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春③

Chapter③『1日目 迷子宿』

 変わり映えしない景色、ひたすら続くだけの直線、静かな振動。眠気を誘うのは春の暖かさも。高速道路を法定速度、秋高はレンタカーのハンドルをしっかりと握りしめていた。

 ときおり助手席の方をチラと向くのは、完全に熟睡している三春の寝顔を見るため。

「出発するときはあんなに元気だったのになぁ……」


 小一時間ほど走り、予定していたサービスエリアで休憩することに。

 秋高にしては珍しく悪戯っぽい顔でわざと駐車場の端っこに車を停め、隣の大きな眠り猫の肩を揺する。

「ふ…ぁ…………も、もう着いたぁ?」

「起きたか寝坊助」

「……あ…ご、ごめんってば秋高さん」

 眠たそうに顔をくしゅくしゅしながら申し訳なさそうな三春。

「まだサービスエリア。トイレとか済ませとくぞ」

「あれ?と、遠いじゃん〜」

 ドアを開けてドスンと着地するも、三春は施設までの距離にぼやくのだった。


 秋高がトイレに行っている間に三春は飲食系をチェック。戻ってきた秋高に大きく手を振り買い物。三春は嬉しそうに至って普通のソフトクリーム。秋高は眠気覚ましに蓋付きカップのコーヒー。

 車に戻りながらも三春の上機嫌な声。

「僕とソフト、どっちが欲しい〜?」

 ニコニコと秋高に差し出し、一口あげての間接キス。

 のんびりと車内に戻った2人。だがドアを閉めた瞬間から秋高の激詰めが始まった。

「それで?俺が何度も寝なさいと言ったのに、市仁くんは昨日起きてたよな?」

「う……。だ、だってほら、僕って遠足の前だと楽しみで眠れないタイプでさ、ね!?」

 だから秋高も声掛けをしていたのだから言い訳のしようもない。

「それは知ってるけど昨日、自分で『運転中は暇だからいっぱいおしゃべりしようね』って言ってたのは誰かな〜?」

「ご、ごめんてぇ〜」

 平謝りするしかないと三春は三角耳をぺたんと倒して文字通りの猫撫で声。

「ソフトもうひとくちあげるからさぁ〜?ね?」

 だが秋高のやけに低い声で車内の空気が一変する。

「なら俺は三春の方を貰おうか」

「へ?」


 まだ意味を理解していないで固まる三春のもう片手にカップを持たせる秋高。

「コーヒー溢さないようにな」

 これでソフトとコーヒーで両手が塞がった三春に抵抗の術は残っていない。秋高は居眠りの罰だと言わんばかりに、少しだけ悪い顔で楽しみながら三春のズボンに手をかける。

「な、っ、ちょ、あ!?」

 ジジジ。ジッパーが下ろされていく。

 慌てて周囲を確認する三春だったが、ようやく事態を飲み込めたよう。

「あ、ちょっと秋高さ、んんっ!?だ、だからこんな端っこに車停めたのぉ!」

 秋高は大柄年下猫彼氏のズボンと下着から、その大ぶりな若竿を取り出す。指で撫でるだけで直ぐに固さを示すのはやはり可愛らしい敏感さ。緩く皮を被ってはいても温かく、蒸れた男子の匂いはソフトやコーヒーの香りにだって負けてはいない。

「運転中、1人で何してやろうか考えてたんだ」

「う、ぁん……ご、ごめんってば、ムッとするのも、アッ…わかるけ、どぉ〜」

 謝りつつもその声には快感が滲んでしまっている三春。車内とはいえ透明な窓ガラスではその羞恥心を覆い隠すことは出来ないのだから。

「……正直、三春の寝顔にムラッときてたから」

 有給を取るにあたってそこそこ忙しかったのもあり、このところご無沙汰の2人。もう待ってなどやらないと秋高の頭が助手席の股座へと降りてしまう。ソフトクリームなんかより欲している塩味が、秋高の端正な顔に悪い笑みを浮かばせるのだ。


 三春は右手にソフトクリーム、左手にコーヒーカップを中空に持ったバカみたいな格好で困り果てるだけ。年上犬彼氏のマズルに飲み込まれた自分自身が、それこそソフトを舐めたときとは比較にならないほど“饒舌”だったから。

「あ、秋高さん……ごめ、んってぇ…」

 既に1番固くなった若竿、秋高の舌遣いに反応してビクビクと跳ねるばかり。

「流石にこんな、ところっで……」

 上半身は外から丸見えな都合上、感じた顔なんてしないようにするだけで精一杯。

「ん…あ………ま、待ってったらぁ…」

 むしろ秋高の舌は楽しそうに踊り、三春の少し被った皮にまで入り込んで煽ってくる始末だ。

 緩く身じろぎをする三春の吐息が完全に発情したそれになったところで、秋高が小さく頭を起こして言う。

「三春も溜まってたろ?」

「んぅう……あ…」

 わざとらしく見上げながら、秋高は三春の雄を根本から舐め上げる。ヒクンと可愛らしく跳ね、先端からじんわりと興奮汁が滲んでしまう。こうなってしまえば男に取れる選択肢なんてものはない。

