ゲーム・オーバー 3:花(X/F)
Added 2022-07-18 16:44:24 +0000 UTC3 花 (X/F) リンネ「何がどうなってんの…!?」 「ポータルに入れば生き延びれるんじゃなかったの!?」 ポータルに逃げ込み、脱出したはずのジェイが何故か罰を受けたことにリンネは混乱していた。それだけてなく、この謎の空間に慣れているはずのミズと海里も不可解そうな表情を浮かべている。 ミズ「罠…ってことかな。」 座椅子に座り、机に置いた手をモニュモニュ動かしながらミズがぽつりとそう言った。 ミズ「偽物…っていうかハズレのポータルだった…ってそういうことじゃないの。」 海里「それしかない。」 リンネ「もしそうだとしたら、どうやって見分ければ…」 ミズ「さぁね。」 「特徴があるのかも。でも、ジェイの潜った罠ポータルをしっかり見ていないからなんとも言えない。」 リンネ「これからは…ポータルを見つけてもまだ不安が残ってるってそういうこと?」 ミズ「そうなる。」 ポータルを見つけたとしても、それが偽物の可能性すら出てきた。そんな状況にリンネたち三人は不安を覚える。 三人はまた、次のブザーが鳴るまで各々時間を潰した。ミズは机に置いてあった個包装の干し梅を食べていたり、海里は部屋の隅でじっと座り込んでいて、リンネは広縁から見える現実なのかどうか分からない夏の青空と海をぼーっと見つめていた。 リンネ「…ねぇ。変なこと聞くかもだけど、ここにくる前で最後に覚えている記憶は何?」 残るは三人。仮にも一緒に過ごしてきた自分以外の二人になんだか親しみを感じてしまい、リンネはそんなことを聞いた。 いつブザーが鳴るかも分からない状況で、リンネがそんな呑気なことを聞くものなので、ミズはフッと鼻で笑った。海里も僅かにニィッと口角を上げ、頷く。 海里「船に…乗ったんだ。ある船に。名前は忘れちゃったけど、大学のサークルのパーティだったと思う。」 「すごく大きな船。いわゆる豪華客船ってやつだよ。それに乗って…友達とお酒飲んで…それから…」 それ以上は覚えていないのであろう、海里はギュッと口を紡ぎまた黙った。 リンネ「…ミズ…貴女は?」 ミズ「私は血の繋がってない歳上の姉と一緒に住んでた。その前は…別の場所にいたけどそこのこともよく思い出せない。」 「その義理の姉とは家を民宿みたいにして営んで住んでたんだけどね…ある夜、妙なやつが客としてきた。名前は…あれ…なんだっけ…ブロンドの髪の…あれっあれっ…そいつが…刃物で…私たちを…」 「あれっ…でも…そいつはもう死んで…あれっ…でも…でも…なんだか…そのあと…ずっと後にそいつがなぜかまた…私のたちの目の前に…あれっ…」 自分の記憶を語るミズの様子がおかしい。 充血している目をギョロギョロさせ、美しく染まった青の髪をくしゃっと握り、ダラダラと冷や汗まで流れ出ていた。 リンネ「ごめん。大丈夫?あの…いいよ無理に思い出さなくてさ。」 「ところでミズ…。どうして貴女は私を助けてくれるの?」 ミズ「………。」 「これが、ゲームだから。」 リンネ「?」 ミズ「私はゲームが好きなんだ。テレビゲームとかボードゲームとかカードゲームとか色々ね。」 「でもね…初心者を潰すのは楽しくない。」 「だから、あんたみたいな初心者はあえて生かす。そうじゃなきゃつまらないから。」 「強くなってもらってから勝負したい。」 ミズはいたって真面目そうな顔で答えたのだが、リンネにはミズが照れ隠しでそう言っているのがすぐにわかった。 海里「ねぇ、リンネだっけ?貴女の記憶は…」 ビーーーーーーーッ!!!! けたたましいブザー音が海里の質問を遮った。 だが、三人ともすぐには動かなかった。しばらく黙ったままじっとしていた。 妙な気分だった。まだ出会って間もないが、それでも一緒に生き抜いてきた仲ではあるし、さっきまでだって話をしたりもしていたし、ブザーが鳴ったからってすぐにそう簡単にお互いを敵視する方へ切り替えることができなかったのだ。少なくともリンネはそう考えていた。 海里「ちょっと提案がある。」 ミズ「なに?」 海里「きっと、今回も罠ポータルがあるはず。」 「だからこうしない?とりあえず三人でこの部屋にある分のポータルを全て見つける。それから、じっくり観察してどれが罠かを見極めてからポータルの取り合いをする。」 「罠にかかるリスクが下げられるし悪い話じゃないでしょ?」 リンネ「でも…罠に特徴がなかったら?」 海里「その時は仕方ないから…普通に今まで通りに取り合うしかない。」 ミズ「取り合うっていうのは力づくで良いわけ?」 海里「話し合いでもする?誰が恐怖のコチョコチョの刑を受けるか。あの、処刑を受けるか。」 「しないでしょ?じゃあ…力づくしかない。」 ミズ「なるほどね、それ名案。」 ミズはそう言ってポータルを探し始めた。そして彼女は掛け軸をめぐってすぐにそこにポータルを発見した。