敗北ケモヒーローズ02
ヒーロー・シャットアウトシャム
Chapter 1 『邂逅』
街のF区と呼ばれるエリアに大挙として押し寄せているのは、ヴィランによって洗脳支配されている戦闘員と呼ばれる男たち。
「ははは、盗め盗め!」
「ぶっ壊せ!」
「止められるもんなら止めてみやがれ」
様々な年齢、多種多様な種族の彼らではあるが、その個性はピッチリとした黒の戦闘員スーツと全頭マスクによって窺い知ることはできない。
身体のラインが丸分かりな密着型のスーツによって、特に強調されてしまうのは下半身まわり。運動選手体系から肥満型、肉体労働者やインドア型の小さな尻までがまあるく卑猥に揺さぶられて。何よりその股間、ヴィランによって操られていることを快楽と感じ、ピタリと素肌や獣毛にへばりつく戦闘員スーツに包まれた勃起を恥ずかしげもなく揺らしているのだ。
だがそれの解放は許可しないとばかりに股間に描かれた南京錠の鍵マークが悪趣味。きっと戦闘員なりの成果でも上げなければ欲望を満たすことはできないのだろうと予測される。
そんな姿の狼藉者たちをビルの縁に腰掛けて見下ろし、うんざりした顔で呟く者。
「うっわ、ナニその格好」
到着したばかりのヒーローだったが、大急ぎで対応するでもなく、まずは状況把握とビル上から街の様子を冷静に眺めているのだ。どうしたら自分にとって有益になるか、それを第一に考えて。
「ボクだったらそんな格好で人前に出るなら死んだほうがマシだね」
戦闘員たちのピッチリとした黒の全身スーツをそう酷評する。そう言う彼はヒーローではあるが、同業者の多くと違って身体のラインなど見えない服装。公務員を思わせる白のワイシャツにネクタイ、スラリと背広風のヒーロー衣装を着込んだ姿。二の腕や側頭部には高性能な機器を装備し、半透明バイザーで顔は見えなくともその自信に満ち溢れた口元を見れば並のヒーローではないと分かるだろう。
20代と少し、高貴な雰囲気を漂わせるシャム猫種の青年で、大きな耳と柔らかな尻尾のしなりだけでも気品を感じさせるもの。
「まったく、こんな連中を幾ら倒しても評価にはならないっていうのに」
眼下で略奪や破壊を繰り返す行為よりも、ともすればその破廉恥で卑猥な格好の方に嫌悪感を抱きながら彼は立ち上がった。やれやれと、ヒーローとしての口上さえ気恥ずかしいと思いながらも、荒れた街の中央通りに着地。
どよめく戦闘員に対し、世間体を気にしたキザなセリフを吐くのだ。
「この街を荒らす奴は許さない、無敵のヒーロー・シャットアウトシャムが相手だよ」
若手にして自らを『無敵』と称するだけの実力のあるB級ヒーロー・シャットアウトシャムが戦場に立った瞬間だ。
「ビッグボス万歳!」
「イーッ!」
「やってやるぜぇえ!」
ヒーローの出現に僅かに怯むも、洗脳された戦闘員たちは黒い濁流となってシャットアウトシャムへと押し寄せる。徒手空拳ながらもその物量は凄まじく、新人ヒーローなどでは対応できないレベルだろう。
だが。シャットアウトシャムは構えるでもなく、柔らかに直立しているのみ。
「はいはい、敵うわけないでしょ」
その言葉通り、戦闘員たちは自分から突っ込んでいるはずなのに見えない壁に弾き飛ばされるように吹き飛ばされていく。シャットアウトシャムに指一本触れることもできず、ビルの外壁や車のボンネットに派手にめり込んでいくだけ。
「おぐっ……」
「うげぇっ……!」
「な、んでだぁ……!?」
これがシャットアウトシャムのヒーローパワー。不可視の防御フィールドが全身をくまなく覆っており、その防御力は若手でも屈指。残った戦闘員も散歩のような足取りで近づくだけでノックアウト、汗ひとつかかずに言って見せる。
「無駄な努力をオツカレサマ」
