02シャットアウトシャム④
Added 2024-10-05 08:00:00 +0000 UTCChapter 4 『生身の慟哭』
今日も下級戦闘員は徴集させられていた。時間も隙もたっぷりとあったというのに、シャットアウトシャムは屋根裏の定位置で下半身をモゾモゾとさせているだけだった。当初の潜入操作という建前などかなぐり捨て、狂おしいまでの快楽を味わうのに夢中になっていたのだ。
そうして以前ならば「まったく気持ち悪い」と切り捨てていただろう、淫ら極まりない活動に心と脳を揺さぶられ続けた。今日だってただの犯罪者、覗き魔のように大広間を見下ろしながらのオナニーが止められなかったのだ。
まだまだ雄としては未熟な液体で下着を濡らしながらも、シャットアウトシャムはらしかなぬ上気した顔で呟く。
「は、はぁーっ………う…今日も、すご…かったぁ……♡」
余韻に浸りながらも、名残惜しそうに股間を撫で付ける。生物としては正しいがヒーローとしては間違っている、生殖器官に支配された間抜けな表情。脳裏にはただ快楽をより求める動物じみた妄想だけが広がるのだ。
(い、今でもこんなに気持ち良いのに、もし──もし上級戦闘員様に直接指導して貰えたらどれだけすごいことに……!上級戦闘員様にっ……直接、ボクをッ…………♡)
それは一度浮かんだだけで二度とは消えない呪いのような希望。求め、否定し、否定しては求めてしまう。最後のプライドだけが、それを悪態によってなんとか消し去ろうとする。
「ッ……様なんかじゃない、あんな雑魚戦闘員なんて……!こ、こんなの気の迷いに決まっているよ!」
だがその想いは毒のようにシャットアウトシャムの心身へと滲んでいく。二度と落ちない染みのように広がっていくのだった。
ほんの数週間前だったら、よっぽど気が進まなければ行わなかった自慰行為。
それが今では日課のとなっている。他の若手ヒーローなどは血気盛んに下半身を慰めたり、恋人や時には仲間同士で楽しんだりというのをシャットアウトシャムも聞いたことがある。だとしても他者を寄せ付けないその性格はここでも弊害、それなりに広い自宅にて侘しい吐精へと流れるだけ。
とはいえ今のシャットアウトシャムは1人ではない、心のどこかに住み着いた戦闘員としての本能のようなものが同居しているとも。ひとたびあの戦闘員スーツを家に持ち帰ってしまったのが悪の綻びだったろう。
今ではシャワーを流しっぱなしにして喘ぎ声を騙し、細くしなやかな裸体を戦闘員スーツへと擦り付けては楽しんでしまっているのだ。艶のある黒のスーツ、着用していなくとも触れるだけであのアジトで味わった様々な痴態が想い起こされるのだから。
「や、不味いってぇ♡こんな、のぉ♡」
スルリと勃った若く美しい陰茎が、悪の組織のスーツに何度も何度もすりすりと。未だにシャットアウトシャム本体はこのスーツを着用したことがないからこそ、その魅力は溢れんばかりに彼の雄を固くさせるのだ。
「ん、あぁ……♡オナニー、なんて……興味なかったのにぃ♡」
自分がこれを着て上級戦闘員様に指導されること。それを頭の中で何度も何度も妄想しながら性器を扱き上げる、スーツに押し付ける。これが今のシャットアウトシャムの下半身事情。初めて味わう肉欲の蟻地獄、抜け出したいと思うことさえない。
「こんな物のせいで、あんな奴のせいでぇ♡」
無機質で無個性な戦闘員スーツという、単なるヴィランがばら撒く悪の装衣。あの上級戦闘員だって、今までシャットアウトシャムが薙ぎ払ってきた有象無象の雑魚に過ぎないことだって、頭の中では理解している。
けれど、けれど。
(ボクもあそこに並び、たいっ……♡)