そのポータルはいつも通り、真っ暗な闇が広がっているだけだ。 リンネと海里もポータルを探すが中々見つからない。おそらくまだ出現していないのだろう、とリンネがちょっと気を抜いてテキトーに辺りを見渡していると海里が「あっ!」っと声をあげて外の景色を指さした。彼女が指差す方を見てみれば、広縁から出てすぐの空中にポータルが音を立てて現れた。 これで二つ。本来ならここでポータルが出揃ったはず。だが、罠ポータルの存在があるならもう一つ部屋のどこかに現れる。 二つのポータルが現れて数分経過…未だに三つ目のポータルが現れる気配はない。三人とも一言も発さず、耳を澄ましてポータル出現の音に集中しているが物音は何も聞こえてこない。 ねぇどうする?リンネがそう言いかけたその時、海里がリンネの髪の毛を思い切り引っ張り、肩を掴んで畳の上に彼女を倒した。 リンネ「ひっ!?」 海里はリンネの方を見ようともせず、ダッダッと今にももうれそうな足取りで宙に浮かぶポータルの方に駆けていく。リンネはこの時悟った…今回は罠ポータルが出現しないのだと。それに海里はいち早く気づいたのだと。 海里「悪く思わないで…」 そう言った時でさえ、海里はリンネの方を見なかった。目をギュッと閉じて込み上げてくる感情を押し殺したような顔をしながら手の先をポータルら方に伸ばす。だが、海里の指先がポータルに吸い込まれそうになったその時、海里の体が真横に吹き飛んだ。 ごろごろと広縁の上を転がる海里。すぐに顔を上げた彼女が見たのは、ポータルの前に立つミズだった。ミズに横から突き飛ばされたのだ。 海里「なんで…」 「あんたにはあっちの穴があったでしょ…!?」 怒りと焦りで声を震わせながらそう言った海里。だがミズは何も答えず、軽蔑するような目で海里を見つめている。 海里が起き上がり、せめて掛け軸の方のポータルを使おうと走り出した頃にはもう遅く…リンネが先に掛け軸の裏にあったポータルを使って脱出してしまった。 海里は愕然とし、ポータルの無くなった掛け軸の前で膝から崩れ落ちた。両手を畳の上につき、ガクガクと体を震わせる。 海里「ウォータースタイン…あんた…」 「私にはわかってる。お前の正体…全部…」 海里の声は啜り泣きで膨れ上がっている。 ミズは僅かにニィッと笑みを浮かべ、勝ち誇ったような顔で海里を見た後、ポータルの中へ消えて行った。 一人取り残された海里はしばらく呆然としていた。 ポータルが消えてなくなった青々とした夏の空を見つめれば、その遥か空の奥に何かが浮かんでいるのが見えた。人影のようなそれはじーっと海里の方を見つめている。アイツはそうだ…くすぐり刑が執行されるたびに現れる妙な女…黒いコートを羽織った色黒の女…。 海里はその人影を見て、何かを思い出した。 そしてその瞬間…ビュッと突風が海の方から吹いてきて海里の緑がかった髪をブワッとなびかせた。 海里「私…もう死にたくないって…」 海里の綺麗な瞳からつーっと涙がこぼれ落ちる。そして、青々としていた空の色が黒々とした禍々しいものに代わり、紫色の嵐のような強風が和室に吹き荒れ、机や座椅子、冷蔵庫やテレビなんかをめちゃくちゃに吹き飛ばした。海里も当然吹き飛ばされ、畳の上に転がった。 とてつもない強風により海里の衣服は全て吹き飛び、彼女は今、全裸に剥かれてしまった。 海里「はぁ…はぁ…はぁ…!」 黒い空には稲妻が走り、重い雲からは滝のような雨が降り注ぐ。美しかった海は荒れ狂い、それらの荒天はまるで海里に怒っているかのようだった。 ドッ!っと何かが爆発したような音が響き、見てみれば荒れ狂う海から太い太い一本の触手のようなものが顔を出していた。そのヌメリを帯びた触手に海里があっけに取られていると、また一本、また一本とその触手が海面から現れ続けた。 タコか?空想上の魔物のクラーケン?既に真っ白になりかけている頭の中でそんな事を海里は考えていたが、よく見ればそれはタコではない。触手に見えたソレは無数の手の集合体であることがわかった。ウジャウジャウネウネと蠢くソレらの指には見覚えがある。そうだ…あの女の手だ。 海里「…二人ともこれを見てるよね。」 「一生恨んでやるから。」 吹き荒れる強風と横殴りの雨の中、海里は恐らくテレビからこの様子を見ているリンネとミズの二人に向かってそう言った。 直後、荒波をうねる無数の手で形成された巨大触手のうちの一本が、空を切るようにビュンと伸びてきて和室にいる海里を絡めとる。 海里「うぅっっ!!!?」 覚悟を決めたと言えど、いざ捕獲されると恐怖が込み上げてくる。来世で奴らを恨んでやると決めたのに…これから襲いくる恐ろしい仕打ちを受け入れられないでいる。 海里を捕らえた触手を形成している無数の手さどれも油を纏っているかのような異様なヌメリを帯びており、ウニョウニョと不気味に蠢いている。 海里「あぁぁぁっ!!」 部屋から海へと引っ張り出された海里。このまま海に引き摺り込まれるのかと思っていると、海里を捕らえた触手がピタッと止まる。 