そこへ頭部の通信機にヒーローズ本部から。
『シャットアウトシャム、状況は?』
「はい本部、全部片付けておきましたよ。あとは回収班に任せます」
『良くやった』
「はい、では引き続きパトロールに戻ります」
上には素直に報告をし、礼儀正しく通信を終了。しかし表情の見えないバイザーの下、その口元が悪戯にほくそ笑む。
「──なーんてね」
あれだけ派手に戦闘員を吹き飛ばして倒してはいたがその実、冷静に1人だけはわざと逃していたのだ。シャットアウトシャムが先ほど言っていたように、こんな雑魚を幾ら倒そうがどうにもならないから。
マーキングしておいたのでバイザー内部に映っている、必死に逃げていく戦闘員の光点をねっとりと見つめてシャットアウトシャムは微笑む。
「こいつらは単なる下っ端、ってことは指示してる奴が居るに決まってる。それをぼくがきっちり捕まえればさ、また一歩A級ヒーローに近付くってものだよね」
今はB級ヒーローに過ぎないが、活躍を重ねれば自分がA級に昇格するのは間違いない。そしてゆくゆくはS級ヒーローにだってなってみせる。若い野望を胸に抱き、シャットアウトシャムは追跡の一歩を踏み締めるのだった。
* * *
Chapter 2 『悪の巣』
何の変哲もない工場群の地下深く。逃げ込んだ戦闘員を注意深く追わなければ発見できなかったであろう場所、そこが彼らのアジトのようだった。アリの巣のように張り巡らされた通路、盗品と思しき物が乱雑に積まれた倉庫、集会にでも使うのか広大な広間などなど。
単身潜入しているシャットアウトシャムではあるが、これらは全て独断によるもの。もしヒーローズ本部に連絡などしようものなら、他の者に手柄を奪われてしまうと考えたからだ。
そして天井裏から覗けば、大広間でズラリと整列する戦闘員達の姿。
「うっわ、本当にサイアク」
全身を身体のラインが丸分かりのピッチリとした戦闘員スーツで包み、前方に居るより上位の戦闘員の話を聞いているようだ。黒い全頭マスクで表情は見えなくとも、その前のめりな姿勢から酷い興奮状態などシャットアウトシャムにまで伝わってきてしまうから。
露骨な嫌悪感で目を逸らし、ダクト内部を移動するシャットアウトシャム。
別の場所ではシャットアウトシャムが担当したF区以外で捕まってしまった一般人たちが、ぼんやりと催眠にでもかかった様子で戦闘員タイツを着用しているのを発見。普通のヒーローであれば、自分の身さえ顧みずに助けに飛び出すのだろうが、シャットアウトシャムはそんなことはしない。
「さて、どうしよっかな」
どう事態を転がせば自分の手柄になるか、それだけを考えているのだ。
そしてヒーローパワーの応用、自身を覆う防御フィールドを成形していく。人型の発光体となったそれを一般人たちに紛れ込ませて戦闘員スーツを着用させていく。天井裏から心底嫌そうなした顔でヒーローパワーを行使し、能力体に摘ませた戦闘員スーツに軽蔑の目。
「まったく心の底から気持ちが悪い。こんなの死んでも着るわけがないでしょ」
そう言ってヒーローパワーの防御フィールドで形成された能力体に、それを着させていくのだが──。
「……ふ、ぇ…♡」
僅かな感覚の共有のせいか、能力体の全身が戦闘員スーツでミチリと覆われる時に声が漏れてしまった。身体全体を甘噛みされるような、緩い愛撫のような。
「ナ、ナニ……今の感覚は…………!」
シャットアウトシャムは小さな悪寒と震えを振り払い、今しがた感じてしまったソレの正体を探ろうとする。だが着替え終えた一般人たちがその黒に包まれた身体を部屋の外へと向けていくのでそれもおぼつかない。
「ん……もう集合するみたいだね、急がないと」