「このまま生殺しじゃ辛いだろ、あと1時間は走るし。旅先でここをパンパンにさせてる訳にもいかないよな?」

「あ、秋高さんの意地悪ぅ……!」

 こんな時ばかりはクスクスと笑い、三春を翻弄して楽しむ秋高。その声はいつもの生真面目そうな印象からは想像できないような、三春にだけ見せるコロコロとした雰囲気。


「ほら、ソフト溶けちゃうぞ?」

「わ……あ…ンチュッ………」

「そう。美味しいと気持ちいいを両方、な?」

 三春が慌ててソフトを舐め始めたタイミング、それに合わせて再び秋高の口淫が落とされる。たっぷりの愛と少しだけ意地悪な舌の動き。

「……わ…あ……ちょっと、もぉぉー……!」

 アイスの冷たさと甘さ、それと同時に下半身は秋高の口の生温かさと蕩けるような快感。

「ほら、俺の口でしっかり感じて……?」

「あ……ぅう…もぉ…………あ……ぁ…秋高さ、んっ……」

「こんなおっきくさせて、溜まってたんだな」

「…ふ…ぁ……う………にゃぁ……う……」

 三春の声が子猫のように甘えたそれになってしまうのだって仕方ない。このところはこういったことをする時間も取れずに仕事仕事。久しぶりの行為がこんないけない場所だというだけに目をつぶれば、三春の猫髭がくったりと下がってしまうのだって仕方ない。大きな尻に敷かれていなければ、尻尾だって暴れていたことだろう。

「すごいビクビクさせて」

「…ッ…あ…やあぁぁ………」

 大柄な体躯に見合った太い雄肉棒。勃っても僅かに皮被りなそれは快感にはとことん弱く、先走りと秋高の唾液でトロトロに仕上げられている。舐め上げられ、甘噛みされ、マズル先端で吸い上げられるともう何も考えることなんてできなくなってしまうのだから。

「もっとほら、腰を突き出して?」

「うあ……あ、秋高さんの、へんたぃぃ……!」


 可愛らしく文句を言ったところで、秋高のねちっこい口淫には敵わない。

「こんな喜んでちゃ三春だって、だろう?」

 より恥ずかしさを煽るような水音をわざと立て、秋高の舌遣いが三春を追い詰めていく。気持ちいいところは全て知っている愛しい仲だからこその集中砲火。

「あ…あぁ…そ、それぇえ……あ、ッすご……あ、や…それ僕……気持ちぃい…!」

「ああ、もっと気持ちよくさせるから」

 手加減はしない、とでも言いたげな自信に満ちた声。秋高の両手が三春の太ももを撫で付け、快楽を滲ませるような愛撫だって落とす。車内は雄の臭いと恥ずかしい水音で満ち、シートベルトに固定された三春の肢体がビク付くばかり。

「ぅあ…うにゃ……ああぁ……アッ……」

 春の暖かな気温のはずが、熱くって仕方ない三春。こんな場所でなければもっともっと大好きな彼の名前を叫べたはずなのに。

「も、僕ぅ……あ、秋高さんっ…あ…あ、あーっ」

 込み上げてくる嬉しさのマグマ。その予感に腰から下が満たされ、心身はそれ以外のことを一切考えられなくなってしまうもの。ずくずくと打ち震えてしまうのは悦びの為だけ、両手が塞がっているせいで三春の短いマズルはついには天井を向き──。

「や、やだぁ…出ちゃ、出ちゃうっ……あっ、んんん〜っ……う、ああぁああっ!!」

 一度溢れさせてしまばもう止めることなんて。久しぶりの吐精はやはり気持ち良くって仕方なく、声だって恥も忘れて迸っていた。秋高の柔らかく熱い口の中に吐き出していく快楽の証、それは止めどなく……。


 しっかりと、どっぷりと、秋高は三春の白濁を飲み切ってみせた。確かな喉仏を上下させ、息も絶え絶えな三春の目の前で嚥下したのだ。

 となれば秋高はウェットティッシュで後片付けをしながらもニコニコとした顔を崩しはしない。

「車でこういうこと、一度くらいはしてみたかったんだよなあ」

「も、もぉー!このむっつり!」

「レンタル代の元は取らないと、な?」

「こ、このしっかり者!」

 貶す要素がなかったのでついつい持ち上げてしまう三春。

「褒めてる?」

「ふーんだ」

 拗ねながらもコーヒーを突き出してくる三春からカップを受け取り、一口飲んでから収納されていたホルダーにセット。

「ああ、ありがとう。さて、コーヒー飲みながら出発とするか」

 エンジンを始動。そして思い出したかのように秋高は尋ねるのだ。

「それで、ソフトは美味しかった?」

「ッ……ぜ、ぜんぜん味わえなかったんだけど〜!?」


 * * *


 レンタカーは2人を乗せて良く走り、そろそろまた小一時間。

 カーナビを見ていた秋高が三春へと告げる。

「おっ、これが最後のトンネルみたいだな」

「いよいよだね!」

 タイヤが回り、前へ前へ。

 暗いトンネルを抜ければ、そこは今回の旅行の舞台である花咲町。その名の通り、咲き誇る花畑や桜の彩りが新緑よりも多いのではないか。

「すっごいね!どこもかしこも色とりどり」

「これは……1番いい時期にこれたみたいだな」

 この一帯は特に花々に対して土が良いらしく、こういったカラフルな景色を生み出しているという。桜だって咲くのはどこよりも早いのに、散るのは最後というほど。


「さて、今回は花咲町。簡単に説明すると──」

 もちろん秋高が事前に学習してきたことを三春に語っていく。

 この花咲町を上空から見れば、切り立った山々がまるで平地を一つの花のように形作っている。それぞれ根、茎、葉、花とおおよそ4つの区画に分けられるだろう。それは『根々元』から始まり『茎ノ川』、『葉々野原』と『花井森』といった具合。

