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03クールブルー前編

 * * *


 『雄獣戦隊ゴゥレンジャー!』は悪と戦う獣人の戦隊ヒーロー。

 日夜、悪事をはたらくヴィランとの戦いに明け暮れていたがそれもここまで。今日こそ地下巨大基地を攻略し、首魁であるヴィラン大王を倒す日が来たのだ。

 遥か上空から不活性火山の火口跡へと降下ポッドで突入。複数ある入り口から同時攻撃を仕掛けようとしている。皆としばしの別れとなる中、最後の通信だ。


 リーダー格のレッドが勇ましく号令。

「みんな、必ず無事でいてくれよ!」


 ブルーはクールに鼻で笑う。

「ま、オレが先に片付けておいてやるよ」


 飛び抜けて賢いイエローは今日も澄まし顔。

「ボクの計算では97%の確率で成功しますから」


 皆の気遣いをするのは年長者のグリーン。

「油断しすぎだぞお前達、気を引き締めて行くぞ」


 オレンジは相変わらず豪胆で強気。

「ふはは、おれに任せておきなあ!」


 互いに心の中で『必ず無事に合流しよう!』と誓い合い、彼らはヴィランや戦闘員のひしめく敵本拠地へと乗り込んでいくのだった。


 * * *

 戦隊の中でも一際冷静な男、クールブルー。

 スラリと引き締まったモデル体型の犬獣人シベリアンハスキー種の青年だ。白い鋭角なラインの入った青のヒーロースーツを着用しており、首にはヒーローパワーを強化する特殊チョーカーを装備している。その表情はバイザーの下でなおニヒルな笑みが透けて見えるほど、立ち姿と合わせて二枚目といった風貌だ。

 私生活では俳優業をやっているクールブルーは、戦いにおいても常にクレバーに勝利を収めてきた男である。


 突入ポッドから降りたクールブルーだったが、直ぐに異変に気付く。

 うるさいほどに鳴っていた警報音が途絶え、地下基地とは思えないような至って平凡なオフィスビルの中に迷い混んでしまったようだ。窓の外にはまるで地上のどこにでもあるような街並みに空までが見て取れる。

「何だ……ここは…?」

 そうして何かに導かれるように辿り着いたのは大きな会議室のような場所。

「ブヒヒ、ようこそクールブルー!おれ様の──」

 中に居た巨大なヴィランの姿を見た瞬間、ヒーローの身体は戦闘体勢へと一瞬にしてシフト。喉の特殊チョーカーを抑えながらその鋭利なヒーローパワーを解放する。

「『凍れ』ッ!」

 この程度の会議室など一瞬にして氷漬けにするはずのクールブルーの一声だったが、何の変化も起きずに静寂だけが。

「ブッヒヒ、おれ様の【ワールド】の中ではそんな物騒なモンは使えね〜よ」

 会議室の上座、まるで社長のようにふんぞり返ったように巨大な身体を椅子の沈めて言ったヴィラン。


 それはヴィラン大王配下、四天王の1人──ブドバルド。

 大柄な体躯と腕力が自慢の豚種ヴィラン。クールブルーとは正反対に太くだらしない体型で、言動の節々から誰からも好印象を受けない醜男であろうといった風貌だ。今までの戦いでは何度も何度もクールブルーに負け続けており、一方的に因縁の相手と認定している。

 だがそのせいで四天王の座を下されそうになり、自ら強化改造試験に志願した結果、今こうしてクールブルーと対峙しているのだ。


「はっ、またオレに倒されにきたのかブタ野朗」

「ご挨拶じゃねえかクールブルー!」

「この空間はなんだ?いつものダサいトゲトゲの戦闘スーツはどうした?似合ってないぞその格好、気付いてないのか?」

 矢継ぎ早にクールブルーの質問、相手にするのも面倒だといった表情だ。

 ブドバルドの格好、オフィスビルに合わせてか、高そうではあるがどこか悪趣味なオーダーメイドスーツにその巨体を押し込んでいる。今までの彼の装備からは考えられないような変化なのだ。

「ッ、フーッ!バカにしやがって!このおれ様の覚醒した力を知っても格好つけられるか!?」

 そうしてブドバルドが明かしていく事実。

 強化改造によって新たに会得したヴィラン能力。それは【ワールド】と呼ばれるブドバルドが望んだ世界に相手を引きずり込むものだ。そこに滞在する以上、ヒーローパワーなどはもちろん使えず、与えられたキャラクターのシナリオを演じなければ脱出することはできない。

 引きずり込まれた者は役割を演じ切れば勝利、2度と【ワールド】の効果にはかからなくなりブドバルドも無防備なまま撃破可能。逆に芝居をやり抜けなければ永遠にブドバルドの支配に取り込まれてしまうというものだ。


「……ほんっと、しょーもねーヴィラン能力もあったもんだな」

 力で勝てないからと初見殺しに走るとはと、クールブルーは心底呆れた顔。

「な、なんだと!?」

「望んだ世界?ったく、根暗で脂っこい非モテの好きそうな趣向だって言ってんだよ」

「ブヒ……クールブルー、いつまでその余裕そうなイケメン面ができるかな?」

 散々に煽られてブドバルドは豚鼻を鳴らしながらもなんとか体裁を保つようにニヤリとほくそ笑むのだった。

「どうせ安い三文芝居に付き合わねえと殴れもしねえんだろ、さっさと終わらせて先に進ませて貰うからな」

 先ほどヒーローパワーが発動しなかった事などから物理的な攻撃ができないと推測、クールブルーはそれでも余裕の笑みを崩さない。

(残念だったな、オレが表では俳優業をやってるとも知らずに)

 クールブルーの正体が世間的にも人気俳優であり、どんな演技だろうとこなしてみせるという確信があるからだ。

「ほほう、流石の自信だなクールブルー?」

「今日こそはお前らの最後だ。まあ、ブタ野郎の顔なんざ見れなくなっても寂しいとは思わないけどな」

 鼻で笑うクールブルー、ブドバルドを何度も負かしているだけあって歯牙にもかけていない様子。

「ブフゥ〜ッ!言わせておけば!」

「さっさとお芝居を始めようぜ?演技力だってこのオレが負ける訳ないだろうけどな」

「そうだよなあクールブルー、おれ様の【ワールド】に付き合って貰うぜえ!?」


 ブドバルドが叫ぶと同時、シンプルな作りの会議室が現実ではあり得ないような拡張をみせる。それは会議室部分はそのままに、対面側に大量の撮影機材が並ぶ光景。しかもカメラやマイクなどを構えているのは黒ラバーに全身を包んだ戦闘員、ヴィランの手下たちのオマケ付きだ。