そして先ほど見かけた大広間へと。シャットアウトシャム本体は天井裏のダクトからそこを監視。戦闘員スーツを着用した能力体は一般人に紛れ、新しい戦闘員として整列に参加しているのだ。
そして各地区で一般人を攫っていた戦闘員のリーダーらしき者たちが、上位であろう先頭の戦闘員に報告を始める。その数、10名ほど。
「A区、下級戦闘員の補充完了しました!」
「B区、下級戦闘員の補充完了しました!」
「C区、下級戦闘員の補充完了しました!」
などと途中までは順調なそれ。
「F区、ヒーローに邪魔されて中級戦闘員はオレ以外は全滅してしまいました!」
しかしシャットアウトシャムが邪魔をしたF区では当然、そんな報告。むしろそれよりもこのアジトを発見されてしまったことの方が重大な失態なのだが、誰1人気付く様子すらない。
そうとは知らず、上位の戦闘員はF区担当を叱責。ヴィランの手先らしい飾った物言いでの罵詈雑言が飛ぶが、天井のシャットアウトシャムは欠伸をして眺めるばかり。
最終的にA区からJ区までの襲撃で、F区以外は上手くいったと判明。ヒーローとしては心苦しく感じる場面だろうが、シャットアウトシャムにとってはさしたる感情も抱かせない。
少し退屈してきたシャットアウトシャムだったが、大広間の空気が少し変わったので瞳を輝かせる。どうにも、F区以外の中級戦闘員たちにはご褒美とやらが貰えるという話になったからだ。
(お金……な訳ないし、なんだろうね)
どうやら先頭で声を上げている偉そうな者は上級戦闘員というらしく、様々な権限を持つようだ。少し体格が大きいくらいで見た目上の差異はシャットアウトシャムには区別つかないが、戦闘員にとっては何かで分かるらしい。
「よーし、お前はお預けだからな」
失敗したF区担当へと上級戦闘員は指を差し、それから大仰に振り返る。
「下級戦闘員どもぉ、よおく見てろよ!これから組織の役に立った奴らにご褒美の時間だあ!」
(何を始めようっていうんだろ)
芝居がかった動きで、F区担当を除く中級戦闘員たちの股間にタッチしていく上級戦闘員。並んだ彼らの股間、その南京錠にも似たロックマークが次々に解除されていく。
そうなると既に盛り上がっていた股間は、より雄の戦闘形態へと。いや抑圧されていたせい、上級戦闘員に語りかけられているせい、どの股間も激しい怒張を見せるのだ。真っ黒のピチピチとした戦闘員スーツに包まれた、男たちのこれでもかという勃起が並ぶ。カリ首から幹の血管、どっしりとした玉袋までがスーツに密着されながらも姿を現したのだ。
「金玉パンッパンにしてどんだけ溜め込んでんだか」
ケタケタと笑う上級戦闘員。確かに彼らの睾丸のサイズは一般を遥かに超え、スーツにへばりつかれてなお垂れ下がるほど。
シャットアウトシャムは天井裏からそれを直視してしまい、思わず口元を抑えずにはいられない。
(う、あぁ……す、ごいコトになってる……)
ヴィラン相手、戦闘員相手とはいえ、覗きの背徳感が羞恥心をくすぐったから。加えてこの年齢までずっとA級ヒーローを目指して邁進してきたシャットアウトシャムだ、性的な事への経験値など育ってはいないから。
その鋭い目が驚きとナニカに満ちていく中、並んだ戦闘員たちは直ぐに真っ黒い先走りをその肉棒から滴り落とし始めた。彼ら9名は一様に息を切らし、上級戦闘員の合図を待つように腰を僅かに揺らして待っている様子。
一糸乱れぬ整列の下級戦闘員たち。今日追加されたばかりの者たちも含め、前方で並ぶ9名の中級戦闘員たちの痴態をじっと見つめている。
(あ、悪趣味だなホント……!これだから戦闘員は)
そして上級戦闘員の楽しげな声だけが響く。
「はは、久しぶりだからもう待ちきれないってか?」