今まで能力で形作った偽物を送り込んでいたが、いつしかシャットアウトシャムは自分自身があのアジトの大広間に、あの下級戦闘員の整列に並びたいと思ってしまっていた。右手がより激しく動き、戦闘員スーツにヌチャヌチャと押し付ける腰が跳ね回る。ぐっしょりと濡れた尻尾は甘い快楽に垂れ下がって。
「んぅ……はーっ……くぅ……ふぅ……♡」
シャワーの雨音でさえ掻き消せない艶のある喘ぎ声。シャットアウトシャムの中性的な顔立ちが、性欲に支配された下卑た雄たちのように変わっていく。歪んだ妄想、都合のいい性快楽のための短絡さに染まるのだ。
(このボクが、あんな無個性で、弱くて、変態な格好してる奴らの一員に、なんてぇ……♡)
まだまだ若さを香らせる性器がヒクヒクと動いてしまう、頭の中で考えてしまう痴態がそうさせる。
「なりたい、訳ぇ……そんな訳、が……ぁ…♡」
シャットアウトシャムというヒーローなど、どこに行ったのか。そこにはただ淫らな快楽を享受する、1匹の雄。ヒーローとして名をあげるどころか、ヴィランの魔の手に絡め取られ、ただただ右手を忙しなく上下させるシャム猫青年。左手で強く握った戦闘員スーツへ陰茎を擦り続け、ボディソープの匂いさえ跳ね除ける潮臭さで自らを彩って。
「ボクはヒーロー、なんだからぁ……♡」
視線は戦闘員スーツから離せない。
「あんな奴ら、一斉に捕まえてぇ……♡」
思考は戦闘員として染まっていく。
「A級ヒーローへの踏み台にぃ……♡」
嗅覚は自身の性の臭いにさえ反応する。
今のシャットアウトシャムは一糸纏わぬ裸体。左手に握り締めた戦闘員スーツを、今すぐにでも着ることができる。できてしまう。つい、そう考えてしまうのだ。
(でも、でも……コレを着たりしたらぁ♡ボク、ボクもあいつらの一員になっちゃう♡)
そう抵抗を心にしながらも、シャットアウトシャムの股間と戦闘員スーツの股間同士を擦り合わせてしまう。いけないと理解しながらもヒーローパワーを発動し、戦闘員スーツの中身を自身の能力体で満たす。すれば全裸の自分と戦闘員スーツ姿の自分がシャワー室に並び、無言のままの兜合わせ。
(毎日、あんな変態なコト……変態だけど、気持ちいいコト……いっぱい、いっぱいぃ♡)
いつか味わった雄牛戦闘員とはまた違った、自分自身と行う兜合わせ。背徳的で破廉恥で、ヒーロー失格のそれこそ“オナニー"でしかないそれはシャットアウトシャムを即座に登り詰めさせるのだ。
艶やかなシャム猫と、艶黒の戦闘員猫とが股間を必死に擦り合わせ、叫ぶ。
「あ、もおぉお♡手ぇ、腰ぃぃ止められ──ないぃぃぃっ❤︎❤︎❤︎」
* * *
そして戦闘員スーツを介して招集の連絡。
待ち構えていたのか、待ち望んでいたのかは、シャットアウトシャムの蕩けた表情で分かるだろう。潜入捜査だと意気込んではいても、工場群に着く前から下着の中をじんわりと湿らせていたのだから。
大広間に集まる前に小部屋で乱雑に着替えている下級戦闘員たち。それをいつものように天井裏で見つめていたシャットアウトシャム。その賢い頭脳でもって、これ以上ない愚かな考えを、言い訳を考え付いてしまうのだ。
「こ、これ以上は能力体では調べられ、ないよね……♡」
するりとロッカーの影に着地して、戦闘員スーツに着替えていく同胞たちに紛れ込む。
「だ、だからさぁ……ボクが直接、相手になってあげるんだから……♡」
どうせ相手は大したことがない戦闘員たち、逆立ちしたって敵うはずがないと。
「ハ、ハハッ……♡ボクが潜入してるとも気付かずにさ、バッカなんだからぁ♡」
必死勃起を揺らしながら、シャットアウトシャムも男たちに混ざって着替えていく。初めて、本当に初めて着ることになる戦闘員スーツを大事そうに広げ、ゴクリと生唾を飲み込んだ。
