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裏格闘技界の掟〜男達の末路〜(1)狂宴のゴング

1 狂宴のゴング 生身の人間同士がその体一つで闘い合う格闘技というものは、人間が最も動物らしく振る舞うスポーツの一つであり、それゆえに観客を魅了する。格闘技は、大変刺激的であり紳士的でもあるスポーツなのだ。 だが、この世界には"裏"の格闘技も存在する。 それこそが、某国の地下で行われている究極の格闘技大会「処刑台」だ。 この格闘技団体の特徴はなんといっても、体重等の階級も分けられておらず、そして男女別にも分けられていないという点だ。さらに、死人が出るのも当たり前。毎晩、少なくとも2人か3人はこの世を去る。だがその分、「処刑台」では表の格闘技とは比べものにならないくらいの巨額のファイトマネーが動く。 勝てば天国、負ければ地獄のこの格闘技団体は 当然、国にも認められておらず、非合法な存在としてひっそりと裏社会の者たちを楽しませていた。 この「処刑台」を運営しているのは、「ホワイトタイガー」というマフィアグループだ。 ボスは"ミス・リーズ"というインド系の美女であり、妖艶なルックスとエレガントな雰囲気からは想像もつかないほど残虐な女だ。 いくら強い格闘家であれ、ミス・リーズの言うことに背くことはできない、例えば、「処刑台」で巨額のファイトマネーを稼いだから引退したいと言っても、リーズは許さない。強い選手ほど、「処刑台」を盛り上げるために残ってもらわないといけないからだ。 もし背けば…死より恐ろしい目が待ち受けている。 そんな多くの闇を抱える「処刑台」は今夜も開かれる。 大勢の観客に埋め尽くされた空間の中央に存在するこの巨大な檻つきリングに上がっているのは、元軍人の美青年アークと先週この地下に降り立ったばかりの新人ミカ。彼女は元は表の女子格闘家だ。 普通ならあり得ない…男女の本気の殴り合いに観客たちは試合が始まる前に既に大熱狂。その歓声を受けて、アークは気持ちを高揚させ、試合が始まるその時まで見事なシャドーボクシングを披露していた。 対してミカは露出の多い格好に身を包んだ派手な格好とは逆に落ち着いた様子でストレッチを行なっている。 とてつもない熱意に包まれた会場にゴングが鳴り響いたその瞬間、アークはミカよりも速く攻撃をしかけた。鍛えられたその肉体の重みを一切感じさせない軽やかなステップを踏み、重い一撃をミカの右頰にお見舞いする。ミカのキュートな顔がぐちゃっと歪み、汗がびちっと飛び散る。 もう一発。アークはミカの腹にブローを打ち込み、ミカを怯ませた。 相手は女だが、容赦はしない。いや、できないのだ。アークは窮地に立たされていた。このところ負けが続いており、今回負けてしまえば恐らくはこの「処刑台」を追放されてしまう。 追放されれば、アークは間違いなく刑務所行きだ。まず、この違法な格闘団体で戦っていた事、そしてなにより…アークが軍隊時代に犯した女性への暴行罪…この二つで長い間堀の中で生きることは間違いない。 「処刑台」は犯罪者が唯一生きていける場所だ。そんな場所から追放されるなんてごめんだ。ミカを殺してでもアークは勝たねばならない。 ましてや、今日はこの「処刑台」を統べる女…ミス・リーズが観戦しにきている。 ミス・リーズはインド人の絶世の美女であると共に強大な裏組織のボスである。人は言う…"ミス・リーズには嘘はつけない"と。それがどう言う意味かはわからない。 リーズは今宵、自らが"娘"と呼ぶ三人の部下を引き連れていた。一人はミロリ。白いワイシャツに浅黒い肌をした細身の女…奇妙なくらい指が細長い。 もう一人はイカリ。典型的なアイドル顔だがどこかその笑みには狂気すら感じる。 最後はラミア。最もボスに近い存在である長身の黒髪女であり、手も大きければ指も長い。 この三人の日本人は選手の間では"始末屋"と呼ばれており、不祥事をした選手はあの中の三人の誰かによって始末される。 「処刑台」の重鎮が観に来ているこんな状況でアークは負けるわけにいかないのだ。 元軍人のアークの重い攻撃を二度も受けてしまったミカ。だが、さすがは元は表の格闘家だけあって打たれ強い。まだまだ倒れる様子を見せず、それどころかアークにタックルをかましてそのままアークを担ぎ上げてしまった。 アーク「!?」 ミカ「負けないよ…!!」 ダンッッ!! アークの体が思い切りマットの上に叩きつけられた。あまりの衝撃にアークは一瞬…視界がチカチカと点滅した。 ミカがガバッと覆いかぶさるようにアークに馬乗りになり、そしてその硬い拳でアークにパウンドを浴びせた。 ミカの鉄拳がアークに振り下ろされ、強烈なダメージを会えていくたびに、アークの意識が薄れていく。 ダメだ。負けたくない。追放はいやだ! アークの必死な思いとは裏腹に、ミカは心底楽しそうに鉄拳を振り下ろし続ける。追放されるくらいなら死んだ方がマシだ! そう思っていたはずなのに、いつのまにかアークはタップしてギブアップを選んでいた。 勝負はついた。アークの負けだ。絶対に負けてはいけない状況で自ら白旗をあげてしまった。 焦ったアークは何を血迷ったか…対戦相手の女を薙ぎ倒してしまった。 アーク「はぁ!!はぁ!!俺は…負けるわけにはいかなかったんだ!!!」 焦りで気が動転したアークはまだ観客がいると言うのにリングの上で怒鳴り散らした。 そして、客席から一人…ミロリが立ち上がってリングの上に上がってきた。


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