威勢の良い嘲笑ではあったが、一拍おいてから飼い犬に命令を解き放つように鋭い一言。
「──よし」
並んだ9人、いや9匹は弾かれたように両手で自身の竿を弄り始めるのだ。常に南京錠型のロックマークで封じられているのだろう、上級戦闘員からの指示がなければ“ご褒美"には有りつけないということか。
ズラリと整列する下級戦闘員たちの熱い視線。それらを黒いスーツの全身、勃起竿にも艶かしく絡ませながら9名の自慰行為は白熱の一途を辿るのだ。
「はぁっ……はぁ……はーっ」
「う……くぅ……おっ、おっ……!」
「フーッ……ぐ…はぁっ……ハァ……」
ケダモノのような呻き声、喘ぎ。全頭マスクのせいでフーフーとくぐもった熱い吐息が、まるで湯気のように口元から。いや、よく見ればだらしなく唾液さえ滴らせながら、自身の性器を扱き上げるのに夢中。様々な獣耳、尻尾だって乱雑に揺れる。
(……な、なんて勢い……あ、あんなガッツいちゃって恥ずかしくないの)
下級戦闘員と同じか、それ以上の熱い視線を送っていることにシャットアウトシャムは気付いているのかいないのか。天井裏にへばり付き、今にもダクトから落ちそうになりながら中級戦闘員たちの迫力マスターベーションから目が離せないのだ。
「ほれ中級戦闘員ども頑張れ頑張れッ」
上級戦闘員も機嫌良さそうに彼らを煽る。適当に9名の間を歩き回り、乳首を抓ったり、尻たぶを叩いてからかう。滴る黒い先走り汁を指ですくって舐めたりと自由気まま。
中級戦闘員たちの両手は完全にドロッドロの仕上がりで、真っ黒い粘液を絡ませながら何度だって上下の往復を繰り返している。
「ふおっ……うっ…く……」
「はーっ…………ぁ…う…ぐ…」
「おっ、お、ほぉ……ぉ…!」
ヴィラン様に、上級戦闘員様に忠誠を誓いながらも、その原動力は性欲。だから立派な起立の体勢も今や情けない中腰。腰をカク付かせながら必死、無我夢中の様相で戦闘員スーツに覆われた男性機を擦り続けているのだ。その真下では冗談みたいなサイズに膨らんだ黒の睾丸をブランブランと前後させ。更に下、足元では黒い先走り汁が飛び散って酷い有様。
(す、ごい……こんな、こんな風にヒトがしてるの見るのなんて初めて、だよ……)
性欲など下らないと思い込んできたシャットアウトシャムにとって、ここまで心を揺さぶるような肉の宴の目撃は衝撃的。その賢しく鋭い瞳に淫雛な動きを焼き付け、何度も何度も唾液を飲み込まずにはいられないシャットアウトシャムなのだった。
「どうだあ!?組織に仕えれば、役に立てたら、こんなぶっ飛ぶほど気持ち良くなれんだぜえ!?」
上級戦闘員の大声が大広間を震わせる。下級戦闘員たちの釘付けだった視線は、その言葉によってより強い支配に満ちたものへと。快楽を人質に、戦闘員としての洗脳を強めている。これはそういった儀式でもあるのだから。
そしてこの場で最も悔しい思いをしているのはシャットアウトシャムに邪魔をされ、ご褒美にありつけなかったF区担当の中級戦闘員。上擦った目、ぎこちない中腰で他9名の中級戦闘員が快がっているのを見つめるばかり。
そんな中で皆の前でマスカキ行為を続ける他区の彼らの声は更にヒートアップ。
「手ぇ、止まんねえぇえ……!」
「チンポッ…すげっ……チンポ気持ちぃぃいっ!」
「オナニーやめらんね、最高だぁ、あああぁ!」
大ぶりの睾丸をばるんばるんと揺らし、漆黒の粘ついた先走りを迸らせ、中級戦闘員たちのご褒美タイムは熱く熱く。戦闘員スーツに包まれた全身は獣毛さえおさえて血管を浮き立たせ、汗ばんだ蒸気が湯気のように立ち上っている。小汚い喘ぎと唾液が雄臭さのフェロモンを撒き散らかし、雄のオナニーをより豪胆に魅せるのだ。
(……あ、んな汚いの、見る必要ないっ…のに、目が離せ…ない……!)
