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悪の組織のくすぐり粛清#1

1. 悪の組織のお仕置き事情 粛清擽り特化型改造人間七号 (FFF/M) REDは国際的犯罪組織である。 組織のほとんどが女で構成されているが、無論、男も所属している。男の構成員はほとんどが改造された下級怪人か、下っ端構成員だ。 RED内での男の扱いというのは酷いものであった。敵対するヒーローが現れれば、まずはいわゆる雑兵である下っ端構成員が出動させられるが、その中でもさらに下っ端である男たちが最前線に立たされることになっている。 結果、男の下っ端構成員というのはヒーローとの戦いで真っ先に討伐されてしまうのだった。 それでも一度組織に入ったからには抜けることなど出来ず、REDに属する男たち──主に若い青年たち──は上からの命令通りにヒーローたちと戦う。 その日もとある町で爆破事件を起こすべく派遣されていたRED下級構成員の青年ら三名──爆破チームが計画を実行しようとしていたところ、駆けつけた女性ヒーローによってコテンパンにされてしまった。 女性ヒーローの手により、捕縛され掛けたところを青年らのうち一人が緊急脱出システムを用いてなんとか逃亡。 REDのアジトへと帰還した。 だがそれは、青年らにとって地獄の始まりであった。 「作戦に失敗したばかりでなく、ノコノコと帰ってきたそうだね」 帰還した青年たちを跪かせ、説教しているのは下級構成員のリーダーである女だった。REDの紋章が胸に刻まれたジャージのような戦闘服を纏った彼女は腕を組んで不機嫌そうに三名の部下を見下している。 「すみません…まさかアイツが出てくるとは…」 今にも泣き出しそうなくらい弱気な声でへこへこと頭を下げているのは、三人の中で最も若い美青年"南リウ"だ。 「恥ずかしながら逃げるほかありませんでした」 リウの隣でひれ伏したまま床に向かって悔しげに言葉を吐いている青年は"北山セント"。三人組のリーダー格であった。 「常々言ってることだけど、私たち下級構成員には勝つか死ぬかの二択しかない。負けて帰ってくるなんて選択肢は用意されていないんだよ」 下級構成員リーダーの女はそう言ってしゃがみ込み、セントの頭を力強く掴んで床にぐいと押し付けた。 「それはその通りだけど、そっちが余計な司令出してきたのも敗因の一つに思えますけどね」 頭を下げ続けている二人に対し、不服そうにそう言ったのは"崎田チヒロ"。美青年であるが性格はかなり攻撃的な戦闘員である。 「誰のせいで予定外の命令を下すことになったと思う?」 下級構成員リーダーの女はチヒロを睨んだ。女の口元を覆う黒いマスクからはシュウシュウと息が漏れている。 チヒロ「オレたちは構成員だ。戦闘員だ。だから、あのクソヒーローを殺そうと思ったそれだけだ」 「例え計画と違っても、最終的に敵をやれればそれで良いだろ」 チヒロの反論は止まらない。 セントとリウの二人は青い顔をしてチヒロの暴走をただ見守っていた。 「お前──まだここに来て日が浅いんだったね?」 リーダーが問う。 チヒロ「まぁそこの二人やあんたに比べたら新人だな。でも、実力は誰よりもある」 チヒロはゆっくり立ち上がり拳を握りしめた。 下級構成員リーダーの女が目を細めてチヒロを見据え、腰にさしてある"制圧棒"に手を添える。 「実力は誰よりもある?知らなかったな」 低い女の声が響いた。 その途端、部屋にいた下級構成員リーダーもその部下の女たちも皆、びくりと肩を震わせた。 「元はと言えば貴様が勝手な行動に出た故の結果だと聞いているが?」 低い女の声はそう言ってカツンカツンと足音を立てて近づいてくる。足音と一緒に異様な緊張感が部屋に流れ込んでくる。 セントとリウは震えたまま固まっている。 チヒロはゆっくりと声のする方を振り向いた。 そして、息を呑んだ。 部屋に現れたのは、青い髪に褐色の肌。そこに露出の多い衣装を纏った長身の女──RED最高幹部の一人"ラグーン"であった。 ざっくりと開かれた上着の胸元にはREDのロゴが入っている。 チヒロは、青ざめていた。まさか最高幹部が現れるとは思ってもいなかったのだ。 「どうした。反論があるのだろう。続けろ」 ラグーンは細長い指でチヒロを差した。 チヒロ「うっ…」 「そ、そうだ。今回の件、オレは間違ってないんだ!」 チヒロは一瞬躊躇してから全てを振り切ったようにそう言い切った。 ラグーン「よく分かった。お前のことは」 ラグーンはそう言って、いまだに床に頭をつけている下級構成員の青年二人を見た。 