を抱き、近くの大岩に座らせる。そして黒竜の手は、指先は、雌をモノにするような触れ方でユグドラの肉体を遊ぶ。


 ただでさえ敏感に成り果てた雄竿が忙しいというのに、ユグドラは黒竜の愛撫にまで耐えられる体力はない。ただただ込み上げてくる、与えられる快感に溺れてしまいそうになるだけ。目の前にぶら下げられた餌に飛び付かずにはいられないように、己の陰茎を駆け足で扱き上げていくのだ。

「くぅうぅ♡チンポ弄りっ、止められないのだぁあっ♡シコり過ぎてぇっ、チンポがどうにかなってしまうぅぅ♡」

 その頭の弱い卑猥語は黒竜の躾の賜物。

「我はオナドラァ♡オナドラなのだぁっ♡確かに射精させてくれとは、言ったがあぁ、これ以上はあぁっ♡」

 牙を剥き出しに、大きな口が天に向かって開かれる。懇願するように隣の黒竜にもたれかかるも、失笑一つであしらわれるだけ。もう何度目かも覚えていない、更なる射精へとユグドラ。

「また来るぅぅう″♡チンポ汁っ、込み上げてぇえっ♡ド必死手コキでっ、もう何度目なのかも分からぬっのにぃい″っ………イグぅぅぅう″う″う″っ❤︎ど、童貞チンポ汁ぶちまけてしまうぅうっ❤︎❤︎❤︎」

 ケダモノが吠えるような小汚い怒声。量こそ減ったものの、勢いはまだまだ苛烈。自分がどこで何をしているのかも忘れ、ただただその肉体は精をぶちまけるだけの器官と成り果ててしまう。ヒトとしての尊厳さえ失おうがお構いなしの、快楽を貪るだけの惨めな射精姿を晒してしまうユグドラなのだった。


 しかもだ、あまりにも大きな声。タイミングも悪かった。

 少し離れた位置を通っていた冒険者チームにそれがしっかり聞こえていたらしい。彼らの小さな話し声が、風下にいた2人にも届いてくるのだ。

「うっわ、すげーもん聞いちまった」

「こんなとこにもヘンタイって居るんだな」

「おいおい、聞こえんぞ〜」

 足早に去っていく彼らの足音。それと先ほどの言葉がユグドラの頭の中で反芻してしまう。苦しいほどの射精で完全に飛んでしまっていた自分の思考を反省しつつも、恥ずかしさでどうにかなってしまいそうなのだ。

「っはは!せっかく見えぬ場所を選んでやったというのに!」

「っく……ぐぅぅ…………くそうぅぅ…♡」

 悔しがりながらもユグドラの右手は止まらない。そうして谷の霧とユグドラの精のどちらが濃いのか、そんなくだらない張り合いをするようにして遅い歩みを噛み締めて進まされるのだった。


 * * *


Chapter 4

──ロケーション『白神山脈温泉』。

 どこぞの世界竜を讃える霊峰だと云われるが、そんな大層な神などどこにいるというのだろうか。険しい雪山であったが、随所に湧き出す温泉地にはこうして宿が立ち並ぶ。真っ白な雪山において、砂漠のオアシスと同じように旅人を受け入れてくれるのだ。

 そんな宿備え付けの巨大な露天風呂。自然味溢れているせいで柵や壁などもなく、脱衣所の小屋が隣にポツンと立っている以外は雪の白。


 湯船で入浴している黒竜が、露天風呂の淵に腰掛けたユグドラへと手を伸ばしているのだった。

「お……ふぉ♡こ、のような所、でぇ……♡」

 のんびりと湯を楽しむ黒竜、その腕が大きく脚を開いたユグドラの股間で先ほどからずっと動き続けている。

「ふむ、そうであったな。このような所で勃起を晒すのなど恥と思わぬのか?」

 言われた通り、ユグドラの雄はこの寒さにも負けず熱く熱くそそり勃っている。湯を楽しまずとも火照り続けるソコを、黒竜の粘着くような性技で弄られて遊ばれてしまっているのだ。