 トンネルを抜けた後に2人が見たように、自生の花々や公園などなど、花の一大観光地がこの花咲町なのだ、と。


「ってことで、1日ごとに1区画まわる感じだな」

「はーい、秋高先生ッ」

 ふざけているうちに高速を抜け、初日の予定地に到着。駐車してからガイド本に付属していた小さな地図を広げ、秋高が予定の確認を。

「今日はこの『根々元』の根々元公園を見て回ろう。春のお祭りで色々やってるみたいだし、しっかり楽しもうな」

「はいはーい秋高先生ッ」

「宿のチェックインは4時だから、その辺りまでかな」

「そして!夜はバイキング!うおー食べるぞ!」

「なら余計にお腹空かせないとな?」

 笑い合いながら車を降り、晴れ空の下で散策を開始する2人。

 運転席からは秋高──春らしいパステルカラーの青のジャケット。下は眩しい白のパンツ。

 助手席からは三春──同じくパステルなピンクシャツ、白の短パン。頭にはカンカン帽。


 根々元公園へと一歩踏み出せば、花咲町を象徴するような花の景色が出迎えてくれる。どこまでもカラフルな花畑が続く牧歌的な風景。2人のマズルはほんのりと鮮やかな花の香りを感じ取る。ウッドチップの敷き詰められた道沿いの花壇も整備されており、遠景には桜が道のように続いているのだって見えた。

 太く長い道は花壇を縫うようにどこまでも続いている。かと思えば。

「ん?」

 秋高が隣で立ち止まっている三春に気付く。その笑み、その悪戯な視線の先。

「あ!?」

「ダメでーす、逃さないんだよねぇ」

 やはり前回の雪ノ町でも散々に付き合わされた顔出しパネルが道の脇にあったから。

「わ、忘れてた……」

「記念撮影は大事でしょ〜?」

 そのパネルには青空、そしてひまわりとチューリップの中心に顔出しようの穴が開けられており、お子様たちには人気そうな可愛らしいタッチで描かれていた。三春は前者で満面の笑み、秋高は困ったような気恥ずかしい顔で後者から。

「コレ以外だったらな!俺たちおじさんなんだぞ……」

「僕はまだまだお兄さんだし〜?」

 カシャリ。スマホの撮影タイマー、そのシャッター音が決して2人の思い出を忘れさせはしないだろう。


 のんびりと春風と柔らかな日差しの下を歩く歩く。

 道の左右はまるで花の絨毯。色とりどりの知っている花から知らない花まで、きっちりと手の行き届いた花畑が2人の目を楽しませてくれるのだ。

「いやほんと、すっごいね!」

「ああ、管理が大変そうだ……」

「そっち!?」

 深刻な顔で広大な土地を見つめる秋高に、三春はつい突っ込まざるを得なかったり。


 途中で観光ツアーで来ているおばちゃん軍団に写真撮影を三春が頼まれたりもする。会社でもそうだが、誰にでもフレンドリーな三春はどこでだって人気者。

 今も何台ものスマホを手渡され、次々にシャッターを切っている。

「はーい、お姉さんたち笑って笑って〜!」

 だとか調子の良いことを言えば可愛がられ、お小遣いまで貰いそうになってしまう。流石に高校生ではないからと断り、しかし飴玉だけはちゃっかり貰ったり。

 しかもお返しに秋高とのツーショットを撮って貰い、思い切り抱きついて見せる三春。

「僕たちカップルでーす!」

 だなんて大声で花畑に向かって叫べば、それはもう年上ハスキー彼氏を盛大に恥ずかしがらせるには十分な破壊力だったろう。


 その後、ようやく落ち着いたはいいが、周りには家族連れやカップルが多いと気付く2人。それはそう、こんな良い景色、好きな相手と見たいに決まっているから。前方を歩く若々しいカップルが仲睦まじく手を繋いでいるのを見て、秋高は静かに三春の柔らかな手を握る。

「い、行こうか」

「行くぅ〜」

 そこからは言葉なんていらない。足元のウッドチップをザクザクと踏み締め、花の季節の匂いに包まれる。春の暖かな気候なのに、少しだけ手が汗ばんでしまったのはきっと2人の嬉しさ故。



 そうして花畑を抜けると、楕円形の広場へと出る。

 そこでは『春のマルシェ・フリーマケット』の催しの最中。賑やかな看板、立ち並ぶ屋台やテントの出店などなど賑やか。

 まずは近場で目に付いた自家製ドリンク売りのフードトラックへと。

「何か飲みながら周ろうか」

「さんせー!」

 2人が選んだのはアイスの桜ラテ。ピンク色のラテにたっぷりのクリーム、そしてトッピングにはなんとも愛らしい──。

「桜の形のマシュマロ、可愛すぎる!」

 両手でカップを持って嬉しそうにはしゃぐ三春。

「……。」

「なに?」

 だが秋高が神妙な顔で見つめてくるものだから、小首を傾げて質問。

 秋高は周囲を念入りに見回してから少し屈み、顔を近づけて小声で呟く。

「……さ、三春も可愛いよ」

「あ!もぉ〜」

 せっかくのお出かけだからかカップルサービスの良い秋高に、三春は嬉しそうに尻尾を振り回しながらすりすりと身体を擦り付けていく。

「こ、溢れるだろこら、三春こら」

「照れちゃってもう!」


 だなんて騒ぎながら広場を散策。

 春の野外マーケットといった明るく楽しい雰囲気。地元の食材やその加工品、クラフト品を売っているところなど様々だ。特に賑わっているのは工作ワークショップで、フラワーポットデコレーションだとか花びらアートだとかこの季節に因んだもの。

 2人がやってみることにしたのは桜の花びらなどの押し花を使ったポストカード作り。用意された花びらや葉っぱなどを好きに配置し、専用の機械で挟めば完成というお手軽さが魅力。