シャットアウトシャムは狭いダクトの中で身悶えしてしまう。これまで見たこともない、感じたこともない感情が下半身から這い上がってきてしまいそうだからだ。下級戦闘員として紛れ込ませている能力体を維持するのだって精一杯。どうしてもどうしても、中級戦闘員たちの浅ましい悦びの舞いを視界から外せないのだ。
「すっげえ、たまんねぇえッ!」
「俺のチンポ、こんなバッキバキなの見てくれよぉお!」
「手コキすっげ、も、お″ッ……どうにかなっちまいそうだぁ!」
中級戦闘員たちは恥ずかしい言葉さえ、行いさえ興奮へと変換しているよう。無個性戦闘員スーツによって人格を捨て去ったことで、性欲の方向にだけ解放されてしまったからだろうか。
目の前で並ぶ下級戦闘員に見せつけるよう、見せびらかすように扱き散らかす。隣で見守る上級戦闘員様に感謝を捧げるように腰をガクガクと揺らして肉棹を刺激していくのだ。大広間をたった9人で黒い雄臭で満たす程、グチュリグチュリと黒肉棒は浅ましい水音を立て続けてはビクビクと跳ね続ける。
(おっきい……アレも、コレもボクなんかと比べ物にならない位、で…………たまたまも、大人だからじゃ、なくて……戦闘員にされちゃったから、あんなになったっていうの……!?)
青年としてスラリと成人しているシャットアウトシャムではあったが、男性ホルモンの少なそうな顔立ちの通りにその男性器は控え目。そして見立て通り、中級戦闘員たちの睾丸は普段はロックされているせいで溜まりに溜まって今のふざけたサイズ。シャットアウトシャムのしなやかな拳と同じかそれ以上の精液袋が、その初心な心をかき乱して仕方ないのだ。
「ちんこ気持ちい″い″ぃぃい……!」
「お″ッ……へ″ぉ……ふ、ぐう″ッ…!」
「チンポ、チンポッ……んお″ぉぉ!」
そうこうしている内、中級戦闘員たちの声にも切羽詰まったような切なげな濁音が混じり始める。どれだけ感じているのか、単なる一般人では一生かかっても味わえないほどの快楽信号がその全身を貫いているのだ。
雄牛が、雄狐が、雄犬が、雄獅子が、雄鷹が、雄鮫が、滅茶苦茶に全身を震わせて雄棒をただただ扱き上げている。四肢や尻尾、頭さえ肉棒と肉袋の付属品に過ぎないという動きだ。吠えるように唾液、失禁するように我慢汁を迸らせている。
(すご、いっ……あんな激しくシてるっていうのに、気持ち良さそうな顔して、ぅう……見たくない、のに……!)