「んひ″ぉ♡そ、れの、せいであろうがぁ……ぁ♡引っ張るな″ぁあっ♡」

 不意にユグドラの声が痛みと羞恥に歪む。太い尻尾が暴れ、背筋に走っているマゾヒズムの愉悦が見て取れるようだ。それはスリット下部に嵌められてしまった妖しいピアスを黒竜に摘まれたから。

「『淫虐のピアス』も似合っておるぞ?」

 新しく装備させられた淫虐の神××××の気配のするマジックアイテム。この雪山の祠に封印されていたのを、つい1時間前に黒竜が奪ったものだ。黒曜石のような飾りが揺れるピアスがユグドラのスリットの根本部分に通され、ケタケタと嘲笑うように揺れている。何せこれを装備している限り、ユグドラは常に勃起を晒し続けるのだから。

「そうれ、どうせ萎えることなどできぬのだ。せめてもの慰めとして我の手で可愛がってやろう」

 二度とスリットに戻せないであろう雄の肉柱。興奮に震えるそれは黒竜の手に触れられるだけで嬉しそうにビクンと跳ねるのだ。

「んっお、ぐ……♡ぅう……だ、だからと、いってここ、でなくともぉ……♡」

 いつ他の客が入ってこないとも限らない。しかし黒竜にとっては晒して恥ずかしい肉体など存在しない。堂々と裸など晒してやろうという笑みだ。

 雄として完全なる体躯を誇り、平常時でさえ太々しくスリット内でほくそ笑む肉棒はむしろ見てくれて構わぬと湯の中。それに誰かのように錆びた金属製の首輪や腕輪を装備させられてなど居ないのだから。


 そこへいつの間に来たのか、のんびりと脱衣所から姿を現した第三者。

「おおっと先客が居たのかい──っと、お取り込み中か、はは」

 確か宿に荷物を届ける運び屋、2人も既に見かけているクマ種の雄が汗を流しに来たのだ。職業柄、非常に大きな体躯をしており身体のどのパーツも巨大。しかし2人を見るなり、いい年をしていても少しだけ困ったような顔で立ち尽くしてしまうのだ。

「ふはは構わぬ構わぬ!ここの湯は極上であるぞ」

 ユグドラの竿を握り締めた状態の黒竜、なんの臆面もなく反対の手で手招きをした。肝が座っているのか気にしない性格なのか、運び屋クマはのそりと湯に浸かる。

 そして黒竜がいけしゃあしゃあと作り話を披露するのだ。

「こやつは我の生き別れの弟でな。我は戦士として大成したが、こやつはどうにも性奴隷として可愛がられていたようでこの有様。なあに、同じ顔をしたよしみだ、こうして大事にしてやっているという訳よ」

 だからこんな首輪や腕輪、しまいには縦割れの根本にピアスなど取り付けられて浅ましい勃起姿を晒してしまっているのだと説明。となればユグドラ本人の口からも何かあっても然るべきだが、本人に至っては黒竜の手淫で雑に“口封じ”されて「んっぐぅ♡」だの「お″っ……ふぉ♡」だのと喘いでいるだけ。


 その艶のある声、大胆にも股を開いて喘ぐ様は簡単に雄を魅了する。淫虐の呪いの浮いた腹筋を浅く上下させ、肉棒を弄られるだけで蕩けるような嬌声を上げ続けているのだ。呪いの効果に惹かれなくとも、運び屋クマも釣られて勃ってしまうのなど当然。

「……そ、そらあ大変だったんだな」

 誤魔化すように苦労を労いつつも、ユグドラの股座を凝視して湯の中で雄を固く滾らせている。

 そんな運び屋へと、わざとらしいほどにわざとらしい黒竜の声かけ。

「しかもこやつは雄の精液を飲まずには生きていられぬ呪いをかけられてしまっていてな。ふむ、どうしたことか。誰ぞ手助けをしてくれる親切な漢気のある者は居ないものか」

 その独白は場の雰囲気を一瞬で変化させる。ユグドラも運び屋も、小さくだが確実に肩を震わせて躙り寄るような期待感に視線を錯綜させているのだ。

 それでもまだ決めきれない2人へと黒竜の断言。

「そら、貴様も頼まぬか。そんな淫らな目で運び屋殿の股間を盗み見してばかりでは失礼であろう」

「ッ……す、すまな、かったぁ♡そ、その大きなチンポからっ……目が離せ、なかったのだ……ッ♡ぐっ……く…わ、我を助けると思って……チンポしゃぶりをさせては、くれぬだろうかぁ……?」

