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SIDE OF UPDATE〜コードレッド篇2〜

2. プロト・ノロイ (1) 機体にC.S.S-αと書かれたヘリが地上を離れていく。 ヘリに乗り込んだC.S.Sの隊員らは変わり果てたネオ・アトランタの街を静かに見下ろしていた。 処分対象者は全て始末した。それ以外の者は"半"人造人間アップデーターが捕縛していく。 地上では大勢が未だに逃げ惑っている。助けを求め叫び、泣き喚いている。隊員たちはそれを見ても一切心を動かさない。今、地上で哀れに逃げ惑っている連中は、素晴らしい進化を自ら拒んでいるのだ。どうせすぐに捕まるのに。 奴らの行う抵抗は全て無駄に終わるのに。 「次の目的地は?」 沈黙が続く機内で、レインが最初に口を開いた。 「ネオ・ダグラス。でも、ミッションは処分対象者の始末じゃない。」 レインの質問に答えたのは、サニィ・ホワイト。αチームの副隊長だ。長く美しい金髪を後ろで束ねた色白のイギリス女で、その目つきは氷のように冷たく、ムッチリと引き締まった太ももはそんじょそこらの男よりも逞しい。 サニィ「"アレ"の始末だよ。」 サニィがそう言うと、レインはピクッと眉を動かした。 レイン「…"プロト・ノロイ"か…」 機内にいた隊員たちが一斉にレインとサニィの方を見た。 通称プロト・ノロイと呼ばれるその女は"伊豆ミヤビ"という名を持つ"化け物"だ。コマンド社が生み出した文字通りの化け物。 サニィ「ついさっき本部から伊豆ミヤビ…プロト・ノロイの現在位置が送られてきた。」 「現地でブラボーチームと落ち合って目標の始末を命じられた。」 レイン「了解。だが、いい加減名称を変更するべきだな。」 「アレはもはや"プロト"…試作品なんてもんじゃない。」 「さて…今晩一体何人が生き残る?」 レインがちらりと機内にいる隊員たちの方を見る。座ったり、立ったり、落ち着きなくうろうろしている返り血まみれの隊員たち…今宵、その半数以上が死ぬ事は間違いなかった。 (2) ネオ・ダグラスの街の惨状は凄まじいものだった。再び地へと降り立った隊員たちの鼻に飛び込んできたのは血肉の臭いや、嗅いだこともないような人間が生物として危険信号を発した際に出す異臭だった。 死体と瓦礫とスクラップ同然の自動車にまみれた通りを隊員たちは隊列を成して歩く。 サニィ「チッ。アップデート対象者も見境なく殺してる。伊豆ミヤビの仕業だな。」 レイン「なるほど暴走状態というわけか…」 「ただでさえ動物のような女だというのに。」 レインはそう言って無線の黄色いスイッチを入れる。 レイン「こちらアルファ。ブラボーチーム応答せよ。」 ピーピーガーガーというノイズが流れたのち、「こちらブラボーチーム。」とブラボーチーム隊長の"ヴェス・カーター"から応答があった。 ヴェス・カーターは白髪の美しい長身の女で、レインと肩を並べるほどの戦闘力を誇っている。最近では、「タタリ計画」とやらの人体実験に参加させられてる。 この街には、レイン率いるアルファチームにも、ヴェス率いるブラボーチームにもほとんど仕事は残っていなかった。処分対象者はすでに処分されていたのだ。 ヴェス「プロト・ノロイが最後に目撃されたのは1.5km先のドラッグストア前。」 「その際にアップデーター8体を容易く壊し、職員も数名死傷させられた。」 レイン「奴の体内に埋め込まれたチップはまだ生きているのか?」 ヴェス「おそらくね。でも、機能したりしなかったり。プロト・ノロイの特異な肉体がチップの出す電波を妨害していると思われる。」 アルファチームとブラボーチームは隊列を成し、最後にプロト・ノロイ…伊豆ミヤビが目撃された場所へ向かう。機能しなくなったパトカーのサイレンが鳴り続けていたり、車の防犯ブザーが延々と鳴っていたり、どこからか悲鳴が聞こえてきたり…通りはそんな物騒な物音で溢れていた。 道中、隊員たちはかろうじて生き残っていた処分対象者がいればすみやかに射殺し、また、アップデート対象者を見つければすぐに拘束…アップデーターを呼びつけて連行させた。 コマンド社にとっては便利な掃除屋…だが、市民たちにとっては恐怖の部隊…それがC.S.Sだ。 サニィ「なるほど…ここで最後に目撃されたわけか…」 現場に到着するなり、サニィがそう言った。 報告の通り…その現場にはこの世の地獄と称するに値するほどの惨状が広がっていた。