ゴボゴボと音を立てて海面がドーム状に盛り上がり、海の中から一生かかったって数えられないであろう程の数の手の集合体で形成された巨大な花がバカっと口を開いて現れた。 海里「い…嫌…嫌…!!」 あれに飲み込まれたらどうなる?指というくすぐりのための部位だけで形成された化け物…すなわち、人をくすぐるために作り出された化け物に飲み込まれたら…どうなる? 海里は青ざめ、ジタバタと暴れた。このまま落ちて海面に叩きつけられて死んだ方がマシだと思った。 海里「離してっっ!!!離してぇぇっ!!」 拳をガンガンと触手に叩きつける海里。 すると、触手を形成している無数の指が海里の体にわらわらと群がり、コチョコチョと体をくすぐってきた。 海里「あひゃっ!?あひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!?ちょっど!!?くすぐらないでぇっ!!っへへへへへへへへへ!!」 くすぐられた事で力が抜けてしまい抵抗をやめてしまう海里。その隙が命取りとなった。 触手がぐんっと曲がったかと思うと、海里の体はポーンと宙に放り投げられ、そのままあの"手の花"の中心部にある口に真っ逆さまに落ちていく。 海里「ぁぁあああああああっっ!!!!」 バクンッ!!! 海里という小さな存在を飲み込み、花は口を閉じた。 粘液まみれの花の中をズルズルズルズルと滑り落ちる海里。ドシャッと底に落ちた時にはもう粘液のせいかなんなのか…体に纏っていた衣服は溶けてなくなっていた。 海里「はぁ…はぁ…はぁ…」 すっかりオイルのような粘液にまみれてしまった海里は顔にまでへばりついたオイルを手で拭う。 海里「ひっ!?」 素足だった海里は、自分の足の裏に走る奇妙な感覚に怖気を感じ、地を踏まないように足を上げたり下げたりして慌てふためく。 指で形成された巨大な花の中だ…当然、その体内の四方八方も指や手で埋め尽くされている。 海里「はぁ…はぁ…はぁ…!!」 恐ろしい指たちが自分の周りを取り囲んでいる…その事実に気づいた海里は呼吸を荒くしながら逃げ場を探す。だが、そこに逃げ場などない。 ミチッ ミチッ ニュルニュル… ヌメリを帯びた肉と肉が擦れ合うような嫌な音がする。 海里「嫌だって…!!誰か助けて…!!誰かっ…!!」 モゴモゴモゴモゴと手で形成された壁が音を立てて海里に迫ってくる。このままでは無数の手に飲み込まれてしまう。 海里「助けてぇ!!!誰かぁぁぁぁ!!お願いだからぁぁぁ!!!」 ズプッ!!! 海里の両足が"手の床"に沈む。抜け出そうとするが底なし沼のようにズプッズプッと体がどんどん沈んでいく。 海里「ぁぁぁ!!嫌だ嫌だ嫌だぁぁ!!」 迫り来る指、指、指。 ウネウネウネウネとうねりながら、くすぐる対象を求めながら蠢いている指。 海里「ぅぅぅぅぅっっ!!!!」 観念した海里はギュッと目を閉じる。 だが、予期していた刺激はまだ来ない。恐る恐る目を開けてみれば、指たちはピタッと止まっていた。 海里「…?」 時間にしてほんの数秒だったが、それでも海里が自分をこれから処刑するこの指々を観察するには十分な時間だった。 それは褐色の肌で、指はいかにも柔らかそうで…爪は銀色に塗られている。これらは全て"あの女"の手なのだろう。くすぐるために生まれたあの女の手だ。 海里「…はっ…はっ…はっ…」 「…"あんた"なんか…クソくらえだ…」 海里は目に溜めていた涙をこぼしたのと同時に、姿見えぬ敵に向かってそう言った。そしてそれが、海里の最期の言葉となった。 止まっていた手たちが動き出し、背後から伸びてきた一本の手が海里の口を塞ぎ、さらに頭を固定し、両手両足、太ももにいたるまでを無数の手たちが押さえつけた。腋は晒され、この状態ではどこもガードすることはできない。 処刑執行人である無数の褐色の手たちはワキワキワキワキと指を蠢かしながら無防備な状態となった海里に近づいてくる。オイルでヌルヌルにされ、口を塞がれ…ありとあらゆる自由を奪われた海里は恐怖で涙を流しながら首を横に振っている。そしてついにヌルリとした指先が腋や脇腹やお腹に触れ、そして勢いよく皮膚を掻いてくすぐり始める。 …極上の獲物を捕食するかのように。 コチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョ!!!! 海里「んぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほっっ!!!?ふほほほほほほほほほほ!!ごふっ!?ふほほほほほほほほほ!!んんんんんんんぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほ!!!?ぶほぉぉぉほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほぉぉぉぉっっ!!!!?」 