 運び屋のそれ、湯の中に沈んではいてもその巨体に似合う大ぶりの雄。ユグドラの声は辿々しいが、自らも股を開いてスリット根本の淫らなピアスや浅ましい勃起を揺らしながらの懇願だった。


 それには運び屋の理性の糸はプツリと途切れてしまう。

「構わねえけどよ……こちとら仕事で溜まりに溜まってんだ、1発や2発じゃあ終わらねえから覚悟してくれよ?」

 善人面など何の得にもならないと、無造作に立ち上がってのしりとユグドラへ突き進む運び屋クマ。厚い皮下脂肪を着込んだ重筋肉の身体、そして湯を滴らせながらも真っ直ぐに天を突く肉の柱。

「ッ……ふおぉ♡なんというデカチンッ♡こ、れはしゃぶりがいが、あるというものだぁっ♡」

 口の端から唾液を垂らすユグドラの隣へと、運び屋クマが静かに腰を押し付ける。

「運び屋殿、我も加勢しよう」

 更にはその反対側、ユグドラを2人で囲うように黒竜も参戦したのだ。運び屋クマに肩すら組んで、不敵にユグドラを見下ろす。まるで旧知の中のように馴れ馴れしいが、この口淫竜を堕とすという今だけならばそれも許されるというもの。

「まったく発情顔をしおって。良かったではないか、今宵の“食事”は馳走だぞう?」

 突き付けら見上げる二振りの雄。運び屋クマの太々しい、欲求不満そうに揺れ動く剛棒。黒竜の使い込まれ、何度もユグドラを泣かせてきた逸物。そんなフルコースを目にすれば、ユグドラは明らかに極度の発情状態に陥ってしまう。

「は、ははぁ……ッ♡」

 半ば泣き笑いのような声を出してしまうほど興奮し、大きく口を開けたユグドラは──。


 * * *


──ロケーション『タイマニー大衆酒場』。

 古都サンゼンで最も古く最も巨大な酒場。今日もその料理と酒、安さと量を求めて客足は途絶えない。旅人から商人、冒険者や情報屋などなど顔触れも多彩。吟遊詩人の演奏にも熱が入っており、夜中であろうとも活気は昼間以上。


 その中央付近の座席にて、黒竜とユグドラは食事中。とはいえ食事を取れないユグドラはじっと黒竜のことを凝視しているだけ。

「フーッ……フーッ……ぅ……♡」

 その目つきは飢えた狼のそれではなく、へたり込んで甘味をねだる幼児のようなもの。賑やかな酒場で悠々と料理を堪能する黒竜を見つめ、ユグドラはテーブルに齧り付くようにして内の衝動を堪えている所なのだ。

「どうした、生娘のように震えておるではないか」

「ぐぅ……ふーっ…貴様のぉ……せいであろう……♡ま、またくだらぬ物を装備、させおってぇ……♡」

 それは新しく首から掛けさせられている『淫虐のネックレス』のせい。強制的に感度を引き上げる効果を持つ。まさか古美術商で二束三文で叩き売られているとは。

 そうして全身の感度が高まっているせいで、今のユグドラには何もかもが興奮の源。ざわつく男たちの笑い声、黒竜が食事を咀嚼する音。安酒と煙草の匂いに混じり、男達の汗ばんだ肉体の香りがユグドラを焦らせる。