「……!?」

「さあてクールブルー、これから始まるのはエロビデオのお芝居だぜ?」

 深く椅子に腰掛け、そのどっしりと中身の詰まった股間を揉みながらブドバルドは楽しそうに言ったのだ。

「な、何を言ってんだブタ野朗──」

「ブヒッ、話の筋としては『取引先であるこのおれ様ブドバルド社長に、お前クールブルーが枕営業をする』っていうシナリオだ」

「馬鹿なこと言ってんじゃねえ、顔だけじゃなく頭まで悪いのか!?」

 腕を振るってブドバルドや戦闘員たちを威嚇するクールブルー。想定外の流れだが、驚きよりも嫌悪感が凄まじいようだ。

「ブフゥ、いいのかクールブルー?こんなところで油を売っていたらお仲間たちと合流できないぞ〜?四天王最弱のおれ様に手間取ったりしたら、お前の評判もガタ落ちだよなあ?」

「ッ……てめぇ!こんなセコイ能力で俺が負けるかよ!やってやる!」

 演じ切ることを決意するクールブルーだったが、これはヴィランの罠。知らずのうちに底なし沼へと引き摺り込まれているのだ。



 そうして始まってしまうのは『取引先のブドバルド社長にクールブルーが枕営業をする』という心底くだらないアダルトビデオの撮影、その演技。

 ディテールとしてはヒーローの知名度向上のため、広告会社のブドバルド大社長に身体を使ってお願いをするクールブルーという筋書きらしいが、そんなことは本来は絶対にあり得ないもの。

 よく見るほどに安っぽさが露呈するオフィスビル内の会議室セット。対面側では忙しなく戦闘員たちがカメラやガンマイクを向けてくる中、クールブルーは嫌々ながらの挨拶を。

「よろしくなブタ野朗社長?」

 近くの椅子に乱雑に座って睨むように言い放ったはいいが、即座にクールブルーへと襲いかかるヴィラン能力由来の寒気。

「ッ……な、なんだこの感覚は」

「ブヒッ、そうだぜクールブル〜」

 明白な悪意を突きつけられてもニヤけ顔を崩さないブドバルドが語る。

「芝居をしっかりやらねえとこの【ワールド】に取り込まれちまうんだぜ?自分であんだけ格好つけて『やってやる』って言ったじゃねえか、なあ?」

 それは自分の優位を宣言し、初めてクールブルーに勝てると喜び勇んだ口振り。ブドバルドはその太く短い両脚を机にどっかと乗せ、それこそ芝居かかった態度で言う。

「ゴホンッ。おれ様がここの大社長ブドバルド様だ、よろしくなあヒーローさん?」

 となればこの奇妙な世界のルールに従い、青の美青年は頭を小さくだが下げるしかない。

「オレはクールブルー、ヒーローだ。よ、よろしくお願いします……!」


 カメラレンズの機械的な冷たい視線が見詰める中、現実世界では絶対に起こり得ない触れ合いが開始される。

「ブヒヒッ、まずはうちの広告に出れるかどうかチェックさせて貰おうか」

「…く……」

 あごをしゃくってクールブルーを呼ぶブドバルド。立ったまま向き合い、ヴィランの両腕が誇り高いヒーロースーツの表面を粘着くような手付きで撫で回していく。

「ブフゥウ……なかなか良い身体をしてるじゃねえか、流石はヒーローさんだ」

「ま、まあな……」

 戦隊リーダーであるレッドには及ばないものの、クールブルーの肢体は鍛え上げられており、何よりそのしなやかさこそが武器。この引き締まった肉体はヒーローパワーの氷結能力だけに頼らず、これまで数多のヴィランを倒してきたのだから。

 それが今、ブドバルドの脂ぎった指先の妖しい動きに晒されている。まずは身体の前面からと、探るように両肩を掴まれるのだ。

「フンフン、随分と鍛えたもんだ」

 かと思えば下っていく両腕、スーツに浮かぶ胸筋を真正面から揉みしだく。

「……ぅく…」

「ブフフ、ここはどうかなあ?」

「ッ……あ……おい、ぁ……!」

 ブドバルドの親指、それがクールブルーの両乳首をねっとりと捏ねくり回していく。その動きは決して他者に快楽を込み上げさせるものではなく、粗暴で素人くさいもの。

 それなのに──。

「お、ぃい……そ、こはぁ……ッ…ぁ♡」

 声が漏れ、気付けばクールブルーは両胸を腕で隠すという生娘のような反応を見せてしまっていた。


 自分でも信じられないと驚くクールブルー。だがそれもブドバルドの卑劣な【ワールド】の能力のせい。静かに音もなくヒーローは堕ちていく。

「おいおいクールブルー、ダメじゃねえか演技もできねえのか?」

「き、気味の悪い触り方をするんじゃない、ブタ野朗がッ!」

 シナリオから逸脱した発言は即座に世界の強制力として、クールブルーにゾクリとした寒気をもたらす。

「ま、まずい……ッ!」

「そういう時は『申し訳ありませんブドバルド社長様』だろお?」

「ア……くっ…も、申し訳、ありません……ブ、ブドバルド社長…様……!」

 悔しさに全身の獣毛が逆立ち、尻尾の毛先が震える。だが謝罪を口にすることで寒気も消滅し、どうにか芝居を続けることができるようだ。これまでの流れから、クールブルーはブドバルド相手にうかつなことは言えなくなってしまったと気付かされる。

 その僅かな表情の変化を悟り、ブドバルドは汚らしい口元を歪めて言う。

「ほれクールブルー、自分で胸突き出して『ヒーローおっぱいをチェックしてください』な?」

 精悍な顔が怒りに燃え、牙を噛み締めて浅ましい言動へと転がり堕ちていく。

「心底、腐ってやが………ぐ…ヒ、ヒーロー……お、おっぱ…いを…チェックして、ください……!」

 そこから数分間、無言のクールブルーと鼻息だけのブドバルド。胸を可愛がられ、乳首を念入りに愛撫されてピンと勃ちあがるまで弄り続けられたのだった。


 ヒーローの見事な肉体美は醜悪な豚ヴィランを容易に嫉妬させる。大きな腹、太くて短い腕を絡めてクールブルーへと密着するブドバルド。

「いい匂いさせちまってまあ、色気付いてんのかイケメンヒーローさんはよお?」

「み、身だしなみにも気をつけ、るのがヒーローなん──です……!」

 する価値もない敬語を吐きつつ、クールブルーは口の中で「お前は臭いんだよ…!」という暴言をなんとかかみ殺した。

「フガフゥ〜、どんな広告が似合うか考えてやらねえとなあ」

 白々しくシナリオに沿った発言。だが結局はブドバルドの目的はクールブルーを辱めること。次の標的と定めたのは脇の下。

「それならヒーローってのは、ココもいい匂いさせてんのかあ?」

 大きな豚口をニチャニチャと音立て、分厚い舌から唾液を垂らしてクールブルーの脇へと近づけるブドバルド。

(ウソだろコイツ……汚ねえ口を近づけんじゃねええ!?)

