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あの夏の悶絶は思い出の中に(11日目#2)

2. 国家権力のくすぐり (F/M) レイナ姉ちゃんがわーぎゃー騒ぎながら和室に入ってきたのは夕方のことだった。それはちょうど、ハクが集中して勉強に取り組むことが出来始めた頃のことだったので、結局、ハクの宿題はほとんど進まなかった。 「ちょっとあんたら知ってる?開かずの屋敷!」 レイナ姉ちゃんが慌てた様子で言った。隣には、こころ姉ちゃんがいる。こころ姉ちゃんはレイナ姉ちゃんとは違って落ち着いていた。 ユウ「屋敷がどうかしたの?」 レイナ「あの屋敷が!いや、あの屋敷にねぇ!警察官がいっぱいおる!」 「えっ!?」 ハクたちは顔を見合わせた。 ただでさえ何かありげな元・開かずの屋敷。結局、その謎は何も分からないまま追い出された。 そこに、警察たちがいるなんて。 ハクたちは居ても立っても居られなくなって宿題をほっぽり出して空野家から飛び出した。 午後はずっと室内にいたと言え、開け放たれた縁側から外の様子は見えていたのに外はハクの思っていたより夕暮れ色に変わっていた。空気はカラッとしている。 フォーク道を抜け、開かずの屋敷のある方へ進む。 屋敷の近くに行くまでの道に、既にいつもとは違う空気が漂っていた。 屋敷の周りには紺色の制服を着た大人たちが何人かぽつりぽつりと立っている。何人かが屋敷の戸を開けて出入りもしている。 ハクたちは、誰にも何も言われていないのになんだか立ち入ってはいけない気がしたので、少し遠いところからその様子を伺った。 ハク「あれが警察?」 ハクは目を細めて紺色の制服を着た大人たちを見る。よく考えてみればハクはこれまで警察官をまじまじと見たことがなかった。 レイナ「そうだよ。あれ見てみな」 レイナ姉ちゃんの褐色の指先が指差す方を見てみれば、大人たちの紺色の服には、白い文字が記されている。 よく見えなかったが、そこには多分警察官だという明確すぎる証拠が記されているらしかった。 シン「まいったな…また皆で調査に行こうと思ってたのに」 「こっそり入れねーかな」 ダイチ「馬鹿。ダメに決まってんだろ」 「なんでああなってんのか分かんねーけど、警察が来てるってことはなんかあったに違いない」 未悠「それか。"元々なにかあったか"だね」 そう未悠が付け足すとダイチが珍しく青い顔をした。隣のしずかもぶるっと震えていた。 こころ「満足した?近寄れないって分かったんだからもう帰るよ。そろそろ晩御飯の時間だろうし」 こころ姉ちゃんに促され、ハクたちはしぶしぶ開かずの屋敷から離れる。屋敷が気になって仕方がなかったハクは、何度も屋敷の方を振り返った。 その時、ちょうど屋敷の戸の向こうからぬっと現れた警察官らしき女性と目が合った。色の白い大人の女性だ。ハクはその生気の無いような一重瞼の目に自分の視線が重なった瞬間、慌てて目を逸らした。 ハクたちがフォーク道まで帰ってくると、ちょうど明日香と鉢合わせた。明日香は開かずの屋敷の方へ向かっている最中だったらしい。明日香はその時も、相変わらず探偵みたいな格好をしていた。 ハク「なぁ探偵の姉ちゃん。姉ちゃんの好きな屋敷に警察が来てたけど」 明日香「はぁ。私別にあそこが好きなわけじゃないけどさ」 「うん。警察はね、私が呼んだのよ。いや、呼んだっていうかなんていうか」 明日香は人差し指で顎を触りながら首を傾げた。 ヒカリ「えー?どうして?」 ヒカリが無邪気に聞く。非常に子供っぽい仕草だが、ハクにはこれがヒカリの計算のうちに見えて仕方がなかった。 明日香はそのおっきな目を細めてヒカリを怪しむように見つめた。どうやらヒカリの作戦などお見通しのようだ。 明日香「それが知りたいなら…」 「いや、やめておこうか。関わらない方が良いから」 明日香はそう言って首を横に振る。 シン「なんだよ。そりゃねぇだろー」 ハク「そうだよ。教えてくれよ!」 明日香「ダメダメ。