兵器を用いずに本当に生身の人間が一人でやったのか?そう疑いたくなるほどにその現場は凄惨なものだった。 隊員たちが周囲を警戒していたまさにその時だった。 サニィ「生体反応を確認!かなり強大…プロト・ノロイと思われる…!!」 サニィが声を上げた。その声は珍しくひどく動揺したものであり、レインとヴェスを除く隊員たちもそれに釣られて冷静さを欠き、組んでいたフォーメーションを崩してしまった。 レイン「落ち着け。位置に戻れ!」 レインが冷静にそう指示を出したその瞬間、ビルとビルの狭間から空を切って何かが飛んできた。弾丸の如きスピードで飛んできたソレは勢いよくヴェスに激突。 レインは見た。何かに激突されたヴェス・カーターが空中であり得ないくらいの量の血液を吐き、そしてそのまま飛んできた"何か"…伊豆ミヤビに頭を掴まれ、瓦礫の山に剥き出しになっていた太い鉄芯に胴体を突き刺されたのを。 ヴェス・カーターの白い体が一瞬にしてめちゃくちゃな赤黒色に染まる。 レイン「くそ!」 同僚が惨殺されたが、レインが吐いた言葉はそれだけだった。持ち駒を一つ失った…その悔しさから出た言葉だった。 彼女はヴェスの方を一瞬だけ確認し、助からないと分かるとすぐ武器を構えて"対象"に狙いを定めた。 燃えるような真っ赤な長髪、刃物のような切長の目、血のような瞳、そして…筋骨隆々とした200センチ超えの肉体…間違いなくコイツが伊豆ミヤビだ。 レイン「戦闘体制に入れ!」 「ブラボーチームもだ!」 レインが声を荒らげ、命令を下す。 隊員たちは反射的にそれに従い、訓練通りの動きをし、武器を伊豆ミヤビに向けた。 「…あんたら…そうか…"掃除屋"か…可哀想にねぇ。所詮は使い捨てだろう?」 伊豆ミヤビはこれだけの数の精鋭たちに武器を向けられているにも関わらず、不敵な笑みを浮かべてそこに立っている。 レインは返事をせず、代わりに引き金を引いてライフル銃をぶっ放した。サニィや他の隊員たちもそれに続き、伊豆ミヤビに集中砲火を浴びせる。 ぷつぷつと音を立てて弾丸は確かに伊豆ミヤビの肉体を貫いていくが、伊豆ミヤビは顔を少々顰めるくらいで怯む様子を見せない。 ミヤビ「その様子だと…説得しても無駄なようだねぇ。」 「だったらもう…必要ない。」 伊豆ミヤビがニィッと目を細めて不敵に笑ったその時だった。 レインの視界が真っ赤に染まった。聞こえるのは呻き声、乱射される銃声、怒声、悲鳴…そして何かが裂ける音。目の前に倒れ込んだ隊員…名前は確かスリィ…の頭が伊豆ミヤビに踏み潰された時、レインは我に帰った。それと同時に身体中にとてつもない痛みを感じ、よろめいた。 ドパッと口から血を吐き、自分自身も化け物から攻撃を受けていたことをやっと思い出す。 おそらく、初っ端にどこかを殴りつけられたのだろう。強固なはずのアーマーが凹んでおり、骨にまでそのダメージが染み込んでいる。 レイン「くそ…!」 レインはまたそう言った。見渡せば生きているのはもう自分とサニィだけだ。あれだけいた精鋭たちが簡単に殺害された。とても…簡単に。 ミヤビ「覚悟はできた?」 ミヤビはニヤリと笑ってレインの頭を鷲掴みにした。 メリメリ…と凄まじい握力で握りつぶされていくレインの頭。目や鼻からつーっと血が流れ落ち、レインは口をパクパクとさせる。 これまで何度も死ぬ前提の任務をこなしてきた。そしてその度に、生還してきた。 だがそれも今回までのようだ。 自分と同じように戦線をくぐり抜けてきたヴェス・カーターがゴミみたいに殺された時点で気がつくべきだった。 いや、気がついたって引き返すという選択肢はない。 レインの頭がぼーっとしてきて、その脳裏に思い出したくない過去が浮かんできた。 あぁ…こんな時にアレを思い出すとは…… C.S.Sの隊員候補時代に受けさせられたあの恐怖の"プログラム"を…

Comments

としさんありがとうございます!そしてお待たせしました! レインは今、殺されかけていますが…捕まったらなんらかの制裁は受けそうですね! ただレインもそう簡単に捕まるたまではないのでどうなるのかと言った感じです!

Kara

めちゃくちゃ待ってました!!ようやくですね!!伊豆ミヤビにレインはくすぐられちゃうんですかね?第2話もめちゃくちゃ楽しみです!

toshi0325monst


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