「こ、この格好で出歩くのも、我はぁ……っ♡」

 今やたった一枚の着衣であるマントもボロボロ。黒竜からは「どうせ治安の悪い地域であるし、一目で奴隷身分で分かるから良いではないか」と言われていても、気になるものは気になるらしい。とはいえその羞恥心を掻き立てる装備品の数々と、ザラついた生地が竜肌を撫でるだけでも感じ入ってしまうユグドラなのだけれど。

「い、一体幾つ、このような物を装備させれば気がすむ……のだぁ……♡」

「ふん、それはじきに分かる」


 両腕の『淫虐の腕輪』に命じられており、どれだけ欲しかろうと自ら慰めることは許されていないユグドラ。スリットから垂れる『淫虐のピアス』のせいで今も完全勃起のまま大人しく着席を強いられているせいで、常に太ももを擦り合わせて。

 だから黒竜の芝居がかった問い掛け。

「それよりも、今の心配をした方が良いのではないか?すっかり仕上がった顔をしておるぞ?」

「ふ…ぐぅう……!も、もう3日もザーメンを味わっていない、のだぞ……♡そ、れにこのネックレスのせでっ……身体がぁ…敏感で、堪らぬのだぁっ……♡」

 今も黒竜が更にフォークを置いたカチャリという音だけで下半身が濡れてしまった。先ほどまで黒竜が見せびらかすように太いフランクを頬張っていた時などは、羨望のあまり跪いてでも情けを乞いそうになっていたユグドラなのだ。

「欲しいか?」

 黒竜の笑い声に、ユグドラはテーブルに突っ伏して息も絶え絶え。

「……ほ、欲しいに決まっておる…っ♡」

「では立て」

 不意打ちのように黒竜、腹に来る低い声で言い放った。

「ッ……な、何を言って──」

「姿勢よく起立し、我にして欲しいことを素直に大声で言うのだ。すれば宿に戻ってその通りにしてやろう、簡単な話であろう?」

 意味は理解できるが、それはそんな単純な話ではない。周りには3桁近い雄達によって喧騒に包まれてはいるのだ、そんな場で自らの恥を公言しろとなど。


「い、今……ここ、でっ…………ッ♡」

 ユグドラのエメラルド色の瞳が揺れる。自分が晒さねばならない恥と、その後で味わえるだろう黒竜の精の味を想うだけでどうにかなってしまいそうなのだ。テーブルにしがみ付くような体勢で唾液を垂らし、震えは心臓まで伝わって動悸にさえ。

 神界では勿論、落界したばかりのユグドラでさえこんな要求飲むはずはなかった。しかし呪いに侵され、それを増強する数々の呪われし装備品。ここまでの旅路で黒竜に散々に可愛がられてしまったユグドラは、その調教の成果を遺憾なく発揮させられてしまう。

「っ……も、う……我慢などぉ…………♡」

 気付けば勢いよく立ち上がっていた。マント全面をなんとか閉じてはいても、その勃起が生地にへばり付き、直ぐに恥ずかしい染みを広げてしまう。命令通りにピンと真っ直ぐな姿勢でユグドラは黒竜へと口を開きかける。

「わ、我はぁ──」

 だが次の瞬間、黒竜がテーブルに拳を思いきり叩きつけたのだ。ドガンという衝撃音は、それだけでユグドラの前立腺を響かせたし、店内を一撃の元で黙らせてしまう威力。静まり返った店内、黒竜へはもとより何故か立ち上がっている奴隷姿のようなユグドラへも注目が集まってしまう。

 ユグドラはもうパニック寸前だ。ここまで見られ、注視されている中でオネダリをしなければならないなど。しかし我慢も限界、加えて黒竜が2度もチャンスをくれるとは到底思えないからだ。

 見ればやはり黒竜は悪辣で冷酷な視線をユグドラへと飛ばしている。腕組みをし、顎だけでユグドラを催促している。これにはユグドラなど、堪えられるはずもない。雄性を少し匂わせられるだけで、躾けられた肉体は服従を選んでしまうのだから。