好奇心で近づいて良い話じゃないから」 しずか「そういえばこの前、開かずの屋敷であった時、証拠がどうとか…ニュースになるくらいどうとかって言ってなかった?」 しずかが食い下がる。明日香は分かりやすく嫌な顔をした。 ハク「探偵のお姉さん!教えたくないなら、俺たちも秘密教えるから交換してくれよ」 ハクは名案を思いついた。 明日香「はい?」 ハク「俺たちさ、見つけたんだ。すごい場所を。この島のこの町にある秘密の砂浜を!」 「知らなけりゃ誰も見つけられない場所だよ」 ハクは皆の顔を見る。皆、頷いた。 明日香「へぇ。なにそれ」 明日香は興味なさげに言った。 このままだとまずい。と思ったハクはちょっと大袈裟に話を盛ることにした。 ハク「昔の古い地図にしか載ってない砂浜でさ、その地図を使ってもまともには辿りつけないんだ」 「正直言って、あそこを案内できるのは俺たちだけだよ」 ハクが言い切ると、皆また大きく頷いた。そこへ、ヒカリが加勢する。 ヒカリ「ほんっとにすごいんだよ?なんたってすごい場所に砂浜があるんだから!」 ヒカリは今度は、子供っぽくないいつもの口調でそう言った。ヒカリも、明日香にあの作戦が通用しないことに気づいたらしい。子供を怪しむ大人も、それに気づく子供も、どっちもどっちだなとハクは思った。 明日香はしばらく黙って考え込んだ。腕を組んで考え込むその様子は、服装も相まってますます探偵みたいだった。 明日香「ねえ君たち」 明日香がぽつりと聞いた。 明日香「そこってさぁ、例えば何かを隠すのにうってつけの場所だったりする?」 ハク「え?」 「それは…うん。たぶん」 そんなふうに考えたことはなかったが、確かにあんな場所に何か隠されたら大変だとは思った。 イチコ「それって、例えばどんな物ですか?」 イチコが丁寧な口調で聞く。イチコの口調は馬鹿丁寧すぎて流石の明日香もびっくりしていた。 明日香「なんでもいいのよ。大事な物…というか、見つかっちゃうとまずい物」 明日香はやけに、"見つかっちゃうとまずい"という部分を強調して言った。 ハク「どんくらいの大きさ?」 明日香「え?そうだなぁ。これくらいかな」 明日香は、両手で小さく円を描いた。それから、やっぱりこのくらいかも。いや、このくらいかなぁとか言って何度も円を描くのをやり直した。 ハク「結構デカいな。でも、隠されたら確かに見つけるのは無理だと思う」 ユウ「あの場所を知らない限りはね」 レイナ「へぇ。あんたらそんな凄いところ見つけてたんだ」 レイナ姉ちゃんが感心したように頷いた。 明日香「分かった。屋敷のことを教えるから、私をそこに案内してくれる?明日で良いよ」 明日香はえらく真面目な口調で言った。 まさか交渉が成立すると思っていなかったハクはキョトンとしていた。 シン「やったぜ!これであの変な砂浜を見つけた甲斐があるってもんだ!」 ヒカリ「えー?なんで?あそこ綺麗だったしそれだけで満足だったけど」 シン「綺麗なだけじゃダメだっての」 シンはそう言って笑った。 それからハクたちはそれぞれの帰り道についた。しずかはすぐに橋を渡って帰ってしまい、未悠とダイチともフォーク道で別れた。 もうすぐ家に着く。 開かずの屋敷のことだって知れることになった。 全て解決だ。 そのはずなのに。 ハクはやっぱり、今すぐ開かずの屋敷の秘密が知りたくなっていた。 皆より早く知っておきたいという自分で嫌になるくらいの負けず嫌いが湧き上がってきていた。 ハク「あ、ちょっと落とし物したかもしんないから先行っててくれ」 ハクはそう言ってシンたちから離れた。シンが「探すの手伝おうか」と言ってくれたが、どこにあるかは分かっているから大丈夫だと答えた。 決して迷いがなかったわけではなかったが、とにかく行かないと気が済まなかった。 ◯ 開かずの屋敷の周りはいつも通り閑散としていた。警察官たちがいない。 しめた。 ハクの気の迷いは完全に吹っ切れた。 見張る物が誰もいないこの状況では罪悪感も消えてしまったのだ。 ハクに、悪さをするきっかけが訪れてしまった。 