シャットアウトシャムの身体は平熱を保てない。F区で戦闘員を何十人と倒した時でさえかかなかった汗、じっとりと脇や股間を湿らせてしまっている。
「お″ぉおっ……!!」
「ンフーッ!!」
「ん、グゥゥゥ……ッ!!」
ついには中級戦闘員の声は追い詰められたそれに。目をギュッと閉じる者、天井を向いてしまう者、上級戦闘員様を直視する者と様々。
「ほれ雑魚戦闘員ども、しっかり見てろよ!」
上級戦闘員は両手を大きく広げ、下級戦闘員たちへと騒いで回る。ふざけた動きで煽動し、ケタケタと大笑いで中級戦闘員たちへと言い付けるのだ。
「ビックボスのお慈悲に感謝しながら、ぶっ放しちまいなあ!!」
その言葉に鋭く反応してしまうのは、戦闘員というヴィランの手駒に過ぎないから。先ほどまであれほどまでに各自だらしなく情けないガニ股だったというのに、ピシャリと改まった体勢──敬礼ポーズへと変化したのだ。右手は阿呆のように竿を扱いているくせ、改まるように左手は最敬礼のポージングで組織統領ビッグボスへの忠義を示すのだ。
「ビックボスありがとうござい、ますぅぅ……イグゥゥゥッッ!!」
「チンポ汁出るっ、出る……!ビッグボス万歳ッ!ビッグボス万歳ッ!」
「お情け射精させて頂きますッ、お″ッ!お″お″ォォッ!!」
ぼびゅるぅぅぅうう、と冗談のような擬音でも現せないような凄まじい噴射射精。真っ黒な精がぷっくらとした鈴口から溢れ出る溢れ出る。全頭マスク越しでさえ、そのとことんまで蕩けた表情の無様さは大広間の全ての者の目に。
「「「イグッゥッ!イグッ!イグゥッッ!!」」」
それは本当に異様な光景だ。自分たちを攫って戦闘員スーツで洗脳し改造した相手に、まさか感謝と忠誠を捧げながらの大量射精。これでもか、まだ終わらないか、迸る黒精の勢いはとどまることを知らず、大広間の清潔な床鋼板を汚し抜いていく。
ぶぴゅる、ぶぴゅる。下級戦闘員の最前列など、その迫力射精をモロに被ってしまっている。しかし顔を顰めるどころか喜ばしいように、羨ましいような笑みでより黒に染まっているのだった。いつか自分もその栄誉を頂けるのかと、ピッチリスーツの股間を痛い程に膨張させながら。
ヴィランの洗脳儀式とでも呼ぶべき光景。
だというのに、どこか見ているものには羨望を抱かせるのだから始末が悪い。
(な、なんて嬉しそうに……出すんだ………おかしい…でしょ……!)
右手が下半身に伸びそうになるのを何とかして耐えるシャットアウトシャム。
(しかもあの量、絶対おかしくなっちゃってるって……!?)
天井裏にまで立ち昇る雄気、それに当てられて自身だって精の増産を始めてしまったかのように腰から下が熱くて仕方ないのだ。
悪の淫らな時間はまだまだ終わらない様子。
「ほれ、今日は豊作だったからなあ!いいぜ、2発でも3発でもヤっちまいなあ!?」
(ま、まだやるっていうの……!?)
これも潜入捜査、全てを見届けなければならない。雄の臭い、雄の迫力に思考が麻痺しかけたシャットアウトシャムはそう判断してしまう。
ダクトにコソコソと隠れ潜み、ヴィラン支配下の戦闘員たちの実情を探る。探っているのだ。だからその破廉恥で悪趣味で変態的な助平行為の数々を、シャットアウトシャムは必死になって覗き続けた。彼らの叫ぶビッグボスとやらの忠誠がやけに耳にへばりつくのを感じながらも、最後の最後まで監視を続けたのだった。
そうして何時間経っただろうか。
後半などは記憶が朧げだが、何とか能力体ごとその戦闘員スーツも回収が出来た。これで当初の目的は果たせたはず。装備しているデバイスに記録をしつつ、後片付けも完了。
だがそこでようやくシャットアウトシャムは気付いてしまうのだ。自身が痛いほどに勃起してしまっている、その事実。
「あ……違っ…コレ…違うっ……ボク、は……!」
誰にだって見せる訳にはいかない、見せない素顔の動揺。下着の中でヒクンと揺れるそれを、どうしたらいいのか分からないまま、シャットアウトシャムは1人敵地で股間を押さえて困り果ててしまうのだった。
* * *