 主人と奴隷という、あからさまな関係性が伝わったからか店内の様子も変化。驚きの感情は今や好奇心になり、何か面白い見せ物が始まるぞという雰囲気へと客達を。

 そしてユグドラは命令通り、馬鹿げた大声で自分の淫らな心内を告白してしまうのだ。

「ひっ……あ……わ、我はぁ!は、早く宿に戻ってユグドラ殿のぉ……その太ましい雄チンポをしゃぶらせて欲しいっ、のだぁ♡我のような、生涯童貞ピンクチンポとはっ、比べ物にならぬ雄チンポ様にっ屈服させられたいっ、のだぁっ♡」

 黒竜の刺すような視線にも負け、ユグドラはマントを広げて中の無様な裸体を店内に見せつけながら言い放ってしまった。首輪と腹部にひかる淫虐の呪い、脈打つほど勃起した肉棒、溢れる我慢汁を滴らせているスリット下部のピアスなど、その性奴隷らしい全容。

 雄盛りの男客たちだ、見慣れてはいるがここまで堂々と見せびらかせられるは初めてなのか容赦ない盛り上がりをみせるのだ。

「おいおいこんな所で調教すんなよなぁ」

「見ろよ、あんなこと言いながら腰ヘコしやがってんのな」

「潰しがいありそうなあんな奴隷、俺も欲しいねぇ〜」

 嘲笑と失笑、指を刺してまで笑い者にする声。自らマントを広げて晒しながら、ユグドラの興奮と恥辱の愉悦は最高潮に達して続けられるのだ。

「我っのおっ♡喉まんこにっ、生ザーメンを恵んでくれ──恵んでくださいっ♡ユグドラ殿ぉ、どうかお情けをぉ♡我は、もうっ……♡ケツも疼いて、仕方ないっのだぁっ♡毎晩、ユグドラ殿に指マンされっ、雄チンポ様の形を覚えさせられた尻まんこ♡ここにもっ、雄精液ドピュドピュして欲しいのだっ♡頼むっ、お願いだ、お願いしますユグドラ殿ぉっ♡♡♡」


 今や猥語も覚えこまされ、傲慢で不遜な物言いでありながらも安っぽい娼婦のような言葉を吐いてしまうユグドラ。これが世界中で崇められている世界竜の姿などと誰1人信じないであろう助平な台詞のオンパレード。

 観客と化した男達の声も侮蔑の色がありありと。

「なっさけねー奴、あれでも男かよ」

「股間もぐしょぐしょじゃねーか、きったねぇ」

「あんな図体して、まんこしか取り柄がねーのか、終わってんな」

 どうせ手には入らないのだからと、酒場中からの声は興味から鋭い嘲笑へと。鼻で笑って飲み直したり、捨て台詞を吐いて自分の席へと向き直る者も多数だ。

 こんなところかと、そこで黒竜は場を納めるように声を張り上げる。

「ふはは、すまなかったな皆の者!我が一杯奢るのでこの変態肉奴隷の妄言は許してやってくれ!」

 途端に手のひら返しを見せる現金な男達を他所に、黒竜は立ち上がって自らの雌の腰を抱いてエスコート。

 ビクンと大きく跳ねたユグドラは、情けない顔で黒竜を見つめて息を切らせている。ここまでやったここまで言ったと、飼い犬のように必死な仕草で黒竜の言葉を待つユグドラ。

「どれ、我は宿屋に戻ってこやつにおまんこしてやるとしよう!」

 途端、明るくなるユグドラの表情。

 2人は酔っ払い男達の「頑張れよーっ」「しっかり躾けとけよなぁ」「ベッドぶっ壊すなよ〜」という声援を背に、愛の巣になるであろう宿へと急いで帰るのだった。


 * * *


──ロケーション『ドレッドの奴隷市場』。

 収納系マジックアイテムと展開式の超巨大テントによって国のどこにでも現れる奴隷市場。現在は寂れた荒野にその場違いなけばけばしいテントが立ち並んでいる。噂を聞きつけてどこからともなく同業者や奴隷を求める者達が今日も足しげくやってくるのだった。