「じゃーん!」

「あはは、三春らしいな」

 三春が見せびらかすように自慢したのは、枠いっぱいに大きな大きなひまわりがどどんと配置された大迫力なもの。

「こんなんでどうかな」

「あー、秋高さんこれ絶ッ対に『映え』意識してるでしょー!?」

「ちーがうって」

 秋高が作ったのは色とりどりな花畑を再現したような、凝り性な作り。若干、あのフォトコンテストのことから三春の言葉が図星だったので、やや声が上擦っていた秋高だった。

「帰ったら玄関にでも飾ろうか」

「ね!」


 そこからの歩みは三春のお腹具合に導かれるがまま。

 例えば自家製ハチミツを販売しているタープテントでは、大柄な熊種族のおっちゃんから試食の声をかけられる。

「いらっしゃいお兄さんたち、味見してってよ!」

 ふらふらと誘われるように三春、秋高も続く。受け取った小さなスプーン、ハチミツを一口。

「え!?全然違うー!」

「どれ……あ、本当だな」

 となれば店のおっちゃんのセールストークは止まらない。

「でしょう!?うちのハチミツは──」

 嬉しそうに色々と説明をされているのだが、全く聞かずに並べられたハチミツをじっくりと見る三春。気の毒に思って聞きながら何度も頷いてしまう秋高。

 とはいえ最終的に味見したハチミツ瓶をお買い上げ。

「毎度あり〜!」

「あぁ……今度の朝はホットケーキに決まり、絶対!」

 大事そうに抱え、笑顔でテントを後にする三春だった。


 例えば自家製ジャムコーナーからは甘い香りと声。赤のチェックエプロンの眩しい白猫種族のお姉さん、明るい声でお客さん──2人を呼んでいる。

「はーい、試食してかない?」

「してくー!」

 試食品はクラッカーに乗せられた色とりどりのジャム。よく見かけるイチゴ、オレンジ、マーマレードも市販品より明らかに瑞々しい。変わり種でベリーミックスだとかキウイ、パイナップルなんかも。

 どれも美味しかったが三春が10分以上迷ってベリーミックスに決定。

「ホットケーキの時に乗せてもいいな」

「それ!秋高さんたら天才!もうお家帰ってホットケーキ焼く!?」

「いやいや」


 秋高としては他にも試食をしたせいで昼食はいいかなという気持ちだったが、三春に連れられて結局は軽いサンドイッチをつまむことになったり。

 だなんて春の広場を楽しんだ2人だった。


 * * *


 今度の2人は他の参加者に混ざって講習を受けているところ。

 雲一つない晴天の下、アスファルトのミニコースの上を小さくても暴れん坊なゴーカートが走り回っているのをBGMに、少しだけ眠たい運転講習を受けているのだ。

 口元に手を当てて小声で話したり。

「晴れててよかったね〜」

「日頃の行いがいいからな」

「例えば例えば?」

「……あ、安全運転とか?」

 急に聞かれて特に思いつかなかったのか、自分でも微妙な顔で答えた秋高だった。


 ここは先ほどの根々元公園の隅にあるゴーカート場。しっかりお腹を空かせて夜の食事を楽しむぞと張り切っている三春の為、秋高が計画していた遊び。

 今こうしてヘルメットを被り、2人はカートに乗ってスタートラインで並び合う。

「三春、勝負するか?」

「あー!もしかしてレンタカーの運転は練習だったってこと!?ず、ずるい〜」

「悪いな、しっかり者なんで」

 ここぞと秋高はニヤリと笑い、ハンドルを握り締める。

 前方の道脇には、レーサー風の衣装を着た係の細身な豹獣人種のお兄さんが白黒チェックの旗を持ってスタートの合図をしようとしてくれている。

「じゃあお二人さん、準備はいいですかー!?」

「はい、大丈夫です」

「もちろん!」

 三春もテンションが上がってきたのかどうにかカートに押し込んだお尻を身じろぎさせ、生唾を飲み込む。

「3!」

 秋高も三春も他の音なんて聞こえなくなるような集中。

「2!」

 ハンドルを両手で掴み、前だけを見る。

「1!」

 アクセルにしっかりと乗せられた右足は、今か今かと踏み締めるその時を待つ。

「GO!」

 急発進したゴーカートは小さいサイズながら車高の低さから迫力満点。


 なのだが、それは秋高のカートのみ。

「って、あれぇ〜……?」

 後方ではスタートラインからそうっと慎重に発進している三春のカート。アクセルペダルの踏み込みがどうこうというよりは、そう体重のせい。

 Uターンして戻ってくる秋高、心配そうな声。

「さ、三春?」

 だからそう、言い訳を思い付かなかった三春のセリフはなんとも微妙な似たモノ同士のそれ。

「ぼ、僕って安全運転なところあるじゃない!?」

「あ、あー……のんびり進もうか」

「ひーん」

 こうして困った顔の係の豹お兄さんに見守られ、のんびりと走ることになった2人だった。

「い、行ってらっしゃいませ〜」


 コースは土地の広さを活かしていくつかあり、2人で並走したり時にまったりと競ったりと楽しんだ。途中で子供に追い越されたり、時速10キロで壁に激突したり、三春が横転しかけたりとしたが大変に満喫。