 べちゃり、ねちゃあぁ、ぶちゅるぅう。

 なんとも小汚い水音、たっぷりの唾液、ヒーローの脇をまるで性器のようにねぶる豚舌。

「ひ″…ぁ……お、おい………アゥッ…♡」

 天地がひっくり返ろうともそんなはずはないのに、クールブルーの下半身は反応しかけてしまった。戦い続きで処理する暇もなかったからだと自分を誤魔化し、下腹部の熱を霧散させようと拳を握りしめるのだ。


「く……こ、んなこと、必要ねえ、だろう……!」

 ぶちゃ、びちゃ、ぶちゅうぅぅ。

「ぁ、くぅぅう♡……う、くぅ…………ッ♡」

 ぬぷ、ぶちゅる、ぺちゃぺちゃ……ぴちゃぁ。

「悪い悪い、おれ様のヨダレで上書きしちまった。これじゃあ誰かに嗅がれでもしたら“おれ様のモノ”だと思われちまうなあ〜?」

 その悪意の舌使いが終わる頃にはクールブルーの脇部分、艶やかな青にはたっぷりと臭い立つ唾液がべっとりと付着してしまっていた。まるで犬同士のマーキングのような穢らわしい体液がヒーロースーツを穢しているのだった。

「ッ……そ、それだけは、絶対に……ないっ!」

「ブフフゥ、冷たいじゃねえかクールブル〜」


 それだけに飽き足らずブドバルドの両腕はクールブルーの肉体を這い回る。

「ほんとに惚れ惚れするような身体して」

「当たり前だ!誰かさんのように肥満体型で恥ずかしげもなく生きていられるかよ」

 遠回しな皮肉によって世界の強制力を回避、クールブルーは「ふん」とブドバルドの堕落した巨体に蔑んだ視線を送るのだ。

「ブフッ、ブフフゥ……!」

 その唸り声は怒りに満ちており、毎回のようにクールブルーに負け続けた過去を思い出しているようだ。だが、だがそれもこれから起こる楽しみへの燃焼剤。

「フンゥ、こんな身体してたらさぞやモテるんだろうなあクールブルー?」

「はっ、羨ましがられるのにも飽きるくらいにはな」

 吐き捨てながらも、身体前面を下っていくブドバルドの手に怯みかけているクールブルー。今にも男の部分にそのムチムチとした指先が乗せられるのではないかと。

(た、耐えるんだオレ!見方を変えれば安っぽい精神攻撃に過ぎないっ。ヒーローパワーも体力も浪費せずに進めるならぬるい相手だ)

 太い指先にヘソの凹みを犯されながらも、眉ひとつ動かさずにクールブルーは自分に誓う。

(耐えてみせるッ!)

 短いストロークでヘソ穴を犯すような動きを仕掛けていくブドバルド。

「こうしてあのクールブルーを好きにできる日がくるなんてよ、ブヒッ」

 割れた腹筋は撫で付けるだけで鋼のような硬さをヴィランの指に返してくる。

「フブゥ……男でも惚れちまうような身体しやがって」

 鼻息も荒く、ブドバルドの股間は興奮で膨張していくのだ。

「ブヒヒ、どうした黙り込んで?おれ様の愛撫に感じちまったか?」


 クールブルーは努めて身体に熱を帯びさせないように集中するのみ。もしここで下半身を反応させでもしたら、この悪辣なヴィランがどれだけ喜ぶことか。

「次は背面をチェックしてやろう」

「ど、どうぞお願い、します……!」

 怒りの顔を見せて願い出たが、前面を触れられないのであればとクールブルーは耐え抜いたことに安堵する。

 向きを変えたことによってカメラを構えた戦闘員たちが嫌でも視界に入ってしまい、クールブルーは舌打ち。攻撃されないと理解しておちょくるような視線を送ってくる戦闘員たちに、後で必ず後悔させてやると心に決めるクールブルーなのだった。

 その背中へとブドバルドの太腕。まるで筋肉を確かめるように背筋を這い回るそれに、クールブルーは嫌悪感を隠しきれないほどだ。

「ふ、ぅう……♡」

 それなのに、喉奥から漏れ出る声には艶。

「……く…ふ………♡」

 どんなマッサージ治療中でも顔色一つ変えないクールブルーが悶えていた。

「ぉ……う……くぅ♡…ぁ……♡……ぉ、う…♡あ…あぁ……あ…ぅ…♡」

 知らずのうちに天井を見つめ、身体が強張ってはヴィランの指に快楽を見出してしまっているのだ。


「こ、んなはずが……ァ…は………♡」

「ブヒヒィ、どれ腰回りもチェックだな」

 唐突にブドバルドの両手が後ろから力強くクールブルーの腰を鷲掴みにした。

「……〜〜ッ♡」

 それは生き物の本能として強大な雄に組み敷かれることを予感し、肉体が相手を強制的に受け入れてしまうような雌性の服従心。これまでの人生で感じたことのないゾワゾワとした痺れに全身を貫かれ、硬直してしまうクールブルー。

 かと思えばブドバルドに会議机の上へと上半身をうつ伏せに押し倒されてしまう。

「こんなに簡単に倒せる日が来るとはなあ?」

「こ、こんな体勢、必要ない…だろう……!?」

 今のはただの気のせい、この自分がこんなみっともない雑魚ヴィランに何かを感じることなんてあり得ないと、小さく振り向いて刺すような視線を送るのだ。

「ヒーローの癖に引き締まったいい尻をして」

 クールブルーの内心に気付いてか気付かないでか、ブドバルドはヒーローの肉体をただ楽しみ続けるだけ。脂ぎった手のひらは醜い顔通りのイヤらしい手付きでクールブルーの尻たぶを揉みしだいていくのだ。

(ぜ、絶対に負かしてボッコボコにして、やる!土下座したって、許さねえぞコイツ!)