(あ、あっ、あっ♡このボクが、こんな下級の戦闘員のスーツなんかにぃ……♡)
内心のドキドキ様は初任務の時よりも余程上。
震えながらも足を通していく。胴体側面に走るジッパーを開いているので、両足がヌルリと入り込んでピッチリと密着されるのなど一瞬。苦楽を共にしてきたヒーロースーツなどよりも、よっぽど自分に馴染むような感覚がシャットアウトシャムの腰の下から甘く走り抜けた。
(両足入ってぇ……♡や、もう勃っちゃってるの恥ずかし……♡けど……み、みんなも勃起しちゃってる、から着ちゃえば紛れられ、る、から……だ、からぁ♡)
腰下まで戦闘員スーツをズリ上げれば、その股間部分だってミチリと密着してくる。はしたなくも勃ち上がっているのは自分だけではないと、そう誤魔化すように言い聞かせて着替えを続けていく。
(ん、ふぅうぅぅぅ♡腰まで着ただけで圧着感……すごっ♡生身で着ると、こんな……こんな癖になっちゃいそうなぁ……う、くぅ…もっと、もっとぉ……♡)
潜入当初に能力体が感じたあの感覚は気のせいではなかったのだ。直に着ることでシャットアウトシャムが感じている心地良さは、まるで夢心地。何もかもをスーツに納めてしまいたいと急ぐ。腕まで通し、肩を押し込む。右脇腹の開いている部分、下で小さく揺れるジッパーの引き手をなんとか握ってみせた。
(こ、これ引き上げたら、ボク……どうなっちゃうんだ♡ボク、どうなっちゃうんだ……ぁ…♡)
これが最後の最後の理性の欠片。ヒトとして、ヒーローとして踏み止まれる最後の瞬間。
だというのにタイミング──いや、シャットアウトシャムが1人馬鹿げた興奮をしているせいで時間がかかったから周囲ではもう着替えが終わってしまっていた。整列への期待で股間を激らせた雄たちはゾロゾロと小さなロッカールームから出て行ってしまう。
「あ……ま、不味い急がないと…!」
さも当然、自分は戦闘員、このスーツを着るのが当たり前と考えてしまった。
(ええいっ──んうぅぅう、締まるッ、締め付けッやばいってぇぇえええ♡)
右脇のジッパースライダーを引き上げるごとに、窮屈さが心から自由な思考を奪っていく。冗談のように分泌される我慢汁と汗とが、滑りを良くしてシャットアウトシャムを戦闘員スーツへと押し込んでいく、密着させていく。
もう数人しか残っていないロッカールーム。既にへとへとのシャットアウトシャムにはまだ最後の難関が待ち構えている。真っ黒なスーツとお揃いの、黒の全頭マスク。外部からは何も見透かすことのできない黒い瞳に見つめられ、操られるようにそれを眼前へと持って来てしまうのだ。
「う………ぁ……♡」
スーツと違って着用に時間などかからないだろう。
(コレ、コレを被ったら今度こそ、完全にボク……ボクはぁ♡)
戦闘員スーツを同じツルツルとした素材だ、よく目を凝らせばそこに映る自分の顔。シャットアウトシャムは気付いてしまう、その歪んだ快楽に冒された顔は決してヒーローのものではないと。自分はとっくに──そう思えばこそ、黒の全頭マスクを頭の上に載せ、ゆっくりとそれを被っていく。
(……ヒッ、ぁあ″あ″あ″ぁあぁ♡あっ♡あぁあっ♡ボク、下級戦闘員のスーツ着ちゃったぁああ♡完全に、紛れもなく、あんな雑魚連中と同じ変態な格好になっちゃったぁあ♡)
心の叫びに呼応して、造形は全裸そのものの恥ずかしい勃起をビク付かせながらシャットアウトシャムは戦闘員の正装へと着替えを終えるのだった。
急ぎ足で大広間へと向かう。歩くたびに戦闘員スーツはミチミチと笑い、股間の程よい窮屈感が会陰を焦らしてくる。その形の良い丸尻だって一歩ごと、誰かに揉みしだかれているようだし、しなやかな尻尾だって不器用に動かすのがせいぜいだ。