「楽しかったね〜!写真も撮って貰っちゃったし」

「な、なんでよりにもよってこの写真なんだよ」

 それは後ろから三春のカートにぶつけられて慌てふためく表情の秋高を撮ったもの。

「秋高さんのオカマ掘っちゃった」

「こら三春」

「みんな笑ってたし役得だってば」

 納得いかない顔で腕を組み、写真を受け取ってしまう秋高なのだった。


 体験後、自分の足で歩く感覚さえ久しぶりに思え、2人はゆっくりと並んで歩く。

「次はもっと別なのに乗りたいな〜」

「例えば?」

 聞かれて考え込んでしまう三春。その答えは。

「ないしょ」

「え、え?なんで内緒なんだ?」

「ほらもういい時間だよ〜」

 今日の宿のチェックインだからと急に足を早めるのだ。

「三春?なんで?」

 追いかける秋高だったが、三春がその答えを言うのは今ではなかったとか。


 * * *


「なんか、すっごい見た目だね」

「これはなかなか……」

 今日の宿は通称『迷子宿』。ある意味で有名な宿であり、三春がどうしてもここに泊りたいと切望したのだ。その特徴といえば外観からも分かる通り、恐ろしいまでのつぎはぎ増築。

 2人が夕食中に見たテレビの旅番組で紹介されていた通り、創業者が死ぬまでずっと増築を繰り返していたせいで、宿の中はまるで迷路のように入り組んでいるそうだ。番組中でもいくつか隠し通路や仕掛け扉が紹介されてはいたが、そんなものはほんの一握り。

 かくして三春の冒険心に火が付き、2人は宿の中へ。


 ロビー部分は古めかしくも広々とした和風旅館といった印象。

 チェックインを済ませると、この宿ならではということで2人には小さな地図を手渡される。旅の記念になりつつも、この宿の中ではある意味、部屋の鍵と同じくらい大事なアイテムかもしれない。

 2人がやや緊張気味に地図を見ていたので、優しそうな鹿獣人種のお兄さんな仲居さんが声をかけてくれる。

「大丈夫ですよ、お部屋まではご案内しますので」

 足音も立てずに先導されるのを追いかけつつ、2人は小声。

「あ、秋高さん道覚えておいてよ」

「俺も自信ないなぁ……」

「ええ〜」

 ロビーから廊下や階段を進めば、確かに迷うのも仕方のないような不思議な構造。

 特に薄暗い渡り廊下を歩いた時などは仲居さんが冗談めかして教えてくれる。なんでも夜になるとこの宿で迷子になった霊が出るのだとかと。

「うんうん」

 怪談だとかホラーが苦手な三春が珍しく恐れずに頷いている。

「そうだよね、バイキングに辿り着けなかったらそりゃあ化けて出るよね」



 そうこうしているうちに部屋へと案内される。

 思ったより客室は普通の造りをしており、どこかおじいちゃんおばあちゃんの家に行った時のような懐かしい気持ちにさせてくれる。広めの居間、襖の奥には寝室。ここが2階か3階かも正確には分からないにしろ、窓からの景色は竹林と桜のコラボレーションで2人を和ませてくれるのだ。

 部屋に荷物を投げてからは貰った地図を頼りに、三春が足音を立てながらの大冒険。一見すると壁にしか見えない戸を開いて隠し通路を進んでみたり、宿の展示物コーナーの脇の掛け軸の裏から展望台になっている秘密の小部屋に入ってみたり。

 だが何より驚かされたのはほんわかとした雰囲気の鹿のお兄さんな仲居さんだ。行く先々で2人の前に現れては、忙しそうに仕事をしている。

「あ、あれ、さっきフロントに帰ってったよね……?」

 とか。

「俺たちの方が先を歩いてたのになんで先に……?」

 だとか。

 きっと多分恐らくはこの宿の造りを熟知しているからだろうけれど、そこかしこでその姿を見かけたのが不思議でならない2人なのだった。

 だから三春など、こう言い出す。

「秋高さん、僕わかっちゃった」

「何が」

「忍者なんじゃ……?」

「え?」

 廊下で立ち止まり、秋高は明確なクエスチョンマークを頭の上に。

「だから仲居さんは、にんじゃ、なんじゃ!?」

 三春がまた馬鹿な事を言い出すものだから、秋高はスタスタと部屋へと帰っていく。

「あ、ちょっと可愛い僕を置いてかないで!?」


 * * *


 本当にこの宿の全てを回れたとは思えないものの、散策は楽しく刺激的。満足して部屋に帰ってくることができた。

 先ほどは気にならなかったが、床の間の造りもなかなか凝ったもの。もちろん、三春が掛け軸の裏を入念にチェックしたが。


 そうして2人はようやく一息。

 丸一日遊び通しだ、三春などは脱いだ服を放り投げてラフ過ぎる下着一枚に。襖を少し開け寝室へ、既に敷いてあった布団に寝転がる。仰向けになって少し白っぽい毛並みになっている喉の柔らかな毛並みを見せつつ秋高の方へ声。

「秋高さんもゴロンしよ〜?」

 頷く秋高だったが、三春の脱ぎ散らした服を畳んだり、ジャケットはハンガーへ。一応、三春に近しいシャツと下着姿で隣の布団へうつ伏せ、両腕を枕にして「ふうーっ」と大きく息を吐いた。