誰より早く秘密を暴いてやろう。 ハクはひょいひょいと素早く屋敷に近づいた。 そして、すっかり開かずではなくなった戸に手を掛けたその時だった。 身体がぐいと後方に引っ張られ、ハクはバランスを崩した。 危うく転びそうになるが、襟首を捕まえている何かによって前方に押し戻される。 白い手が襟首を掴んでいた。大きな手のひら、長い指。大人の手だ。 恐る恐る振り向いてみれば、自分より遥かに背の高い女性が冷たい目つきでハクを見下ろしていた。 ハク「うわ…」 この女性は、さっき皆でここに来て帰る際、ハクと目が合ったあの警察官の女性だ。 「なにしてんのかな」 女性はとても冷たい声で言った。 ハク「あ、いや別に」 ハクはその手を振り解いて逃げようとしたが、女の力は強く、全く振り解けない。 「ここは君みたいなのが来ていいところじゃないよ。早く帰りな」 女性は言って、ハクの襟首を掴んだまま力づくでぐんとフォーク道の方へ押し出した。 ハクはなんだか、負かされたような気になった。悔しくなって、後先も考えず、帰ると見せかけて再び屋敷の方へ走り出した。 だが、長身の警察官は容易くハクに追いつき、そのまま長い腕でハクの胴体をバックホールドした。 ハク「うわっ!?」 「なんだ。やっぱり悪い子か。君。さっきもちらちら見てたよね。ちょっと話、聞かせてもらおうか?」 ぎゅうと胴体が締め付けられる。ハクは、女性の両手がちょうどくすぐったい脇腹のあたりに添えられているのがなんだか怖かった。 ハク「は、話って…なにも話すことなんか…」 「それはこっちが判断するから。どうしてここに来たのか。どうしてそうまでして入ろうとするのか、教えてもらえるかな」 女性はまたぎゅうとハクを締め付ける。指がピクリと動き、指先がハクの脇腹に当たる。ハクはピクンと身体を震わせた。 「おや?くすぐったがり屋さんかな」 ハク「い、いや違う!そんなんじゃ…」 ハクは慌てて首を横に振る。 「ほんと?」 白い指の先がコチョコチョと脇腹をくすぐる。 ハク「ふがぁっ!?」 ハクは細い身体をぶるるっと震わせて喚いた。 「ちょうど良いからちょっとコチョコチョで懲らしめておこうか」 女性の大きな両手が、ハクの胴体をホールドしたままスルスルと横っ腹の超くすぐったいところに滑り、そこに指先を立てた。硬い爪。滑らかな指先が横っ腹に触れ、ハクは飛び上がりそうになる。 「もう一度聞くよ。君はここで何のために何をしようとしていたのかな」 女性の口調が強まっている。脅しの口調だ。 ハクは黙秘を続ければどうなるか分かっていたのに、それでも自分のプライドのために一言も発さなかった。 「いけない子だね」 女性の長い指が踊り出し、指先と爪の先とでハクの細い横っ腹の表面をコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョ!!!っと引っ掻くようにこちょばした。 ハク「ぐひゃっ!?うひゃぁぁああああああああああああああああああはははははははははははははははははははははははははははは!!!や、やめっっ!!ぇへへへへへへ!?ぇははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!んははははははははははははははははははははは!!!」 寒気を感じるようなくすぐったさが横っ腹の神経を這い回るように走り、下半身からは力が流れ出てハクはふにゃりと崩れ落ちる。 「逃がさないよ」 女はぎゅっとハクをホールドしたまま、器用に指を滑らせる。 コチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョ!!! ハク「あひひひひひひはははははははははは!!!や、やめろってばっ!!っっへはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!なんにもっっ!!言うつもりはっっないからなぁっ!!っははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!」 ハクはこれまで何度も地獄のくすぐりを受けて来た。だからなんとなく、少なくとも現時点ではなんとか耐えられるのではないかという自信を持っていた。もちろんそれは慢心であったのだが。 「本当に?このままくすぐられ続けても?」 女は妙に優しく囁く。ハクはそれが、最後の警告なのだと分からなかった。 コチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョ!!! ハク「ひゃひゃははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!あ、あ、当たり前っっだろっ!!っっひははははははははははははははははははははははははははは!!!うは!!うは!!うはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!」 ハクは悶えながらも必死に投げ出す方法を探っていた。だが、当然プロのホールドには敵わず投げることなど出来ない。 「だったら仕方ないな」 女はそう言って、ハクの足に何かをひっかけた。途端にハクはバランスを崩してふわりと宙を舞い、気づけば地面の上に仰向けになっていた。 そこへ、長身の──近くで見るとこんなにも背が高かったのかと驚くほどの長身──女が馬乗りになる。 ハク「うげっ」 ハクはもがく。が、大人の女…それも細身といえど背の高い女にのしかかられては堪らない。 女はおっきな手を目いっぱい広げ、指をぴんぴんに伸ばしてハクにかざして見せた。脅しだ。 「これから君に、秘伝のくすぐり技を試すつもりだけど…白状する?」 ワキワキと蠢くその指の先は、ハクの肋骨を狙っている。 ハクは青ざめた。 まじまじと女の指を見てみれば、それはやはりくすぐり的凶器の形状していた。やや骨ばったその指は長く、まるでピアニストだ。少しざらりとした質感の生白い肌もまたくすぐったそうだ。そして爪は、厚みがあり光沢があり、長さもハクが苦手とするくすぐったい爪の長さに整えられている。 ハク「い、いやそれは…」 すっかり戦意を喪失したハクは口を震わせしどろもどろに答える。 「言わないんだね?わかった」 ハクが何か言い訳をするより早く、女の大きな手ははハクのほっそりした未発達の肋骨をがしりと捕まえた。 骨と骨の隙間に、ごりりりっと指先が食い込む。 ハク「あ"がっっ!!?」 凶悪で鋭くてくすぐったい刺激が肋骨の隙間にあるくすぐったぁい神経に捩じ込まれ、ハクの腰が浮き、仰向けのまま背中がぐんと仰反る。 ハク「かっ!!!かっ!!?」 どうにかしてくすぐられないように何か言おうとしたが、弛緩し切っていたハクの顔面の筋肉は思うように動かず、ただ口を開けたまま顎を震わせただけだった。 「それじゃあこうだよ」 女の指が、その先の丸く尖った形状の凶器的指先が肋骨の神経を捉えたまま、肋骨をまるごとほぐして溶かしてしまうようにゴリゴリゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョ!!!っとくすぐり出した。 ハク「かっっ!!?ぎぃぇぇぇぇぇええええええええええええええええええええっっ!!!ぁぁぁぁああああああああああはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!かはっ!!かはっっ!!?あはははははははははははははははははははははははは!!!ぐるっっ!!?ぐるじっっ!!ぃぃひひはははは!!」 ハクの身体が波打つように暴れる。 肋骨に信じられないほど食い込んでいる生白い指は、獰猛にゴリゴリゴチョゴチョと神経を嬲ってこそばしてくる。 この生白い指は、この歳の頃の男の身体の神経のどこをどう刺激すればくすぐったく感じさせられるかを熟知していた。 「これ、くすぐったいでしょ?昔、友達から教えてもらったんだよねぇこれ。なんて言ったかな。"