 先ほどの何か、衝撃的な快楽を払拭するよう、蒼い瞳は敵ヴィランを睨み続けるのだ。


 だが不意に、クールブルーの尻にブドバルドの股間がノックしてくる。

「ッ……アアァ♡」

 両足は床を踏み締めているが上半身は会議机に押さえつけられている姿、密着されれば尻たぶにブドバルドのふざけたサイズを感じずにはいられない。スラックスをどっかりと盛り上げる雄の象徴は既に固くなっているが、クールブルーへの辱めにまだまだ大きくなると存在感を示しているのだ。

「ほれ、ほれ!どうしたクールブル〜?」

「汚ねえモノ、押し付けんじゃ──」

「社長様のデカチンがそんなに嬉しいか、ほれほれ、ブヒッ!ブヒヒィッ!」

 クールブルーが嫌がれば嫌がるほど、ブドバルドの布越し肉棒はグンと力強さを増す。この身体付きにこの顔では大した相手も見つけられないだろうに、今ブドバルドは宿敵であるクールブルーに欲情し尽くしているのだ。

 オーダーメイドスーツ姿の豚ヴィランに、ヒーロースーツ姿の美青年が腰を打ちつけられては苦悶の呻きを漏らす。互いに着衣であるし、ただふざけたセックスの振りでしかない動き。


 それなのにクールブルー、太い指が食い込むほどに腰を掴まれて豚肉棒で尻をスタンプされる度に危ない感情が湧き上がってしまうのだ。

(こんな、こんなああぁ♡オレッ、オカマ掘られる振りで、感じちまってる、のかぁあ♡)

 乾いた布擦れの音、会議机が軋む音。何よりヒーローの喉奥からは微かな喘ぎ。美青年の犬尻尾が揺れている感情、それは一体何なのか。

「そ、れ…やめろぉ……!」

「クールブルー違うだろお?そこは『やめてくださいブドバルド社長様』って言わなきゃよお?」

 戦闘員たちのカメラも撮っている、突きつけられているガンマイクはどんな音声も逃さないだろう。

 ブドバルドの太短い脚が床を踏み締め、机に押さえつけたクールブルーの尻をノックすること何回、何十回。

「く、ぁ……う…ぁあ……♡」

「ほーれクールブルー、なんて言うんだあ?」

「あ″ッ……あぁ…やめ、ぇえ……♡」

「さあ!?」

 屈してしまうのが許せない。それ以上にクールブルーはブドバルド相手に快楽を味わってしまっている自分自身が何よりも信じられず許し難いのだ。

「ふ、あ″ぁあっ♡な、んだ、この感じぃい……♡」

 小汚いオフィスラブ、まるで強姦のような様相ながらついにはヒーローの口から滴るのは勇ましさの欠片もないセリフ。

「あ″ッ♡う、くぅう……や、やめて、くださ、いいっ♡ブ、ブドバルド社長っ様ぁあ♡」


 その弱音は会議室の温度を一気に変化させた。

(や、ばいぃ♡な、なんだこれ、なんだこの感覚…はっ♡こ、このオレがこんなキモいブタ野郎に、感じさせ、られる……なんて♡)

「ど〜れ、クールブルーの泣き顔でも拝ませて貰うとするかあ」

「ア………ッ♡」

 ブドバルドが抵抗の薄くなったヒーローをゴロンと仰向けにした。その太い腕がクールブルーの脚を曲げるように足首を掴む、雄々しく見下ろすのだ。

「ブヒッ、レイプでもされたみてーな顔して。クールブルー、いつもの格好いいハンサム顔はどうしたあ〜?」

「……ふ、ぅ……ぅ…く……はぁーッ♡」

 今や会議机に身体ごと乗せられ犬耳をペタンと伏せるクールブルー、悪意しかない視線に晒されているというのに。

(まずい、まずいっだろ♡こ、こんなカスヴィランに見下されて、んのにオレ……♡こ、こいつこんなに、こんな…こんな下半身にクる目付き、してたのか……♡)

 動揺が自信に影を落とし、クールブルーの冷徹な判断力さえ鈍らせてしまっているのだ。

「にしても、クールブルーのタイプがまさかこのおれ様だったとは」

「それだけは絶対にな──」

 ブドバルドの指が示す先、それはヒーロースーツをツンっと盛り上げる勃起。

「ッ!?な、オレ……ッ♡……あぅ♡」

 指摘されたせいでヒクンと跳ね、内部で先端が擦れたのか甘い喘ぎ。

「ブヒュヒッ、感じちまったなあ?」

 続く悪党の問いかけ。

「腰を掴まれて、尻尾ふってやがったもんなあ?」

 粘着くように絡み付く質問が、クールブルーの内心をめちゃめちゃに掻き乱していく。

「ケツにデカチンぶつけられて興奮しちまったんだよなあ?」


 卑猥な質問の乱打を受け、それなのに余計に下半身はピクンピクンと嬉しそうに跳ねるのだ。

「ば、馬鹿なぁ……こ、んなことが♡オレの身体、どうなっ…てぇ……♡」

 そんな頬を軽くはたくのはブドバルドの手。

「惚けてんじゃねえぞクールブルー!まーだお芝居は始まったばっかだ。しっかり演じて、おれ様を楽しませんだぞお?」

「くッ……ぅう…♡」

 頷くしかないのが今の立場。

「ココだけスーツ解除できるか?」

 指さすはヒーロースーツの股間部分。疑問系ではあるがそれは命令に他ならない。

「は、はぁ……!?な、何をいきなり……言って、言ってんだぁ♡」

「ヒーローさんは自ら!望んで!おれ様に枕営業しに来てんだぜ?もうシナリオ忘れちまったのかクールブル〜?」

 ふざけた理屈を畳み掛けブドバルドはよりクールブルーへの支配力を増そうというのだ。

「わ、分かって──」

「いーや分かってねえなあ!?社長様がココをチェックしたいと言ったら!お前の返事は『はい』以外ねーんだよ!」

(くそ、こいつ……!ポッと出の能力をもうここまで使い熟している、のか……!)