(締め付けっ♡ギチギチでっ♡ぜ、全身が誰かに抱きしめられてる、みたいでぇ……♡)
そして機械のように整然と並んだ下級戦闘員たち、その誰でもない1人としてシャットアウトシャムは整列を果たす。甘美な妄想として何度も思い描いた、この戦闘員スーツを着込んで同胞たちを肩を並ばせる瞬間だ。ピクッと数度だけ猫耳が跳ねる。
(あっ、ああぁ♡ボク、並んでるっ♡夢にまで見たこの列にボクッ♡)
心の中では踊り出しそうな歓喜に包まれながらも、シャットアウトシャムは無機質な整列で静止を貫く。完全なる没個性、無垢な全の一部になるという快楽に浸り切っているのだ。
(ボクっ、ヒーローなのにこんな、こんな雑魚戦闘員の一員になっちゃってる♡)
他の下級戦闘員同様、ピシリと整列をしておきながら、その股間だけはだらしなく欲望の雫をお漏らししてしまうシャットアウトシャム。何者にも言い訳のできないヒーロー失格行為をしておきながら、その頭の中は感じたことのないシアワセで満たされているのだ。
(馬鹿みたいな格好しちゃってぇ……♡みんなと一緒にちんちん勃起させてぇ♡変態スーツで整列させられてるっ♡我慢汁ぅ、こんな垂らしながらぁ……命令待って、るよぉ…………♡)
カツカツと歩き回り、下級戦闘員の面構えを確認しているのは上級戦闘員。時折立ち止まっては、全頭マスク内部の蕩けた発情顔を透かすように覗き込んだり、密着黒スーツに覆われた肢体を艶やかに撫でたりしている。
その視察の足はまたしてもシャットアウトシャムの前で止まる。運命的ともいえる邂逅、中身こそヒーローだが心は黒に染まったシャム猫青年の身体は激しい動悸。
「ほーお、少しは戦闘員らしく仕上がったんじゃねえのお」
まるで危機感のないセリフ。一歩間違えばこんなアジトなど壊滅していただろう危機にも気付かず、散歩のような楽しげな声かけ。
「はははっ、オレ様の指導のおかげでなあ!?」
だとしても、今はいち下級戦闘員として並んでいるシャットアウトシャムだ、その返事など我慢汁の滴りが良いところ。
そんなシャットアウトシャムを視線で舐めた後、上級戦闘員は高らかに声を上げる。
「おうし、んじゃお前ら下級戦闘員の教育も終わりってことで。祝砲といこうかあ」
中級戦闘員の扱いやその股間の南京錠ロックマークを考えれば、今までの下級戦闘員たちの扱いは厚遇されていたのだろう。今の言葉からも、これが無条件に精を解放できる最後のチャンスだとも分かろうもの。
(あ、あっ♡それって、それってぇ♡)
シャットアウトシャムの期待感は尻尾の揺れになって現れる。はしたない自分を抑えきれず、前のめりになりながら上級戦闘員のその言葉を待つ、待つ。
「お前ら──シコれ」
(〜〜っ♡♡♡)
途端、痺れるような感謝が湧き上がる。周囲に整列している下級戦闘員たちと同じか、負けじとシャットアウトシャムも素早く若雄を握り締める。ギチリと戦闘員スーツの黒い表面が騒ぎ、若陰茎を扱き上げるたびにニチャニチャと卑猥な楽器が完成するのだ。
(やった、やったぁあ♡ボク、シコるっ♡シコれるっ♡)
普段だったら絶対に使わないような言葉使いだって、半ば阿呆になった頭ではそんなもの。上級戦闘員のありがたい言葉を頭の中で反芻しながら右手を動かすシャットアウトシャム。
(う、ぁあっ♡ボク、こんな人前でっ♡大勢の“仲間"と一緒にオナニーしてるっ♡)
同期のヒーローにだって感じたことのなかった連帯感、一体感がより右手の運動を加速させる。ヴィランの手先となって初めて性格が丸くなるだなんて、なんたる皮肉。周囲の下級戦闘員と共に一糸乱れぬ動きで破廉恥な自慰行為に没頭していくのだ。