ラグーン「ちょうど良い。お前たち二人はまだここの粛清を知らないだろう?」 「見せておこう。RED内で、お前たち下級構成員が───それも男の下級構成員がどういう存在かを」 ラグーンはその切長の目を再びチヒロに向ける。 チヒロ「なっ…。粛清だって?」 チヒロは身構えた。 ここの下級構成員がモノのように扱われていることは当然知っていたし、酷ければ粛清されることも知っていた。だが、まさか自分がその対象となろうとは思いもしなかった。 チヒロ「悪いがオレはオレのやり方でやらせてもらう。粛清も受けねぇよ」 チヒロは握りしめた拳を振り上げた。周囲にピリリと緊張が走る。 ラグーン「捕えろ」 ラグーンは腕組みをしたまま冷静に言った。 地に伏している二人の青年下級構成員以外の女構成員たちは皆、機械のように正確に動き出した。 下級構成員リーダーの女が手に握った制圧棒でチヒロの脇腹を突いた。 バチバチッと何かが灼けるような音がし、火花が散った。 チヒロ「くひゃあっ!!?」 ビクビクビクビクッとチヒロの身体が痙攣し、チヒロは力なく床に膝をついた。 女のみの下級構成員たちはその隙を逃さず、一人が背後からチヒロの首に腕を巻きつけ締め上げ、左右からは二名の女が腕を捕まえ固定し、もう二名が両脚を掴んで無力化した。 わずか五秒ほどでチヒロは大の字に身体を固定され、さらにそこへ、リーダーの女がどしりと腰あたりに馬乗りになったことで人力拘束は完成してしまった。 「抵抗するな」 リーダーの女は妖艶な目で、自分の身体の下で暴れるチヒロを睨み、サワリ、と爪でチヒロの横腹のあたりを撫でた。 チヒロ「くぁっ!?」 チヒロの腰がピクリと動く。 REDの下級構成員───主に男の構成員のコスチュームは身体にピタリと張り付くような生地で作られている。これは、動きやすさを追求したものであると同時に"粛清の効果"を高めるためのものでもあった。つまり、このツルツルスベスベのコスチューム生地は、くすぐったさが増す作りになっているということだ。 ラグーン「お前も阿呆ではないだろう?粛清が何を意味するかくらい分かっているな?」 チヒロ「あんたらの好きなくすぐりだろ?」 「それくらい…知ってる…!」 チヒロは自分の横っ腹の近くにスタンバイしているリーダーの女の手を見て言った。 チヒロ「良い加減そのくすぐりとやらにこだわるのはやめたらどうだ?」 「本気で粛清するつもりならな」 「前に訓練でくすぐり拷問を受けたが大したことなかった」 「だから粛清するなら他の方法でやれ」 「なぁ下級構成員のリーダーさん」 チヒロは、最高幹部のラグーンの方を見る勇気がなく、目の前にいる下級構成員リーダーの女に向けて言い放った。 「私の名前はRED本部下級構成員"粛清擽り特化型改造人間七号"だ」 チヒロに馬乗りになっている下級構成員リーダーの女は冷たく言った。 チヒロ「は…?」 「私の指は触手の如き滑らかさで動いて対象の皮膚を滑り、私の爪の先は神経を的確に刺激して対象に耐え難い擽り刺激を浴びせる設計になっている」 「その他、握力、手のひらの厚み、肌の滑らかさ柔らかさに至るまで全てくすぐりに特化したものになっているのだ」 「つまり私のことは──生きるくすぐり拷問マシンと思え」 リーダーの女──七号はそう言ってグーパーと指を曲げ伸ばしした。やや伸びている──いや、伸ばされている爪に塗られた透明のマニキュアがつるりと光っている。 ラグーン「お前が前に受けた拷問訓練がどれほどのものか知らないが…まぁおそらくヤワイ訓練を一度受けただけだろう」 「これから…お前は本当のくすぐりの恐ろしさを知ることになる」 「それと…。勘違いするなよ。お前が受けたのはくすぐり拷問の"訓練"であって"本番"ですらない」 「そして、これからお前が受けるのは拷問ではなく──"粛清だということをしっかり頭に入れておけ」 ラグーンの脅しにチヒロは黙り込み、ごくりと唾を飲んだ。 ラグーン「粛清擽り特化型改造人間七号。擽り粛清を開始しろ」 「了解しました。これより──擽り粛清を開始します」 "粛清擽り特化型改造人間七号"は、ぎゅっと太ももと膝でチヒロの胴体を締め付けた。 モニョモニョうにょうにょと粛清擽り特化型改造人間七号の指が宙で蠢く。 チヒロ「こ、こんなもんっ…!ど、とうってこと…」 チヒロは強がりながらも歯を食いしばり、細身の肉体にスジが浮き立つほど筋肉をこわばらせていた。 すぅっとしなやかに七号の手がチヒロの胴体に舞い降り、そして横っ腹のあたりにピトリと指先と爪の先とを着地させた。 チヒロ「んんっ!!?」 