 数十ものテントが立ち並ぶ中を歩けば、そこは荒野ではなく最早小さな街。意図的に形成されている大通りを進む2人であったが、黒竜が立ち止まってユグドラを睨みつける。

「おい」

「は、はいっ♡な、なんでしょうか♡」

 今やここまで謙ってしまっているユグドラ、黒竜の低い声にビクリと肩を震わした。その格好などテントで売買されている奴隷より惨め。体液でじっとりと湿ったボロ布を腰に巻き付けてはいるが、治りようのない勃起でそれは常に捲り上がってしまっている。

 身分を現すような拘束の品、首輪と腕輪に加えて、今では足枷が両足首に噛み付いている状態なのだ。そしてそのせいで妙に無様な足運びになってしまっているユグドラ。

「その阿呆のような歩き方を止めよ」

「も、申し訳っありませんっ♡ハァッ……ふ、ぐうぅ……く、くそう♡」

 数日前にこの『淫虐の足枷』を装備させられたユグドラ、黒竜に文句を言うどころか謝って見せた。むしろどうしてもそんな滑稽な歩き方になってしまう自分に悪態をつくまで。それは足枷に掛けられた呪いの効果により『雄を見れば誰彼構わずに発情して股を開いてしまう』という身になっているから。


 こんな市場に来ているのも、目的地までの単なる道すがら。黒竜が聞いた噂を面白いではないかと判断したからだ。そしてお目当ての一際大きな奴隷商のテントに到着。巨大な檻、呻く奴隷たち、怨嗟の中に奴隷商人は居た。金属の物理拘束具や、呪いや制約のかかるマジックアイテムなども販売しており、埋もれるようなその商人へと黒竜。

「おお主人よ、ここでは持ち寄った奴隷の値段を測ってくれるそうではないか」

「へえ旦那さん、人気のサービスでさあ」

 卑屈な語りの脂ぎった中年アナグマ種、ここの主人はユグドラを無遠慮に眺めながら頷いた。黒竜の聞いた話では、奴隷ギルドに所属しているここでならば奴隷の価値を担保する保証カードを発行してくれるというということだから。尋ねれば、それは概ね間違ってはいないそうだ。

 そして待ちきれないと奴隷商の主人はユグドラを査定し始める。黒竜によって真っ直ぐ立たせられたユグドラは、主人の手によって品定めされていく、人権などあったものではない。

「ほお!これは中々にカスタムされた良い奴隷じゃねえですか」

「ッヒ……♡う、うむ!」

 その嬉しそうな声に反応し、ユグドラは股をつい開いてしまう。たかが自分の胸までしかない程度のアナグマ種の中年など、相手にするには不足だと思えど、身体は正直に雄には勝てないと示すのだ。強い物言いで誤魔化そうとするが、黒竜と主人には鼻で笑われてしまうのだけれど。

「状態も反応も良好でさあね」

 主人の言葉はユグドラの股間に注がれた視線からくるもの。大振りな勃起は心身ともに健康を現すもの。もちろん、時と場所を選ばない盛り具合は失笑に値するが。


 テントの特に開けた位置、受付と査定スペースを兼ねた奇妙な間取りの中でユグドラはその身を調べ上げられていくことに。

「では、やっていきますぜ」

 時折通る客たちの視線が刺さる中、記入用の用紙を持った主人によって価値を測られていく。

「旦那さん、こいつの名前を教えて貰えやすか?」

「名前か、ふむ弱ったな……。この変態竜に名前などあったかのう」

 顎に手をやり、芝居がかった表情でユグドラを一瞥する黒竜。対してなんと情けない顔で固まっているユグドラ、どうにも股を開かないように必死なようだが、肩幅以上に開かれてしまっていれば笑い者にされても仕方ない。