横隔膜くすぐり潰し"だったかな」 女は呑気にそんなことを言いながら指にスジを浮き立たせながら凶悪に肋骨をほぐし続ける。 ゴリゴリゴリゴリ!! ゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョ!!! ハク「ぐぁぁぁぁあああははははははははははははははははははははははははははは!!?あはっ!!かはっ!!?ぐるじぃってばぁぁぁあああははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!けほっ!!かはっ!!?あはっ!!?っっへはははははははははははははははははははははははははははははははは!!!」 女の白い指がゴリゴリ神経を削り、ゴチョゴチョ神経をくすぐれば、ハクの意思に反して多量の酸素が吐き出され、肉体が痙攣し、横隔膜が震えて最終的には笑ってしまう。 この、横隔膜くすぐり潰しはハクの体力と精神を確実に奪っていく。 「このままくすぐられて笑い続けて死んじゃうかもね。それでもいいなら続けるけど?」 女は、死にそうになって笑い悶えているハクのことなどまるで考えていないような凶悪な指遣いで肋骨をくすぐり貪り尽くす。 ゴリゴリゴリゴリゴリゴリ!!! ゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョ!! ハク「うげぇぇへへへへへへへへへへへははははははははははははははははは!!きついっっ!!きついっ!!!きつぃぃぃっ!!!っっははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!かはっ!!かはっ!!ぇほっ!!っっへはははははははははははははははははははははははははははははは!!!」 ハクは女の手首を掴んで抵抗していたが、くすぐったさで力が抜けてもはやただ触れているだけだった。 毎秒酸素がたっぷり奪われ、そのくせに身体は暴れざるを得ないのでまるで酸素の供給が追いつかない。 女は細い目でじっとハクを見つめてその様子を伺いながらコチョコチョを続けたが、ハクが必死になって頭を振り回し始めると、指を止めた。 その指の止まり方はまるで機械みたいに正確だった。 ハク「うへぇっ!!はぁはぁはぁはぁ!!っっはぁ!!」 「どう?話す気になったかな」 女は馬乗りのままハクを見下ろしている。 ハクは、息を切らしながら、なんだかまるで映画の拷問シーンみたいだと思った。よく外国の映画で見るシーンだ、とそう思ったのだ。 ハク「はぁはぁはぁ…はぁ…」 もうくすぐられるのゴメンだったが、それでも、負けず嫌いのハクにとって、言われるがままにペラペラと口を割るのは耐えられなかった。 だからハクは、女の一重の細い目をきっと睨みつけた。 女は少し笑った。 「君もしかして、わざとそういうことしてる?そんなわけないか。君多分、自分の知らないうちに相手の心を刺激してるんだね」 女は自分の指の腹同士を擦り付けてすりすりやった。 ハク「は、はぁ?心…?なにが?」 「だから、こーやっていじめたくなる心をだよ」 その動きはあまりに素早くて、ハクは何が起こったのかまるで分からなかった。 女の、生白い手が、まるで蜘蛛が這うかの如くワサワサと身体を這ってきて、腋に滑り込んできたのだけは分かった。 だがそのあとは、ひたすらくすぐったさに支配されて何もわからない。 ハク「ぎぃぁぁぁぁあああああああああああああああああああああははははははははははははははははははははははははははは!!?あひゃひゃひゃははははははははははははは!!なっっ!!?なんだっっ!!?なんだこれぇぇぇへへへへへへへへはははははははははははは!!!」 女の指。人差し指と中指の二本の先が腋の下にあるコリッとした部位をクチュクチュとほじくっていた。 その動きがたまらなくくすぐったくてハクは壊れたように叫び散らしていた。 「これもねぇ、友達に教えてもらった技。