指先と爪の先が触れただけでピリリと痺れるようなくすぐったさが神経に走る。 七号はそのまま、指関節を柔らかくしなやかに曲げ伸ばしし、まるで触手が動くように指先を遊ばせ始めた。 こしょこしょ…と指先で撫でるように横っ腹をくすぐる七号。 チヒロ「くっっ!!?ぎっっ!!?ぐっっ!!?」 ツルツルした生地のコスチュームにスベスベした指先が擦れるたび、チヒロの腹部はひくひくと動いて強制的に口から笑い声を漏らそうとする。 それをチヒロは必死に堪えていた。 だが、粛清擽り特化型改造人間七号は我慢などさせない。 七号は突然、横っ腹にしっかりと爪の先を突き立てたかと思うと、そのままこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょ…と細かな指遣いで横っ腹の表面をくすぐり始めた。 チヒロ「ぶふっっ!!?ぷくくくくくくくくくくくくくくくっっ!!?くぅぅぅぅ!!?くひっ!?くひひひひひひひひひ!!!」 チヒロの顔が苦しみに歪む。 腰はさらに激しく浮き、全身の筋肉のこわばりは最大にまで達していた。 涙がじわじわじわじわと滲み出てくる。止まらない。止めようと思っても止まらない。 口角がヒクヒクと吊り上がり、今にも笑顔を浮かべてしまいそうになる。 拘束されていることを忘れて腕や脚を動かそうとするが、びくともしない。押さえつけている女たち──改造人間の女たち──の怪力が凄まじいのだ。 一分近くこちょこちょくすぐられ続け、七号はピタリと指を止めた。 チヒロの顔から緊張が消える。 チヒロ「はぁはぁ…や、やっぱり大したこと───」 チヒロが再び強がろうとしたその時。 「分析終了。これより粛清本番を執行」 七号はそう言って、するるるるっと指を腋の下に滑らせると、ガッと腋の下に爪の先を突き立てた。 チヒロ「はっっ!!?」 爪の先が腋の下のくすぐったい神経を捉え、チヒロの顔が真っ青に染まる。 まずい。 これはまずい。まだくすぐられてもいないのに、チヒロの脳はヤバさを察知していた。 チヒロの全身から冷や汗が噴き出す。 ラグーン「やれ」 ラグーンの合図とともに、粛清擽り特化型改造人間七号のくすぐり専用フィンガーは爪の先で腋の下の神経を捉えたまま、残酷にもゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョ!!!っと暴力的に暴れ出した。 チヒロ「ぐあっ!!?」 腋の下の神経にズクズクと猛烈な刺激が刻み込まれる。 チヒロの口が大きく開かれ、口角が裂けんばかりに吊り上がり、狂気的な笑みが完成する。 チヒロ「うああああああああああああはははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!?なっ!!?なんだこれっ!?っっえ!?っっへへへへへへへへはははははははははははははははははははははははは!!!?」 我慢。それが一秒も出来ぬほど強烈で猛烈なくすぐったさがチヒロを襲い、成す術のないままチヒロは笑い声を上げて四肢を暴れさせようともがく。だが、当然十分に暴れることなどできず、チヒロは腋に叩き込まれる猛烈なくすぐったさを浴びるほかなかった。 ゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョ!!! チヒロ「うへはははははははははは!?くそっ!?離せっ!!くそぉぉぉっ!!?っっひゃぁぁあああああああああははははははははははははははははははははははははははははははは!!?うひぃぃぃぃひひひひひははははははははははははははははははははは!!!」 眉間にシワを寄せて怒鳴ったりするが、口元は弛み目元も緩んでいるため情けないことこのうえない。 どれだけ強がろうとも、腋の下をこちょこちょされるだけでだらしない笑顔に崩れてしまう。 ラグーン「これはヒーローを捕縛する際に行うくすぐり無力化措置と同レベルのくすぐったさだ」 「お前のような下級構成員に耐えられるはずもない」 ラグーンは軽蔑するような目でチヒロを見つめて言った。 チヒロ「っっははははははははははははははははははははははははははは!!!うっっうるさぃっっ!!!っっひああはははははははははははははははははははははははは!!!うひぃぃぃぃひひひひひははははははははははははははははははははははははははは!!!さっさと止めろぉぉ!!!」 チヒロがいくら暴れても粛清擽り特化型改造人間七号の指先と爪の先はぴたりと吸い付いたようにして腋の下から離れず、的確に腋の下のくすぐったいところだけを刺激し続ける。 ラグーン「うるさい?