 三春は「それっておじさんぽくない?」という言葉をなんとか飲み込み、天井を見上げながら話しかける。

「けっこー歩いたね〜」

「これならバイキングをより美味しく楽しめそうだな」

「でも僕、もっとお腹空かせておきたいな〜?」

「ん?」

 それがどういう意味なのか、秋高が理解したのは背中に大きな衝撃と圧迫感が乗ってきてからのこと。

「車でのお返しだ〜っ」

「うぇ……!?」

 腰のところに馬乗りの三春、そのもちもちの右手で秋高の尻を揉み始めた。

「こ、こら三春、変な声出ちゃっただろう。それにまだ夕方で──」

「食後だったらもっと重いけどいいの〜?」

「の、乗るのは確定事項なのか……!?」


 そうして悪ふざけな声の三春。

「だって僕、ゴーカートの時に『乗りたい』って言ったでしょ〜?」

「ッ……あれはそういう意味だったのか」

 ふざけながらも秋高のボクサーパンツ越しに、その形の良いお尻を揉むこと揉むこと。

「ちっちゃくて可愛い年下彼氏になら乗っかられても嬉しくなーい?」

「それは…………そうだけど」

 三春が「ちっちゃいには突っ込まないんだ」と笑うのは、秋高の余裕のなさが可愛く感じられたから。明らかに腰に悪そうな体重で乗っかりつつも、一応は背中をマッサージし始める。

「いつもお仕事がんばってる秋高さんを癒してあげなきゃね」

 胸の圧迫感に「うーん」と唸りつつ、三春の温かく柔らかな指の感覚は秋高を幸せな気持ちにしてくれる。

「かゆいところはございませんか〜?」

「……それは床屋だろう」

「痛かったら手をあげてくださいね〜?」

「それは歯医者だ」

 三春のくすくす笑いが心地良くて、秋高は自然と目を閉じていた。毛並みの良い犬尻尾はゆったりと揺れている。


 背骨に沿って背中を揉みほぐしていく三春、その両手が秋高の肩にまで伸びていけば姿勢が前屈みになるのもそう。ついでと短いマズルを秋高の首筋へと近づけ、ピンと伸びた猫髭をヒクヒクとさせる。

「秋高さんの汗の匂い好きだなぁ」

「……嗅がない」

「やーだよ」

「うあっ!?」

 不意に三春が秋高の背中にへばり付くように乗っかったから。柔らかなラインを描く大きなお腹がもっちりとした余分なお肉の感覚を秋高に示す。そして耳元では甘えるような囁き声。

「ね、もっと汗くさくなっちゃう?」

「三春、こら…ぁ……」

「普段は見れない秋高さんの首筋っ」

 身長差があるから貴重なんだよねと、三春はそっと秋高のうなじにキスを落とす。くすぐるような触れ合いだが、興奮し始めた三春の鼻息が少しくすぐったいかもしれないような。

「あ……さ、三春んぅ…」

「声、我慢しなくっていいって」

「……そ、そういう訳、じゃ…………」

「尻尾で嬉しいのバレバレだって」

「…ぅう〜………」

 どちらにしろ構造的に防音性が高いのもこの宿の特徴だと、予約の段階で三春が秋高に伝えてある。ネットで調べたらしいが、もちろんエッチするためだけの下調べ。


 トランクス一枚の三春、その大きな半裸が前後に揺れ始める。その振動、その押し当てだって全てが秋高にダイレクト。

「僕、秋高さんに“乗るの”大好き」

「…う……あ、当たってる…」

「秋高さんのお尻で僕、ムラムラしちゃった」

「ん……っ…」

 どちらも下半身は下着一枚、秋高の張りのある尻には三春の前の大きめな膨らみがどっしりと密着させられている。もちろん、大好きな相手の体臭ともう直ぐ始まる情事に固くなり初めているソレを誇示しているのはわざと。

「えっちしよ?」

「…ぅ…あ………」

 可愛らしい甘え声が年上犬彼氏の心拍を跳ね上げさせる。重たさと一部の固さが、秋高の胸を高鳴らせてしまう。

「秋高さんの身体、熱くなってるもんね?」

「……あ、あのなぁ……!」

「大好きな僕とえっちしようよ?ね?」

「そ、そういう言い方……狡いだろ…っ……」

 いつになく簡単に乗せられてしまうのは、やはりこの所は多忙で抜く暇もなかったから。高速のサービスエリアでは楽しんだものの、出したのは三春だけだったのもあるだろう。

 その三春は秋高の余裕のなさを見抜き、楽しむようにして股間を押し付け続ける。

 腰を揺らされて下腹部を布団で圧迫されれば、秋高の声はいつもよりも切羽詰まったような途切れ途切れの喘ぎ。

「ふ…ぁ……く…」

 既に固くなった雄が布団に押し付けられ、三春の身じろぎ一つでビクンと跳ねてしまう。

「お、重い……って…」

 この体重さえ好きになった相手のならば愛おしく思えてしまうのだから。

「ん…ん……はぁ…あ……」


 秋高の気持ち良さそうな吐息に、むしろ我慢できなくなったのは三春の方。

「おりゃ〜!」

 太い両腕で秋高をゴロンと仰向けにした。

「ッ……あ…!」

「秋高さんもしっかり乗り気じゃないっ」

 三春の好奇心に満ちた目には、ボクサーパンツの柔らかな生地を押し上げる男子の部分。歩き通しでしっとりとしたせいか、既に前面には粘り気のある染みさえ。

「仕方ない、だろ……」

「乗っかられて興奮しちゃった?」

「…………い、言う訳ないだろ…」

 仰向けながら顔を背ける秋高に対し、三春はその足元にそそくさと移動。

「あー、口は素直じゃなくても身体はなんとか、ってやつじゃない?」

「う、あ……こらぁ……!?」

 ふざけながら三春が秋高の両足にまたがり、股間のピンとなった部分同士を密着させる。身体の1番熱いそこは大好きな相手との触れ合いに、どちらともなくヒクンと跳ねてしまうもの。