 足首を掴まれて会議机の上、それこそまな板の上の鯉のよう。あの冷ややかな瞳が、今では情欲と羞恥に揺れてしまっているのだ。それもこれも──。

「ブヒヒッ、とっととチンポ見せろってクールブル〜」


 小馬鹿にするような声音がよりクールブルーを脅かす。両腕で口元を押さえ、まるで新人ヒーローがヴィランに捕まってしまった時のような可愛らしさ。

(ト、トイレ用にそういう部分解除は、できるが……。そ、それを勃起した今、こんな奴の前で……する、のか…♡そ、そんなのは、そんなのはぁ……♡)

「それとも──」

 ブドバルドは待ちきれないようだ。クールブルーの足首を高く持ち上げたかと思えば、今度は股を割って真正面から机上で犯す姿勢へと。

「一度ヒーロースーツ越しでファックできるか試してみたかったんだよなあ、ブヒッブヒヒ〜ッ」

 きっと高級な仕立てだというのに、そのオーダーメイドスーツの股間部分はこんもりと盛り上がっており、既に我慢汁が生地表層をどっぷりと濡らしているのだ。内部で存在を誇示するような肉塊をビグビグと跳ねさせ、『スーツの部分解除をしなければどうなるか』を無言のままに示しているのだ。

「…く…ッ……………わ、分かっ……分かり、ましたブドバルド社長……!」

 クールブルーはヒーロースーツを操作。小さなパチンというロック解除の音と共に、股間部分の生地に縦の切れ込みが走る。

「………ァア…ぅ……♡」

 となればクールブルーの勃起は勢い良くそこからまろび出てしまう。

 ぶるんと男らしく跳ねたハンサムヒーローの生ペニス。その体躯と同じようにスラリとしており、完全に剥けた竿はしっかりとした太さ、くすみかかっている亀頭のサイズも確か、裏筋や走る血管なども見事の一言だろう。

「…み、見る…なぁ……ぅ…………くッ………♡」

 決してこんな体勢で敵であるヴィラン相手に、ましてや誇りあるヒーロースーツから飛び出させて露出していい代物ではない。


「ほほう、コレは随分と遊んできたチンポに見えるなあヒーローさん?」

 芝居がかったブドバルドの声。からかいたいのを抑え込んでいるように僅かな震え。

「み、見れば分か──分かり、ますよね…!」

 だがそれ以上にクールブルーの返事の方が震えていた。口元を両腕で覆って顔を背けてしまうほどなのだ。

「そうかそうか見りゃわかんのか、ブフゥッ〜!」

 腹の底からの笑いを込み上げさせるブドバルド。その太い指が戦闘員へと向けられ、指示となる。

 会議室対面から撮っていた戦闘員たちも、いよいよもって至近距離で機材を向けて騒ぐのだ。

「たっぷり撮影しといてやるからなっ」

「はーいブルーちゃ〜ん、お顔こっち向けて〜?」

「ハハッ、ヤリチンがスーツから飛び出ちまってんぞ」

 複数台のカメラフラッシュがクールブルーを包む。中にはレンズに先走りがへばり付いてしまう接写もあり、クールブルーの頑なな冷たさを溶かしていく。

「雑魚の、戦闘員風情が……ァ、く…♡」

 これまで俳優稼業でカメラを向けられてきて幾星霜、これほどまでに羞恥の撮影があっただろうか。

「お、男がこんなことで、恥ずかしがる、かよぉ……♡」

 そう勇ましく吠えながらも、炊かれるフラッシュごとにヒーローペニスをピクンとさせてしまうのだから世話はない。


 ついにはブドバルドの腕がクールブルーの股座へとぬっと落とされる。脂ぎった指先の動きは明らかに相手を感じさせるには不慣れ。

「は、はっ……♡ブ、ブドバルド社長の触り方、それじゃあモテません、よ……♡」

 世間からの好感度のカースト差を如実に示すような鼻での笑い。クールブルーは言葉にせずとも態度で「これだから童貞ブタ野朗は」と滲ませてやるのだ。

「……ブゥウゥ!」

 ブドバルドが逆立ちしても手に入れられない容姿、活躍、人気を兼ね備えたヒーローからの残酷な煽りはその怒りに火を着けるだけ。

「ブーゥッ……シ、シナリオの真っ最中だってのを忘れんなよクールブル〜ッ!お前はおれ様の契約欲しさに枕営業してんだぞ?ああ?」

「ッ……どう、すればいいですか」

 この茶番を終わらせるためとクールブルーの態度は努めて平熱のそれ。

 そしてブドバルドが口にするのは、イケメンヒーローのプライドを粉砕するものだ。

「ブヒッ、カメラに向かってそのイケチンを突き出して撮らせろよ」


 ──ただ粗雑で卑猥な撮影会となってしまう。

「モデルみたいに色っぽいポーズをしろ」

 怒りを滲ませた冷たい声音。ブドバルドの命令に逆らえる立場ではないクールブルーだ、戦闘員たちのカメラの真ん前に立って次々と指定のポーズへと操られていく。

(ああっ、くそ♡こんな奴に命令されて、オレ♡仕事の時と同じように、身体が動いてしまうっ♡)

 監督にでもなったのかという、得意げなブドバルドの声。

「嬉しそうな顔でチンポ突き出せ」

(ふざけるな、そんな……そんな格好をオレがッ♡)

 従ってしまう。

「チンポ弄りながら中腰だ、ほれ早く」

(バ、バカにしや、がってぇ♡や、やってられ、るかよぉ……♡)

 従ってしまう。

「脇まんこ見せつけながらガニ股だ。しっかり笑えよ〜?」

(このブタ野朗、調子に……のるんじゃ、ねぇええ♡)

 従ってしまう。

「いい子だ。撮りがいのあるエロヒーローさんじゃねえか、ブッヒヒ」

(ッ……♡な、なんでオレ…自分からこんな姿ぁ、撮られて♡勃って♡喜んで、んだ……♡)

 群がる戦闘員たちの好色そうな笑みにさえ感じてしまうクールブルー。

「ほい、チンポも撮るぞ〜」

「へー、ご立派ご立派」

「スケベ汁が垂れそうだぞヒーロ〜」

 カシャ、カシャ、カシャリ。

 鳴り響くシャッター音にヒーローの雄肉棒はクールではいられないのだった。


 それが終わったかと思えば、次。

「お〜しクールブルー、お次は演技のチェックだ」

「ま、まだある、ん……ですか…!」

 その巨体を椅子に深く沈ませ、両腕を肘掛けの乗せてブドバルドはねっとりとした物言いで告げるのだ。

「ブフフゥ、クールブルーには『恋人にするようにキス』して貰おうかあ」

「お前と──ブ、ブドバルド社長と、キスを……!?」

 頭の中でガラスが砕けたような嫌な音が聞こえたような気さえした。

(この人気俳優のオレが、相手なんて選び放題のオレが、こんなキモブタと……!?)