口を塞がれた状態で、腋の下やお腹、脇腹に指をコチョコチョ這い回らされ強制的に笑わされる海里。笑ってはけない。笑ったら苦しくなる。そう分かっているのに、ヌルヌルの指の先が皮膚を滑れば嫌でも笑い声を上げてしまう。 こうなればもう止められない。海里は最も避けたかったくすぐり地獄という苦しみの渦の中へ飲み込まれていく。 コチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョ!!! 海里「ぶほっ!?ほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほっっ!?ふっっ!!ふるひぃぃぃ!!!ふほほほほほははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!?ひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ!!!んぐぅぅふふふふふふふふふふふ!!ふほほほほほ!!ほほ!!ほほほはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!」 普通ならあり得ないレベルのくすぐりを浴びせられている海里は、脳の中…記憶の彼方からもとっくに消え去っていたはずの"あるトラウマ"を呼び起こしていた。 海里の記憶から消えていたはずのトラウマ…ある者によって全身をくすぐり尽くされたトラウマ…それが今になって蘇ってきた。そのトラウマが脳に浮かび、海里は自分がくすぐりに対して今以上に恐怖を覚えていたことを思い出した。 ぱっと海里の口を塞いでいた手が離れた途端、海里は込み上げてくるくすぐりに対する恐怖を思いつく限り口にした。 海里「ぷはっ!!!ぁあっっ!!嫌っっ!!!いやっっ!!これ嫌っっっ!!!!くすぐりぃぃぃ!!いやぁぁぁぁ!!!ぁぁあああああははははははははははははははははははははははははは!!私の皮膚から離れてぇぇぇ!!っっへへへへははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!嫌ッ!嫌ッ!!嫌ッ!!!嫌ッ!!!!!嫌ぁぁぁぁぁああああああああああああははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!」 こんな叫びはなんの抵抗にもならないことはわかっていた。でも、そうでもしないと気が狂いそうだった。海里は、トラウマという概念を直接肌に塗り込まれているようなそんな感覚に脳を支配されそうになっていた。 つるつるに仕上がった腋の下や胸の横、お腹、脇腹を滑るヌメヌメの指のその感触や、硬い爪が皮膚を引っ掻くその刺激が悍ましくて仕方がない。 海里「ぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああ!!!」 ほんの一瞬、海里はこのウジャウジャとした手の塊の中から抜け出せそうな隙間を見つけた。そして、自分に絡みついている手を運良く振り解くことができ、一気に走り出した。 だが、逃げれるわけもなく…伸びてきた腕が海里の足首を掴み、海里はバランスを崩して地にうつ伏せに倒れた、そしてズルズルと引き摺られ、海里は仰向けにひっくり返ってジタバタもがく。 わずか数秒で"処刑場"に連れ戻された海里を待っていたのは、さらにオイルを纏ってヌタヌタになった数千本の手だった。手たちは倒れている海里にそのヌタヌタでヌルヌルの指を見せつけるようにワキワキ…ワキワキと蠢かしている。 よくも逃げたな? お仕置きが必要だね。 手たちがそう言っているようにさえ思える。 海里「うぁぁぁぁっっ!!?」 ヌタヌタの手たちが海里の体にべたべたベチョベチョとオイルを塗ったくり始める。胸や腋などにとどまらず、顔などにも塗りたくり、海里は嫌悪感に満ちた悲鳴を上げた。 ものの数秒で海里の体はオイルでヌルヌルになり、そのテカり具合はまるでプラスチック製のオモチャのようだ。 海里「はぁ!はぁ!!はぁ!!」 仰向けに倒され、押さえつけられた海里。 彼女の視界に映っているのは…これから自分の肌と神経を襲う無数のヌルヌル指。 それらが触手のようにうねり、ワキワキと蠢きながら近づいてきた時…海里はこう思った…死んだ方がマシだ、と。 ゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショ!!! 海里「ぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっっ!!?ぁぁあああああああああああひひひひひひひはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!?ぐひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃっっ!!!?ぃぃぃぃぃひひひひひははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!?」 ツルツルにされた肌…腋の下や脇腹、太ももなんかに無数の指が這い回り、爪を使って引っ掻いたり、指でモニュモニュしたりして海里を笑わせ地獄に突き落とす。 海里は狂ったように頭をぶんぶん振り回し、オイルをビチビチ飛び散らせながら死に物狂いで暴れまくる。 これは、明らかに脱走を企てた海里への制裁だった。その証拠に指たちの動きはさっきよりも激しくよりテクニシャンなものになっており、それらが海里を徹底的に苦しめていた。 ゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショ!!! 海里「ぎゃはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!ゆるじでっっ!!もぅ逃げないっっ!!逃げないがらっっ!!!っっはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!逃げないっってぇぇぇぇぇ!!!っはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!」 海里がいくら反省の意を示しても、褐色の指たちは止まらない。海里の白い肋に指を押し当てコリコリやったり、ヌタヌタのお腹に爪を立ててこしょばしたり、首にはオイルたっぷりの指が滑り込んでコチョコチョこしょぐったり…ありとあらゆる方法で海里への制裁を続行する。 そんな中、とある手が銀色の爪をオッパイに立て、ワシャワシャと掻き回すようにくすぐり出した。その瞬間、海里は失禁し、「ぎゃっ!!」っという悲鳴を上げ、体を大きく大きく跳ねさせた。 ワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャ!!! 海里「だひゃぁぁっ!?オッパイっ!?オッパイぃぃぃぃぃひひひひひははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっっ!!?オッパイだめぇぇぇぇぇ!!!ぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああははははははははははははははははははははは!!!あぎゃぁぁぁああああああああああはははははははははははははははははははははははははははははは はははははははは!!!」 動けぬ状態でぷるんとしたオッパイを指先と爪の先で弄ばれている海里はいやいやと首を振りながら必死に笑い苦しむ。 銀色でつるんとした爪に柔らかくて弾力のあるオッパイを掻き回されるたびに走る鋭く刺すようなくすぐったさは海里の頭の中をめちゃくちゃに破壊するのには十分すぎる刺激だった。 指たちはオッパイをくすぐり回すだけでは足らず、海里の足を掴み、その白い足の裏に爪を立ててガシガシとくすぐり出した。 ガシガシ!! ガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシ!!! 海里「ぎっっっっ!!!!?っっっひゃははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!?足ぃぃ!!?足っっっ!!!足っっ!!足はぁぁぁああああああああああああああああははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!足はやばぃっでぇぇぇ!!!っっへへへへははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!」 爪が皮膚を掻くたび、白い足裏に刻まれるくすぐり痕。それらは足の裏の皮膚の奥…神経に猛烈なくすぐったさを刻み込み、海里の足の神経を二度と地を踏めないレベルにまで叩き落とす。 ガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシガシ!! ゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョ!!! 海里「んはぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!やべでっっ!!お願いっっ!!!!お願いぃぃぃぃ!!!やべでっっっ!!!!ぇぇぇぇへへへへへへへははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!!!」 海里の笑い声は手で構成された強大で巨大な花の中でのみ虚しく響き続ける。死ぬことも、気絶することも許されない中で彼女は叫び、暴れ続ける。 こうして、荒れ狂った海に顔を出していた花は、海里を飲み込んだまま深い深い海の底へと消えていった。