私に向かってそう言ったのか?下級構成員よ」 「いいだろう。お仕置きしてやれ」 ラグーンが言うと、チヒロの細い両腕を押さえつけている二人の構成員の女が、敏感な二の腕のあたり──限りなく腋の下に近いあたり──をこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょくすぐり始めた。 チヒロ「う"あはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!?待でっ!!?それはっ!!うははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!うあああはははははははははははははははは!!?きついぃぃぃぃぃ!!?」 二の腕へのこちょこちょは決して腋の下へのくすぐりほど強烈ではないが、腋の下へ送り込まれ続けているくすぐったさをさらに倍増させるような嫌な刺激を含んでいた。 こちょこちょこちょこちょと小刻みに指先で二の腕をくすぐられるたび、チヒロは表情筋を無理やり緩められるようなくすぐったさに襲われている。 こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょ… ゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョ!!! チヒロ「かはっ!?うひっ!?うへへへへへへへへへへへへへへへへへへ!!?へぇへへへへへははははははははははははははははははははははははははははは!!!やめっっ!!わがったからっっ!!わがっだがらやめぇぇぇぇへへへへへへへへへへへははははははははははははははははははははははは!!!」 チヒロはこの、ツルツルスベスベした生地のコスチュームが憎くて仕方がなかった。これのおかげで指の滑りが倍増してくすぐったさがとんでもないレベルにまで引き上げられているのだから。 チヒロが顔を真っ赤に染めて悶え苦しんでいてもなお、七号や二人の構成員はくすぐりの指を緩めはしない。 粛清擽り特化型改造人間七号の指さばきは無駄がない。必要最低限の動きでこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょと腋の下をくすぐり続け、毎度別次元のくすぐったさを送り込んでくる。 チヒロ「んははははははははははははは!!?もういいっ!!!いいがらっっ!!あっ!!っっははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!わがったっで言ってんだろっ!!?ふははははははははははははははははははははははは!!!」 息を吸い込んでもすぐには吐き出さされ、呼吸がまるで整わない中、硬くツルツルした爪の先やスベスベの指先が腋の下の敏感なところを掻き回している耐え難い不快感に苦しめられる。 ──この苦しみはいつ終わるんだ? チヒロは笑い悶えながらふとそんなことを考えた。 そしてこの粛清には終わりなどないという当たり前のことを思い出して絶望した。 チヒロの顔から余裕が消える。 それと同時に、くすぐりが止まった。 チヒロ「くはっ!!!はぁはぁはぁはぁはぁ!!」 くすぐられていた時間は僅か五分にも満たない時間だった。 だが、チヒロの息は既に絶え絶えで、全身から多量の汗が吹き出していた。 ラグーン「どうだ?くすぐり粛清の体験版のお味は?」 ラグーンが腕組みをして聞いた。 チヒロ「はぁはぁはぁ…げほっ!」 「はぁはぁはぁ…」 チヒロは、腋の下に遺されているくすぐったさの余韻に不快感を示しながらラグーンを睨んだ。 ラグーン「お前自らの意思でREDの用意している"更生プログラム"に参加すると言うのなら、粛清を取り消してやらんこともないぞ」 ラグーンは口角だけを上げてニヤリと笑う。 悪い話では無かったが、チヒロのプライドがそれを許さなかった。こんな女たちにこき使われる生活に戻るくらいならばいっそ粛清された方がマシだと思ったのだ。 哀れな青年チヒロは、くすぐりの恐怖を早くも忘れかけていた。 くすぐられている最中は地獄の苦しみを感じ、二度とくすぐられたくないと願うのに、いざ解放されるとその苦しみを侮ってしまうところもくすぐりの恐ろしいところであった。 チヒロ「悪いけどな…オレはもう…この組織に…残るつもりはないんだよ」 ラグーン「そうか。では、粛清擽り特化型改造人間七号。"粛清くすぐりフィンガー"でトドメをせせてやれ」 ラグーンが命じると、チヒロに馬乗りになっている粛清擽り特化型改造人間七号は、まるでオペをする医者のように手の甲をチヒロに見せつけた。 