 スーツ股間から必死な性器を丸出しのまま突っ立っているクールブルー、対して余裕のブタヴィラン。だからこそこういう時だからこそ、クールブルーはその精神を鎮めて何の迷いもないと口を開く。

「……ヒーローの広告を打ち出して貰うにはブドバルド社長の協力は不可欠ですから、喜んで演技を披露して見せますよ。演技を、ね」

 努めて冷静、負けるものか。視線では殺すような目をしつつ「この能力世界から出たらタダじゃおかない」と警告しながら広告企業の大社長様とやらに口付けを落としていくのだ。

「しっかり撮っとけよ〜」

 ブドバルドの言葉に戦闘員は色めき立つ。

「ン……ッフ……」

 クールブルーの艶のある唇、抱かれたい男に毎年でも選ばれる端正な顔、それが憎たらしい顔付きのブタヴィランへと重ねられた。まるで対照的なイケメンと醜男のキスシーン。


 それはしっとりと始まり、ギアを一段ずつ上げていくように加速していく。

 ブドバルドのテクニックは間違いなく最底辺、クールブルーのように愛の口付けを経験し続けてきた者からみれば酷いものだ。

(下手くそ…めぇ♡)

 だというのに、だというのに。手入れされた艶のある犬尻尾が揺れてしまう、スーツの中で背筋の獣毛が逆立つ。

「……プ、ハァ……ッ…♡」

 認めたくなかろうが、屈んでキスを落とすクールブルーの雄竿は何度も跳ねて仕方ない。

「ッ…ァ………フ……♡」

 段々とおかしな『嬉しさ』が込み上げていき、スーツからみっともなく突き出した先端から滴るカウパー液。

「ンムッ……ゥ………〜ッ♡」

 クールブルーの身体はブドバルドの稚拙で悍ましいだけのキスを求めてしまう、マズルを擦り合わせるように必死になって舌の蠢きを返してしまうのだ。

(こいつの唾液ッ…酷い匂い、酷い味……ぃ♡)

 口内の体液を交換し悶えるヒーロー。

(デカくて分厚い舌も……くそぉ♡)

 情けなく腰が揺れてしまうヒーロー。 

(オレとブタ野郎は敵同士、だろ♡な、んでキスなんて、しているんだ……♡)

 醜男の肉欲に理性を溶かされていくヒーローの姿。


 椅子にどっかと腰掛けたブドバルドに、クールブルーはしなだれ掛かるようにキスをねだってしまっているのだ。

(…オレは感じて、なんかぁ♡)

 身体を撫でる動きが追加されれば、より熱は上昇。

(そんな触り方、するんじゃ、ないぃぃ♡)

 悔しさと恥ずかしさ、けれど勃ち上がったヒーローペニスは馬鹿みたいに喜ぶばかり。ひくんひくんと打ち跳ね、とくんとくんと我慢汁の涙。かと思えば下腹部から込み上げていく大波が一気に鈴口から溢れ出てしまうことに。

(やばい、やばい……オレはこんな奴とのキスで、感じたりなんかするもん…かあぁあぁあああ〜ッ❤︎❤︎❤︎)

 性器を刺激するどころか触れもしていなければ、それは紛れもない接吻射精。屈んだ姿勢でブドバルドのなだらかな腹、その高級スーツにあられもない白濁液を飛び散らせてしまうクールブルーなのだ。

 それらは全て撮影され、記録され、戦闘員たちの笑い者だ。

 もちろん1番大きな笑い声を上げるのはブドバルド。

「ブヒャヒャ!クールブルーがまさかおれ様相手にキスイキするとははなあ〜?」

「こ、んなぁ………な、何かの間違い、だ……ぁ……はーっ♡」

「意外にもおれ様たち、相性抜群だったのかあ」

 これも全ては【ワールド】のシナリオによる強制力。だがそれを知らないクールブルーは自分が敵対ヴィラン相手に欲情してしまった変態だと、本気で恥じているのだろう。そのクールブルーが息を整える間、ブドバルドは高級スーツに飛んだヒーローの子種汁を指ですくっては舐め取って見せていたのだった。



 淫猥な雰囲気に包まれる会議室、ブドバルドはポツリと呟くのだ。

「……まだ演技を見てえよなあ」

「ッ……!」

「次はそうだなあ『恋人にするようにフェラ』でも見せて貰うかあ」

「なっ……!?」

 ここにきてあからさまな性的要求。もちろん勇敢なヒーロー様が逃げないようにお膳立てをするのも忘れないのはヴィランの鑑と言えるだろう。

「これがシナリオのラストだから、ここを突破されたらおれ様の負けになっちまうな〜」

 ブヒブヒと鳴きながらも、演技くさく説明してみせた。

(そうだこれだけ耐えたんだ、とっとと演じ切って終わらせてやる!!)

 決意が満ち、目には力、最後の山場を乗り切るとクールブルーは真っ直ぐにブドバルドを見据える。

「このオレ、クールブルーの枕営業でブドバルド社長を満足させて見せますよ……!」

 言いたくなどないセリフだから、睨む目の鋭いこと。この能力世界から脱出した暁には、戦闘員を含めてどう叩きのめすか考えているような顔付きだ。


 ブドバルドが椅子を少し引く。太短い両脚を開き、股間と机に挟まれた小さな空間をクールブルーへとさし示した。

「……ブヒッ」

 小さな舌打ちをしつつもクールブルーはそこへ屈んで座り込む。スラックス生地にじっとりと浮いた先走りが自分自身への興奮の証だということに苛立ちつつ、仕方なさそうに醜悪ブタヴィランのベルトに手をかけた。

 だがそれを楽しそうに止めるブドバルド。

「おいおいクールブルー、恋人相手にそんな急かしちゃムードがないだろお?」

「な、何が言いたい……のですか?」

「早漏じゃモテねえぞお?決まってんだろ、大好きな恋人の好きなことをその格好いいハスキーボイスで囁いてくれよお?」

 それは強制的な求愛要求。

(ッ……相変わらず悪趣味な野郎だ……!)

 椅子下という情けない場所で、ヒーロースーツから濡れた勃起を溢したままのクールブルーは思ってもいない褒め言葉を紡がされていく。


「ブドバルド社長は──」

 にいいと歪むブタヴィランの支配的な笑みに、クールブルーはプライドをかなぐり捨てるように言葉を進めるのだ。

「か、格好良くて」

(そ、んな訳ねえだろ……!)