(ちんちん気持ち、良過ぎだってぇえ♡オナニー、こんな、オナニー気持ちいいなんてぇ♡)
1人でティッシュに精を吐き出していただけの、味気ないあれなどなんだったのか。こんなにも性は、淫らな行為とは心地良いものだったのか。全頭マスクの口部分を大きくグパリと広げながら、誰よりも激しく浅ましく若雄をぐちゃぐちゃにしていくのが今のシャットアウトシャム。
「どうした下級戦闘員ども、気持ちいーかあ!?」
気持ちが良いに決まっている。
「もっと馬鹿見てーに右手動かせや、ほらあ!?」
はいその通りです、動かします。
「お前らのなっさけねーマスカキ姿、見ててやってるからよお!?」
嬉しいに決まっている、もっともっと見て欲しい。
(あっ、ああっあっ♡上級戦闘員様に見られ、てるっ♡ボクが戦闘員スーツオナニーしてるの、全部見られて、るぅっ♡)
先の言葉はあくまで下級戦闘員全体に向けたもの。それはわかってはいても、黒に堕ちたヒーロー・シャットアウトシャムには全身が痺れてしまいそうな歓喜をもたらすもの。
(見られ、ながらするの、やばいってこれぇぇっ♡ボクッ、ボク変態になっちゃうッ♡変態なことしてるっ♡恥ずかしいっ♡気持ちいぃッ♡な、ああッ、手止まらないよぉぉーっ♡♡♡)
完全に戦闘員スーツに取り込まれてしまう。指先の一本一本、耳の先、尻尾の先端まで、黒のスーツが覆い尽くしている。どんなに賢しかろうが青年ヒーローなど、この恐ろしいまでの快楽には抗えるはずがないから。
「だははっ、下級戦闘員どもそろそろかあ!?キンタマ上がってきてんぞ!?」
楽しげな上級戦闘員の声。戦闘員として育ちつつある彼らの、シャットアウトシャムの睾丸はそれなりの重み。それが開放に向かってキュンと窄まり、中身をこれでもかとぶちまけたくてはち切れそうな様子だからだ。
(う、あぁ……ボクのもっスーツに締め付けられてるけど、出したくって出したくってうずうずしちゃってるってぇ……♡)
下級戦闘員たちの無様なマスカキショーは加速の一途。この世で1番の快感を得ようと、逃すまいと下半身を慰め続けているのだ。そうして上級戦闘員が煽り文句を唄えば、その淫らな服従心はピークに達するのだ。
「そしたらよお、カウントダウンしてやるから仲良くイッちまいなあ!!」
下級戦闘員全員に雷が落ちたよう。ビリビリと痺れるような悦びが背中を駆け抜け、貫いたのだ。
(嘘、嬉しいッ、やだ、やったぁ……あ、ボクも、ここでみんなと出せるんだ、やったやったぁ……♡)
シャットアウトシャムも例外ではなく、どころか誰よりも歓喜の度合いは上だろう。今まで天井裏にコソコソと隠れ、皆がとびきりの極上射精を味わうのを指を咥えて見つめることしかできなかったのだから。
上級戦闘員の腕が大きく上にあがる。開放までのカウントダウンを、これでもかとじっとりと声にするのだ。
「──3」
この段階でもう迸らせてしまいそうな者ばかりだ。ぶぴゅると我慢汁を噴き上げ、ひと扱きごとに意識が飛びかけている者さえいる。
「──2」
シャットアウトシャムだってあとたった一言だって待ちきれない。普段からは考えられない愚鈍極まりない阿保面で若雄を弄る、いじくり回す。
「──1」
もう下級戦闘員で碌に息をしている者など居ない。呼吸など忘れ、ただ次の一言だけを望む。自分の人生何もかもを投げ打ってでも、欲するのだ。
「ゼロ」
その瞬間、大広間は揺れた。肉欲塗れの喘ぎと感謝の呻きが合唱となって迸ったのだ。
(ん、ぁあ″あ″あ″ぁぁあ〜〜ッ❤︎❤︎❤︎)
シャットアウトシャムはスーツの中で動物のように吠えていた。今まで一度だってしたことのない、野生に還るような魂からの叫び。それは雄として精をぶちまけていく悦びであり、いち戦闘員として何もかもの服従を選んだ喜びだ。