すると、まるで人工物の如くツルツルの光沢がその手を覆った。 ラグーン「その手は──いや、その指先と爪の先は対象の"深層神経"を捉えて刺激するくすぐり専用フィンガーだ」 「敏感なものなら触れられるだけで発狂する」 「お仕置きでも滅多に使わない代物だ。粛清される者だけがその恐ろしさを味わうことができる。喜べ」 七号はワキッワキッと気持ち悪いくらいに滑らかに指を曲げ伸ばしする。光沢を帯びた指は妖しく照り輝いており、指先はいかにも"どこにでも入り込んできそうな形状"をしている。 チヒロ「はぁはぁはぁ…!!く、くそっ!!くそっ!!!」 「い、嫌だそんな…」 チヒロはもがく。 その顔は引き攣り土気色に染まっている。 粛清くすぐりフィンガーの指の動きを見せつけられてくすぐりの恐怖を思い出したのだ。 だが、もう遅い。 チヒロ「や、やめろっ!!分かった!!さっきの条件を飲むからっ!」 チヒロは目に涙を浮かべて迫り来る恐ろしきくすぐりフィンガーを拒絶している。 光沢にまみれたくすぐりフィンガーの指先がすぅっと腋の下に触れる。 チヒロ「ぎぃぃぃぃぃいいいっっ!!?」 チヒロの身体から濁った悲鳴が上がり、全身にふつふつと鳥肌が立った。 くすぐりフィンガーの指先と爪の先とがくすぐったぁい深層神経を捉えたのだ。 チヒロ「ちょっ!!?ちょっと待ってほんどにぃぃぃぃ!!!!」 チヒロは顔を歪めたまま叫ぶ。 そして、粛清擽り特化型改造人間七号の悍ましいくすぐりフィンガーは殺人的な腋の下くすぐりを開始した。 コッチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョ!!!! チヒロ「ぎぃっ!!?ぎぁぁあああああああああああああああああああああああ!!?待っでごれはっっ!!これはぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!くすぐっだぃっ!!くすぐっだぃぃぃ!!死ぬぅぅぅぅぅぅぅ!!!!?」 さっきまでのくすぐりとは全くレベルの違う非人道的くすぐったさが腋を襲い、チヒロはたった一撃で壊れたように白目を剥いて頭を振り回し、舌をだらしなく垂らして悶え狂った。 爪の先は深層神経を灼き尽くすようにくすぐり、指先は通常のくすぐったい神経を嬲り尽くす。 コチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョ!!!! チヒロ「うあっ!!?うあっっ!!?ぅぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!?ゆひでっっ!!!うぁぁぁぁあははははははははははははははははははははははははははは!!!んひぁぁぁああああああああああああああああああああああ!!!」 指が関節を折り曲げてしなやかにコチョリと皮膚を掻くたび、神経が震え上がるようなくすぐったさが無理やり腋に刻み込まれる。 チヒロが発しているのはもはや笑い声というよりは断末魔に近い絶叫であった。四肢はビクンビクンと激しく暴れ、今にも全ての筋肉が痙攣して壊れてしまいそうになっている。 ラグーン「お前の地獄は始まったばかりだ」 ラグーンは床で悶え狂っているチヒロを見下し言うとしゃがみ込んでその細い腕をチヒロの腋の下と肋骨の境界点あたりに伸ばした。 そして、細長い中指の先を腋の下と肋骨の境界点にあるくすぐったいポイントに食い込ませ、クリクリクリクリッと神経をほじくりくすぐった。 チヒロ「ふあ"っ!!?ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ"っ!!?」 チヒロは喉が張り裂けんばかりの絶叫を上げ、ビクビクと腰を痙攣させ、唾液をぶちまけ、最後に失禁してそのままぐったりと床に伸びてしまった。 ラグーンは、チヒロの腋の下と肋骨の隙間に捩じ込んでいた細長い指を引っこ抜いた。 ラグーン「コイツを…"改造室"に連れて行け。肉体の素体は上質だ。一から組み立て直すぞ」 「それからそこの二人にはお仕置きだ。"お仕置きルーム"へ」 ラグーンは床に伸びているチヒロにも、二人の青年構成員にも視線を向けず、そう言い残してその場を去っていく。 目の前で執行された鬼のお仕置きに怯える青年二人は、他の女構成員たちに両脇を捕まえられ、ずるずると引きずられるように部屋から連れ出された。


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