「まあよい、適当にエロトカゲとでも書いておけばよいぞ」

「…ッ……は、ぁあ…………ッ……♡」

 自身でそれを認めてしまうユグドラ。否定の怒声上げるでもなく、ぐしゃぐしゃに腰に巻かれたマントを濡らし、揺らすばかり。

「ではエロトカゲの商品採寸に移りやすね」

 体重や身長は当然として、メジャーで測られるのは多種多様な数値。主人の手はテキパキと、そして強制力を持ってユグドラの恥ずかしい数字を丸裸にしていくのだ。撫で付けて口を開けさせ、舌や牙の測定など序の口。腰巻を剥いてスリットの全長から奥行き、更には特製のバネ測りで内部の締め付け強度さえ数字として紙に記入されてしまったのだ。

 完全に人権など無視した、まるで出荷する家畜を調べるような扱いにユグドラの被虐心はゾクリゾクリと込み上げ続けて。


 主人の金属メジャーのヒヤリとした感触が、ついにはユグドラの男性器にも伸びる。

「もしかして旦那、こいつってずっとおっ勃ててるんで?」

 尋ねながらも笑いが止まらない主人、薄々そうなのではないかと思いつつ聞いたのはもちろんわざと。

「ふはは、そうなのだ。我もこやつの変態性にはほとほと手を焼いていてな」

「おいっ、旦那さんの手を煩わせるんじゃないぞエロトカゲ!」

 同じ雄ならば羨望の目で見られるべきサイズな筈も、こんなガニ股にも近い格好で勃起しては宝の持ち腐れ。ただの変態野郎と笑われて然るべき。そんな無様極まりない肉棒を、主人のペンが思い切りひっぱたく。 

「はひ″ぅっ♡も、もうひわけぇ、ありませんっ♡」

 雄には逆らえないどころか発情し尽くしているユグドラだ、精一杯の謝罪と唾液を滴らせるだけ。こんな碌でもない奴隷商人如きに、膝を曲げ開いた姿勢でヘコヘコと謝ってしまうのだ。

「よおし、最後のチェックだ。ここに乗れ」

「は、いぃっ♡」

 金属製の無骨なフレーム、まるで分娩台のような台座に座らせられるユグドラ。両手両足に尻尾までを固定され、その股間の恥部の全てが晒される。専用の照明が股を照らし、ユグドラの雄穴の肉襞の一枚一枚まで鮮明に視線で犯されるのだ。

「ふんふん、明らかな未使用チンポとは違って、ココはしっかり使い込まれてやすねぇ」

 指やペン先でユグドラの穴を好き放題にほじくり回し、主人はその感度や仕様を把握せんとする。

「う″おっ♡はぁぐぅぅう♡んひぃっ♡そ、こぉお″♡」

 無造作で無遠慮な動き、しかしこうやって大股開きで雄を受け入れることが自分の当然と理解していれば激しい嬌声には艶が乗ってしまうもの。


 テント内で響き渡る雄竜の喘ぎは、好奇の目を増やしてしまう結果に。売買目的から冷やかし、目の奉養に来ていた男たちがゾロゾロと集まってきたのだ。ユグドラの雄々しくも泣きじゃくる肉棒、容赦なく開示された雄穴の蠢き、その恥辱に善がる表情の全てを鑑賞されてゆく。

「うっわ、すげぇ格好」

「完全に調教済みだと違うねぇ」

「あれ一体幾ら注ぎ込んだんだろうな」

 観客が増えたのが嬉しいのか、主人は紙への記入を一旦止めてニヤリと笑う。用紙を置いて取り出したのは大きな取手のついた金具。

「ナカまで確認させていただきやすね旦那」

 それの用途など、この状況では一つしかないだろう。黒竜も同じく悪しき笑みで答える。

「うむ、しっかり見てやってくれ。こやつも喜ぶであろう」

 肉体の窄まりを開閉するための、ペンチのような器具。ともすれば拷問にでも使うかのような醜悪なそれをガチガチと鳴らす主人に、ユグドラは泣きそうな顔を向けるが、次第にその表情は被虐の波によって歪んだ笑みへと変わっていくのだ。