 誤魔化すように目の前のベルトをなんとか外していく。

「身体が大きくて」

(…み、見上げると…くそ……なんてデカい、んだぁ♡)

 濡れた股間の生地、本来ならば気色の悪いだけのそこはまるで雄フェロモンを放っているようだ。

「男らし、くて」

(こいつ……臭いだけのはず、なのに…股間に顔、近付けてるとオレ……♡)

 マズルを鳴らせば、臭いに犯されているような感覚に陥るほど。

「オ、オレみたいな変態ヒーローも、抱かれたくなって…しまいます♡♡♡」

(な、何言ってるんだオレ……!?そんな訳、そんな訳ぇ……♡)

 へたり込んだ腰は疼いて仕方ない、紛れもない性的興奮の我慢汁の水たまりが床を飾っているのだ。クールブルーの視線は眼前の大きな膨らみにだけ注がれ、望んでいる望んでいる。


 危険な思考から逃れようと顔を大きく振り、なんとか攻撃的な睨み上げでクールブルーは言い放つのだ。

「ど、どうか恋人フェラチオを、させて…ください……♡」

「あのイケメンヒーローがそこまでおれ様を想ってくれてたなんてよお」

 クールブルーの目の前でスラックスのホックが外され、ジッパーが降ろされていく。ビグビグと暴れるような中身、今にも襲いかかってきそうな程の迫力。

「ブヒッブブヒッ、熱くなっちまったぜ」

 更には自身でネクタイを緩めたかと思えば、ブドバルドの腕が軽やかに動いてクールブルーの首にネクタイをかけてまるでリードのように握りしめた。

「お似合いだぜ、ワンコロ〜?」

 能力による枷だけでなく、こうまで屈辱的な扱いはクールブルーの牙をより強く噛み締めさせるもの。

(集中力を乱されるなオレ!さっさと終わらせてこんな世界、脱出してやる!)

 残すは最後の一枚。ブドバルドの黄ばんだ安っぽいボクサーブリーフに指を引っ掛け、クールブルーがそれを一気にずり下げる。

「〜〜ッ♡♡♡」

 視界が太い汚肉棒に埋め尽くされた瞬間、クールブルーの腰が甘く疼いてしまうほどの衝撃を受けた。ブドバルドの男根はあまりにも卑猥物、見た目や臭いだけで美青年ヒーローの倫理観を崩壊させたのだ。

「ブッヒブゥ、これが雄の生チンポだぜえ?」

 あまりにも根本から図々しくも太く、勃っていようが先端まですっぽりと分厚い肉皮で覆われており、しかしとめどなく溢れてくる我慢汁の多いこと臭い立つこと。スラックスと下着から迫り出した睾丸だって冗談のようなサイズ、クールブルーのそれとは違う生物のもののようだ。


(な、な……なんだこのバカデカくて…♡くっさくて汚いチンポはぁ……♡)

 ブドバルドが座っているせいか、スラックスの股間部分にドンと乗っている雄竿と雄睾丸のインパクトは完全にクールブルーの予想を超えていた。

「どうしたクールブル〜?ビビってんのかあ?」

「誰がッ……!」

 これまでどんなピンチだって乗り越えてきたヒーローだ、すぐに終わらせてやるとこんな汚れ役──熱烈フェラチオを開始するのだ。

「おほっ、すげー食い付きじゃねえかあ。そんなにおれ様のエグチンが好きかあ」

(黙っていろ、このブタ野朗……ッ♡)

 決してケチを付けさせないと、本気の芝居で臨むクールブルー。その火照った視線や舌遣い、ブドバルドの太ももを撫で付ける両手の動きはまさに氷さえ溶かす熱演。

「すっげ、あのクールブルーが包茎んナカに舌ぶっ込んでるぜ」

 そこまでする必要があるのか、その判断さえ今のクールブルーには分からない。淫らに揺れる下半身が望むがまま、キザな台詞を吐いてきた舌を小汚い真性包茎の中へと押し込んでいくのだ。

(こ、んなもん全て演技……だぁ♡しゃぶり尽くしてぇ、有無を言わせずオレの勝利で終わらせて、やるだけだ♡)

 ビチャビチャとヒーローのマズルからは発されるはずのない水音が続く。汗と先走り液でヌラ付く太肉棒を舐め上げ啜り、痴垢まみれの皮被りさえ舌先をぐるりと内部で一周してしまうクールブルーなのだ。

 ファンも多いクールブルーにして、あまりにも酷い口淫顔。全て全て、どんな些細な音さえも逃さず戦闘員たちによって撮影されている。


「ブブヒッ、こんだけやれんならヒーローよか売りで街の平和を守れんじゃね〜のお」

 ブドバルドの身じろぎの一つでパンパンに張り詰めた巨大な雄金玉が揺れ、そのえずくような悪臭がより拡散されるのだ。

(言わせておけっ♡オレはヒーローだ……♡フェラなんか、朝飯前…だ……♡)

 心の底からの嫌悪感を鋭利な視線に乗せ、しかしクールブルーの淫らな芝居は続く。

「刃物みてえな目付きだってのに、身体は随分と正直におれ様のヴィランチンポに夢中だなあ、ブヒッブヒヒッ!」

(そ、んな訳ない、だろッ♡惑わされるなオレ……クールに勝つ!勝つんだぁ…♡)

 側から見れば堂々と椅子に腰掛けるヴィランの股間の間に座り込み、格好いいヒーロースーツからペニス丸出しで腰をヘコ付かせながらの必死しゃぶり。これが本気でないと言って誰が信じようか。

「ほーれ蒸れ蒸れの金玉も舐めてくれよお?」

 ブドバルドの太い指先が揃えられ、自身の大玉を真下から持ち上げて催促。

(こ、れは芝居……♡だからしっかり舐め尽くして、やるぜ……♡)

 今まで負け続けてきたことなど嘘のように男らしく、ブドバルドはクールブルーの舐め上げる舌を支配者然と受け入れる。ヌラヌラとひかる小汚い体液の混ざりを、ヒーローの精悍な舌が綺麗に掃除していく、磨いていくのだ。


「『玉舐めヒーロー』……いや『おしゃぶりヒーロー』、どっちがお似合いか。なあクールブル〜?」

 馬鹿にし尽くしたからかいも、今のクールブルーには甘く重たい蜜のように感じられてしまう。身体がおかしな変化に堕ちる前に倒し切ってやると、冷静さを欠いてしまうのだ。

(ふざけてんじゃ、ねえ♡早く、射精しろッ♡)

 エグ味で舌が痺れてしまいそうになる痴垢まみれの真性包茎。馬鹿みたいな量の我慢汁だって二枚目ヒーローの顔面をベットベトに汚しているのだ。

 それはブドバルドにとっては天国のような光景。この世の春と汚らしい声で鳴くこと。

「おれ様のヴィラン能力、最高じゃねえか……ブゥウゥ、ブヒッブヒッ!」

 でっぷりとした腹を揺らして笑えば、その動きに合わせてブドバルドの太肉棒が揺れてクールブルーの精悍な顔にベッチャリと。

(顔も性格も声まで終わってる癖にぃい♡こいつ、すげえチンポしてぇ……♡)

