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SIDE OF UPDATE〜最期の歌姫篇1〜

1 サイゴの歌姫 透き通るような美しい歌声で、若者のみならず幅広い世代から人気を得て、動画投稿サイトにアップされた曲「Naraku」が2億再生を突破。 さらには、著名なアーティストや大手ファッションアパレルとのコラボレーションも実現、 現役女子大生にして超売れっ子大物アーティスト 林檎 らら。 艶のある黒髪に金のインナーカラーを入れたミディアムヘア、色白の肌、クリッとしたキュートな瞳には可愛らしさの他に彼女自身の頭の良さが潜んでいる。 彼女は今、雲ひとつない真っ青な空の下で瓦礫と化した壁面の一部にもたれ掛かり、その日陰でハァッとため息をついた。本来ならば美しい白い肌も泥や煤に汚れ、本来ならば拘るはずの服装も今は白いTシャツ一枚に下は作業員が履くようなダボっとしたズボン、靴はどこかで拾った汚いワーキングブーツだ。 今は何月だろうか。ららにはわからないが季節は多分、夏前くらいだろう。 ということは、世界がこんな風になってもうすぐ一年くらい経つということだ。 この騒動に終わりなどない。そう思えるようになってきた。 休憩を終え、ららが日陰から出ると、ブーツの先にコツンと何かが当たった。なんてことないただの小さなガラクタだったが、よく見れば、それは泥まみれになり画面もバキバキに割れたスマートフォンだった。 ららはまたため息をついた。 全てはこの板…スマートフォンから通じるインターネットの世界で自分は…アーティスト林檎ららは始まった。このスマートフォンこそがその入り口だった。だが、この世界ではこの装置は"足枷"にしかならない。もしくは、このようにガラクタにしか…ならない。 スマートフォンを持っていればそれだけでコマンド社に居場所を特定される。この世界では、この機械はガラクタ以外の何ものでもないのだ。 ららはスマートフォンを蹴っ飛ばすと、ベルトに引っ提げたネイルハンマーに手を添えいつでも闘えるよう備えながらゆっくりと歩き出した。 ららのいるこの瓦礫まみれの場所は、騒動が起きてコマンド社に破壊されるまでは学校だったようで、辺りには勉強机なんかの残骸が散らばっている。 ららは、もはや入り口なんて機能していないこの元学校という瓦礫に律儀に入り口っぽい扉から入り、食料庫を探す。窓ガラスは全て割れており、廊下を歩くたびにガラス片を踏み締める音が響く。 途中、人体と思われるバラバラになったパーツを見つけたりしながら食料庫の扉を見つけたららは、すぐには扉を開けず、扉の奥に耳を澄ませた。奥からは、何かが動いている音がする。 アレか…それとも生者か… ふぅっ。 ため息をつき、呼吸を整えて一気に扉を開ける。 扉を開けると同時に、全身真っ白…瞳と爪と唇だけは麗しい緑色をした大女がぐるりと首を動かしてららの方を見た。アップデーターだ。 バクンッと心臓が大きく鳴り、恐怖を感じるよりも前にららはネイルハンマーをベルトから外し、アップデーターの頭めがけてブンッと振った。 ネイルハンマーの先端はズプッとアップデーターの側頭部にめり込み、ビュッと青い血が噴き出す。 さらにもう一発。 ズプッ!ビュッ!とさらに多くの青い血が飛び出す。 「アップデートを。」 アップデーターはよろめきながら、ららの手首に刻まれた「8」という数字を読み込み、冷たい声でお決まりのセリフを口にした。 そしてその大きな手でららの首を掴むと、凄まじい力で彼女を壁に押しやった。 このままではいけない。このままでは無力化されて、施術を始められてしまう。 焦ったららは青い血と赤い血が両方こびりついたネイルハンマーをギュッと握り締め、ハンマーを振りかざし、思い切りアップデーターの首を抉った。 異様な色の肉が飛び散り、ドポドポと青い血が流れ落ちてアップデーターは背面に倒れる。 らら「悪く思わないで。」 ららはそう言うと、倒れたアップデーターの頭部をさらにネイルハンマーで殴りつけた。何度も、何度も。さらに、ブーツを履いた足で何度も踏みつけた。 らら「はぁ…はぁ…!!」 白のTシャツもその綺麗な顔もすっかり青い血塗れになったららは、リュックにありったけの保存食を詰めて部屋を出た。


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