「そ、んな物まで使っ、うのかぁっ♡…………そ、そうだ、見てくれ、我のまんこの奥まで査定して、くれぇえ♡」

 自分がどんな存在であるか、こうして大股開きで恥部を晒し、奴隷商人に価値を測られるのを見せ者にされているユグドラはそれを強く認識せざるを得ないから。


「んぐ、ぅふおぉぉおお広げられ、るう″ぅぅ……♡」

 ズグリと挿入された幾つものフック状のパーツが付いた先端部、それがユグドラの雄穴に手を掛ける。直ぐに取手を開く主人の動きによって、ソコが内部まで強制開示されていく。黒竜によって散々に使い潰された肛門は、今や完全に性器として発展。盛り肉のように膨らんだ縦割れに近い洞穴が、強引に押し広げられて観客たちの生唾を嚥下させるのだ。

「うっわ、中まで丸見えじゃん」

「すげー広がり過ぎだろ」

「普段どんだけデケーのぶち込まれてんだ……」

 侮蔑の声であろうと、今の肉欲に狂わされたユグドラにとっては褒め言葉。酷使された尻穴とは違って初心な赤肉色の竿をヘコヘコと揺らしながら気を良くした声を上げるのだ。

「ぐ、ほ″ぉっ……ど、どうだ我の値千金のエロまんこはぁ♡」

 だがそれは奴隷商から見れば一種の反抗。頭を伏せ、全てに従い、常に下手にでるのでなければ奴隷とは言えないからだ。無防備な肉尻へと、鋭い平手打ちが飛ぶ。

「中古品の癖に生意気言ってんじゃねえ!」

 バチンと痛みより大きな破裂音で奴隷心を刺激する一撃。

「んぐぉひっ♡も、申し訳あり、ませんんっ♡」

 降参を示すように目を伏せ、碌に動けないながらに腰を揺らして降参するように肉棒を振るユグドラ。心まで屈していなければ、ここまで卑屈になどそうはなれまい。

「おっと、旦那さんこれは失礼しました」

「良い。さあ、こやつの雌穴が幾らになるか教えてくれ?」

 あとは両者で楽しそうに会話をし、観客たちの期待を盛り上げていく。


 最終的に全ての項目が埋まった用紙、算出された数字を黒竜へと主人は見せつけるのだ。

「こちらの額になりやす」

「ぬははは!主人よ、流石にもっと出せるであろう?おい、得意なことをしっかり言わぬか!沢山あるであろう。そう、沢山なあ?」

 その意味ありげな問いかけは、ユグドラにこの観客たちの前で恥ずべき特技を知らしめろという戯れ。今まで散々に仕込んだ、性奴隷としての歪んだ技術を口にしろというもの。

 ユグドラの躊躇など一瞬、直ぐ弾かれたように浅ましい申告を述べるのだ。

「わ、我ほどチンポしゃぶりの上手い奴隷も居ない、のだぞ♡ユグドラ殿に仕込まれておるから……ど、どんな真性包茎の皮チンポだろうと舐め尽くせるように練習させられおるから、なぁ!肉体労働奴隷のっ、チンカス掃除で一日に100本は舐め尽くしたことも、あったわぁ♡」

 などなど、まさしく哀れな奴隷自慢が続き、黒竜と店主に観客たちを楽しませた。ユグドラは自分がどれだけ情けなく恥ずかしいことを言っているかと理解しながらも、止まらない卑猥な告白に体温を上げ続けるのだった。最終的には観客たちに向かって実演まで申し出るに至り、黒竜に「勝手なことをするでない。いつから無料便所になったのだ?」と怒られてしまう始末。


 そうして店を出る際には『淫虐の首輪』へと、ネームプレートのようにユグドラの奴隷保証カードがぶら下げられていた。その淫乱じみた顔写真、得意な性的奉仕、今までの経験人数や常時勃起の恥ずべき個人情報の全てがそこに記載されてしまっているのだ。

 もちろんその価格は少しだが上がったのは、先の助平口上のおかげ。

「ふはは、どんな呪いのマジックアイテムより良く似合うではないか!」

 それを一目見ればユグドラがどんなに言葉を尽くしたとしても、くだらないいち性奴隷だと知られてしまうだろう。であるからこそ、今のユグドラの身を飾るにはこれ以上の品はないだろうと。


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