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英雄は地獄のくすぐり搾電によって破壊される:1. 希望と絶望の影

1 希望と絶望の影 女だけが"人"として扱われる帝国…シンダ。 過去に勃発した男と女の戦争…それに敗れた男は、人としての尊厳を全て剥奪されたのだ。 この世界においての男はシンダを支える"電力"に過ぎない。 シンダでは日々、囚われた男達が笑い声によって発電するシステム…LRに組み込まれ、発電者たちと呼ばれる女どもに体中をコチョコチョくすぐられ強制的に笑い声を搾り取られている。 男達も抵抗軍を組織してシンダに対抗してはいたものの、ほんの少しのミスがキッカケでアジトが特定され、さらにはリーダーであるヒューズという男すら捕まってしまい抵抗群は壊滅した。 だが、男たちの希望はまだ途絶えてはいなかった。 アジトを襲撃された際、勇気ある青年が"抵抗軍の希望"を確保し、脱出していたのだ。 コードネーム"ブレイブ"。勇気と名付けられたソレは、ほんの小さな液体入りカプセルだ。 ブレイブは希望だった。コレさえあればシンダを壊滅させられるチャンスがある。 青年はブレイブを握りしめ、なんとかまだ無事である抵抗軍の支部を目指して歩く。 ある夜。シンダ・女壱・オトコ搾擽発電所本部…通称…"男の墓場"と呼ばれる発電所本部は慌ただしい雰囲気に包まれていた。 いつもなら、淡々と男をこそばして発電を行うだけ…何も問題は起きないのだが…、発電のため連れてこられた抵抗軍の一人であるウルフという男が妙な事を言ったのだ。 「ブレイブは無事だ…残念だったな…お前らは…全員…破滅するぞ。」 前戯である体中まさぐりの刑で既に息も絶え絶えになっている男ウルフはゼェゼェ言いながら担当の発電者たちにそう言ったと言う。 戯言を言うな、と発電者の女達が罰の意味も込めてコチョコチョ発電を開始。しかしウルフはその日の発電が終わってもなお、同じような発言を繰り返した。 シンダの女達も当初は単なる戯言かと思っていたが、他の部屋で搾電されていた別の男も同じような発言を繰り返したためついにシンダの上層部が動き出した。 上層部は、すぐさま妙な発言をしたウルフや他数名の男を軍部に集め、尋問をした。だが、ウルフたちは先日とは打って変わって「ブレイブ」についての話を一切しない。男達は不敵に笑うだけだ。 沈黙を続ける男たちをコチョコチョ拷問にかけた。男達は死にそうなくらい笑い、苦しんだがそれでも「ブレイブ」については話さない。 本来ならば壊してもいいくらいに拷問にかけても良いのだが、「ブレイブ」を口にした男たちは皆、貴重な発電源…簡単に壊すわけにはいかず、壊すほどの拷問を行うにはさらに上層部の許可が必要だった。 もし、「ブレイブ」なるものが実在し、シンダを脅かすのなら時間をかけて上層部に許可を取っている暇などない。 軍部はウルフを"民間"の拷問組織に任せることにした。民間の拷問組織とはシンダに存在する国営ではない拷問チームのこと。国の許可なく男や裏切り者を捕らえては拷問にかけ、情報を洗いざらい話させることを目的としている。 だが、そのやり口は相当残忍なもので、拷問にかけられた者の98%は廃人と化す運命を辿っている。 この度、軍部はシンダの女軍人すら震え上がるほどのくすぐり拷問のエキスパートが揃う民間組織"タイナツ"に男の拷問を依頼した。 ウルフはタイナツの存在を知っていたのか、そこへ連れて行かれると聞いた時に牢屋の中でひどく抵抗したが、制圧用コチョコチョマシンによって小一時間ほど体…主に腋やお腹をくすぐり回され敢えなく無力化。 結局ウルフはタイナツのアジトへ連れて行かれた。 タイナツのアジトはシンダ帝国の外れにあった。その街の治安は悪く、犯罪率も非常に高い。そんな場所でもタイナツはその恐ろしい評判から一目置かれ、街のボス的存在として君臨していた。 「あぁ、そいつが今回の対象ね。」 軍部の女たちが連れてきたウルフを見てそう言ったのは、タイナツのオーナー"グレー"。 青のショートヘアに死人のような目つき、そしてタンクトップ姿にタバコというかなり荒れた印象を与える。 この女がタバコを持っているその指…ネイルなどはされていないがつるんとした爪がこれまで幾人もの男を破壊してきたのだ。 「報酬の方は約束通りに頼んだよ?」 「もし振り込まれなかったら…わかるよね?」 グレーは軍部相手ですらそう言って脅し、ウルフを滑車付きの台に無理やり寝かし、慣れた手つきで台車についている鉄の枷にウルフを大の字に繋ぎ止めて、"店"の中へ消えていく。 タイナツの店の中は異様な臭いで満たされていた。薬品のような強烈な臭いだ。 ウルフ…彼は抵抗軍の中でもとりわけ強い兵士だった。本来の世界ならば女性からモテモテで、さらに逞しさも持っているため怖いものなし。 戦闘技術も素晴らしいもので、どんな相手でもどんな苦境に立たされても心が折れない鋼の精神を持っていた。だからこそ、軍部による拷問にだってギリギリ耐えてこれた。耐え抜けば希望があると信じていたから。 だが、噂に聞くあのタイナツにまさか自分が引き渡されるとは思っておらず、それを聞かされた時にはさすがに取り乱した。 そして今、ウルフはタイナツにいる。抵抗軍の中でもタイナツの事は知れ渡っていた。そこは軍部よりも恐ろしい場所だと。何人もの男が苦悶に喘ぎ、破壊された場所だと。タイナツの情報が噂にとどまるのは、タイナツに送られた兵士が誰一人として帰ってきていないからだ。 情報によれば、このグレーと名乗る長身の女は元は軍部にいたという。軍部の拷問官で、上の指示も聞かずによく捕虜をくすぐり破壊してしまうので追放になったそうだ。 タイナツにはリーダーのグレーだけでなく、他にも曰く付きのメンバーがいる。ピンクの髪、黒いリップに銀に塗ったくったネイルが特徴的な"ミース"は男を攫って調教し、他国へ売り飛ばす元"男攫い"。マッシュショートヘアの女"ミノリ"は口に属する科学者であったが、大勢の犠牲を出す狂気的人体実験を繰り返したため追放された過去を持つ。 そんな曰く付きだらけの拷問専門チーム…それがタイナツだ。 普通の兵士ならば、ここに連れてこられた時点で自我が崩壊し、泣き喚いているだろう。 だがウルフはそうではない。タイナツへ連れてこられたのだから終わりではない。むしろ、ここを耐えればもうシンダ帝国に自分を壊す手はないはず。ならば、耐えてやる。 タイナツの異様な雰囲気に飲まれながらも、ウルフはそう心に決めた。 だが、その決意はいとも容易く掻き乱されることになるのだった。


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