「えへへ、秋高さんを困らせるのだーい好き」

「お、大人をからかうんじゃない」

「ならもっと困らせちゃお」

「え、あ!?」

 大きな尻をあげた三春は向きを変え互い違いの体勢、その分厚い尻肉は秋高の顔の方に迫る。

「さ、三春……!?こ、これは流石にっ……!」


 ゆっくりと押し迫るトランクス柄、ぱつんぱつんに詰まった大尻が秋高の視界をいっぱいにしてしまう。そうっと降りてくれば、犬科のマズルがぺしゃんこにされてしまうのだって。

「秋高さん、いっぱい困ってねっ」

「〜〜ッ!!」

 一日遊びまわった三春のしっとりと汗ばんだ下着、可愛らしい声による顔面騎乗だが体重だけは嘘を付かない。

「えっへへ、ほんとに乗っちゃったぁ」

 小さく笑う三春だったが、その視線の先は秋高のボクサーパンツ。股下にその熱い吐息を感じながらも、その呼吸のたびに柔らかな布地の膨らみがビク付いている。

「あーあ、秋高さんも喜んじゃってさ」

 三春の太い腕が伸び、パンツ越しに年上犬彼氏の雄部分を握った。

「ほーら、パンツ越しにイジってあげるから」

 根本から掴むだけで嬉しそうに跳ねるのが三春には堪らない。

「いつもよりビクビクしちゃってるよ?」

 少しだけ支配欲にゾクゾクとしながら、太ももで秋高の顔を挟んでは汗ばんだ下着を押し付けていく。

「秋高さんもほんっと好きなんだからぁ」

 三春が右手を上下に動かすたび、秋高のボクサーパンツの染みは広がっていく。薄い布地だからか、雄の形がくっきりと浮かび上がるほど。こうなれば三春としては楽しくって仕方ない、可愛くって仕方ない。


 秋高は呻きながらも三春の股下の圧倒的な匂いに征服され、下半身を弄られる快感に蕩けてしまう。こんな過激な体位でも、大好きな大きな手に触れられるだけで感じ入ってしまうのだから。

「〜〜ッ!」

「ほら、もっと僕の匂いに溺れちゃって」

「ッ!〜〜ゥウッ!」

「そしたらもっと気持ちよくしたげるから」

 秋高は抵抗とも懇願ともいえない手付きで三春の両太ももをギュッっと抱き、マズルに押し付けられる下着の匂いに嗅覚まで嬉しくさせられてしまう。

 そんな様は三春をより興奮させるもの。

「うわ、えっちなのでパンツ染みてきちゃってるよ」

 そうやって煽るせいで秋高の我慢汁はより溢れ。

「ほらほら、グチュグチュいってる……」

 わざと音を立てて扱き、股下でマズルを押しつぶす。

「あはは、くすぐったいってば」

 もがく様が妙に情欲をそそり、三春の声だって欲に濡れたものへ。もっと秋高の可愛い姿が見たいと尻を押し付け、自分から腰を揺さぶる。同時にボクサーパンツ越しにしっかりと握り締めた秋高の雄部分をねっとりとじっくりと攻め立てていく。

「お、思い付きだったけど、これなんか……クセになりそう…!」

「ンウゥウ……!」

 秋高の呻き、もがきが顕著になり、それはつまり。

「んぅ……あ、秋高さんそんなマズルでぐりぐり、したらぁ……」

「ーーッ!ンゥーッ!!」

 低い鳴き声のような声、三春の1番濃い体臭に包まれながらの秋高の吐精。ボクサーパンツの生地越しだからか勢いはないものの、ドクンドクンと止めどない。男らしい腰付きが快楽に溺れながらもくねり、ただその快感の証である白濁を吐き出していく。


 三春は下着生地から滲む精をうっとりと眺めて呟く。

「……うわ、えっちぃ…」

 しかしようやくハッとなって腰を上げて秋高の顔を解放。

「って、ごめんごめん。僕、夢中になっちゃってた」

 慌てて脇に退いてみるも、下から現れたのは普段からは想像も付かないような蕩け顔。

「……ぁ…はーっ……さ、三春、お前なぁ……」

 赤面と荒い息遣い、三春はそんな様子にゾクゾクと堪らない何かを感じてしまう。だからそう、自然とトランクスをずり下ろして自身の高ぶりを秋高の顔に突き付けていた。

 自分だってガチガチに固くなって先走りと汗の匂いで男の子らしくさせてしまっている三春の部分。秋高と同じく勃っても僅かに皮を被ってはいるが、その大きさは体格以上に立派なもの。