(出てるッ❤︎戦闘員スーツの先っぽからぁ、ボクのせぇえき❤︎出てる、止まらないっ❤︎)
左右の雄よりかは劣るものの、黒く密着する戦闘員スーツに包まれた若竿からは迸る迸る。白の粘液が溢れては止まらない。こんなにも嬉しいことがこの世に存在したのか。同胞たちと並び、何もかもが正しくある上位の存在の命令で果てる多幸感。
吐精しながらもシャットアウトシャムの右手は止まらない。背中に後ろの下級戦闘員の汁を受けながら、負けじと前に整列した仲間へと自分も精を飛ばしてみせるのだった。
大広間が落ち着くにはそれなりの時間が必要だった。
「…は………ぁ…ぅ………………♡」
全頭マスクの中で喘いでいただけでも、シャットアウトシャムの喉はもう枯れそう。
だが上級戦闘員など自分が射精許可を飛ばして起きながら、ヴィラン用の携帯端末で暇を潰している有様だった。
(や、すごかったぁ………も、お…立ってるだけで、ぎりぎりだって………こ、んなすごい射精ぇ…初めて………だってぇ…♡)
完全に思考が黒い白濁に染まってしまっているシャットアウトシャム。フラフラと足元がおぼつかないのは彼だけではないが、何やらまだ全てが終わった訳ではなさそうだ。
上級戦闘員は携帯端末の時間を気にしていたようで、ようやく声を張り上げる。
「んじゃあよ、これでお前ら下級戦闘員の新人教育もお終いだ!まずは組織の一員の証として──ビッグボスの洗礼を受けて身も心も戦闘員になっちまいなあ!!」
その言葉の意味を理解した下級戦闘員は誰もいないだろう。せめてシャットアウトシャムだけは、今までの時間を少しでもこのアジトの調査に向けていれば知ることができただろうに。
「ッ……!?」
異変は特に下半身の前部で発生した。
気力も尽き果てるほどの射精でふらつく下級戦闘員──シャットアウトシャム。だから唐突に戦闘員スーツの股間部分が生き物のようにうねり、尿道からぐねりと侵入してきた時にだって普段のように対応できない。
(へ、アァアアァアアア♡や、だぁああぁーっ♡嘘、嘘ッ♡ちんちんの先っから入ってくるぅうぅぅ♡)
弱ったタイミング、快楽の余韻に浸ったタイミング。そのせいで反応が遅れてしまったのだ。スーツ内部はグネグネと蠢き、黒い粘液状のそれが尿道奥深くへと侵攻を続けている。
(ヒィンンンッ♡ヒ、ヒーローパワーで防がないと、いけないのにぃぃぃい♡アアアァ、アァーッ♡ナカは駄目ッ♡だめぇッ♡迷ってる暇なんて、無い、無いのにぃイィィィイ♡♡♡)
シャットアウトシャムのヒーローパワーはあくまで身体全体を覆うもの。無敵と自負する能力ではあれど、体内にまで入り込まれてしまえばどうすることもできない。奇しくも弱点をピンポイントで突かれる状態になったが、シャットアウトシャムはそれでも得意のヒーローパワーでの防御を選べない。
(や、だぁあ駄目ダメ駄目ダメだってぇぇええ♡)
ここでヒーローとしての力を使えば正体がバレてしまう。それもあったろうが、何より戦闘員として意識から肉体から改造されることに被虐ではなく心からの歓びを感じてしまっていたからだ。
(ボク、おかしくされるっ♡ボクの身体、ナカから何かされ、てるぅぅッ♡)
その身体付きは次第に変化していく。その心も思考回路も、ヴィランの手先としてのものが適用されていく。独断で潜入をしていたせいで、誰にも知られずに優秀な若手ヒーローは漆黒の底へと堕ちていくのだった。
「はははっ、楽しんでくれや!」
きっとシャットアウトシャムだってそれなりの大声で叫んではいただろうが、大広間に並ぶ大勢の同胞たちの呻き声によってそれはかき消されてしまった。
* * *