腋の下にあるくすぐった〜い神経の塊をね、指先と指の腹でこーやってクチュクチュほじってやるとやばいんだよ」 女はねっとりとそう言いながら、暴力的な手つきでハクの腋の下の神経の塊をほじくり回す。 クチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュ!!! ハク「くぁぁぁぁぁあああああああああ!!?わがっだ!!ごめんなさぃっ!!ごめんなさぃっっ!!!っっひひひひひはははははははははははははははははははははははははははは!!!ギブ!!!ギブぅぅ!!!っっははははははははははははははははははははは!!!くひゃっははははははははははははははははははははははははははは!!!」 くすぐったいと言う概念をそのまま腋の下に注ぎ込まれているような凶悪な感覚についにハクの負けず嫌いのプライドはへし折れた。 しかし。 「ギブって?そんなのあるっていったかな」 女は意地悪な笑みを浮かべてハクの腋の下をグリグリクチュクチュほじくり回し続けた。 クチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュ!!! ハク「ぎゃっ!!?なんでっ!?っっへへへへへへへへへははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!うひゃひゃひゃはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!くっっぁぁぁああああははははは!!!ギブだってぇぇぇ!!」 ハクは絶望に顔を染めながら笑い狂った。 大人の大きな体に下敷きにされた状態で絶え間なく腋の下をくすぐられ続けるこの地獄に、ハクは完全に心を破壊され掛けていた。 そんな時、 「そ、そこまでだ!」 やや裏返ったような、勇ましいような、どこか頼りないようなそんな声が聞こえた。 くすぐりの手が止まる。 女は後ろを向いていた。そこには、ユウがいた。 ハク「はぁはぁはぁ…ゆ…ユウ!?」 どうしてここに?と言おうとしたがくすぐられ続けたせいで呂律が回らなかった。 ユウ「ぼ、僕の友達に何するんだ!やめろ!」 ユウは弱々しく、しかし勇ましくそう言い放った。 女は笑って立ち上がった。 「なんだ。似た物同士が現れたね。お仲間ってことで良いかな?」 女は長い脚でスタスタと軽やかにユウに近づく。 ユウはすっかり怯えていた。 ユウ「は、ハク…!今のうちにっ…」 ユウがそう言い終わるより早く、女はユウの手首を掴み、足をかけてそっと優しくユウを仰向けに倒した。 ユウ「うわぁ!」 「捕まえた」 女がユウに覆い被さる。 そこから先は、本当に暴力的でむごたらしかった。 女は、無力化したユウに覆い被さったまま、ユウのシャツを捲り上げ、お腹をめちゃくちゃに、それはもうめちゃくちゃのめちゃくちゃにコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョ!!!!っとくすぐり回した。 ユウ「ぎぃぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああははははははははははははははははははは!!?うはははは!?あはははは!!?あははははははははははははははははははははははははははははは!!!しぬっっ!!しぬぅぅぅ!!!いやだぁぁぁぁあははははははははははははははははははは!!!」 ユウは素肌を思い切り、あの恐ろしい指に徹底的に掻き回されている。 ユウの細くて弱々しいお腹が痙攣している。その張りのあるお腹には、ツルツルの爪やスベスベの指先が暴力的に這い回っている。 「ごめんね?良いところ見せに来たのかもだけど…構ってらんないから」 女はどこか楽しげにそう言いながら、ユウの白いお腹をサディスティックにこちょぐり回す。 ワシワシワシワシワシワシワシワシ!!! コチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョ!! ユウ「ぎぁぁぁああああはははははははははははははは!!!