「ほーら。秋高さんの大好物、欲しい?」

「……ん…ま、まったく………」

 隣で仰向けに寝転んで腰を揺らして誘惑する三春。

 どうにか起き上がりその太ももの間に収まる秋高。目の前でピンと立ち上がる男子部分から目が離せない。

「して?」

「…ん……ちゅ……」

 恥ずかしそうにだが、そっと咥えていく秋高。

 三春は嬉しそうに若竿をヒクンと跳ねさせる。朝のサービスエリアでされた悪戯とは違い『される』のではなく『させる』口淫のまた違った嬉しさに尻尾が暴れてしまうほど。

「しっかり気持ちよくしーて?」

「ん……む……んちゅ…」


 自然と両手を握り合い、互いに粘膜同士で喜びを分かち合う。

「えへ……あ……めっちゃえっち…」

「…ぴちゃ……ん……」

 2人分の汗、蒸れた下着、すけべな体液の匂いが寝室を包む。

「あ、秋高さんが僕のに夢中になってるの、ほんと可愛いって……」

 唾液に濡らされた三春の太雄がヌラリとひかり、秋高の呼吸と舌遣いを加速させる。

「そう、もっとお口使って、ね?」

「…ちゅ……ず…れるっ…」

「……ん、すごい気持ちいぃ…」

「ん……ンチュ……ッ…」

「秋高さんの舌ぁ、嬉しっ……」

「れる……んっ……んむ…ふ…あ……」

 互いに握り合う手の力がより強くなれば、それは快楽証明。

「あったかくてぇ……僕、とけちゃうって」

 秋高のマズルいっぱいを三春の雄が満たし、僅かな前後の動きだでも嬉しさが溢れてしまいいそうになるのは2人とも。

「……ぅ……ん、じゅる……」

「あ、あ…秋高さ、ん……えっちすぎ、だってぇ……!」

「む……ァ……ぬちゅ…ん…」

「ぅぁ……んっ、僕……僕……」


 最後の一押しは根本からの舐め上げ。ずるると淫らな水音と込み上げさせるような動きのせいで三春は猫耳をぺたんと倒して喉から震える声を上げてしまう。

「あ……もうぅう……僕、出ちゃうからぁあぁあぁあ……!!」

 少し驚いたような秋高の眼前、三春の元気な男子部分は何度だって跳ねて精を散らかしていく。柔らかなラインのお腹から、胸にまで飛び散ってしまうのはそれだけ気持ち良かったからというものだろう。

 たっぷりと出したあと、三春は呆然とだが「……やっぱ車でするよりこっちのが良かったぁ…」と秋高に笑いかけるのだった。

 濡れた若雄をひくんとさせながらも、くったり三春はそっと尋ねる。

「むふふ、美味しかった?」

「……ん」

 車では自分から仕掛けてきた秋高だったが、押されるのには弱いので赤面。

 それが何とも愛おしかったのか、三春は秋高を引っ張り寄せて思い切り抱き締める。だが自分でたっぷりと出した気持ち良さの汁気、それが2人の胸や腹をドロドロにしてしまうのだって当然。ほぼ全裸の三春、シャツが捲れたせいで半端に腹と両方が汚れた秋高。

「む、無茶苦茶じゃないか……」

「あー、うん……ごめん!」

 それでもまあ気持ち良かったから良しと2人はくすくす笑ってしばらくは抱き合っているのだった。


 * * *


 その後、地図を頼りに大浴場へと向かう2人。一応拭いたりはしたが、それでも誰にも会わずに済んでホッと一息しながら扉を開ける。

「服の下、こんなベトベトじゃあな」

「あ、あはは」

「笑い事じゃない」

「秋高さんごめんなさいって〜」

 入ってみると大浴場というには意外とこんじまりとした造り。中には誰も居ないので貸切も同然。嬉しそうな三春を宥め、手早く身体を洗って洗剤の匂いに包まれる秋高。

 奥の扉を開けると、そこは四方を宿の壁に囲まれた半露天風呂のような空間。小さな日本庭園が隙間に収まっており、この迷子宿らしい隠れ家チックな楽しさ。

「へえ、面白い造りしてるんだなぁ」

「ね!」

 のんびりと湯に浸かり、自然と上を見る2人。屋根屋根の隙間からは僅かに空が見え、そろそろ夕暮れ時だと色合いで教えてくれた。

 タオルを頭の上に、2人はつい瞼を閉じる。

「キャンプ場の方にある温泉では桜が見えるっていうから、明日はそれも楽しみだな」

「ね〜」

 いつもは騒がしい三春だったが、そっと秋高の肩に頬を乗せる。柔らかな触感を嬉しく思いつつ、秋高の穏やかな声。

「眠くなったか?」

「いっぱい出したし、お湯が気持ち良くってさあ」

 一応、周り確認する秋高。まだ誰も入ってきていないからいいものの。

「そしたら夕飯は食べられないか?」

「ああ!バイキングじゃん!?」

 感極まったせいで不意に勢い良く立ち上がる三春。その体型でそんなことをすれば秋高は頭からびっしょりと、タオルだって転げてしまっている。

「………ご、ごめん」

 無言で頭を高速振りする秋高だった。


 * * *


 そうして三春の念願の夕飯。

 ──をとるために食堂に向かったのだが、たどり着くのも大変。途中で知らない人の部屋に入りかけたのが2回、迷子になった子供を助けたのが1回、レトロなアイス自販機を見つけ買いそうになったのが1回、何とか到着。


 大食堂はそれなりの広さで、庭園を望む窓際の席だというのもまた風情。

 宿泊客もそこそこ集まっており、三春が「負けない」と謎の対抗心を燃やしている。バイキング形式となっており、料理は和食が基本、特に春の旬の食材を使ったものが多数ならんでいるのが目にも賑やか。タラの芽、フキ、ワラビを使った天ぷらや和え物などなど。

 ぐるりと一周し、小分けされたプレートを手に戻ってきた2人。戦利品を見せびらかす三春。

「じゃーん!天ぷらをコンプリートしちゃいました!」

「……テトリスみたいになってるな」

 量を取るために積むのではなく凹凸を組み合わせるという、食欲からくるテクニックに秋高は正直呆れた。

「ご飯だけでもこんな種類あるなんてねぇ」

「だからって一度に持ってくる奴があるか?」

 タケノコご飯に始まり、鯛めし、山菜と鶏の炊き込み、もちろん白米だってピカピカだ。

 春の旬の海鮮だって寿司や刺身で提供され、自家製醤油と生わさびがそれを引き立てて。

「お刺身も美味しそ〜」

「いっそ1匹丸ごと貰ってくるか?」

「いいの!?」

「良い訳ないだろ」

「デ、デスヨネー」

 そんないつものしい掛け合いがありつつも、三春の大きなお腹が満足するまで食堂をぐるぐると回り続けたのだった。


 * * *


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