 その視線は恋する乙女のように汚ペニスだけに向けられており、自分がどれだけヴィランの罠に転げ落ちていると知りもしないような無防備さ。


 その現実では起こり得ない淫らで悪人たちの笑いを誘う光景はただただカメラレンズの餌として貪られていく。それを構える戦闘員たちだって肉欲に満ちた声で笑うのだ。

「しっかりブドバルド様の巨根舐めろや」

「フェラ犬ヒーローがんばれ〜」

「ははっ、すっげえエロ顔しやがって」

(こ、んな奴らにまで、オレは……ぁ…♡…勝ってやる、勝つぅ……♡)

 だというのに負けてたまるかとする行為が、よりブドバルドの男根舐め上げなのだからどうしようもない。

「あ〜っ、やっべえな」

 ブドバルドの声は次第にペットにでも向けられるかのようなものへと。

「その舌使い堪らねえぞクールブル〜」

 巨大な尻を僅かに揺らし、その気持ち良さを視線や仕草でも伝えゆく。

「金玉あがってきちまうわ」


(よし、これで終わりにして──)

 きっとこれでこの悪夢も終わる。そう確信したクールブルーなのだが、唐突に止められてしまう。

「なあクールブルー、お前いま自分がどんな顔してるか分かってんのかあ?」

 ニタニタ笑いでブドバルドが戦闘員に持って来させたタブレット端末、そこに写し出された画像。

「ッ!?」

(こ、これがオレ……♡こんな、こんなエロ顔でブタ野朗のチンポしゃぶってたのかオレ……♡)

 この場にいるクールブルーだけが知らなかったのだ。だからブドバルドも戦闘員もあんな舐め腐った態度だったし、今だってニヤケ面をやめはしないのだから。

「は、はん……演技に、決まっているだろう!」

 自分自身だって騙せもしない、情けない嘘。

「……と、とにかく早くしゃぶらせろぉ♡」

 今度は心からのどうしようもない本音の願い。

「おうおう言うじゃねえか。流石はクールブルー、これも作戦って訳か」

「き、決まって、んだろ……♡」

「ブヒヒィ、危うくヒーローの罠にかかるところだったぜ」

 悪趣味にくだらない芝居に乗ってやったかと思ったブドバルドだが、それもひとときのこと。


 飽きたのか呆れたのか、不意に笑みを消した。途端、四天王の座に相応しい脅すような冷たいドス声を出す。

「もう良いからアホみたいに口開けてろや」

「ッ……♡」

 クールブルーの肉体は本人よりも目の前の強い雄に従ってしまう。言われるがままに大きく口を開き、進んで目の前に聳り立つ汚肉棒への生贄に堕ちるクールブルーなのだ。

 俄然、勇ましく手淫を開始するブドバルド。恋人などできようもないひとり雄の自慰は激しくも荒々しいもので、クールブルーの知らない欲求不満の雄力に溢れているものだ。

「なんだすげ〜物欲しそうな顔して?」

(すげえ迫力で扱くんだなこいつぅ……♡)

 喉が、舌が動いてしまう。嫌々ながらやっていた口淫が、今では極上の褒美だったことに気付かされてしまうのだ。

「ブドバルド社長様のエグチンから目が離せないってか?」

(もっとしゃぶらせろ…ってぇ♡自分からフェラさせておきながら、取り上げる、なあぁ♡)

 無意識で頷いてしまえば、ヒーローとしての資格があると言えるのか。

「ったく、本性はとんだエロ犬だなあクールブル〜?」

(くそぉ…言わせて、おけば…ぁ……♡)

 ぶっちゅぶっちゅとなんとも大胆な上下のストローク。分厚い包茎が激しく捲れ、被り、捲れ、被り。飛び散る生臭いカウパーはクールブルーを汁まみれにし、嗅覚から犯す。


「ヒーロー喉まんこにぶっ放していいかあ〜?」

 ふざけた申し出。この世のどこにそんなことを許可するヒーローが居るだろうか。

(ブタ野朗の唾液も、先走りも……すごかった、んだ……♡こいつの精液、どんな味が……どんなすごいかなんて、知らないではいられねえだろうが……♡)

 これだけ小汚い体液を飲まされて、溢れる唾液を滴らせても今のクールブルーは口内を『乾いている』と感じてしまうのだ。それほどまで、それほどまでに雄ブタヴィランの弾けさせるだろう生精液の魅力に負けてしまっているのだ。

「お、お願いしますブドバルド社長ぅ……♡♡♡」

 カメラに見られていようが、戦闘員に馬鹿にされようが構わない。戦隊5人の中で最も人気のあるクールブルー、あのクールブルーが野良犬のように口を開けて小汚いヴィランのペニス汁を求めてしまっているのだ。

 心からのオネダリは会議室を淫らな犬小屋にした。

「出すぞ」

 尖った耳をへたりこませたクールブルーへの、耳朶さえ犯すような雄声。その後、思い切り扱いて露出した痴垢露茎からは溺れそうなほどの汚液が溢れていく。

 ぶッびゅるぅう、びゅぶ、どっっぷぅっ、ぶびゅく、びゅく!

(お、おかしくなるぅ♡臭い、のに♡汚い、のに♡こ、こんな……けがらわしいブタヴィランの汚ザーメンがこのオレの顔をぉぉおぉッ❤︎喉をぉおぉぉッ❤︎やばぃいオレ、穢されてるぅうッ❤︎)

 みっともなくゴクリゴクリとヒーローの喉仏が上下する。自分だって机の下で漏らすように期待イキを晒しながらも、誰からも鑑みられることもなくただ雄射精の受け皿として使用されてしまうだけのクールブルー。

 思考が、理性が、プライドが黄ばんだ白濁に押し流されていくのだった。


 最後の一滴、それを嚥下したところで撮影は終了する。

「おーし、ごっくんできたなクソヒーロ〜?」

「……ッ…ふぁ…………は、はい…ッ♡」

 脳髄まで痺れさせられたせいか、半勃ちの先端から精液を垂らしつつクールブルーは素直に頷いてしまっていた。だが慌てて睨み付け、最後の力で吠えてみせるのだ。

「こ、これでヴィラン能力は解除、だろ……!?」

 これまでのどんな激闘よりも疲弊し、だが誇らしげにクールブルーは続ける。

「くだらねえが、演じ切ってやったぞ!」

 だというのに、ブドバルドのなんとも呆れた顔。これまでクールブルーが勝利を納めてきたように、今度は自分が勝ち続ける番だと子供をあやすように言う。

「ブヒヒッ!なーに寝言いってんだあ?」

「てめぇこそ何を言って──」

 さあ、クールブルーの苦難はまだ始まったばかり。


「今のはシナリオの『前編』だぜえ?」


 * * *

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