ぁぁぁあああははははははははははははははははははははは!!ごめんなさいっ!!ごめんなさぃっ!!ぃぃひひはははははははははははははは!!しっっ!!しっ!!死んじゃうぅぅぅぅぅぅ!!!っはははははははははははははははははははははははははは!!!」 ユウの真っ赤だった顔はみるみるうちに青くなっていき、最終的には手脚から力が抜け切った。 そこで女はようやく手を止めた。 ユウがぐったりと地面に伸びる。 めくれたままのシャツの下には、たっぷりとくすぐられ痕が刻み込まれたお腹が見えた。 瞬殺。まさにその言葉がピッタリなくすぐり地獄であった。 「君も。そこの君も。絶対に入らないようにね。次見つけたら、それこそ本当に対処しなきゃいけなくなるからね」 女はそう言ってハクとユウを立たせ、フォーク道まで送り出した。すっくりくたびれていたハクもユウも何も言い返せなかった。 ハク「はぁはぁ…ありがとうな。ユウ」 ハクは、ちょっぴり恥ずかしかったし、情けなかったけど礼を言った。 するとユウはもっと恥ずかしそうに、別にいいよ。姉ちゃんに言われて…来ただけだから…と言った。 ユウ「結局、助けられなかったしね」 ハク「仕方ないだろ…相手は大人だし。警察だし」 「俺でも無理だったし」 「立ち向かって来ただけで凄いぜ。俺なら、どうしてたかな」 ハクはそう言って空を見上げた。空はすっかり赤黒くなっていて日が沈む直前だった。 そして、自分ならひょっとしたら、負けたらくすぐり地獄に遭わせられると分かっていながらあんなふうには立ち向ってはいけないかもな、と思った。 家に帰るや否や、レイナ姉ちゃんがハクとユウを見て、どこ行ってたの?と聞いた。どこへ行っていたかレイナ姉ちゃんが知らないはずがないのにどうしてそんなことを聞くのかハクは不思議だった。 ハクはユウを見たが、隣にユウはおらず、ユウは二階への階段を駆け上がっていくところだった。 ぎこちなく階段を上がっていくユウの後ろ姿は、前よりも少し大きく見えた。

Comments

仰る通りで、こういったイベントが終わっていくたびに何かの終わりが近づいてくる感じはしますよね(今日更新の最新話でもちょうどそういった話が出てきます笑) そうですね笑ハクからするとホッとしているかも知れません。でも、やっぱりハクも負けず嫌いだし、闘争心はあるから戦いたいという気持ちはイチコみたいに常に持ってるのかもしれませんね。 外で遊ぶのもいいですがやっぱり勉強もしないといけませんからね!結局あんまり出来ていませんでしたが…宿題ってみんなで集まっても進まないものですからね笑 しずかやダイチみたいに進めておくのが吉でしょう! 嵐の前の静けさ…ある意味そう言えるかもしれません!笑 これまで封じられてきた秘密がついに開け放たれる時が来たようです! それはハクたちにはすごく残酷な現実です。楽しい夏休みをぶち壊しかねない現実です。ですから、その事実を事実のままに明日香が教えるのかどうか。しかし秘密は解き放たれましたからもう隠せません。 屋敷の秘密やその他の謎は最新話にて全て繋がります! 怖いので私も矢剱神社に向かって祈りますね!

Kara

イチコちゃんとの三本勝負が終わってしまったのは、学校生活最後の行事を消化していって卒業式が近づいてる感覚に似てて少し切ないですね。 ハクくんはむしろ緊張する勝負が終わってホッとしてそうですけど笑 今回は冒険じゃなくておうちで勉強会ということで、何気ない日常回って感じが前回との緩急が付いていてまったりと落ち着きました🍵 これが嵐の前の静けさではないと良いですが…。 しかし案の定、物々しい国家権力も現れてしまったので、これからズカズカと開かずの秘密が開けられてしまうのかと思うと怖いですが、みんなが無事で、なるようになることを遠くから矢剱神社に向かって願っています。

(´・ω・`)


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